記憶の中の誘拐 赤い博物館 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2022年1月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167918132

みんなの感想まとめ

未解決事件の捜査資料を保管する警視庁の「赤い博物館」を舞台に、主人公・寺田聡と館長・緋色冴子が過去の事件の真相を追う物語が展開されます。寺田はミスから左遷され、単調な日々を送る中、緋色の一声で事件が再...

感想・レビュー・書評

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  • 未解決事件の捜査書類や証拠品を保管する警視庁付属犯罪資料館、通称「赤い博物館」。

    ミスにより刑事の花形・捜査一課から左遷された寺田聡の毎日は時効を迎えた事件の捜査資料を警察署から引き取り、QRコードを貼ってデータベースと紐付けるという単調なもの。
    だが稀に、館長・緋色冴子警視が『再捜査をする』の一声で当時の関係者に聞き込みをすることもある。法律上は時効が成立しているので犯人が分かったところで逮捕とはならないのだが『真実を暴く最後の砦』として出来る限り解決しようとしているらしい。

    前作同様、今回も様々な事件の構図のある部分が引っ繰り返る瞬間が楽しい。
    人物、事象、理由、原因、時系列…今回の事件は何がどう引っ繰り返るのかという興味で読んだ。

    パターンとしては序盤に犯人視点の描写がチラッと入る。だがそれが真実とどう結びつくのかはまだ分からない。その後捜査資料にて事件の詳細が分かってくるのだが、疑問点があらわになるだけで主人公・寺田には事件の真相は全く分からない。だが『事件を再捜査する』と言った時点で緋色の頭にはある程度の真相が見えているようだ。

    前作と違うのは、緋色が『赤い資料館』を出て寺田と共に聞き込みに出向いていること。コミュニケーション能力に難のある緋色は、前作では聞き込みは寺田に任せて自身はその結果を聞いて真相を明かすというパターンだった。緋色自身、何か思うところがあったのだろうか。
    だが彼女の聞き込みは前作同様、一見不可解で寺田同様戸惑ってしまう。それが事件の真相とどう結びつくのかも楽しいところだろう。

    捜査資料を読んだだけでなぜそれが分かるのか、緋色の頭の中がどうなっているのかこそ一番の謎だが、緋色はよくある名探偵キャラのように真実が分かるまでは考えを明かさない。緋色が『雪女』と寺田がこっそり呼ぶ沈黙キャラな分、守衛の大塚や清掃員の中川が補ってくれるから良いのだろう。

    前作を読んで気になっていた、緋色が『赤い博物館』の館長となった理由、寺田が刑事に復帰する兆しなどは全くなかった。逆に言えばシリーズはまだ続くということだろうか。

    ※シリーズ作品
    ①「赤い博物館」レビュー投稿あり

  • シリーズ2作目ですね。
    面白いけど爽快感が無いですね。
    何か物足りなく感じます。
    ラストの終わり方かな。
    設定を考えると仕方ないのかな。

  • シリーズ、第二弾(だそうです)。
    未解決事件の捜査資料を収蔵する通称『赤い博物館』の館長・緋色冴子。
    ずば抜けた推理力を持つものの、対人関係に難を持つ警視。
    部下の(まともな?)寺田聡とともに、過去に起こった未解決事件の謎を追う。

    ・夕暮れの屋上で
    ・連火
    ・死を十で割る
    ・孤独な容疑者
    ・記憶の中の誘拐

    それぞれ味のあるストーリーですね。
    視点を変えると、当たり前に見えていた景色がガラッと変わるシーンは、面白いですね。
    なるほど、そう言う見方があったのか?
    きちんと伏線もあり、納得です。

  • 大山誠一郎さんのミステリ、好み。
    前作に引き続き面白い!

