沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 811
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167917456

作品紹介・あらすじ

2022年公開 映画化決定!――福山雅治主演 湯川・内海・草薙がスクリーンに帰ってくる

2018年「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位

待望の文庫化!
シリーズ累計1400万部突破!


静岡のゴミ屋敷の焼け跡から、3年前に東京で失踪した若い女性の遺体が見つかった。逮捕されたのは、23年前の少女殺害事件で草薙が逮捕し、無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。町のパレード当日、その男が殺された――

容疑者は女性を愛した普通の人々。彼らの“沈黙”に、天才物理学者・湯川が挑む!


ガリレオvs.善良な市民たち

“容疑者X”はひとりじゃない。

感想・レビュー・書評

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  • 黙秘権を行使し、2度も無罪を勝ち得た悪人が殺される。犯人は一体誰なのか。司法の在り方によって善良な市民たちが恨みという絆で繋がり、繋隠と沈黙を纏った真相が科学と論理の力で明らかにされていくミステリ。

    私の遅咲き小説読書人生の門出に、花を添えてくれた敬愛なる東野圭吾。

    とは言いつつも、実のところガリレオ・シリーズはTVでしか視聴したことがなく、本作品がシリーズ原作の初読となった。

    早速感想を述べたい。


    じつにおもろい。

    私の場合、ドラマのキャスティングが染み付いているせいか、福山雅治を湯川教授に即投影出来たこと、それによって文字が映像化しやすくなり、サクサクと読み進められたことが純粋に楽しかった。

    そして著者の文体がやはり好きだ。
    東野圭吾の文体はとても読み心地が良い。だから読みやすい。よって感情移入がしやすいので登場人物に喜怒哀楽を持って読み進められるのだ。

    そして兎角、本作の見どころ見せどころの秀逸さだ。
    社会派ミステリの要素に対し、理系のトリックを施し、論理的かつ合理的に解決していく展開はお見事。

    また、トリックも一筋縄ではなく、二重三重の仕掛けを用いており、物語も終盤で急展開を見せるなど、最後の最後まで楽しめた。

    気付けば、堪能を尽くした故に484ページを読了するまでに4日ほど要した。

    まさに私にとって、ミステリーのお手本と言える作品であった。

    • みどりのハイソックスさん
      ありがとうございます♪
      では、「人魚の眠る家」を読んでみようと思います!
      ありがとうございます♪
      では、「人魚の眠る家」を読んでみようと思います!
      2022/02/18
    • akodamさん
      みどりのハイソックスの女さん

      人魚の眠る家、ご堪能ください。
      もしも原作に感銘を受けられたのなら、続いて映画もご覧いただきたいです♪
      みどりのハイソックスの女さん

      人魚の眠る家、ご堪能ください。
      もしも原作に感銘を受けられたのなら、続いて映画もご覧いただきたいです♪
      2022/02/18
    • みどりのハイソックスさん
      はい♪
      今、図書館の予約待ちです。
      早く読みたいな
      はい♪
      今、図書館の予約待ちです。
      早く読みたいな
      2022/02/19
  • 最後まで真相が二転三転して息がつけない面白さです。

    歌手を目指していた佐織が殺されたところから始まる話なのですが、彼女の気持ちを想像すると辛い。

    さらに最後の智也と佐織の両親との会話が、親の気持ちがものすごく分かって、辛かった。

    すごく面白いのですが、同時に辛い気持ちになった本でした。

  • 映画化決定。2022年公開。主演福山雅治。
    File9・ガリレオVS善良な市民たち。
    容疑者Xはひとりじゃない。
    ー文庫 帯より

    この作品は単行本がでたとき図書館ですぐ借りたのですが、返却期限に間に合わなくて、途中まで読んで返却してしまった本です。文庫化されたので購入しました。
    途中までちゃんと覚えていました。
    とても面白かったです。

    ガリレオシリーズはTVのドラマをよく見ていたので、福山さん他のメンバーが全部、脳内変換されて喋ってくれるので、楽しいです。

    それにしても、作者の東野さんは稀代のストーリーテラーというか、いつも話がポンポンと転がっていって面白いです。

    3年前に失踪した若い女性の事件と23年前の女児の事件が絡み合うところが何とも上手く繋がっていて本当に面白いの一言です。


    以下ネタバレしています。お気をつけください。


    最後に皆に憎まれる嫌な容疑者が本当に犯人ではなかったかもという、すごいどんでん返しがありますが、湯川先生の物理学的な推理により、めでたしめでたしでほっとしました。

