神さまを待っている (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2021年10月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167917661

作品紹介・あらすじ

誰にも「助けて」と言えない。
圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。

文房具メーカーで派遣社員として働く26歳の水越愛。
会社の業績悪化で派遣切りに遭い、失業保険を受けながら求職活動をするが
どこにも採用されない。アパートの更新料や家賃、住民税、そして食費…
あっという間にホームレスになった愛は、漫画喫茶に寝泊まりしながら
日雇いの仕事を始め、前の生活に戻ることを目指していたが、次第に
価値観、自己認識が揺らぎ始める。
同じ境遇の女性たち、「出会い喫茶」に来る客との交流。
生きるために「ワリキリ=売春」をやるべきなのか。
ここまで追いこまれたのは、自己責任なのだろうか。


大学に進学し、勉強や就活に励み、まじめに勤めていた女性が
またたくまに貧困に呑み込まれていき、抜け出せなくなる。
著者自らの体験をもとに描いた「貧困女子」長篇小説。
  
 解説は 俳優・佐久間由衣 

みんなの感想まとめ

自己責任や社会の冷たさに翻弄されながら、貧困に陥った主人公の葛藤をリアルに描いた物語は、読者に深い共感を呼び起こします。派遣切りに遭い、ホームレス生活を余儀なくされた26歳の女性は、日々の選択に苦しみ...

感想・レビュー・書評

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  • 派遣切りにあい、仕事も住むところも失い26歳にしてホームレス生活となった愛。
    「助けて」と言えないまま負のループに巻き込まれ出口を見失った。
    そんな彼女の行き着く先は…
    貧困女子をリアルに描いた一冊。

    彼女は悪い事をしていない。派手ではなく地道に自分の人生を歩んできていた。
    それでもこういう転落が待っていたのだ。
    決して他人事ではない。
    病気、事故、子供の進学、仕送り、親の介護…様々な理由で人が負のループに足を滑らすことはいとも簡単なのだ。
    小説のように最後の最後に雨宮君が出てきてくれるわけではない。
    結果、命を捨てる選択をする人も少なくないのだろう。それが現実なのだ。
    「頼る」タイミングを間違えるな。
    頼る事は「悪」ではない…でもわかるなぁ。頼るって怖い…その気持ち、分かる!
    頼るってそれまでの自分を嫌でも振り返り見直さなくてはいけない。
    自分の落ち度ばかりが目につき見たくないものを目の前に突きつけられる気がする。
    そこを越えなければ前には進めないって分かるけど越えられなかった時、現状以上に自分が壊れていく怖さが分かるから怖くて「助けて」って言えない。頼れない…
    なんだかその右往左往する気持ち…分かるなぁ。

    畑野さんの社会性を問うストーリーは現実にすごく近い。
    読んでいて派手さはないけれど、ジリジリとその切実さや苦しさが襲ってくる。
    本書もしんどすぎて何度か読むのを辞めようと思った。今は読了出来て良かったと思う。
    「貧困」をテーマに自分は最後迄向き合えた。
    大袈裟だけど(笑)自分にとってはそれが大きな収穫!
    本筋から目を逸らさず描き切る畑野さんの作品は好きだ。

  • はけん切りになり、ホームレスに。
    生きるか死ぬかの瀬戸際であらゆる生きるための選択をつきつけられる、、、。

    なんか、身につまされるものがありました。自分がもしそうなったら、、、、と考えながら読んでしまいました。
    貧困はお金がないことではなくて頼る者がいないこと、みたいなことが書いてありましたが
    ほんと、それ!と思いました。
    もし、私ならと考えると、、、制度を利用しに役所に行きますけど、
    スマホやパソコンがなく情報が得られない状況なら助けを求める術もわからなくて路頭に迷うとおもいます。
    工場勤務では、私ならあまり苦痛に感じないかもと思ったのが主人公とちがう点でしたが、、、。

    ワンピースの男が気持ち悪くてだめでした。
    でも、そういう人が多そうで、妙にリアル臭いなあと思いました。
    そういう世界を覗けたようで、ある意味興味深かったです。