    『夕暮れの屋上で』がとても良かった。
    このシリーズ、まだまだ続いて欲しい。

  • 赤い博物館の第2巻。前作では探偵役である館長は博物館を出ませんでしたが、今作ではすべての捜査に同行しています。次は長編も読んでみたいかなぁ。

  • 【収録作品】 夕暮れの屋上で/連火/死を十で割る/孤独な容疑者/記憶の中の誘拐

    「夕暮れの屋上で」 卒業式のリハーサルが行われた日の放課後、校舎の屋上で一人の少女が「先輩」に募る思いを伝えていた。そこで少女の遺体が見つかる。
    「連火」 標的にした住宅を燃やすが、火をつけてすぐ電話を掛けることで死者は出さない放火魔。八百屋お七を彷彿とさせるが、ある日を境に犯行を止めた。
    「死を十で割る」 十個の部位にバラバラにされていた被害者男性の死体。同じころ、DVを受けていたその妻は列車に飛びこみ、自殺を図った。
    「孤独な容疑者」 借金の返済を迫られて、同僚を殺害した犯人。倒叙の形で語られる。
    「記憶の中の誘拐」 26年前に起きた奇妙な誘拐事件。被害者の少年は、寺田の友人。

     時効を迎えた事件の真相を暴くことの意味を思う。

  • 「赤い博物館」シリーズ第2作。
    表紙にはシリーズ第2作であることは表示されていませんが、前作を読んでいなくても十分読めますのでご安心を…!

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    警視庁犯罪資料館は、さまざまな事件の証拠品・捜査資料を一定期間が過ぎたあとに保管する場所である。
    ある失態から、閑職である警視庁付属犯罪資料館に異動させられた寺田聡は、館長である緋色冴子の片腕として、疑問のある事件の再捜査を行なうのだった…

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    前作同様、さくさく読めるミステリ短編。
    収録作は5編ですが、うち1編はアンソロジー集で読んだことがあった話だったため、実質4編を読みました。

    事件そのものはひねりのある真相でしたが、キャリアである緋色冴子がなぜ閑職である館長にとどまっているのか?は、まったくわかりませんでした。
    緋色の過去にリンクするような話もあると、より主要人物に深みが出るとおもうので、もし次作があるようであれば、その辺も断片的にでも盛り込んであるといいな…とおもいます。

    最初の短編「夕暮れの屋上で」だけは、途中で犯人だけわかりました。犯人はこの中にいる、というような方向にもっていこうとするときは、たいていその中に犯人はいないものです(苦笑)
    ただし、わかったのは犯人だけであり、真相については「そういうことだったのか…」という感じでした。
    全体的に、謎を解くキーワードは「(それぞれに形はちがうけども)愛情」だったようにおもいました。

  • 「夕暮れの屋上で」のミスリードが上手くて、なるほど!と呟いてしまった。

    時効になる、という時間経過の意味。
    普通の生活に馴染んだ人、恐怖を抱えてきた人、大人になった子ども。

    緋色館長が、少しずつ聞き取りの場に出るようになったのは、相方への信頼の証なんだろうか。
    なんだかんだ、寺田くんも、緋色館長への対応が上手くなってきていて、面白い。

  • 前作同様よくできた短編集です。
    本作だけでも楽しめますが、前作の続きから時間がスタートしているので、人間関係を知るには赤い博物館から読むことをお勧めします。
    館長の緋色冴子と元一課刑事の寺田聡の今後が気になります。続編を期待するシリーズです。

  • シリーズ第2弾
    二人のコンビが馴染んできていい感じになってきた。
    仕事もできてこの難しい距離感を掴める彼がすごすぎる。館長が外に捜査に出たりとちょっと変化があったり。
    無駄なことを削ぎ落として必要な情報はそこにあるのに解けない。読み手にフェアなのに解けない。天才じゃないなら柔軟な発想が必要だけどそれが湧き出るほどの引き出しがないんだよなぁ。

    正統派の推理小説、本格ミステリでおすすめなシリーズ。

  • 年明け三冊目は「赤い博物館」シリーズの続編。
    本格ミステリとしての面白さは健在で、どの話も発想の逆転のさせ方がうまく、すっきりしていて読みやすい。特によかったのは『死を十で割る』と『連火』の二つ。どちらも犯人がなぜそんな行動に出たかがわかった瞬間は鳥肌がたった。
    気がはやいかもしれないが、続編を早く読みたい。

  • 前作に続いてこちらもおもしろい。
    短編だからサクサク読めるけど、結構中身の詰まったミステリ。

    館長が一緒に再捜査に出かけるようになったのはなんでなんだろう。
    安楽椅子探偵だと思ってたけど、それだとストーリーの幅が狭いから変更したのかな?
    2巻では館長のバックグラウンドが語られるかと思いきや、まだそこは謎のまま。
    ということはまだ続編があるってことなのかな。

