極夜行 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2021年10月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784167917722

作品紹介・あらすじ

ノンフィクション界のトップランナーによる最高傑作。

ヤフーニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞、W受賞!



探検家にとっていまや、世界中どこを探しても”未知の空間“を見つけることは難しい。大学時代から、様々な未知の空間を追い求めて旅をしてきた角幡唯介は、この数年冬になると北極に出かけていた。そこには、極夜という暗闇に閉ざされた未知の空間があるからだ。極夜――「それは太陽が地平線の下に沈んで姿を見せない、長い、長い漆黒の夜である。そして、その漆黒の夜は場所によっては3カ月から4カ月、極端な場所では半年も続くところもある」(本文より)。彼は、そこに行って、太陽を見ない数カ月を過ごした時、自分が何を思い、どのように変化するのかを知りたかった。その行為はまだ誰も成し遂げていない”未知“の探検といってよかった。

シオラパルクという世界最北の小さな村に暮らす人々と交流し、力を貸してもらい、氷が張るとひとりで数十キロの橇を引いて探検に出た。相棒となる犬を一匹連れて。本番の「極夜の探検」をするには周到な準備が必要だった。それに3年を費やした。この文明の時代に、GPSを持たないと決めた探検家は、六分儀という天測により自分の位置を計る道具を用いたため、その実験や犬と自分の食料をあらかじめ数カ所に運んでおくデポ作業など、一年ずつ準備を積み上げていく必要があった。そしていよいよ迎えた本番。2016年~2017年の冬。ひたすら暗闇の中、ブリザードと戦い、食料が不足し、迷子になり……、アクシデントは続いた。果たして4カ月後、極夜が明けた時、彼はひとり太陽を目にして何を感じたのか。足かけ4年にわたるプロジェクトはどういう結末を迎えたのか。
読む者も暗闇世界に引き込まれ、太陽を渇望するような不思議な体験ができるのは、ノンフィクション界のトップランナーである筆者だからこそのなせる業である。

みんなの感想まとめ

探検という未知の世界への挑戦が描かれた本書は、著者が北極の極夜に4ヶ月間過ごした実体験を基にしたノンフィクションです。極寒の地での孤独な旅は、厳しい自然環境との戦いを余儀なくされ、心身に影響を及ぼす「...

感想・レビュー・書評

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  • 探検ノンフィクションの快作。

    あなたは「まったく光のない暗黒世界」で4ヶ月間過ごせるだろうか。しかも氷点下30度以下の極寒の地で、たったひとり。

    本書はそんな探検の話だ。2016-17年の冬、グリーンランドの極夜期間に単独で(お供に犬が一匹)ソリを引き、北極点を目指す旅。

    この探検にあたり、著者の角幡さんは3年をかけ入念に準備している。それでも、この旅には試練しか訪れない。残酷なほどに。

    心身に不調をきたす<極夜病>。猛り狂うブリザード。極夜の女王<月>にすがり、騙され、食料を失い….。

    著者は言う。探検・冒険とはシステムの外側の領域に飛び出し、未知なる混沌の中を旅する行為なのだと。
    今回の探検でのシステムの領域外とは<根源的未知>である極夜だ。

    過酷な暗黒世界で死にかけたあとに見る太陽は、果たして彼に何をもたらすのか。

    この恐ろしくも美しい探検を是非読んでみてください。

  • 探検家である著者角幡唯介氏は、とってもクレイジーな人間であることが良くわかりました。(悪口ではありません)

    最近、この歳になって気付きました。常人ではできないことを平然とやってのける人、その人の生きざまを知ることが楽しくて仕方ない。

    犬一匹と脱システムで、人生に勝負をかけた旅「極夜行」に挑んだ彼は、まさしく常人ではありませんでした。
    未知の領域を教えてくれる冒険紀行です。

    自然には抗えない。陽が昇る日常に感謝。

  • 極夜(日の昇らない暗闇の季節)の中、グリーンランド北西部シオラパルクからさらに超極北を目指した単独行。お供は橇引き犬ウヤミリックのみ。2016年12月6日~2017年2月23日まで80日の過酷な道中を綴った探検譚。

