生まれた時からアルデンテ (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2022年5月10日発売)
3.80
  • (76)
  • (97)
  • (87)
  • (16)
  • (4)
本棚登録 : 2011
感想 : 119
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784167918828

作品紹介・あらすじ

すべての幸福は食から始まる。世界一のレストランの殺気に満ちた食事に、味に表情がある学食のカレー。平和なフルーツサンド界を脅かす圧倒的存在や、想像力を逞しくさせる嫌いな味。スーパーマーケットの目を引く陳列に、真剣勝負のメニューなど、愛と希望と欲に満ちた、ミレニアル世代の傑作味覚エッセイ。解説・三浦哲哉

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

食をテーマにしたエッセイは、単なる味わいを超え、食べることの楽しさや価値を深く掘り下げています。著者は小学生の頃から食日記をつけており、その情熱が文章に表れています。彼女の言葉選びは魅力的で、食べ物の...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今まで人より食に興味が薄かった私は平野紗季子さんのpodcast「味な副音声」を聞き始めて以来、平野さんの言葉選びの虜になってしまったし、食は楽しくて素敵なことだと実感できるようになった。

    食べることは単なる行為じゃなくて楽しむこと。
    食の楽しみ方は「美味しい」と感じるだけじゃなくて「感じたことを言葉にして共有する」とか「ありがたがる」とか色んな楽しみ方があることを知った。

    食べ物の価値は食べられることで、無くなることに意味があるというのは何ともへんてこだと思う。
    食べ物を口に含んで感じた一瞬の尊さを言葉に当てはめていく平野さんの華奢な感性がとっても魅力的。

    平野さんが小学生のときに書いていたレストランへの感想を読むと、この人は幼いときから半狂乱的に食に取り憑かれていたんだ……と感じられて面白かった。
    美味礼賛からの引用部分とか、めちゃくちゃ面白かった。

  • 小学生の頃から食日記をつけ続けたフードエッセイストさんによる一冊。

    食に関するエッセイというと、結構年配の方が書いたものしか読んだことがなかったのですが、こちらはミレニアル世代の作家さんという事もあるのか、文体も感性も瑞々しく軽やか。実際の店名・書名を出した紹介も多く、写真もふんだんに使われていて、ぱらぱらと眺めているだけでも楽しいです。
    かといって軽いだけではなく、食という刹那の快楽に真剣に向き合っている様子は好感が持てます。食や味覚、未知の快楽を愛する自由で真面目な食エッセイ。

    現在は、本書で紹介されているお店も閉店しまっている所が多いのが少し悲しい部分です。

  • カオスな感覚。一瞬の輝き。食べ物の生を感じさせる表現。それに出会った時の感情。刺激的な本でした。

  • 自分の常識を覆す本と出会う瞬間がある。
    この本はまさにそれで、
    私にとっての食は日常を彩るおいしさであって、生きることであってそれ以上の意味を見いだしてはいなかった。
    だけど、自分だけのおいしいがあって、食べることや料理はあくまで手段でその先があるというのは初めての考え方だった。
    今しか食べられない味が世の中にはたくさんある。
    Twitterに書いていたいつでもはいつまでもじゃないという言葉も好き。

  • 何と言ったらいいんだろう、読む前も読んでいる間も読んだ後も、「なんかモヤモヤ~ッ」と「へぇー、知らなかった、興味深い」の感情がウロチョロしている。

    〇なんかモヤる
    ・これを言ったら元も子もないのかもしれないけれど、フードエッセイストって何なんだろう・・・料理をする訳でもない人が、外食してエッセイを書く、そんなニッチな職業が成り立つのか?と思ったら慶応義塾大学出身。あぁ人って学歴とか権威に弱いもんな、慶応の人がやることはなんでもすごいって周りはとりあえず持て囃しそう。
    この人に限らず、なんかよく分からない職業に就ける人は大体高学歴。逆に高学歴なら、本当に何にでもなれるなといつも思う。著者がもしあまり有名でない大学出身や高卒だったら、同じように取り上げられただろうか。否。

