女たちのシベリア抑留 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2022年9月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784167919375

作品紹介・あらすじ

女性が戦争に巻き込まれるということは、こういうことだ。
長い沈黙を破り、女たちは語り始めた──。
NHK BSスペシャルの話題作がついに文庫化。
数々の新聞や雑誌の書評で取り上げられた、「戦争と女性」に迫る傑作ノンフィクション。

終戦直後、満洲や樺太などにいた60万人近くの日本人がソ連によって連行された「シベリア抑留」。
その中に女性捕虜が存在したことは、長く歴史の陰に埋もれていた。
関東軍の陸軍病院で勤務していた従軍看護婦や軍属として働いていたタイピスト、電話交換手、開拓団の民間女性、そして受刑者たちが、極北の地シベリアに送られていたのである。
その中には「女囚」として10年を超える抑留生活を送った女性や、日本に帰る場所もなく異国の地で人生を全うした者もいれば、
収容所で出産した女性、ソ連兵にさらわれた少女もいた。
また、帰国を果たした女性たちにとっても、故国の人々のまなざしは決して温かいものではなかった。

戦後70年以上、長く沈黙を守ってきた女性たちをインタビューすることに成功し、
2014年にNHK・BS1スペシャルで放送されたドキュメンタリー「女たちのシベリア抑留」は、
文化庁芸術祭賞優秀賞、放送文化基金賞奨励賞、ATP賞テレビグランプリ優秀賞、ギャラクシー賞奨励賞、NHK放送総局長特賞など、その年のドキュメンタリー部門の賞を総なめにした。
その番組を担当した女性ディレクターが綴る本格ノンフィクション。
強者による「正史」に抗い、シベリア抑留の真の姿を伝える女性たちの勇気ある証言に今こそ耳を傾けたい。

感想・レビュー・書評

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  • 毎年8月には先の大戦に関する書籍を意識して手にするようにしています。

    本書は2014年8月12日にNHKで放送された「BS1スペシャル 女たちのシベリア抑留」の取材をもとに書き下ろされた作品です。

    昨年の今頃「ソ連兵へ差し出された娘たち」を手にし、胸が張り裂けるような辛い読書を体験し、少しは知識として学んだつもりでいました。

    しかしながら、「シベリア抑留」に関して自分の無知さを痛感させられた一冊となりました。

    私の母方の祖父母はいわゆる引揚組だと聞いています。

    幸いにして家族一緒に日本へ帰って来れましたが、その裏には当時のソ連に拘留されシベリアに抑留された多くの日本人がいます。
    その中には男性に交じり女性(10代も多く含む)がいたことも本書にて知ることに。

    そして、子供の頃にTVで見た中国残留孤児の問題も全て私の中で繋がりました。

    残念ながら、当時(引揚げの体験)を知っているのは2人の伯母のみとなりました。
    次に地元に帰った時に一度ゆっくりと聞いてみよう。
    改めて自分のルーツを知ろうと思いました。

    終戦から79年、多くの方が鬼籍にはいられ当時のリアルを体験談として知ることが難しくなっています。

    思い出したくもない辛い記憶。
    ただ戦争を始めるのは「人」であり、戦争のない世界を創れるのも「人」しかいない。

    勝った者は英雄視されますが、負けた者の中でも最も辛い体験をするのは常に弱者。
    すなわち女性や子供、お年寄りです。

    今も行われている戦争を止め、平和な世界を築くために我々は歴史を学ぶべき。

    せめて先の大戦を色濃く感じることができるこの時期にはこれからも関連書籍を手にしていこう。

    (以下、本文より抜粋)
    【敗戦が決まった直後の満州で出された軍司令部からの通達】
    「ソ連兵の要求するものは、抵抗せずに渡すこと、その第一は酒、第二は女」

    「俺たち軍人は命より大事な軍刀を手離した、女の貞操くらい何だ」
    「軍人が軍刀を捨てたのだから、女が貞操を捨てるくらい何でもないことだ。ソ連兵に求められたら貞操を提供しろ」

    「軍が滅びて軍刀を捨てるのは当然です。私たちは大和撫子です。操は生きている限り守らねばなりません」
    「『貞操を提供しろ』と言うのであれば、あなたの奥さんから先に出すべきでしょう」


    「ダモイ!」(帰国だ!)


