小隊 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2022年5月10日発売)
3.18
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784167918774

作品紹介・あらすじ

■ロシア軍が北海道に侵攻。元自衛官の芥川賞作家による衝撃作

ロシア軍が北海道に上陸。
自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。
避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々――。
そんな安達の〝戦場〟は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。

軍事描写のあまりのリアルさに話題となり、
専門家をも唸らせた『小隊』に
デビュー作『戦場のレビヤタン』を合本して文庫化。
「ブラックボックス」で第166回芥川賞を受賞、
元自衛官という異色の経歴をもつ作家が放つ、
衝撃の戦争小説3篇。

■著者コメント

『小隊』を書いている時、私はある言葉だけは
絶対に使わないようにしようと決めていました。
その言葉は、それ自体が持つ重みに反して、
使えば使うほどに失われてしまう何かがある気がするのです。
その何かを、お読みいただくみなさまに感じていただければ幸いです。
――砂川文次

■推薦コメント

「戦場」とはこうしたものか ――小泉悠(東京大学専任講師)

みんなの感想まとめ

戦争のリアルさとその影響を描いた短編集は、ロシア軍の侵攻を背景に、元自衛官の著者が生々しい戦場の描写を通じて、読者に深い感情の揺れをもたらします。特に、訓練の過酷さや日常と非日常の境目をテーマにした作...

感想・レビュー・書評

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  • こりゃだめです。
    全くの期待外れ..自分には合いませんでした。

    元自衛官の芥川賞作家が放つ衝撃作!
    と帯にあおられ、
    「ロシア軍が北海道に侵攻したときの自衛隊は?」っと期待満々で読みましたが、全くの期待外れでした!
    感動もメッセージ性も感じられない、淡々と語られる物語。

    ロシア軍の侵攻に対して、日本の法律内で自衛隊でできることがこれだけで、その中、国民を救うため、一人のの自衛隊員が..とか
    ハリウッド映画のような戦闘シーン..とか
    自衛隊の熱いが..とか
    その中の隊員たちの葛藤が..とか
    そんなのを期待して読む方には全くお勧めできません(笑)

    3つの短編です。
    ■小隊
    ロシア軍が北海道に侵攻。戦闘シーンがありますが、正直、武器ふくめて、専門すぎて全然理解が出来ません(笑)
    で、それを迎え撃つ小隊の指揮官の物語。

    ■戦場のレビヤタン
    中東で傭兵として戦闘に参加しているKの物語

    ■市街戦
    自衛隊の幹部候補の男の物語。現実と夢想が入り混じって読みにくい

    ということで、自分の期待とは大きく外れた物語でした。
    残念。

    • ことぶきジローさん
      全く同感。期待外れでした。
      全く同感。期待外れでした。
      2023/09/16
    • masatoさん
      ことぶきジローさんコメントありがとうございます。
      帯に煽られました!
      感動、自衛隊の在り方、戦争の悲惨さ、なんかを期待してたんですけどね。
      ことぶきジローさんコメントありがとうございます。
      帯に煽られました!
      感動、自衛隊の在り方、戦争の悲惨さ、なんかを期待してたんですけどね。
      2023/09/17
  • 実に生々しくて、読んでると鬱屈した感情になってしまう場面もありましたが、この作品こそが、著者の思ったままの生身の表現なんだと感じました。
    元自衛官の著者だからこそ描ける、訓練の過酷な
    部分など、戦地のリアルさを伝えていると思います。

  • 砂川文次『小隊』文春文庫。

    元自衛官という異色の経歴をもつ作家によるデビュー作を含む戦争小説を3編収録。

    期待外れも甚だしい。3編共に何も伝わるものが無いという恐ろしいまでの駄作揃い。エンターテイメント性もメッセージ性も何も無い戦争小説というのは初めて読んだ。そして、これらが芥川賞候補作や文學界新人賞受賞作というのだからさらに驚かされる。

    『小隊』。表題作。第164回芥川賞候補作。極め付きのミリタリーオタクが忠実に詳しく兵器や武器、自衛隊の装備や組織階級などを交えながら可能な限りリアリティのある戦闘シーンを描いただけというような短編で、伝わって来るものが何も無い。日本とロシアが北海道を舞台に戦争に突入し、その最前線となった釧路での戦闘で、敵軍から壊滅的な打撃を受けた小隊の指揮官の敗走を描く。★★★

