昭和天皇の声 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2022年7月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167919092

作品紹介・あらすじ

「君側の奸」はどこだ!?

皇道派VS.統制派、二・二六事件、
共産党委員長が天皇主義者へ転身――
男たちの耳にこだまする、幾つもの「天皇の声」。
感涙の最終話で明かされる「真実」とは?
歴史連作短篇集

純朴な陸軍中佐・相沢三郎が統制派の首魁・永田鉄山に凶刃を振るう場面で始まる「感激居士」。二・二六事件の裏のドラマを描く「総理の弔い」「澄みきった瞳」。ある共産党員の魂の遍歴を辿る「転向者の昭和二十年」、そして実質的表題作ともいえるラストの「地下鉄の切符」。抑制された筆に目頭が熱くなる連作短篇集。解説・杉江松恋

目次:
感激居士
総理の弔い
澄みきった瞳
転向者の昭和二十年
地下鉄の切符

みんなの感想まとめ

本作は、昭和天皇の声をテーマにした連作短篇集で、歴史の裏側に迫る深い洞察が魅力です。各短篇は、陸軍中佐の相沢三郎が統制派の首魁に刃を向ける場面から始まり、二・二六事件や共産党員の転向を描きながら、時代...

感想・レビュー・書評

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  • 文春系昭和史の語り部(半藤一利や児島襄ら)と共通する史観の小説化である。取り上げられるのは相沢事件、二・二六事件(岡田首相と鈴木侍従長の2編)、共産主義者の転向(田中清玄)、最終話では天皇自身が俎上に上る。その最終話では75年の渡米前のアメリカ人ジャーナリストによるインタビューの場面が感動的に描かれるが、同じ年の記者会見では原爆投下について聞かれ「やむを得ない」と答えたことが批判された。
    田中清玄と天皇の対面にしても、なぜ天皇の側近は田中と対面させたのか、その後の田中の大物右翼としての行動にどこまで影響を与えたのか、あまりに闇の多い人物との関わりをこのような感動ストーリーに回収することにはかなり無理がある。
    個人的には昭和天皇については、本書のような「公式の」ストーリーからこぼれ落ちるものがあまりに大きく、「騙すならもう少し上手に騙してくれよ」と思うところがある。
    昭和世代も老いつつあるいま、こうした公式感動ストーリーで歴史を上書きしていく必要ももはやなくなっているのではないか。

  • 昭和天皇の声とはいうものの、実際に出てくる台詞は少なく、逆にその一言一言を、様々な背景や側面から描いている。戦前から戦後にかけての政情不安定な時代でもあり、短編集だが登場人物や背景が繋がっているのも面白い。そして、開戦と終戦における天皇の責任と、そのときの思いが全体の大きなテーマとなっていることに徐々に気づいていき、自分が生きている時代にはいなかった人物だが、人となりを少しでも知れた気がした。

  • 昭和天皇の本心は伺い知れないものの、残された声をテーマに主役を変えて徐々にその本質に迫っていくようで読み終わった後に、色々と腑に落ちた。
    日中戦争から太平洋戦争、戦後にかけての多くの小説では、昭和天皇の実情が見えにくかったがこの小説によって昭和史が理解し易くなった。評判通りの良作で、読んでおくべき一冊。

  • 純粋な陸軍中佐・相沢三郎が統制派の首魁・永田鉄山に狂刃を振るう場面で始まる「感激居士」。2.26事件の裏のドラマを描く「総理の弔い」、「澄みきった瞳」。ある共産党員の魂の遍歴を辿る「転向者の昭和二十年」、そして実質的表題作ともいえるラストの「地下鉄の切符」。男たちの耳にこだまする幾つもの「天皇の声」、感涙の最終話で明らかにされる真実とは?

  • 二・二六事件を中心に昭和天皇をテーマとした短編集。戦後世代の作家でこの時代をここまで描けるという想像力に大きなな感嘆。

    最初は繋がりのないような短編が、鈴木貫太郎と昭和天皇の絆にじわじわと繋がってくる連作。

    終戦記念日を前に読んで良かった。

  • 昭和天皇のお話が読みたかったけれど、流石に昭和天皇ご本人が主人公というわけではなかった。が、歴史的な出来事をわかりやすく物語にしてあって、とても勉強になる。

  • 切ない。物悲しい。でも、これが戦争なのだろう。
    様々な角度から語られる戦前戦後。
    読後のなんとも言えない気持ち。
    読者にそう思わせる本。
    ゴーホームクイックリーとは同じ世界なのに違う。
    ロンドン狂瀾とはあわせて読みたい。
    オススメです。

    ※評価はすべて3にしています

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著者プロフィール

中路啓太
1968年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を単位取得の上、退学。2006年、「火ノ児の剣」で第1回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞、作家デビュー。2作目『裏切り涼山』で高い評価を受ける。綿密な取材と独自の解釈、そして骨太な作風から、正統派歴史時代小説の新しい担い手として注目を集めている。他の著書に『うつけの采配』『己惚れの記』『恥も外聞もなく売名す』など。

「2022年 『南洋のエレアル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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