    引揚港の一つだった舞鶴には、厚生省の外局である引揚援護院が置かれていた。
    引揚者には、下船と同時にDDT消毒が行われ、その後も、入浴、脱衣の消毒、種痘接種などの検疫が入念に行われた。
    その中で、女性たちだけに行われた検査があった。
    医務室に通されると、係員が言った。
    「妊娠している人は申し出てください。ここで処置します」
    看護婦たち(引揚者)は屈辱を感じ、傷つき、憤った。
    当時、満州などから引き揚げてきた女性の中には、望まない妊娠をしている人も少なくなかった。
    各地の引揚港では「水際作戦」と称し、強姦された女性たちの堕胎が非合法で行われていた。
    その総数は今も不明である。


    <あらすじ>
    本書はノンフィクション作品で、戦後のシベリア抑留における女性たちの体験を描いています。
    この本は、戦争の影に隠れていた女性捕虜の存在を明らかにし、彼女たちの声を伝えることを目的としています。

    終戦直後、満洲や樺太にいた約60万人の日本人がソ連によってシベリアに連行されました。
    その中には、関東軍の陸軍病院で勤務していた従軍看護婦や軍属として働いていたタイピスト、電話交換手、開拓団の民間女性、そして受刑者たちが含まれていました。
    彼女たちは極寒のシベリアで過酷な抑留生活を強いられました。

    本書では、10年以上にわたる抑留生活を送った女性や、シベリアで出産した女性、ソ連兵にさらわれた少女など、さまざまな女性たちの証言が紹介されています。
    彼女たちの多くは、帰国後も社会から冷たい視線を浴び、差別や偏見に苦しみました。

    また、2014年にNHK・BS1スペシャルで放送されたドキュメンタリー「女たちのシベリア抑留」を基にしたこの本は、文化庁芸術祭賞優秀賞など数々の賞を受賞しました。
    著者の小柳ちひろは、長年沈黙を守ってきた女性たちの貴重な証言を集め、シベリア抑留の真実を伝えることに成功しました。

    この本は、戦争の「正史」に抗い、女性たちの勇気ある証言に耳を傾ける重要な作品です。
    戦争の影に隠れていた女性たちの存在を知ることで、戦争の悲惨さと女性たちの強さを再認識することができます。

    もし興味があれば、ぜひ読んでみてください。


    本の概要
    女性が戦争に巻き込まれるということは、こういうことだ。
    長い沈黙を破り、女たちは語り始めた──。
    NHK BSスペシャルの話題作がついに文庫化。
    数々の新聞や雑誌の書評で取り上げられた、「戦争と女性」に迫る傑作ノンフィクション。

    終戦直後、満洲や樺太などにいた60万人近くの日本人がソ連によって連行された「シベリア抑留」。
    その中に女性捕虜が存在したことは、長く歴史の陰に埋もれていた。
    関東軍の陸軍病院で勤務していた従軍看護婦や軍属として働いていたタイピスト、電話交換手、開拓団の民間女性、そして受刑者たちが、極北の地シベリアに送られていたのである。
    その中には「女囚」として10年を超える抑留生活を送った女性や、日本に帰る場所もなく異国の地で人生を全うした者もいれば、
    収容所で出産した女性、ソ連兵にさらわれた少女もいた。
    また、帰国を果たした女性たちにとっても、故国の人々のまなざしは決して温かいものではなかった。

    戦後70年以上、長く沈黙を守ってきた女性たちをインタビューすることに成功し、
    2014年にNHK・BS1スペシャルで放送されたドキュメンタリー「女たちのシベリア抑留」は、
    文化庁芸術祭賞優秀賞、放送文化基金賞奨励賞、ATP賞テレビグランプリ優秀賞、ギャラクシー賞奨励賞、NHK放送総局長特賞など、その年のドキュメンタリー部門の賞を総なめにした。
    その番組を担当した女性ディレクターが綴る本格ノンフィクション。
    強者による「正史」に抗い、シベリア抑留の真の姿を伝える女性たちの勇気ある証言に今こそ耳を傾けたい。

    • aoi-soraさん
      ヒボさん、これは凄い本ですね。
      レビューを読ませて頂き、あまりの衝撃に何をどうコメントしていいのか…
      (コメントしているのに訳わからなくてス...
      ヒボさん、これは凄い本ですね。
      レビューを読ませて頂き、あまりの衝撃に何をどうコメントしていいのか…
      (コメントしているのに訳わからなくてスミマセン。とにかく私も読んでもっと知りたいです)
      「ソ連兵に〜」の時もかなりのショックだったので、読破できるか不安ではありますが、ちゃんと知りたい。

