モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語 (文春文庫 う 30-3)
- 文藝春秋 (2021年11月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167917876
作品紹介・あらすじ
各紙誌から絶賛、書店員からの熱い応援を得たロングセラー、待望の文庫化。
きっかけはヴェネツィアの古書店だった。客たちのどんな難しい注文にも応じ、頼まれた本は必ず見つけてくる。(ただ者ではないな)と修業先を聞いてみると、「代々、本の行商人でした」
トスカーナの山奥のその村、モンテレッジォでは、何世紀にもわたり村の人が本の行商で生計を立て、籠いっぱいの本を担いでイタリアじゅうを旅した。各地に書店が生まれ、「読む」ということが広まった。
わずかに生存している子孫たちを追いかけ、消えゆく話を聞き歩き、歴史の積み重なりを感じながら、突き動かされるように書かれた奇跡のノンフィクション。
Yahoo! ニュース本屋大賞2018〈ノンフィクション本大賞〉ノミネート。
文庫化にあたり、構成を一部変更。写真数点を追加した進化版です。〈文庫版あとがき〉追補。
本と本屋の原点を示してくれる、読み継がれるべき1冊。
感想・レビュー・書評
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本と本屋のルーツを探るノンフィクションですね。
とても良い本です。久々に感動を覚えました。
イタリアの山間の小さな村、モンテレッジォ。
過疎化が進むこの村が歴史を揺るがす存在だった事を、そして今でも、村の出身者たちの情熱に溢れる村であることを、教えてくれました。
内田洋子さんは1959年生まれです。
イタリアに暮らし、欧州と日本間でマスメディアに向けて情報を配信されているそうです。
そんな内田さんがヴェネチアの古本屋を訪れた事から、すべてが始まる。
店主のアルベルトと親しくなり、彼からこの店のルーツを語られて、俄然、モンテレッジォへの興味が掻き立てられる。
内田さんのジャーナリストとしての使命を感じたのでしょう。調べていくうちに、イタリアの本と本屋のルーツを探る旅に出たことを知らされて、途方にくれることも。
内田さんと、モンテレッジォゆかりの人々の努力と情熱でこの本は完成されています。
エピソードは、本が好きな人ならば魅力ある内容に成っています。
人々と本の結び付きをドラマにしたこの本は、読み継がれて欲しいですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前から読んでみたかった本。文庫になったので読んでみた。
イタリア北部の小さな村モンテレッジォ。かつてヘミングウェイも訪れたこの村では多くの人が、代々本の行商(露天商)で身を立ててきた。この本には、その村とそこ生まれ育った人々の歴史が描かれている。
印象に残った言葉。「このひとたちは、きっと神様から選ばれた特使なのです。< さあ旅に出なさい。世界じゅうに文化を届けるのです >とね」 -
本屋さんをブラブラするのが好き
でも近くになくなったのがカナシイ
久しぶりの本屋で、表紙の写真に目をとめ、そっと手に取った文庫
イタリア?本の行商?
それにしても何と山深い美しい村だろう。
内田洋子、知る人ぞ知る作家だそうだ
(知りませんでした( ノД`)
探求心とイタリア語力と熱意で書き上げたノンフィクション
イタリアでの本屋大賞に当たる大きな賞を受賞されたとか
偶然の出会いに導かれ、イタリアの歴史を追いながら、消えゆく話をまとめられた
何世紀にも渡り、何世代にも受け継がれた本を売る仕事
はさまれた写真も魅力
本がうまれた村
本は未知の世界への冒険
読書の喜びを想う
≪ 『読む』ことを ひろめた文字の 読めぬ人 ≫ -
あいかわらず、対象への情熱と慈しみを感じさせる内田さんの精緻で美しい文章が紡ぐ人々の物語は、鈍い光沢を放つ上質な織物のよう。
加えて本作は、内田さんが些細なきっかけから心惹かれた「本の村」について取材し、村の歴史と、そこに暮らした人々、それらを誇りに思い現代を生きるその子孫たちの姿を、なんとか一つの流れとして書き残そうと時間をかけて試行錯誤した過程が随所に垣間見られて、より一層、愛おしい。
機織り職人が、扱いを間違えたらすぐに切れてしまいそうな脆い古糸たちを膨大な量の中から何本も何本も手繰り寄せ、それぞれの持ち味や色合いを損ねないように慎重に慎重に選び抜いて新糸と組み合わせて、織ってはほどき織ってはほどきを繰り返した末にようやく織り上げた繊細だけど力作の紗、という印象。
農地すら碌にない山間の寂れた村・モンテレッジォ。そこでは、先祖代々、本の行商を生業としていたという。
ヴェネツィアのお気に入りの古書店でその子孫という店主から村の話を聞いた内田さんは、はやる気持ちを抑えられず、村のウェブサイトをつくった人にアポを取る。
それは、歴史の波に埋もれかけていた、イタリアの本の歴史や図らずもそこに携わった人々にまつわる壮大な物語への入口で…。