    大塚さんと中川さんが出てくるシーンが好き。
    中川さんの飴ちゃん貰ってあげればいいのに 笑

  •  未解決事件などの捜査資料を所蔵する《赤い博物館》の館長、緋色冴子。助手は訳があって捜査一課からとばされた寺田。の第2作。1作目、未読で、寺田が捜査一課から追い出された理由は知らない。緋色はどうやら前作に比べて外へでるようになった模様。連作短編集。

    夕暮れの屋上で・・・高校2年生の女子が学校屋上で頭を打って亡くなった事件。清掃業者は「先輩、これでお別れですね」の言葉を聞いていた。しかし、これは亡くなった女子高生が発したものなのか。

    連火・・・連続放火事件。犯人は灯油で家を全焼させていたが、家族が逃げられるように火の動きを調節し、放火してすぐに被害者宅へ逃げるように電話していた。当時、警察へかかってきた電話によると、犯人は誰かに会いたかったらしい。

    死を十で割る・・・コインロッカーに男性のバラバラ遺体が入れられた事件。同時に男性の妻も自殺を図っていた。緋色は、胴体は切断されておらず、腕、足の関節を切断していたことから、運転の姿勢だったことを突き止める。

    孤独な容疑者・・・既読。

    記憶の中の誘拐・・・寺田持ち込み案件。同級生は、幼い頃、誘拐されたことがある。犯人は実の母親。虐待があったため、医師の夫妻に引き取られたのだった。その両親は事故でなくなり、叔父が親がわりになっている。

     スムーズに読めるし、トリックも趣向を凝らしてあって、楽しい。安定の作品だな。一番のおどろきは、解説にあった。ドラマ化された時、緋色は松下由樹だったらしい・・・イメージが全然違う。

  • 犯罪資料館は、戦後、警視庁管内で起きたすべての刑事事件の遺留品や証拠品、捜査書類を保管し、刑事事件の調査・研究や捜査員の教育に役立てる施設だ。ロンドン警視庁の犯罪博物館に倣って、一九五六年に設立された。本家が〈黒い博物館〉と綽名されるのを真似て、〈赤い博物館〉と呼ばれることもある。

    「この事件の再捜査を行う」捜査資料を読んで不審な点を見つけた館長の緋色冴子が迷宮事件に挑む!
    「明日の再捜査にはわたしも同行する」と続くところが前作との違い。え〜館長、外に出るの?人と話すの?話せるの?(笑)
    コミュニケーション能力が低い館長をカバーするのは助手の寺田くん。彼女が警視庁のイメージを傷つけるようなことをしないかとハラハラしている。

    短編なので深くはないけど、どの話も動機や犯人の行動などよく考えられていて、ふむふむと頷いていた。

  • シリーズもの。5編から成る連作短編集。短編ながらどれも読み応えあり楽しめた。

  • 松下由樹さんの2時間ドラマでこの作品を知りました。1作目は読んでいませんが、この本を見かけて購入。
    表題作が一番面白かったですが、他の作品も良かった。ネタバレになるので多くは書きませんが、楽しめました。

  • 時効になった事件のみの再捜査、そもそもの考え方を崩して新たな解釈を展開していく、今回はさらに新たな事件も関連して楽しかった。
    解説で、アリバイ崩し賜ります、もこの作者と分かり合点がいった。今度読もう。

  • 赤い博物館シリーズの短編集。
    過去の未解決事件の資料や遺留品を読み解いて、犯罪資料館の館長が真相を解き明かす。どれもあっさりと短い短編でトリックで勝負する感じ。わかりやすい話もあったが、「死を十で割る」の死体をバラバラにした理由などはなるほどと思った。

  • 旅のお共として。続編。さらに続きが出そうで楽しみ。「夕暮れの屋上で」は先輩というのは女の子だろう、というとこは推測できたけど、結果はちょっと違った。なるほど、そっちもあったか、と。「連火」はこういう展開?で『あの人』って呼び方するかなーってとこがちょっとひっかかった。「死を十で割る」はバラバラ殺人にした理由が画期的。なるほど。「孤独な容疑者」は前、別のアンソロジーで読んで、そもそもこのシリーズを読もうと思ったきっかけの作品。「記憶の中の誘拐」は印象的。こんな誘拐の理由ある?子供を思う気持ちっていろいろあるんだなと。