    ・自炊、してみればもっと自分の幅が広がるのにな。これ作るのに手がかかる料理だとか分かるし、お店や自分の思う味の通りに作れた時の感動は美味しさにプラスされる。それに自分好みに味付けたり、自分が食べたい時にいつでも作れたりする。
    自分で作れないから余計外食が美味しく感じるのかもだけど。センスや試行錯誤する探究心も必要かな。

    ・食に関する仕事してるのに、嫌いなもん結構あるな?て箇所がいくつか。レモンティーやセロリやレーズンが嫌い。かき氷についての偏見も、「固定観念に囚われている」と指摘されている。「嫌い」って、もうそれを言ってしまうと何も広がらないなと思う。
    たまに一緒に食べに行った人が、「〇〇嫌い」と嫌〜な顔で面と向かって宣言することがあるけど、それを食べるのが好きな人の前で言うかな?お店も好き嫌いある側に合わせる形になるし、「嫌い」と言われたところで、だから?どうすればいいのって思う。
    エッセイだからセーフかもしれないけど。
    別に嫌いなものがあるのが悪い訳ではなく、言い方や、相手の気持ちを考えているかという問題。そういう人って「食わず嫌い」で、食べもしないのにさんざん文句ばかり言うから長年成長が止まったまま。
    もういい年してからいつの間にか食べられるようになっていて、しれっと「食べれるけど」みたいな態度だと、中身が子供だなあと思ってしまう。
    たぶん食べ物だけじゃなく色んな面で「食わず嫌い」で成長を止める人だと思う。人生は何事も最初にフィルターをかけすぎない方がお得だ。
    で、nomaの料理だったらまずくても食べるんかい。やはりブランド志向の日本人ぽい…。
    私はアマゾンとかに食材探しに行くような食に貪欲な人が好きだな。

    ・「基本、人の家の台所なんて、明るいもんじゃない気がする。」・・・どういうことだろう。自分が不気味だと思われているかもしれないのに。潔癖は行き過ぎると無意識で人を傷つけるようになる。


    〇興味深い
    ・確かに誰かと食べると味が分からなくなる。20代はよく外食していて、いつも確実に美味しいであろうお店を選んでいたのに、相手とノンストップで話し続けて、いつの間にか食べ終わっている。そして味を覚えていない。それがしばらく続いたので、あえて味わって食べようと言いながら食べたけど、やっぱりあまり覚えていない。これなら何を食べても一緒だ。
    人間は喋りながら味わうことができない。

    ・私は『グランメゾン東京』というドラマが大好きで、そこに出てくるお洒落だけどパッと見ただけじゃ何なのか、何を使っているのかどんな味なのか分からない料理にすごく引き込まれて、でもこれを表す言葉が分からなかった。でも、これが「ガストロノミー」を追求した料理なんだと分かった。食に関する言葉にしては珍しい響きだなと思ったら、消化器系の言葉に由来しているのか。厨房というラボで、化学の実験のような調理を繰り返して完成する食べ物たち・・・楽しすぎる。

    ・そうか、60年代はアボカドに限らず世界の色んな食べ物が珍しかったのだった。初めて食べた人の2ページにわたるエッセイ、絶対読みたい。読書で味を想像することが大好き。自分ならなんと説明するか考えてみたけど難しい・・・!