    神様を待っていたけど、神様も待っていましたね。救われて、よかった。

  • かわいい表紙につられて読み始めましたが、途中からとんでもなく不安な気持ちになりながら読んでました。
    大学を卒業して就職するという、普通と呼ばれる暮らしをしていた女性が貧困と呼ばれる状況になっていく様子が書かれています。
    この本に出てくるような状況の人たちを利用している人間の内側も見てみたいと思いました。

  • 初めて読む作家さんの本
    読み初めから最後までページをめくる手が止まらなかった
    今まで生きてきた私とは遠い世界の話
    でも実はすぐ隣にある話

    文具メーカーで働いていた26歳の「愛」が派遣切りに遇う
    母は他界していて再婚している父や新しい家族とは疎遠
    友達は多いが頼れる人はいない
    愛は漫画喫茶に住み
    そこで出会ったマユに楽に稼ぐ方法を教わる

    タイトルの「神様」
    登場人物によって意味が違う
    拠り所 守る守りたい人や場所 生きるつて

    人間の強さと弱さ、ズルさ、優しさ、痛み
    ひしひしと伝わる作品

    他の作品も読んでみたくなった

  • 派遣切りに遭い、職と家を失った愛が行き着く先は__圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。何をしようにもお金が足りない。取り上げられるように希望や気力を失い、次第に揺らいでゆく価値観。私ならと考えずにはいられない...神さまはいるのだろうか。

  • 読んでみて、良かったと思える本でした。

    若い女性たちの貧困について。
    嘘がない感じがした。
    わたしにも娘がいる。他人事、社会の闇と横に置いておく話ではないですね。

  • これは私には微妙でした。設定や展開が作りものじみていて、主人公の行動があまりにも焦ったい。エンディングもいかにも取ってつけたようでちぐに感じました。広く問題提起するために小説の形をとったのかも知れませんが、小説で読む内容ではないと思います。

  • 秋に買ってたのか、こんな長く寝かせていたとは、1番最初に読むやつだって自分しっかりしろよと。私小説、ノンフィクションを読んでる感じしかしない、何故こんなになったかよりも、よくも戻ってこられた方が感想です。半年間の出来事で、自分からしたら短い時間としか思えないけど、感情がなくなってお金を貯める為に生きてるって就職とか考える事も出来ない所まだった。ケイスケなんか屑に暴力も込みで良い顔して生きてる屑に見つかって残念、もっと屑がいただろうな。雨宮に神谷にたくさん居たんだね。ナギを心配するまともな神経があったよ。

  • 貧困とは金銭的な貧しさではなく頼れる人がいないということ。「性的虐待を受けた人が自分の感覚を取り戻した時死にたい感覚に襲われる」というセリフは、とても重く響いた。
    読むのも辛くなる。どうしてこう弱い立場にある人達を搾取する人たちがいるのだろう。
    生活保護や失業給付、必要な人がきちんと使える社会にしていかないといけない。さらに、相談できる人にすぐに繋がれる社会にしていくことが優先されなければいけない。

  • 派遣切りをきっかけに、住む家を失い、出会い喫茶で男性を待つようになった26才の愛。ワリキリ=売春には抵抗がある。なぜなら、PCが使えて事務仕事ができる自分は、そっちにいかなくてもやっていけるから──
    私の家族は仲良しではないにしても、これまでの人生を支え、認めてくれる、ありがたい存在です。親無しに生まれてくる子などいないのに、すべての子どもが親に護られるわけではないという、普段は意識しないことを改めて思い知りました。政治や行政は護られていない子どもや、かつて護られていない子どもだった人を護るために、知恵を絞り、お金を使って欲しいです。
    愛やナギのその後の物語を心に思い描いていますが、想像力が足りな過ぎて情けない。雨宮くん目線の物語も読んでみたいです。