      ご親戚に引き揚げ体験を知る方がいらっしゃるなら、お話を聞けると良いですね。
      2024/08/20
    • ヒボさん
      aoi-soraさん、こんばんは♪
      「ソ連兵に...」の時は無知過ぎました。
      予備知識を得たうえで本書を読めたので、その分辛い読書にはなりま...
      aoi-soraさん、こんばんは♪
      「ソ連兵に...」の時は無知過ぎました。
      予備知識を得たうえで本書を読めたので、その分辛い読書にはなりましたが、当事者の方々のリアルを知ることが出来ました。
      思い出したくない記憶かもしれませんが、伯母からも話を聞ければと思っています。
      改めて過去の歴史を学ぶことの大切さ、戦争の悲惨さを痛感させられました。
      2024/08/20
  • シベリアに抑留されて
    いた祖父が帰還して、

    私の母はこの世に生を
    受けました。

    つまり祖父がシベリア
    で斃れていたら、

    母はむろん私も私の娘
    の存在も無かったわけ
    です。

    ところでシベリア抑留
    は、

    男たちの試練だったと
    思い込んでいました。

    しかし実は多くの女性
    たちが、

    同じく遥か極寒の地に
    抑留されていたという
    真実。

    戦争に翻弄された彼女
    たちの儚き運命。

    その怒りの矛先をどこ
    に向ければよいのか。

    戦争が生み出すやり場
    のない哀しさです。

    そして今、七五年前の
    満州と同じ状況が・・・。

    百万人超のウクライナ
    国民が、

    シベリアやサハリンに
    強制移送されていると
    いう事実。

    そう、本書に登場する
    女性たちが現在進行形
    で生まれ続けている。

    この事実にどうやって
    向き合うべきか。

  • 女性の抑留について本を読むのは初めて。
    自分が何故抑留されなくてはいけないのか、いつ日本へ帰れるのか、明日は生きていられるのか、この状況下がどのようなものであったかのか抑留生活について語られている。
    戦争に関する本を読んで少しだけほっとするのはそんな中でも国籍を超えた人同士の繋がりがあったということ。
    本を読み人を思いやる、互いの気持ちを想像することが大切なことなのだと学べたかな。

  • 小柳ちひろ(1976年~)氏は、同志社大学卒、映像製作会社テムジン勤務。2008年よりNHKの「戦争証言プロジェクト」に参加し、戦争に関わる数々のドキュメンタリー作品を製作。複数の作品で、放送文化基金賞優秀賞、ギャラクシー賞テレビ部門選奨、ATP賞グランプリ等を受賞。
    本書は、2014年8月に初回放送されたNHK BS1スペシャル「女たちのシベリア抑留」(文化庁芸術祭賞テレビ・ドキュメンタリー部門優秀賞、ギャラクシー賞テレビ部門奨励賞、放送文化基金賞番組部門・テレビドキュメンタリー番組奨励賞、ATP賞テレビグランプリ ドキュメンタリー部門優秀賞等受賞)の取材をもとに書き下ろしたもので、2019年に出版、2022年に文庫化された。
    私はノンフィクション物を好み、太平洋戦争に関しても、これまで様々な作品を読んできたが、シベリア抑留については、石原吉郎『望郷と海』、辺見じゅん『収容所から来た遺書』、栗原俊雄『シベリア抑留』、また、満州からの引き揚げの実体験を描き、終戦直後に映画化もされた、藤原てい『流れる星は生きている』等を読んでいる。(尚、本書のもとになったNHKスペシャルは、不覚にも見ていない)
    読了して、太平洋戦争に関わるある程度の知識があれば、このような事実があったことは、(妙な言い方にはなるが)比較的容易に想像できるし、大きな衝撃はなかった。太平洋戦争は、一般に知られる範囲でも、前線における戦闘(更には、病気や飢餓)、特攻、沖縄戦、原爆投下、そしてシベリア抑留、等々、あまりにも不条理かつ凄惨なものを残した。
    戦争に限らないが、これまで歴史とは、敗者ではなく勝者が、弱者ではなく強者が作り、それを「正史」として残してきた。そうした意味で、太平洋戦争の敗者であり弱者であった、日本の女性たちの声を拾って、永遠に埋もてしまったかも知れない「女たちのシベリア抑留」を明らかにした本作品の意味は、極めて大きいと言える。(それでも、事実のほんの一部なのであろうが。。。)
    著者も「文庫版によせて」に書いているように、ロシアのウクライナ侵攻により、100万人を超えるウクライナ人が捕らえられ、シベリアに送られているという報道は、今この時も、本作品に登場した女性のような人々がいるということを、我々に知らしめる。
    戦争は、人間の行為の中で、最も愚かなもののひとつである。
    我々には、その悲惨さを語り継いでいく義務があることを、改めて認識させてくれる一冊といえる。
    (2024年2月了)

