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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784167918446
作品紹介・あらすじ
堀江敏幸さん『オールドレンズの神のもとで』が文庫になりました。
物語が生まれる瞬間の光を閉じ込めたような、色鮮やかな作品集。
文庫化にあたって、18の作品がどんな依頼の元に書かれたかを解説する、文庫版あとがきが書き下ろしです。
↓【立ち読みできる短篇「窓」についての文庫版あとがきを特別に抜粋!】
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冒頭の「窓」は、「読売新聞」大阪版(2007年9月11日付)に掲載された。400字詰め原稿用紙10枚の短篇を発表後、書き手自身がそれについて語る「よみうり読書 芦屋サロン」という企画の一環だった。通常はひとりのところ、その回は特別にふたりの書き手の作品を同時に掲載し、たがいにそれを読んでどう感じたかを読者の前で語り合うことになっていた。相手は小川洋子さん。小川さんとの共著『あとは切手を、一枚貼るだけ』(中央公論新社、2019年)の企画は、このときのやりとりに端を発している。
(「記憶が薄れる前に――あとがきにかえて」より)
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感想・レビュー・書評
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白黒の話が静かに連なる短編集。それぞれテーマが違うが「平たい船のある風景」や「果樹園」で時たまはっとする色が現れる。最後に希望の詩「オールドレンズの神のもとで」で色のない時代を終わらせようと締めている。
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すこし淡く優しく溶けあう色合い、静かに柔らかく滲む輪郭、オールドレンズで捉えた光の様なそんな感じがした18遍。タイトルのせいですね…
「平たい船のある風景」「めぐらし屋」が好き。 -
筋が物を言うミステリーや事件物を立て続けに読んだので、今度は素敵な文章を味わいたいなと堀江敏幸さんを選びました。
真っ白な表紙に上品な字体。手にしたくなること必至ですね。短編から中編まで、一貫性がないと思われる18編の物語がありました。
読み終わって知ったのですが、文庫の方にはどういったオファーの元、それぞれの作品が書かれたのか、解説があるそうです。それを読んだらもう少し理解しやすかったかも…と悔しい思いです。
よく分からなかったけど、文の美しさで読めたものもいくつかありました。自分の読解力のなさが悔しい…
「果樹園」「柳生但馬守宗矩」「あの辺り」が特に好きでした。
堀江敏幸さんの文を読んでいると心が落ち着きます。時折、自分では思いつきもしないような表現が出てきて、おっ!と思って数回読み返していると、もうそれ以外の表現しか適さないような感覚になります。どんなにこちらの心が荒れていても、堀江さんの本のページを開いて読み始めると心が平穏になる。面白いか?と聞かれれば、正直よく分からないけれど、時々、そろそろ堀江敏幸さんの文が読みたいと切望するようになる。不思議です。
堀江さんの本、次は何を読もうかなぁ。 -
タイトルと真っ白な表紙に惹かれて購入しました。
「記憶が薄れる前にーあとがきにかえて」ではこの短編たちがどんな媒体でどのような注文のもと執筆されて掲載されたかが記されていて、本編を読み終わったあとに知ると、物語の背景が透けてみえるのが少し楽しかったです。 -
掌編や短編を十八篇収録。楽しみながら読み進み、「記憶が薄れる前に—あとがきにかえて」で個々の作品がどういう媒体からどのような条件で注文され書かれたものであるかという打ち明け話を知ることで、一粒で二度おいしい的な楽しみを味わえた。名篇ぞろいだけれども、しいて挙げるならば、『こどものころにみた夢』というアンソロジーに収録されているという、筒井康隆的夢の短編「ハントヘン」、小・中学の同級生であり甘い気持ちも抱いていた同級生との思わぬ再会「窓」、初老の教師の生徒を想う気持ちが伝わる「柳生但馬守宗矩」が素晴らしい。
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乗り換え駅の小さい本屋さんに、この一冊を見つけた。
堀江敏幸の長編を2度もチャレンジしましたが、王子駅はぎりぎり乗りきったけど、切手は足りなく八つ目で止まったまま。他の作品も積読中だ。最近はすっかり長編が読めなくなり、途中でやめた事もしばしば。なら短編がちょうどいいやと思いつつ、購入するかどうかに迷っていた。躊躇っていたら数日前にしんさんのキャプションを思い出して、やっぱり欲しくなった。
後書きを読むと、堀江さんはいろんな書物からの発注で小説を書いてた。発注先は新聞社、文学誌、ファッション誌、住宅情報誌、週刊誌などなど。何かお題があったり、制限があったりにも関わらず、その物事に対する細かい描写は、変わらず文脈に沿ってせせらぎのように流れていく。その描写にうまく想像力を発揮できず、戸惑うこともあったけれど、何編が印象に残った作品がありました。
「平たい船のある風景」の後書きに「読み終えたら注文住宅を建てたくなるような作品ウィとも言われていたのだが、このあと家を建てた読者はひとりもいないという確信がある。」と書かれていたが、私はその風景を読み、また自宅の風景を思い出して。色々あったけれど、これからもきっと色々あるけれど、家を建ててよかったと思いました。
「月の裏側」に書いてあった子を送迎するシーンも。つい三年前までは私が送迎していたけれど、コロナが流行り、夫が自宅勤務になり、色々変わってから送迎が夫の役目になり、いつの間に子が小学生になり、送迎も必要なくなり、帰り道に背中に向けて1日の報告をしてくれた声が、遥か遠く、懐かしくを思い出した。
もう一度、2度、3度この一冊を、大事に味わいたいと思うような作品でした。 -
著者が寄稿したさまざまな種類の小説が収録されています。
長さはとても短いものから、中編ぐらいのものまで。
登場人物や状況設定もバラバラですが、ファンタジーのようなお話でも、どこか現実感のある文章で、ぐっと惹き込まれる魅力があります。
この話の続きが気になる!まだ読んでいたい…!と思うものがたくさんありました。
個人的に特に好みなのは、「徳さんのこと」、「柳生但馬守宗矩」、「あの辺り」、「月の裏側」。
あと、『あとがきにかえて』のところのさりげない本音が出ているくだりで、思わず声に出して笑ってしまいました。 -
【大事なことは、少し遅れてやってくる】日常を一時停止させる小さな事件たち、しずかに痛む記憶、いつの間にか開く別世界の扉。短篇小説の名手がおくる18の至高のピース。
著者プロフィール
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