    常人なら、超極寒の地を暗闇の中旅しようとは思わないわな。考えただけでも気が狂いそう。一体何のために? 「極夜の世界に行けば、真の闇を経験し、本物の太陽を見られるのではないか」、「極夜の果てに昇る最初の太陽を見たとき、人は何を思うのか」知りたい、ということらしい。また、旅の終盤で著者は「出生行為を追体験したいという無意識の願望の表れ」、「深層心理に眠る出生の記憶が、私をこの極夜の旅に向かわせた」などとも書いているが…。(思いついちゃったってことなんだろうけど)これはさすがにこじつけっぽいでしょう。要は前人未到の領域に一番乗りしたかったってことでしょ。

    傑作だったのは、「犬全般に当てはまることだが、彼らは基本的に人糞が大好物である。…犬は…いつも脱糞口のあたりに駆けよって…豚のようにばふばふとがっついていた。犬が旨そうに糞を喰らう様子を、私は毎日、その食いっぷりに惚れ惚れとしながら眺めていた」、そしてついには「犬が突然、私の背後に近づいたかと思うと、まだ完全にブツを出し切っていない私の肛門に鼻面を近づけ、もうたまらないといった様子で穴から出てくる糞をばくばくと食い出した」! 思わず怖気が。いやいや、食べ物の好き好きは生き物それぞれですから(笑)。それにしても、糞に栄養あるのかな。

    4年越しの計画、最初から最後まで不運というかトラブル続き。著者はその都度不運を嘆いているが、準備を抜かっていたというか、リスクを甘く見ていたというか…。死の恐怖に怯え、自然を呪いまくったかと思うと、状況が改善すると途端に過酷な状況にもっと身を置きたかったなどと冒険家的豪語も。感情の起伏が激しく、生への執着の強さも半端ない著者。

    それはそれでいいのだが、橇引き犬の扱いには読んでいてさすがに腹が立った。餌も十分用意せず生死を賭けた過酷な探検に勝手に連れ出しておいて、橇引きでこき使い、きちんと引かなければ時に殴る蹴るの暴行を加えた挙げ句、食料が減ってきたら殺して食べることを真剣に考える。そして人間と犬との欺瞞なしの「原始融合状態」を味わえた、「はからずも犬の肉を食って生き延びようとすることで、私もまたむき出しの生と死のモラルの一端に触れることとなった」等と一人悦に入っている。この態度はどうなのよ。食料分けあって最後は一緒に死のうくらいの覚悟がなくてどうする(笑)。

    「現代システム」の外に飛び出して古代の人々のように自然を直接感じたい、そのために文明の利器は使わない、と豪語しながら「家族システムに搦めとられ」て衛星電話を持ち込んだ著者(この矛盾は著者も自覚はしている)。さすがに衛星電話で奥さんと赤ちゃん言葉で会話してたのには苦笑した。

    死と隣り合わせの冒険を敢行すること自体自業自得なんだし、家族や関係者に迷惑をかけているであろうことや、いざとなったら唯一の同士でもある橇引き犬を食べようと考えていたことなどを思うと、著者を応援する気にはなれなかった。

  • 探検家・角幡唯介が挑んだのは、太陽が昇らない「極夜」の世界。グリーンランドの最北の村から始まる、あまりに無謀で、あまりに美しいノンフィクションの記録だ。
    「極夜の果てに昇る最初の太陽を見たとき、人は何を思うのか」。その純粋な好奇心から始まった旅は、想像を絶する過酷なものだった。荒れ狂う自然の猛威、忍び寄る獣の影、そして極限の飢え。ついには愛すべき相棒の犬を「食料」として見なければならないほど、彼は追い詰められていく。
    しかし、この本の真髄は「凄惨さ」だけではない。冒頭で描かれる「妻の出産」という生命の誕生と、80日の暗闇を抜けて目にした「最初の太陽」。著者は生死の境目を彷徨う中で、その二つの光が持つ不思議な類似性に気づく。
    死の淵に立ちながらも、どこか客観的でユーモアを忘れない筆致が、読者を不思議と惹きつける。絶望的な状況ですら笑いに変えてしまう著者の強靭な精神とともに、私たちは「生きる」ことの本質を追体験させられるのだ。