  • 乏しい資料から何とかシベリアに抑留されていた女性たちの実態に迫ろうと取材を尽くしたことが分かる。
    満州開拓や引き揚げを描いた小説は何作か読んできたが、ノンフィクション、しかもシベリアに抑留されていた女性たちがいたという、初めて知る事実にページをめくる手が止まらなかった。
    世間の偏見に屈せず証言をした女性たちに敬意を表したい。
    もともとはドキュメンタリー番組制作のための取材だったとのこと。機会があれば見てみたいと思う。

  • シベリアに抑留された従軍看護婦さん、身売りされてロシアに閉じ込められ、日本の地を踏むことができなかったアーニャおばあさんの話。どれも胸が本当に締め付けられる思いがし、当人たちがどんな思いだったか、もし自分だったら・・と想像しても彼女たちの苦しみや辛さをうまく言語化できない。とにかく記録として残してくれて良かったが、まだ明るみになっておらずそのまま墓場まで持っていかれた事実は多くあるだろうと思うばかりであった。戦争は本当にあってはならない!

  • シベリア抑留というと、旧日本兵のことが念頭に来るが、これはシベリアに贈られた女性にフォーカスした作品。
    確かに、歴史の狭間に存在を消されたのかもじえない。
    敗戦ということがいかに重いものなのか思い知らされる。
    現代でも同等なことが起きてると思うと胸が痛い。

  • よんでよかったよっ

  • 全く知らなかったので勉強になりました
    祖父がシベリア抑留経験者でした

  • シベリアに送られた女性たちがいたとは、想像を超えた体験をした方々とそれを丹念に、取材した人たちにただただ 敬意を

  •  2022年12月9日に映画「ラーゲリ-より愛を込めて」が上映され、パートナーと鑑賞した。シベリア抑留の過酷さを今に伝える感動の作品であったが、残念ながら映画では女性が抑留されたことには触れられなかったように思う。
     本書は、2014年8月12日NHK「BSスペシャル 女たちのシベリア抑留」の取材をもとに書き下ろされた書籍である。シベリア抑留は、実は女性も抑留され、厳しい強制労働や生活環境で生死を彷徨った。ソ連のハバロフクスの近隣で旧満州・佳木斬(ジャムス)等で働いていた日赤などから派遣された戦時救護員や近隣の民間人から応召された女性たちがソ連の捕虜となり、過酷な労働や生活環境の中でもたくましく生き抜く様を、語りたがらない生存者にも挫けず丹念に取材を続けて証言や手記などの取材記録を丹念に読み解き、女性被害者名簿を作成するなど気が遠くなる取材による書籍となっている。女性がソ連や満州にいたことで、性被害等の偏見から、社会でひっそり暮らし、過去を語りたがらない女性も少なくない。抑留中、ソ共の「アクチブ」となり、帰国を「天皇島への敵前上陸」と呼び、出迎える家族の手を振り切るようにして東京代々木の日本共産党本部に向かい入党した者もいた一方、「反動分子」とされた人々や、民主運動に否応なく巻き込まれ人々は、民主運動を牽引したアクチブへの批判を強めた。特に本書の最後に紹介される村上秋子の調査については、政治犯等が送られる極寒で最も劣悪な収容所で生き延び、日本への帰国を固辞し、ソ連で生涯を終えた女性の背景と経過の検証は息をのむ。
     ソ連の崩壊や日本軍の記録の隠滅などもあり、今なお全容解明には課題も残るシベリア抑留を調査した著者に敬意を表したい。
     捕虜の取扱に関する国際条約であるジュネーブ条約を知らない日本軍属や民間人は、時の軍政に言われるまま「生きて虜囚の辱めを受けるなかれ」と信じ込まされ、日本軍や民間人が捕虜になった場合の取り扱われ方を知らされなかったとする自己責任論で良いのかと考え込んでしまう。

  • 【大きな反響を呼んだ「戦争と女性」に迫るノンフィクション】シベリア抑留者の中に女性捕虜が存在したことは、長く歴史の影に埋もれてきた。戦後七十年以上沈黙してきた女性たちの貴重な証言集。

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