    ・「消えるラビオリ」、これだ、訳の分からない、実験的たべもの。形がラビオリなだけで、味は松の実とオイル・・・って美味しいの!?でもワクワクする。
    その内ガストロノミーが極まって、裸の王様のように「愚か者には見えない料理」とかいって何も載ってないお皿が出てきたら面白い。(既にありそう)

    ・小学生でからすみと水菜のパスタが美味しいと思えるのがすごいけど、食べたくなってきた。以前食べたホタテとからすみのパスタが美味しくて。

    ・いや小林さん(仮)、謎だけど魅力的だ。画一的な接客研修を受けているだろうに、独自スタイルを貫けるのがすごい。「お嬢様」「おみ足」・・・本人も楽しんで言ってそう。なんせ俳優だったのだから、執事を演じている感覚だったのかな。
    だけどネットでフルネームを検索するまでいくとちょっとストーカー過ぎて怖い。だから店員の名前を客に明かすのは反対。
    あとなんで目が死んでいたんだろう・・・どんな目か気になる。


    〇全体的なこと
    ・この文庫が発売された時点で既に結構な数のお店が閉店しているのが少し悲しい。コロナ辺りでも、お気に入りだったのに食べログを見たら「閉店」になっていたお店が何件かあった。移り変わりの激しさが目に見える。

    ・料理は白黒写真では美味しそうに見えなかった。食べ残しとかも。わざとなの・・・?

    ・やっぱりブログをエッセイに纏めましたみたいな内容なので、文学的ではない。所々よく分からない文章だったり、文字の間隔やフォントがバラバラでリズムが狂って読みにくかったり。その反動でか解説の人の文章はスッ…と入ってきた。
    表紙がオシャレだから、美しい文章で綴られた美食家のエッセイに見えて、期待しすぎる。これがもっとポップな装丁で、文芸じゃなくサブカルの棚に並んでいたら、違和感なく納得したと思う。

    ・自分の知らない知識や作家や本がたくさんあって、ちょこちょこ取り入れていきたい。

    20240905

  • 今まで読んだ食エッセイとは違っていて、味のある写真と詩的な言葉の並びが新鮮でした。次はどんな話かなとページをめくる瞬間は、コース料理が運ばれてくる前とどこか似ている。ロイヤルホストの小林さん(仮)観察記録は物語のようで好きでした。

  • あなたのおかげで/せいで、わたしの食の価値観に動揺が走っている。

    おいしい!の四字でこれまで済んできた感想が、もこ、もこと増殖する。
    軒を連ねる飲食店の波間でいつまで経ってもココ!と決めかねる。
    やっと入った店でトンデモない大枚を叩いて、美味を礼賛する。
    ふだんの昼食が粗食だったのかもしれないと悲しげに振り返る。
    来月給料が入ったらフレンチレストランに行こうかなーと夢想する。

    そんなことは今まで絶対になかった。

    禍福はあざなえる縄のごとし。
    空腹は飽き足らぬ雛のごとし。

    平野という化鳥をわたしは親と判断してしまった。

  • 平野紗希子さんというフードエッセイストのおいしさに溢れた本。

     NHKでも「連食テレビエッセー きみと食べたい」という番組をやってるのを見た。門脇麦さんと島原へ、上野樹里さんと富山へ橋本愛さんと余市へ、食の扉を開きに行ってた。各地の地のものを活かした料理を、女性2人で目をつぶって味わう。平野紗希子さんは本当に食べること、食が大好きなんだ、と感じた。

     子供の頃から「食日記」をつけていたという平野さん。食を愛して、愛してやまない。そんな彼女の食を中心とした、様々な愛のカタチを綴ったエッセイがこの本だろう。

     “食べ物が身体に入った時とかお店に入った時に心揺さぶられることの中毒なんだよね”

     と言う彼女の食への愛やワクワクがてんこ盛りの本を読んでいたら、たまにはレストラン、という風情の店で食事したくなった。

  • この人のポッドキャストであったり文章は、なにか理由を言語化できないのだけどなんとなく調子の良さ的な部分に生理的な苦手意識がある一方で、ところどころ光る感性の表現部分が刺さるところもあり、自分の中で評価が両極端で同時に混在している。

    ただ、他の作品の紹介であったり、業界関係者との関わりが広そうで、ここから起点に興味を広げていくのはよさそう。

  • 美しすぎる、食への狂気に満ちた本。
    「食べ物」というカテゴリーの完成形だと思う。
    この作者は表現力の鬼。
    文章が生きている。
    食とは刹那、それに気付かされる。
    おいしさの一瞬を記述しようとしている本。
    こんなに食に対して真摯に向き合う人は、初めて出会った。
    私の人生のバイブルになり得る。