    『戦場のレビヤタン』。第160回芥川賞候補作。この短編も何を伝えようとしているのか解らない。イラクでの戦争に参加する元自衛隊の傭兵K。常に死と隣り合わせの日常……★★

    『市街戦』。第121回文學界新人賞受賞作。デビュー作のようだ。これもメッセージが全く見えない酷い短編。大学を卒業して自衛官となったKがいやいやながら市街戦に参加するということだけしか解らない。★

    本体価格760円
    ★★

  • 著者のバックグラウンドを全面に押し出した短編集。経験に基づく「戦場」の雰囲気は十分。日常と非日常の境目がテーマの1つ。中東やウ戦のことを考えつつ自身のGWを過ごす我々に、善悪や是非を問うのではなく、そういうものであることをありのまま伝えているものと理解。

  • 台湾有事の可能性が高まった今、戦争が起きたら、自衛隊の方々はどういう事をするのか、リアルに想像できる。さすが元自衛隊の方が作家さんなだけある。


    普段聞きなれない言葉がとても多いので、スマホで調べながら読んだ。掩体とか、交通壕とか。


    小隊とか大隊とか、分隊の定義は書いてほしかったな。


    中国じゃなくて、ロシアが北海道から攻めてくる、てとこが、またあり得るなー、と思う。ウクライナに侵攻した事を考えると、なおさら。北方領土の問題もあるしね。


    戦闘中であってもコーラが飲みたいとか、めんどくさいとか、感情の描写が人間くささを醸し出してる部分と、戦闘で人が死んだり、「肉片が〜」のような緊迫感のあるアンバランスな描写が、うまく書かれて次々とページを捲らせる。 


    また、相手の兵士がほとんど出てこないことが、結構怖い。敢えてそういう書き方してるんだね。砲弾や砲撃が、次々と連続してくるとこが、何ともしようがなく、絶望的で、主人公が生き残っていることが、たまたまであるとこが恐ろしい。


    相手の兵士が出てこれば、「ジョン・ウィックみたいにやっつけければいいじゃん」て思えるけど、そんな事一切お構いなしで、ドーン!てくるんやな、て思うと、ウクライナの戦争もこんな状態だったんだろうと思う。


    読み進めていくうちに、ふと疑問に思った。
    ここ日本なんだよね。
    ホームだよね。
    なんでここまで劣勢なの?
    装備も弾薬もたんまりあるんじゃないの?


    本当に自衛隊は日本を守れるのか。
    もし、守れないなら、それは自衛隊の人たちの
    せいではなく、ここまで侵攻を
    ゆるしてしまいかねない、
    政治的な判断が、最も重要な問題だ、
    という主張なんだろうか。

  • 「小隊」はよかったけど、後の2作は刺さらなかった。
    戦争に至る背景とかもっと詳しく書いてほしかったかも…

  • (4.6)
    自衛官としてあんまりのリアルさに息を呑んだ。用語や人間関係、風景全てが勤務の風景そのままであったがために、実際有事が起こった際はこうなるだろうと細胞レベルで感じた。
    特に表題作である「小隊」これは今までにないほど感情移入して読むことができた。一般の方には分からないであろう感覚、感情がみるみるうちに湧いて出て震えた。自分自身の精神的にも肉体的にも、そしてこれからの勤務においても意識向上の手段として忘れないように、また読もうと思う。いい精神教育題材であると思う。
    また、「市街戦」これは両親や友人、恋人に読んで欲しいと心から思える話だった。普段から行軍をするが毎回つらい。何がつらいというと文章力、表現力が乏しく上手く言葉にできないのである。だが行軍はまさしくつらい。それが歯痒かった。しかし、そのつらさ、恐ろしさを完璧に文章に表してくれたのが今作。全てが共感でき、行軍の1番のつらさを的確に表現してくださっていた。面白いというよりも、よくここまでリアルに心の内を、悩みを言葉にしてくれたと思います。言葉になることによって、精神的に大分救われる部分があります。これからも自分の人生、過去、一瞬一時の決断に誇りを持って、前進し、生きていきたいと思います。