  • ガリレオシリーズ第9弾!
    短編よりもこのような長編が好きです。
    昔に比べて湯川のキャラが随分変わってきたような気がします。
    またガリレオシリーズも、謎解きをベースとしながらも人情系に広がってきているのかなと思いました。

    ストーリとしては
    ゴミ屋敷の焼け跡から発見された女性の遺体。
    容疑者として逮捕された男は23年前の少女殺害事件でも逮捕され、無罪となった男。
    今回も結局は起訴されず釈放されます。
    司法はこの男を罰することはできないのか?
    そして、男はその女性が住んでいた町に訪れます。
    町の人たちの男に対する憎悪の想い。
    そんな中、町のパレード当日、この男が殺害されます。
    容疑者は、この男を恨む町の善良な市民たち。
    しかし、彼らには鉄壁のアリバイが..
    どの様に、男を殺害したのか?
    誰が殺したのか?
    事件の真相は?

    湯川が明らかにしていきます。

    今回、「容疑者Xの献身」の事件を振り返る湯川のコメントがあります。
    こんなリンクも好きです。

    最後の最後でさらなる真相までたどり着くのもよかった。
    満足の展開で、読後感もよかったです。

    折角なので、容疑者Xの献身を読んでから読みましょう。
    また、これ、映画化されていたんですね。
    映画も見てみたい!!

    お勧めです!

  • 湯川先生おかえり〜!
    まぁ、だいぶ前に帰ってたみたいやけど…(^^;;
    長い付き合いの友達なんか、そんなもんかもしれん。たまに、会っても、すぐ昔に戻れるし。

    な〜んか悲しいな。
    いくら犯罪を犯したとはいえ…
    被害者なぁ〜殺されても仕方ないような…
    今回は、こうであっても、万全の証拠がないと有罪にしてはダメなのかもしれん。世の中には、こんなツライのもあるけど、逆に冤罪でツライ事もあるから。

    って冷静に言えるのは、他人事やからなんやろうな…こんなん、自分が当事者なら絶対しそう。でも、今回の場合、もっとツライ…自分なら死刑になっても後悔はないけど…

    相変わらず、メタンガスとか液体窒素とか、殺人方法は、色んな仕掛けが。
    段取りも含めて、こんなん自分なら絶対無理なやり方…途中で失敗しそう(^^;;
    方法は、極めて物理的というか、手順を踏んでいるように見えて…

    これをクールに、理路整然と解決に向けて進んでいく湯川先生。色々などんでん返しも。
    でも、この事件に絡んだ動機が、友情というのが泣ける〜(T . T)

    終始、福山雅治さんをイメージしながら読んでしまう。映画も楽しみにしてます〜!

  • 文春文庫 バーコードで登録したら実写サムネになってしまった イラストの方がよかった 映画は見てない
    読んでて「え?」「え??」となりわくわくおもしろい

    なかなかムカつく悪役らしい悪役 と思ったら悪役に恨みを持つメンバーが作戦で殺す 
    タイトルの通りメンバーが黙秘してそこを湯川先生が解決するのかな?と思ったら その奥に真相が そして湯川先生は真犯人も気づかないさらに奥の真相まで 
    ちょっとずつ善良な人々が関わって大きな事件をっていうのは星新一で読んだ気がする でもそれじゃ小説にならないから真相は必要か

    夏美の言う通り完璧な探偵役の湯川先生 それが親友のためっていうのがかっこいい 警察は湯川先生推理の確認ばかり笑 内海刑事がパレードで液体窒素運ぶのを気づいたきっかけ役にしてもらえたけど湯川先生なら最初から気づけたような

    真相が絡まりあってうまく説明つくような感じですごいんだけど 「なみきや」家族はこれでスッキリするのかな 家族を殺された家族の気持ちはわからないけどそれでも生活は続いていくしかないんだな 