  • 著者の本は、普通じゃ死んでしまうことを、結構サラッとかいてます。年齢的に集大成な旅というのもわかる。何故病院から、始まるのか?なるほど。犬への考察もなるほど。相棒犬もいろいろな意味で良かった。

  • グリーンランドから月の明かりもなくなる期間があると言う「極夜」を探検したノンフィクション。
    犬と橇を引き旅をする。ツンドラの果ての果て氷と一瞬にして豪風の世界。
    どんな旅にしようと計画しても、天気には逆らえない多くの変更を経てたどり着く。
    何を考えどう行動したか、最悪の事態をシミュレーションしながら旅は終わる。

    星野道夫、椎名誠、いくつかの極地の旅を読んではきたが、角幡唯介さんの旅も違う世界の扉を開きパズルのピースをもらった気分。
    この著書の前に、極夜行前と言うものがあると言うのでこちらもこれから入手したいと思う。

  • 陽はまたのぼりくりかえす。が当たり前な世界で生活している側の人間として、闇に覆われた世界は未体験ゾーンでしかない。
    その、ワンミス=死というハードコアな環境で脱システムを掲げ、現代テクノロジーを遮断し、4ヶ月もの冒険を決行する角幡氏を襲うブッ飛びエピソードの数々に恐怖し爆笑する。

    そして、どんな状況下に置かれても、生き物としてのシンプルな強さとセンスで順応する、角幡氏のサイドキックである犬のエミリヤックは今作のMVP。

    それ故にクライマックスの展開は映画的で、作中の言葉を拝借して、まるでフィクション。しかし事実は小説よりも奇なり。なわけでグッときた。

    あと、時折挟まれる、スピリチュアルとアブノーマルな作者の性癖。ここは注意喚起しておく。



  • 極夜という日本ではイメージ出来ない旅を、臨場感ある文章で表現され、恐怖や畏怖の有り様もよく感じられた。
    パートナーである犬を食さねばならないのか…?の自問自答の下りは、非日常における葛藤として、とても鮮明に残った。無事で良かった…。

    旅以上の冒険というジャンルの書籍が初めてだったので、よい読書体験ができた。

    • Tomoyukiさん
      『極夜行前』もとても面白かったです(^^)
      良ければ読んでみてください
      『極夜行前』もとても面白かったです(^^)
      良ければ読んでみてください
      2024/04/04
    • がまこさん
      Tomoyukiさん、ありがとうございます!!
      ちょっと気になっていたので、読んでみます!
      ブクログでオススメ頂いたの初めてなので嬉しいです...
      Tomoyukiさん、ありがとうございます!!
      ちょっと気になっていたので、読んでみます!
      ブクログでオススメ頂いたの初めてなので嬉しいです。
      2024/05/04
  • テクノロジーがない時代に厳しい環境の中で生きた人類の体験を追い求めての冒険。
    少しだけ追体験できた。

    太陽、月、星がこれだけ人間にとって重要なものだった(今も重要だが、実感しにくい)なんて!

  • 原始的体験としての極夜行。すごいこと思いつく人だなあ。
    ストイックだけど、いろんな意味での人間味が面白い。現代の部分も、原始の部分も。
    天体との関わり方は、羨ましいに尽きる。とてもじゃ無いけどこんな旅はできないので、羨ましいとハンカチ噛むしか出来ない。本当の夜も、頭の上で泰然と導くポラリスも、美女ベガも、愉快犯みたいだけど見放さないでいてくれる月も、やがて昇る本物の太陽も。
    あとがきにドッグイヤーしたのは初めて。

    口悪いし下ネタ放ってくるし、でも物はちゃんと整備して、死生観を持っていて、こうゆう人じゃ無いとこうゆう世界で生きていけないんだろうな。
    そしてこの世界で生きていける人でも、人の世界に帰ってくる、ということはこういうことなんだな。

  • 北極に近い北半球の高緯度地方では、夏の間、太陽が沈まない白夜が続く一方で、冬には何か月も太陽が昇らない極夜という状態が続く。本書は、2016年12月から2017年2月にかけての極夜の時期にグリーンランドを犬と一緒に橇を使って旅をした筆者の冒険の記録である。
    本書に描かれている冒険は、ひとつ間違えれば簡単に命を落としてしまう危険と隣り合わせの、想像を絶するような体験だ。その体験を筆者は人生における大きな勝負の一つであると表現したり、また、極夜時期が開けて初めて上った太陽の光を人間が誕生して初めて見るこの世の光に模したり、また、それを妻の出産体験に重ねたりといった具合に、筆者自身の人生と重ね合わせての解釈を本書中で語っている。冒険談も面白いが、この語りの部分も面白い。