モンテレッジォは、常に貧しく、近隣の豊かな農地に男手が出稼ぎに行くことで成り立っていた寒村。しかしそれも、異常な寒冷の夏には稼ぎ先がなくなってしまう。
厳しい環境で頑強な肉体を持つ男たちは、活版印刷の進歩や新たな読者層の台頭、イタリア独立思想といったさまざまな時代の機運の中、本を売る行商を生業とするようになったのだった…。
交通機関が不便で定住者も少ないとのことで、なかなかモンテレッジォまで行くことはできないだろうけれど、この物語のきっかけとなったヴェネツィアの古書店はいつか訪れてみたい。 -
哀歓、道標、鑑、学び(例えば僕の本の形容(語彙力涙)だけど)を胸に、読み手達が繋がり文化が育まれ、社会に豊かさをもたらし…
そんな壮大な本の世界にあった奇跡。
旅に出て本を売り歩き続ける人々が代々暮らすイタリアの山深い村に… -
まったく知らなかった本。
図書館でたまたま目に留まったので借りてみた。
下記の紹介文を読んだら、本好きなら絶対読みたくなるでしょ?w
各紙誌から絶賛、書店員からの熱い応援を得たロングセラーが、リニューアル+パワーアップして待望の文庫化。
きっかけはヴェネツィアの古書店だった。客たちのどんな難しい注文にも応じ、頼まれた本は必ず見つけてくる。(ただ者ではないな)と修業先を聞いてみると、「代々、本の行商人でした」
トスカーナの山奥のその村、モンテレッジォでは、何世紀にもわたり村の人が本の行商で生計を立て、籠いっぱいの本を担いでイタリアじゅうを旅した。各地に書店が生まれ、「読む」ということが広まった。
わずかに生存している子孫たちを追いかけ、消えゆく話を聞き歩き、歴史の積み重なりを感じながら、突き動かされるように書かれた奇跡のノンフィクション。
Yahoo! ニュース本屋大賞2018〈ノンフィクション本大賞〉ノミネート。
文庫化にあたり、構成を一部変更。写真数点を加え、〈文庫版あとがき〉を追補。
本と本屋の原点を示してくれる、読み継がれるべき1冊。 -
紹介してもらった本。
カラーの写真が所々に挟まれていて、だからか紙質も含めて、文庫なのに美しい一冊と思った。
本の行商って、重さの割にそんな需要あったのかな?と思ったけれど……読者の層を意識したラインナップと価格。
お近づきになって、自分に向けた一冊を紹介してくれるなんて。そりゃあ、ハマってしまうわ。
モンテレッジォに繋がった、アルベルトの書店も。
気になる本を持って帰って、じっくり選んでくれればいい、という驚愕のスタイル。
字を求め、知を求めた時代。
今は字が溢れ過ぎたのかもしれない。
商品として以上に、愛着のある大切な本たちが水没してしまうエピソードには、ウルウルきたし。
元祖本屋大賞みたいな、荘厳な賞がイタリアではずっと続いているのは、面白いなぁと思う。
筆者の、静かで丁寧な書き方にも引き込まれて、こんな世の中にあって、外国の空気がすうっと入ってくるような、そんな一冊だった。 -
2017年6月〜12月方丈社HP連載「本が生まれた村」の10編に書き下ろしの6編を加えで2018年4月方丈社刊。2021年11月構成を一部変更の上、写真数点を加え、文庫版あとがきを追加して、文春文庫化。イタリアの本の文化と歴史を追いかけた内田洋子さんのエッセイ風ノンフィクション。文化の書、禁断の書、武器としての書などを行商で伝え、出版をも手がけて行くという話もさることながら、内田さんが、人と本との導きで、次々と新たな世界を発掘していく過程が楽しい。
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「旅をする本」3冊というブクログの企画でどなたかの(調べなおしたが、分からなくなってしまった)1冊
BS日テレの「小さな村の物語、イタリア」と言う番組が好きで、昔からよく見ているので、もしかしたらそういう内容の本なのかなと思い、買ってみた。
内容はTVとは当然違うものだったが、、、
イタリアに住む著者が仕事でヴェツィアの古書店に訪れ、イタリア北部山頂にある小さな村「モンテリッジッ」に興味を持ち訪れることから始まる。
山頂の村に本屋の起源があることを知り、11世紀から村の歴史から調べ始める。
本には写真もたくさんの掲載されていて臨場感があり、私達が今こうして本を読んでいる、元々を知る事が出来る。
今も書店は本を購入するのではなく、売れなければ返品すると言うこともおお昔からの慣わしのようである。
手描き、写本〜印刷技術、紙片〜製本 本を売る事が生計を立てる事になる
1501年、庶民が手にしやすい文庫本
1953年、第1回「露天商賞」ヘミングウエイ「老人と海」
本が好きなら読むべきだなと思った。
手に取るきっかけの方が、分からなくなったのが申し訳ない、、
で、著者の「ジーノの家、イタリア十景」を思わず注文してしまった。 -
イタリアの町
本の行商人を生業として栄えた町
モンテレッジォ
本がとても好きになれる。
本屋になりたいと思える。
禁書の取り扱いが興味深かった
文章は少し、すらすらと滑らかには入ってこなかった