    「殺したいと口に出すのは、結局殺せないから〜」
    「正しく実験が行われたかどうかを判断するには、どんな結果が出るかなんて、知らないほうがいいんだ」

  • ガリレオシリーズ第十弾の作品。
    『探偵ガリレオ』『予知夢』の時のような推理マシーンのような湯川学では無い、深化した湯川を見れたという印象だった。親友(草薙)の無念を少しでも晴らしたいという思いが湯川を動かしたと聞き多くの事件を通して、人間味の増した人物になっていてとても面白かったです。
    今回のテーマはタイトル通り「沈黙」で、黙秘を貫いた結果、不起訴・釈放という判決を受けた因縁の相手が遺族のいる街に現れたところから物語が始まる。遺された家族や周りの人間の悲しみや怒りがこれでもかと文章で訴えかけてきたのがとても印象的でした。そして周りの人々が『ある計画』を実行していく所で、「あぁ、蓮沼を殺すんだろな」という風に思い込んでいたまま話がそのまま進んでいったので、この殺人事件をどのように解いていくのかという物語になっていくのかと思っていたら、まさかの真相に騙されまくりました!
    この真相を黙ったままにするのかと思っていたら、全てをさらけ出すという所に持って行く所にしたのが、とても良かったです。黙ったままだと沈黙で楽して生きてきた蓮沼と同じになってしまい、また苦しむ人が出てくるので、沈黙を破ることで他の関係者が過去から解放されて次へ進むことが出来たのかなと思いました。それに終止符を打ったのが、真相を明らかにしたことで全ての人が不幸になってしまった経験を持つ湯川なのが、まるで湯川本人もやっと自爆から解放されたのかなと思いました。
    素晴らしい結末でした。ありがとうございました。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    湯川学:小野大輔
    草薙俊平:諏訪部順一
    内海薫:小清水亜美
    岸谷:飛田展男
    間宮慎太郎:山路和弘
    多々良:若本規夫
    並木祐太郎:井上和彦
    並木真智子:能登麻美子
    並木佐織:早見沙織
    並木夏美:富田美憂
    戸島修作:三宅健太
    新倉直紀:小山力也
    新倉留美:島本須美
    高垣智也:斉藤壮馬
    高垣里枝:日高のり子
    宮沢麻耶:ファイルーズあい
    増村栄治:中田譲治
    本橋誠二:小野賢章
    本橋由美子:花澤香菜
    蓮沼寛一:子安武人

  • 福山雅治のイメージがつきまとうので
    あんまり好きではないガリレオシリーズだけど
    (福山さんが嫌いなのではないけど、先入観になってしまうので)

    やっぱりさすが東野さんだなと思う。

    湯川さんが切れ者すぎて、
    草薙さんが無能に見えちゃうけど、
    取り調べのシーンでは迫力があった。

    年を取らないシリーズ物がある一方で、
    こちらのシリーズはきちんと年を重ねていくのも
    面白みの一つかと思う。

  • 久しぶりの、東野圭吾の長編ミステリー
    10年近く前に読んだ『容疑者Xの献身』のガリレオこと、天才物理学者の湯川が繰り広げる、事件のトリックの推察と事件の全貌を知った時、息を呑んだ。

    一人の残忍な男のせいで、たくさんの人の人生が狂った。

    「人間じゃない、あれは人の顔のお面を被った悪魔だ」

    容疑者をそう言い表すのに過言ではない、やるせない出来事が次々と起こる。

    大切な人を奪われたのに、奪った人間は裁かれず、のうのうと生きていて、しかも拘留中の見舞金までせびって悪びれもせず息をしている。

    司法でも裁けないなら、自分たちで拷問を与えて復讐をするしかない。自分たちの手で処刑してやりたい。

    そう考えることは、正義に反するのだろうか

    とても難しい、理屈は通用しない、理性で片付けられない人間の根っこの部分をザワザワとさせられる物語でした。

    • はねさん
      わーーーさん、同じような本を読まれてたのでフォローしましたww
      東野圭吾さん大好きです!こちらは映画もご覧になられましたか?映画も素敵でした...
      わーーーさん、同じような本を読まれてたのでフォローしましたww
      東野圭吾さん大好きです!こちらは映画もご覧になられましたか?映画も素敵でしたよ!ただ、ハッピーと言えるかどうかですが....w
      2024/02/27
  • 福山雅治さん主演で映画化決定『沈黙のパレード』が第1位、最新刊『透明な螺旋』は第2位に!東野圭吾さんガリレオシリーズが総合ランキングでTOP2独占!|hontoPR事務局のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000675.000009424.html

    映画『沈黙のパレード』福山雅治主演「ガリレオ」シリーズ第3弾、柴咲コウ&北村一輝も続投 - ファッションプレス
    https://www.fashion-press.net/news/75702

    東野圭吾ガリレオシリーズ|文藝春秋
    https://www.bunshun.co.jp/galileo/

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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