    しかし、筆者が時々かます「おやじギャグ」的な表現やエピソード(かなり多い)は、好みが分かれるのではないか。私自身は、ない方が良いと思いながら読んでいた。

  • 妻の第一子出産から始まり、どんな話になるか想像つかななくて、準備段階はかなり読みにくい話だったが、中盤からグイグイ引き込まれた。
    極夜の中で−30度を下回る過酷な冒険を、ユーモアわ感じる書きっぷりで、不思議な読後感だった。

  • 角幡唯介『極夜行』文春文庫。

    ヤフーニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞のW受賞の北極での極夜の探検を描いたノンフィクション。

    非常に興味深い内容だった。地図上の空白地帯が無くなった現代に於いては、もはや未知の状況下で過酷な自然に挑むしか探検を行う術は無い。まるで厳冬期のエベレストで無酸素単独登頂に挑むような過酷で無謀な探検の様子が詳細に描かれる。

    残念なのは著者の計算とは真逆に、俗っぽい話を挿入したことが反って、過酷な探検に創作の匂いを感じさせてしまうことだ。探検というのはわざと過酷な状況に身を置いてこそ価値が出る訳で、その状況を作り出すのが創作と言えば、創作なのだろう。また、あとがきにも商業的な香りがするが、探検家を生業にする以上はそれも仕方無いのか。

    著者は足掛け4年の準備期間を費やし、太陽が地平線に沈んだままの漆黒の闇の世界を4ヶ月間に亘り北極圏を探検する。相棒は犬一匹。GPSを持たず、頼みの六分儀も失い、地図とコンパスを頼りに氷の上を橇を引いて移動する。ブリザードに見舞われ、デポを白熊に破壊されて食糧不足に陥り、暗闇の中で迷子になるなどアクシデントが続く中、4ヶ月後に再び太陽の下に立った著者の思いは……

    本体価格800円
    ★★★★★

  • ・太陽が沈まない「白夜」があれば、全く太陽が昇らない「極夜」も存在する
    ・その極夜に、グリーンランド北部のシオラパルクから更に北上、犬一頭と共に橇で約三カ月掛けて1,600kmを移動した冒険記
    ・クレバスに落ちる危険のある何メートルもある氷河を超え、「断層が破壊し大地に亀裂が入ったような音」の超暴風に晒され、数年かけて準備した食料を置いたデポが白熊や泥棒に荒らされ絶望し、食料が尽き橇をずっと一緒に引いてきたパートナーの犬を食わねばならないかも知れない状況での自然と自己との向き合いの記録
    ・『空白の5マイル(チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む)』の鬼気迫る描写に圧倒された角幡唯介さんが「最高傑作」と言った本作。読み終わってヘトヘトになった
    ・未踏の地、危険な場所を探検するのが目的ではなく、「極夜」という極限状況で自分が何を感じるか、という内なる冒険がテーマであり、とても深く感情を揺さぶられる
    ・次々に襲い掛かる困難をありありと想像出来る様な詳細な描写だが、「そうだ、これは真っ暗な極夜で起こっているんだよな。周りが全く見えない状況なんだよな」と度々思い出して絶望する
    ・冒頭の出産場面が唐突で、これは何だ、と思いつつ、最後の最後で、それがこの極夜行と線で結ばれるところ、そうかぁ、、、、、と言葉を失った
    ・本当によく生きて帰ってきてくれた。この挑戦を素晴らしい一冊に纏めてくれて本当に感謝。自分も新しいことに挑戦する勇気をもらえた

  • おもしろい!