  • この作者さん、好きなのになぁ…、今回は全くダメでした。
    主人公が人を頼ることに頑なな割には隙だらけだし、まともな判断力はないし、それでお定まりなコースに堕ちていくって。
    途中からはどういう結末になるかだけを目指してななめ読みだったが、な~んだ、やっぱり、そうなるのか。
    雨宮くんはいい奴だからまあいいけど、会社のCEOやら腹違いの弟くんまで出してきて良い話風にまとめられちゃったのが、なんだかな。

    派遣で雇止めになったからっていきなりホームレスにならなくても、派遣会社に次の仕事紹介してもらって、どうしても正社員がいいんだったら、派遣を続けながら正社員の仕事を探したらいいんじゃないかと思うぞ。

  • 今のわたしにとって、これ以上生々しい本は、無い。

    今の日本の(女性)社会にとって、これほど生々しい物語(いや、これは体験談でもあるならば、なんというノンフィクションなのだろうか、これは。)は、無いのかもしれない。

    わたしも水越と境遇はほとんど変わらないのに、いや、変わらないわけではないけど、少なからず似てる気がする部分もあるのに、今の日本には、「女性」の社会には、きっとこの物語よりも苦しい環境で生きている人たちがいるのだろうと、他人事のように思い、
    家族もいて、住むところも食べるものも確保できている自分はこの本よりはまだマシだと、安心しているわたしは、なんて幸せなのだろうか。


    「今の日本で、餓死なんてありえないと思うが、現実として迫ってきている。・・・」

    「貧困というのは、お金がないことではない。頼れる人がいないことだ。」

  • 読んでいる途中、愛が封筒のシール貼りを丁寧に素早く仕上げるくだりで、あ、これ一回読んでるなということに気付いた(笑)

    以下、ややネタバレ含む。注意。




    ハードカバー版の私の感想は、愛にとってナギの存在って何だったんだろう?だった。
    どうして他の、マユや、山本さんや、サチさんではなくて、ナギだったんだろう、と。

    勝手な推測だけど……。
    一つは名前だったのかな、と思う。
    働くための女の子たちの名前。本当の名前は、暴かれてはならない秘密だ。
    でも、愛もナギも、違う名前を名乗らなかった。

    そして、愛がどんどん社会に搾取されていく中で、怒りを剥き出しに出来たのも、ナギだった。
    学歴や環境から、元々いた場所に「戻れる」人とみなされていた愛自身、他の女の子たちと同じ舞台に立つことに抵抗を感じていた。

    けれど、自分が実父にされた酷い行為を責めることもせず、家族の仲を取り持つために家を飛び出し、「神様」を待つナギに対する愛の感情は、抵抗を超えたものだったんだろうと思う。

    最初は、結局引き上げられる力を持った人間の話かよ、とも思ったけれど……。
    経験を経た愛と、理想と論理の雨宮では立ち位置が違うように。「戻れた」人間がいるからこそ、きっと支援が生まれるのだ。

    ただ、それでも。
    上谷社長が自社に引き上げる基準、たとえば、字がきれいかどうか、であったり、仕事が丁寧かどうか。こうしたことも放棄してしまう、見放してしまう人だって、きっといる。

    それが、サチさんの言う「絶望」の行き先なのではないかと思う……。

  • 文房具メーカーで真面目に働いていた水越愛は派遣切りに合い、ホームレスへと転落してしまう
    じりじりと愛が切迫していくようすがリアルで、現代の貧困女子の実情に迫っていると思った
    私も若いころ、俗にいうブラック企業で働いていて、どれだけ残業しても手当てがつかず、手取りが本当に低くて……毎日鬱々としている時期があった
    あの時、退職して実家に少し帰ったけれど…もしその時誰にも頼れなかったら私も愛のようになっていたと思う
    すぐ隣にいる人たちの話であるし、自分がいつその立場になるかは誰も分からない
    色々考えさせられる話でした!読めてよかった
    現実には雨宮くんは簡単に現れてくれないけど、誰も彼も自分だけの神さまを待っているんだと思う
    最後は明るい方向で終わって良かった~これからの愛が健やかであってほしい