  • 大山誠一郎の連作ミステリ作品『記憶の中の誘拐 赤い博物館』を読みました。
    『赤い博物館』に続き、大山誠一郎の作品です。

    -----story-------------
    緋色冴子シリーズ第二弾。文庫オリジナルで登場!
    赤い博物館こと犯罪資料館に勤める緋色冴子が、過去の事件の遺留品や資料を元に、未解決事件に挑むシリーズ第二弾。
    文庫オリジナル。
    -----------------------

    2016年(平成28年)から2021年(令和3年)にかけて文藝春秋の雑誌『別冊文藝春秋』、『オール讀物』に掲載された後、2022年(令和4年)に刊行された作品、、、

    捜査中に大失態を犯してしまい警視庁捜査一課から警視庁付属犯罪資料館・通称「赤い博物館」に左遷された寺田聡巡査部長が、いつも無表情でコミュニケーション能力皆無といういわくつきの美女で、ずば抜けた推理力をもつ赤い博物館館長の緋色冴子とともに、過去の事件の遺留品や資料を元に、未解決事件(コールドケース)の再捜査を行い解決するシリーズの第2作で、以下の5篇が収録されています。

     ■夕暮れの屋上で
     ■連火
     ■死を十で割る
     ■孤独な容疑者
     ■記憶の中の誘拐
     ■解説 佳多山大地

    未解決事件などの捜査書類を収蔵する通称“赤い博物館”の館長・緋色冴子……遺留品や手掛りを元に、ずば抜けた推理力で事件を幾つも解決してきた、、、

    ある日、部下の寺田から相談されたのは、26年前に起きた奇妙な誘拐事件……犯人と目されたのはその子の親だったようで―表題作他、予測不可能なミステリ全5篇。

    本作品も面白かったですねー 正確な観察力や聞き取りが優秀な元警視庁捜査一課の刑事で助手の寺田聡が情報を収集し、優秀なキャリアでありながらエリートコースから外れ犯罪資料館の館長を長年務め類稀な推理力を持つ緋色冴子……このコンビが未解決事件(コールドケース)の真相を暴くという展開が愉しめました、、、

    前作では勤務先である犯罪資料館から一歩も出ずに事件を解決する安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)を決め込んでいた緋色冴子が、意外や本作品では“頼れる助手”寺田聡とともに再捜査の聞き込みや容疑者との直接対決の場に赴くなど行動に変化があるのも新鮮でしたね……5篇とも面白かったのですが、あえて言うなら特に印象に残ったのは、

    23年前、校舎の屋上で2年生の女子高生が殺害された……彼女は、その直前に「先輩」への募る想いをに告白していたが、彼女を殺した「先輩」とは誰なのかを推理する『夕暮れの屋上で』、

    24年前に東京都西部地域で連続して起きた放火事件……神出鬼没の放火魔は、標的にした住宅は跡形なく燃やしても、火をつけてすぐ「火事だ。逃げろ」と電話を掛けて死人は出さないように配慮していたのだが、その目的は何で、放火魔は誰なのかを推理する『連火』、

    15年前、赤羽の河川敷で起きた、10個の部位に切断されたバラバラ殺人事件! そして、何の因果か被害者の妻は、夫の死体発見の前日、電車に飛び込んで非業の死を遂げていた……死体をバラバラにした理由探しと殺人犯は誰なのかを推理する『死を十で割る』、

    の3篇かな……緋色冴子は証拠品の声を聴き、当時の関係者に新たな問いを放って真相を見抜く展開が愉しめましたね。

    過去の事件という枠組みと周到な伏線を活かしつつ、意外な真相を読者に気付かせずに示す技量は抜群でしたねー もっと、もっとシリーズ作品を読みたいところですが、現時点で刊行されている作品は2作品のみのようです……続篇を期待しています。

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著者プロフィール

1971年、埼玉県生まれ。京都大学推理小説研究会出身。サークル在籍中は「犯人当て」の名手として知られた。2004年、『アルファベット・パズラーズ』でデビュー。13年、『密室蒐集家』で第13回本格ミステリ大賞を受賞。18年刊行『アリバイ崩し承ります』は「2019本格ミステリ・ベスト10」国内ランキング第1位に、20年には連続ドラマ化され、大きな反響を呼ぶ。著書に『仮面幻双曲』『赤い博物館』『ワトソン力』『記憶の中の誘拐 赤い博物館』、訳書にエドマンド・クリスピン『永久の別れのために』、ニコラス・ブレイク『死の殻』がある。

「2022年 『時計屋探偵の冒険 アリバイ崩し承ります2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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