  • 本の題にもなっている『小隊』を含め、『戦場のレビヤタン』、『市街戦』と計3篇が収められている。各篇共に、文芸誌の1回の掲載分というような分量である。各篇毎にゆっくりと読んだ。
    「5月30日」となっている「第4刷」の文庫本を入手したのだが、「第1刷」は「5月10日」である。これは少し「速い」感じの刷り方であると見受けられる。「話題」の作品であるということのようだ。
    各篇は各々に綴られて、各々に発表されている。連作ということでもないようだ。が、通して3つの篇を読むと、各篇の主要視点人物が「実は同一人?」であって、『市街戦』、『小隊』、『戦場のレビヤタン』という順番に、数年間の時間軸で各篇の作中での出来事が起こっているかのような感を抱かないでもなかった。
    『市街戦』は、陸上自衛隊の幹部候補生として訓練に臨んでいる男が在って、限界という次元までに身体を酷使している中で「来し方」の様々な場面が意識の中に沸き起こり、夢想と眼前の現実が混然とするかのような挿話である。
    『戦場のレビヤタン』は、陸上自衛隊の幹部(尉官以上)であった経過の在る男が、民間警備会社に身を投じ、中東で活動しているという挿話だ。所謂“傭兵”ということになる。
    そして本の題にもなっている『小隊』だ。これは「陸上自衛隊が北海道で戦闘に及ぶ」という事態が惹起しているという挿話だ。
    この「陸上自衛隊が北海道で戦闘に及ぶ」という作中での事態が少し話題になっているようだ。
    主要視点人物は陸上自衛隊の三等陸尉に任官して日が浅い男で、部下を率いて任務に就いている。作中「ロシア軍が北海道に上陸して軍事行動に及ぶ」という様子になっている。上陸したロシア軍が現れると目される地域で、住民に避難を促すことが任務という辺りから物語が起こる。会って話す住民は「何処にも行くあてが無いから留まる」というようなことを主張する。そうしている間に“事態”は少し大きく動く。
    そんな各篇なのだが、何れも主要視点人物の心理と行動を精緻に描き込んだような感であったと思う。或いは、身体を酷使して必死に何事かに向き合い、そこを通り抜けて辿り着く境地のような、そういう心情が各篇の共通項なのかもしれない。大掛かりな国際情勢等が描かれるのでもない、「或る現場の、或る男の回顧」ということにでもなって行きそうな物語だ。
    作者は陸上自衛隊での経験を有しているのだという。そういう「経験者の感じ方」という要素が巧みに織り込まれている各篇であると思った。殊に『小隊』は、その「経験者の感じ方」という要素が随所ににじませながら編まれた篇だと思った。
    時にはこういう小説も好い…

  • ふつうの感性の人間が、自分ではどうにもならない極限状態に置かれたときに、瞬時瞬時の経験をどのように感じ、どう行動するのかを小説として表現したのだと思う。戦闘する自衛隊が舞台となっていることは、著者が説得力に満ちたリアリティを与えやすいということで選ばれているに過ぎないのではないか。この小説をもって国防や外交を考えるというものでもない。

  • 元陸自幹部の著者がリアルな戦闘を描く。

    1作目は表題作。
    政治が混乱している合間を縫って、侵攻目的が不明なロシア軍旅団が北海道内に侵攻してくる。
    長い待機の末に、主人公が所属する中隊も他部隊と共に防衛の戦線を開く。
    主人公は自分の受け持つ小隊の小隊長として初めての戦闘指揮を執ることになるが。。

    2作目は人生に倦んだ元自衛官が刺激を求めてPMCに参加し、バグダッドで対テロ警護任務に就く話。

    3作目は幹部候補生時代の過酷な行軍中に白昼夢のように過去と現実が混じりあっていくある意味トランス状態のような話。

    2作目と3作目は正直、微妙な印象だったが、1作目はよくここまでリアルに戦闘経過を描けたなと感心する出来だった。
    まさにプライベートライアンを見ているよな気分になった。