    キュウリを一本、半分に折って相手に渡したとする。
    その行為自体は、料理とは呼べない。
    だが、『キュウリは、半分に折り、手でもって食べるのが最高だと僕が考えたからこそ、こうしたんです、あなたのために』という思いがそこにあるならば、その行為は料理である。そこにあるのは何か?
    精神でしょう。
    ここに料理というものの定義がはっきりあるのです。

    そうか私も料理人。

  • エッセイというのか評論というのか。表現力と観察力、発想の豊かさに脱帽した。なんと言っても人に見てもらうことを意識していないように思える書きぶりがいい。出会って良かった本だ。

  • フルーツサンドは喧嘩をしない。フルーツサンドには平和がある。

    食をめぐるエンタメ?のひとつとして、食べ物狂の平野さんのエッセイを楽しく読むのはもちろん、個人的には、味な副音声をはじめその類稀なるワードセンスに魅力されて読み進めてしまう。dancyuの見出しがどうしてもエロいとか、1000円ランチに申し訳ていどについてきたグリーンサラダで東京のコンクリートジャングルを埋めるんだ〜(不確か)みたいな独特の視点は、モノの見方としてとても勉強になる。

  • 食べることに対する探究心。宝石のようにきらめく表現力。好きだ。
    新刊が出たので再読。

  • 味な副音声から平野紗希子さんのことを知り、
    大好きすぎて著書にたどり着く。
    なんとも柔らかいお声が感じられつつも
    強いこだわりと独自の世界観…おもしろかったです。
    どうやったらこんなこと感じられるんだろう?

  • 食についての自分が知らない世界のことも書かれている一方で、知っているお店が出てきて、お!と思わせてくれる章もあり、さくさくと一冊読み終えてしまいました。

    食に対する著者の執念というか、こだわりというか、食を大切にする気持ちがすごく伝わる一冊です。私も一食一食を大切にしていきたいなと思いました。レストランのカードを集めるのも、巻頭の食べ歩きダイアリーも素敵です。

  • 面白かった!
    巻頭の「食べ歩きダイアリー」がよかった。
    文章じたいは、中学生が思ったことをそのまんま書いたようなものだが、イラストや写真も多く、自由帳に近い。
    楽しめた。

  • もはやエッセイを超えて詩、スケッチブック。

  • 旅のお供に最適な本だった。
    新しい感性の食にまつわるエッセイ?お風呂パピコは夢がある。あげられていた他の料理にかんする本も読んでみたい

  • 自分の欲望と嗜好にとことん忠実な著者の文章は、鋭く、美しい。出版物だからと言って誰に忖度することもなく、美味しいものは美味しい、まずいものはまずいと言いきるところに彼女の潔さと食への深い愛を感じた。

  • 最近、文庫の新刊エッセイとなると食べものに関するものがとても多いなあと感じていました。
    しかしこの本は「食べる文化」をこよなく愛するガチのエッセイです。かなり勉強になりました。

    しかし堅苦しい本では全くありません。
    気軽にさくさくと読めます。

    もう閉店してしまったお店も多いですが、写真も素敵でパラパラめくるだけでも楽しいです。

全113件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1991年生まれ。フードエッセイスト。小学校の頃から食日記をつけ続け、大学在学中に日々の食生活を綴ったブログが話題となり文筆活動をスタート。雑誌等で多数連載を持つほか、菓子ブランド『(NO) RAISIN SANDWICH』のプロデュースなど食を中心とした活動は多岐に渡る。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)、『私は散歩とごはんが好き(犬かよ)。』(マガジンハウス)など。高校時代のあだ名はポテト。instagram: @sakikohirano

「2021年 『POPEYE特別編集 味な店 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

平野紗季子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×