  • 太陽が一日中現れない厳冬期の北極圏単独行の記録。
    旅行、特に一人旅は誰にとっても脱システムという側面があるけど、これは正にその極北と言えるだろう。
    ブリザードに閉じ込められたり、デポが荒らされて予定の食料が手に入らず追い詰められ、相棒たる犬に手をかける覚悟をしたシーンの描写が生々しく、緊迫感が伝わってきた。
    かなりボリュームがある本で改行も少なく文字量が多かったので読了に時間がかかったけれど、それだけにこの旅の困難さと熱量を感じることができた。

  • 序盤は、こんな分厚さに見合う内容があるのかな?と少し甘く見ていたけど、中盤以降トラブル多発の急展開。デポが破壊されていると気付いたときの絶望感たるや。。手に汗を握りながら、途中息苦しくもなりながら、旅を見守った。

    結果的になんとか生還して、この本を生み出してもらえてよかった。
    命懸けのミッションから得た貴重な経験を文章という形でおすそ分けしてもらえてありがたい限りだ。

    未踏の地ではなく、何度か来訪している土地であっても、極夜という特殊な状況になると全く別の顔を見せる。
    極限の環境下で、古代の人々の追体験をしたり、犬と人間との原始的な依存関係に気づいたり、宇宙と繋がっている感覚を得たりなど、ここでないとなし得なかった数々の体験と気付き。
    特に、極夜終盤のブリザードの中、人の出生と光(太陽)が結びついた瞬間は、私も鳥肌がたった。

    また、これまでの探検家としての経験がこの冒険に結実したと自ら評する部分は、自分の仕事観とも繋がってぐっときた。

    これから著者がどのような活動をされていくのか、気になる。応援したい。

  • 足かけ4年の集大成となる探検。デポ設置含めた極夜行に向けての事前準備を描いた「極夜行前」を読むことでさらに本作品に没入出来ます。
    一般人が到底経験出来ない、命を懸けた探検なのでとにかく異世界で凄まじい光景が活字からでも充分に伝わってきます。また、ともに旅をしているウヤミリックという犬との深い絆も描かれていて、ストーリーに厚みが出ている印象です。
    静かな夜に、ゆっくりと角幡さんとともに旅をする感覚で少しずつ読み進めたい作品。

  • 飼い犬に肛門を舐められて喜ぶ40歳の探検記。極寒の地グリーンランドにて太陽の光がまったく差さない極夜の中を、40日以上にわたり一匹の犬と進んで行く。「GPSなどの現代的なシステムには頼らず、人間が持つ本来の野生の力を最大限使いたい」と言う割には衛星電話を極秘に携帯していた。それはいいのかと思わずツッコんでしまう。暗闇と極寒の中での狩りや、嵐を耐え忍ぶシーンでは多少ドキドキしたが、「エンデュアランス号漂流(船が氷に砕かれ沈没し、氷海の中で遭難するノンフィクション・1915年)」を過去に読んでしまっているため、申し訳ないがどうしてもそちらと比べてしまう。本書では防寒具やコンロ、猟銃、GPSなど現代のテクノロジーを駆使した生きるための準備万端。そのため著者の探検は「家族の待つあたたかな日常生活から離れて刺激を求め、自ら厳しい境地へおもむいて苦しむという貴族の道楽」としか思えず、一歩引いた気持ちで読んでしまった。内容的に通常の感覚では理解しがたい点も多い。しかし、一般人の枠からはみ出すような人でないと、そもそもこのような探検には繰り出さないだろう。犬を食べずにすんでよかったことが唯一の幸い。

  • 何度も飽きてしまった。極夜の旅はとても大変だという事が細かく書かれていて、臨場感や著者の旅への熱意はすごく感じた。

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著者プロフィール

角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)
 1976(昭和51)年北海道生まれ。早稲田大学卒業。同大探検部OB。新聞記者を経て探検家・作家に。
 チベット奥地にあるツアンポー峡谷を探検した記録『空白の五マイル』で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞。その後、北極で全滅した英国フランクリン探検隊の足跡を追った『アグルーカの行方』や、行方不明になった沖縄のマグロ漁船を追った『漂流』など、自身の冒険旅行と取材調査を融合した作品を発表する。2018年には、太陽が昇らない北極の極夜を探検した『極夜行』でYahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞を受賞し話題となった。翌年、『極夜行』の準備活動をつづった『極夜行前』を刊行。2019年1月からグリーンランド最北の村シオラパルクで犬橇を開始し、毎年二カ月近くの長期旅行を継続している。

「2021年 『狩りの思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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