    実際の戦闘が始まった時、イデオロギーや感情の入り込む余地は無くなり、ひたすら虐殺の場が出来上がるだけである。
    そこではすぐ隣にいた同僚が即死しても感情が動くことは無くなり、ただただ体が動くだけという世界。

    一度、戦闘が始まってしまえばそこには命の大切さも輝きもなくなり、他者がモノような価値になってしまうのが心底恐ろしいと思った。

  • 私は(今を生きている日本人の多くがそうだろうが)現実の戦争を体験したことはない。
    この小説では、今考えうる限りでの「戦争のリアル」を描いている。

    著者自身も、戦争を体験していない世代だが、自衛官としての経験がある分、一般の人より戦争を肌身で感じていると思う。

    戦史の大きな流れの中では見えない、末端の末端での撃ち合い・殺し合いの中で起きている(起きる)であろうことを切り取った小説。

    個人的に、少し話が分かる立場にいるので、読んで暗くなった……。

  • 北海道へロシアが軍事侵攻してきて自衛隊が食い止めなくてはならなくなった日本。戦争が始まるという実感がなく戦闘が始まる瞬間まで現実逃避をするリアリティとか、頭は上の空なのに訓練で作られた身体が勝手に動く緊迫感とか元自衛隊員の著者だから書けた話で圧倒された。

  • 個々の話は分かるのだが、全体的なストーリー展開がいまいちよくわからないし、全体としてはそんなに面白味はない。

  • 表題作の小隊は、良かった。前半の心理描写のようなところは、冗長と感じたが、戦闘シーンの迫力は大変良くドンドン読める。残りの2作は小隊の前半が前編に渡り続く感じ。せっかくあれだけの戦闘シーンが描けるのだからそれを駆使すれば良いのに。小隊が星4つ、残りが1つで全体で2つとしました。

  • ある程度以上の自衛隊をはじめとした組織の編成、装備品に関する知識を有する読者向け。
    まぁ、他の小説の様に事あるごとに、登場人物を借りて説明させるという手法は、この「小隊」には不要であるとともに、無いことにより、より緊迫感を生み出している。
    ここには英断を下す政治家も、敵をなぎ倒すヒーローも存在しない。
    生起して欲しくはないが、今の日本の現実から最もあり得るシナリオに感じられる、これまでの自衛隊のリアルをうたった小説とは、圧倒的に次元の異なる小説。
    ☆5 (小隊のみの評価なら)

    「戦場のレビヤタン」は、レビヤタンという概念に共感出来るか、がポイントか。個人的には難解。
    ☆3

    「市街戦」は経験者にしかわからない、記憶と現実の入り交じった感覚。過去と空間と現実、そして空想の同時進行。
    ☆3

  • 『小隊』
    文藝春秋の砂川さんと小泉悠さんの対談で兼ねてより読んでみたいと思っていた作品。
    2022年にウクライナで戦争が始まったことはひどくショッキングでありセンセーショナルであったので、日々戦況や惨状を割とニュース等で追っていたが、そこで戦っている人の様子はなかなか想像がつかなかった。この作品を読んで、戦場での個人の目線を一つ与えてもらえたように感じた。
    死が紙一重に隣接する戦闘の中で、頭中沸騰しながらも訓練で培われた戦闘所作はオートマティックに体を動かし、そして時々私生活のあれこれが思考に去来する。何日も風呂に入れず痒い全身、体を締め付ける重い装備、散らばった肉片のディティールや、集団内における個人の打算への怒りと葛藤。
    戦場には多数の確かな個がいながら一度向かい合えばこれもまたオートマティックに味方と敵に別れてしまう。外にいれば分からない、これが戦争が絶えない理由の一つかもしれないと感じた。

    『戦場のレビヤタン』
    傭兵としてセキュリティー会社からイラクの施設に派遣される元自衛官の話。「イラクの砂漠に伸びる果てしない一本道と、十勝の雪原の風景とがオーバーラップした」