  • 2年ぶりの再読。テーマは貧困。
    すごく引き込まれる内容だった。面白かった。
    主人公である水越愛の苦しい状況を応援したいという猛烈な想いと、テーマが決して他人事ではないという緊張感があったことが没頭できた理由だと思う。

    登場人物に、2児のシングルマザーであるミサという人物が出てくる。
    彼女は、出会い喫茶で、「茶飯」ではなく「ワリキリ」をして生計を立てている。そこまでしないと家族を養っていけないのが、読んでいてとても苦しかった。生活保護を申請しようにも、学歴のないミサに対し、市役所の人が怒ったような、責める態度になるという。おまけに彼女には発達障害があって、制度のことなんてなおさら理解できない。
    こんな状況でも、必死に生きているのかと思うと、とても心が痛い。
    結果的にミサの行方はわからなくなってしまったが、その後どうなったのかすごく気になるところだ。

    貧困は、お金がないことではなく、頼れる人がいないということ。
    貧困で苦しい状況である人たち、特に若い人たちに、少しでも過ごしやすく安全に暮らせる世界をつくっていかなくてはいけない。

  • 誰にも頼れなくて、なんとかしなきゃと焦れば焦るほど冷静な判断ができなくなる感じが良くわかる。
    助けて!と言う事ができたなら、異変に気づいて助けてくれる人がいれば、と思うと読んでいる間ずっとずっと苦しかった。助けて!と言える場所が助けて欲しい人に届く場所にたくさんあればいい。そして、助けてあげたいけどどうすればいいのかわからない人が協力できるような場所があればいい。今の日本は悲しいけど生きづらい。

  • 少し前から話題になっている、若年層の貧困問題。
    そこそこ知名度がある大学を卒業して、コミュニケーション力もあって、見た目も可愛い女の子が、派遣切りに遭って、再就職先も見つかりません。ついにはホームレスになってしまう。

    ハラハラしながらページをめくる手が止まらず、あっという間に読了しました。

    実際にこういうことあるんだろうな、と社会問題を学ぶ気持ちで読みました。公的支援の話も絡めてある感じです。
    タイトルの神様は、いろんな意味を持っています。このタイトルの付け方が素敵!

    主人公の愛ちゃんが、真面目で素直な可愛げのある女の子なので、暗い気持ちになることなく読めました。

    納得できなかったのは、ホームレスになって漫画喫茶暮らしになって、さらに出会い喫茶で働いても、工場での就職やフリーターになることを拒むところ。そこを下に見ているところ。やっぱり、そこそこのスキルや経験値、ぼんやりした目標設定では、高みを目指すことは難しいと思います。この子、あまちゃんやなって思う、冷めた視点も拭えませんでした。

  • こんな風にはならないと今は言いきれるけど学生を卒業したばかりなら、東京なら、なにも知らなくて周りもそういう子が多くてあっ、という間に落ちるように主人公のようになってしまいそう。

    山本さんのことがもっと知りたかったなぁ

  • 2021.11.1
    佐久間由衣ちゃんの解説良かったなぁ…

  • 全く想像もできてない、でも、ニュースではそれとなく散りばめられてる世界の話だった。
    正社員として働けない人がいると聞く中で、じゃあ、なんでうちには来ないんだろうと不思議に思ったりするのは置いといて 笑
    貧困から抜け出せない思考ってあるんだなと思う。
    私は、抜け出せなくなることが怖いから、円形脱毛症で、髪の毛9割抜けた時も働かない選択が怖すぎて出来なかった。
    もしかしたらあれも分岐点だったのかもしれない。
    今が同じ職業の人と比べて裕福とは言えないというか、むしろ負け組なんだけど、家があって働けるってことは幸せなことなのかもしれない。
    そして、私も採用する側なので、上谷社長の履歴書のどういう文字を書くかって言うのは、私も勤務時代から『字を見る』って言い続けてたことを代弁してくれて嬉しくなった。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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