    『市街戦』
    自衛官の幹部候補生の演習中の話。舞台は九州は佐賀から長崎にかけて、行軍・戦闘演習が行われる。Kはリーマン・ショック時代の就職氷河期世代のようだが、就職難から自衛官になったのではない様に思われる。正直Kにドン引きしてしまうシーン(回想または白昼夢?の内容)もあったが、自分が生きる場所がここではない感という点では理解が出来る気はした。そして、一種エマージェンシーな状況のほうが生を感じられているのではないかという体験はわずかながらにも自分にもあった。(今となってはPTSDに近いものもあるので二度とごめんだが)
    現在、高校世界史の勉強を今更ながらしている。(高校地理選択で歴史がさっぱりなのだが、歴史的文脈が分かれば日々目に留まる情報がもうちょっとは面白くなるかもと、今更ながら)安直だが、人間が幾多の戦いの末勝ち残ってきた生き物であるならば、緊急事態に生を見出すことは生物的にはあり得るのかもしれないとも感じた。

    3作品を通じて…
    専門用語が多いので都度検索しながら読み、大変勉強になった。2025年現在の世界の価値観は少し変化してきているように感じられる。力(軍事や経済)の論理を良しとする傾向を感じるが、戦争が良しとされる世の中にはなってほしくないと思う。

  • 最近戦争ものの小説を読んだせいか、おススメされたので読んでみた一冊。元自衛官が描く戦場のリアル…という惹句なのだが、こういうエグいのが読みたかったわけじゃないんだよなぁ…。

  • 「小隊」
     北海道に攻め込んできたロシアにボコボコにされる陸自の話。彼らが前線で酷い目に遭いながらも、ラジオからは音楽番組が流れてくる。住民に避難を勧めに行けば、こっちには生活があるんだとつれない返事が返ってくる。
     現に戦争が始まったのだから、自衛隊以外の国民も戦争とは地続きになるはずなのだが、そんな実感は沸かないのがリアルな戦争なのだろう。物語の中で人が死んでいくのだが、悲しさとか敵への怒りみたいなものは湧いて来ず、なんというか、なんでこの人たちはこんなことをしなくちゃいけないんだろうという直観的な疑問が浮かんでくる。そりゃもちろん、敵が攻めてきたら戦わなきゃいけないのだから、疑問に思うことなんてないのだが。
     著書が自衛隊を辞めたこととリンクしているかは分からないが、国家の戦闘行為を担う自衛官という役割に「馬鹿馬鹿しさ」を感じさせてしまう物語だなと感じた。

    「戦場のレビヤタン」
     小隊とは打って変わって主張の激しすぎる主人公の傭兵の語りがとにかく読んでいてしんどかった。
     主人公の置かれた立場の弱さだったり悲しさの感情みたいなものが、ただ説明されている感じだった。キャラの立つライトノベルならアリなのかもしれないけど、純文だと旨みがないというか……

    「市街戦」
     自衛官候補生という「自衛官」であり「社会人」になる過程、言うならば卵の殻を破り世界に出ていく直前期の演習が描かれ、ところどころで夢とも過去ともつかない、追憶のような大学生活の場面場面が挿入される不思議な小説。
     社会人へのイニシエーションというよりは、混沌とした世界に飛び込んでゆく不安のような、混沌としつつも守られている公務員の世界に飛び込んでゆく安寧のような感覚が伝わってくる。
     吉祥寺で繰り広げられる市街戦は、リアルな戦闘描写に近付きつつ、歩行者達は主人公を醒めた目で迷惑そうに眺めていてリアルでは無い。大学生活の回想もおぼろげ。行軍で頭がぶっ壊れている感覚がリアルで良い。ぶっ壊れることによって現実を無理やり受け入れるというか、自分を歪なかたちの現実に溶かし込むというか、そんなプロセスを描いた小説として読めた。

  • ちょっと私には難解で歯が立たない。
    戦争が始まらない。

  • 小隊、最前線で戦う人達。
    終わりの見えない、そもそも終わりが自分達の役割にあるのかどうか。

    少しも光を感じさせてくれない。意地でも見せない感じ。リアルを投げつけられた感じ。

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著者プロフィール

1990年、大阪府生まれ。神奈川大学卒業。元自衛官。現在、地方公務員。2016年、「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞。他の著書に『戦場のレビヤタン』『臆病な都市』『小隊』がある。

「2022年 『ブラックボックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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