- 文藝春秋 (2022年9月1日発売)
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感想 : 82件
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784167919399
作品紹介・あらすじ
――彼女のはなしは信じるな。
2019年度コニャック・ミステリ大賞受賞、
幾重もの罠を張り巡らせた真のサイコ・ミステリー。
祖母の訃報を受け、彼女は孤島に渡った。終戦直後に祖母とここで働き始めた者たちだけが住む島。本土への船が来る日までを島で過ごす彼女は、やがてこの島に漂う不吉な影に気づきはじめる。ここには何か忌まわしい過去がある。そして若き日の祖母の手記にも謎の「魔王」の影が……。
島で行われていたというナチスの実験。
この島に逗留し、やがて海で死んだ子供たち。
何かを封じた開かずの扉。
すべての核心となる「サンドリーヌの避難所」事件。
積み重なる謎。高まりゆく不安と恐怖。
誰かが誰かを欺こうとしている。
誰が誰を欺こうとしているのか?
いったい何が真実なのか?
読めば読むほど深まる謎また謎。曲折しながら突進する行先不明のストーリー。反則スレスレの大驚愕。――この種の不敵なミステリーの名産地といえばフランス。そこから新たな鬼才が登場しました。不吉なイメージの乱舞と恐ろしい出来事の連打の中に編み込まれた幾重もの罠!
『その女アレックス』のルメートル、『黒い睡蓮』のビュッシ、『パリのアパルトマン』のミュッソに続くフランスの刺客、ジェローム・ルブリ。その大胆不敵な怪技をご体験ください。
ジェローム・ルブリ Jérôme Loubry
1976年、フランス生まれ。外食業界で働くかたわら作家を志し、2017年に長編小説Les chiens de Détroitでデビューを果たす。『魔王の島』は第三長編で、コニャック・ミステリー・フェスティバルで授与されるコニャック・ミステリー大賞の受賞作となった。
みんなの感想まとめ
緊迫感あふれるストーリーが展開され、読者を一気に引き込む魅力があります。孤島を舞台にしたこの作品は、過去の忌まわしい出来事と現代の謎が交錯し、深い探求心を刺激します。特に結末については賛否が分かれるも...
感想・レビュー・書評
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すごいなフランスミステリー…。
結末に賛否両論あるようで、確かに好き嫌いがはっきりと分かれる作品だと思う。
私はこの結末だからこそ、めっちゃくちゃ心に刺さった。
読んだ後にずっと考えてしまって、しばらく閉じた裏表紙を見てボーっとして動けなかった。
映画を観た後のようだった。
構成がすごいし、読み始めたらダイソン並みの吸引力で物語に吸い込まれてしまって一気読みした。
読んでる時には、中学の時に習ったシューベルトの『魔王』が脳内BGMでずっと流れていた。ピアノの前奏からもう怖い。
今だに中学の時の『魔王』の授業を覚えてるくらい『魔王』の衝撃はすごかった。
この『魔王の島』も同じく忘れられない作品になったけど、私には刺激がだいぶ強過ぎた。その晩は変な悪夢にうなされて苦しかった。。。
やっぱり自分は英国古典ミステリーぐらいソフトなのがちょうど良い。
英国古典ミステリーが恋しくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良かったです
すごい構成だったなぁ、一読の価値あり!と自分は思うんですが、日本だと賛否分かれるだろうなぁと思いました
結局そうなん?みたいなね
日本はこれはダメなやつって風潮あるんだよね
ただ「物語」に根源的にあるニーズを仕掛けに活かした秀作だと思うんだよね
これ以上はネタバレになるんでやめとくけど
秋さんにぜひ読んでみてほしいなぁと思いました
秋さんならどんなレビュー書くのかなって
お時間あればぜひ -
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111108さん、こんにちは。
ほんと10位との相性ってなんでしょうねw(自分で言っておいて)
でも、海外ミステリのこの隅っこの方にある目立...111108さん、こんにちは。
ほんと10位との相性ってなんでしょうねw(自分で言っておいて)
でも、海外ミステリのこの隅っこの方にある目立たない良作ってほんと好きです。2023/03/05 -
fukayanegiさん
10位というのは、大々的に宣伝されてないけどそれなりに目に留まる位置という事ですよね。数ある中でそれが面白いとい...fukayanegiさん
10位というのは、大々的に宣伝されてないけどそれなりに目に留まる位置という事ですよね。数ある中でそれが面白いというのは、直感で選んだ物が一番って事なんでしょうね♪運命的⁈2023/03/05 -
111108さん
ですよねー。
ランキングなんて一次フィルターくらいのもんだと考えておかないといけないと改めて思いました。
後は自分が面白...111108さん
ですよねー。
ランキングなんて一次フィルターくらいのもんだと考えておかないといけないと改めて思いました。
後は自分が面白いと思えたことが大事!
埋もれた作品が発掘出来ればベストなんですけど、読みたい本が多すぎてむりー。2023/03/05
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ブクログレビューを拝見し、読んでみたくなった本。
現代の海外ミステリーで、2022〜2023年に、同じようにブクログレビューで知って読んだ本は、巷の高評価に私だけ反してしまった作品が多かった。
だからちょっと苦手分野だ。
しかし本書は、一気読みだった。
前半までは、どうなる?どうなる?という、先を知りたい一心で。
ある箇所からは毛色が変わって、内容が辛くなってきた。
それでもその事件が解決する様を追った。
ところが…。
とにかく最後まで目が離せなかったのは事実。
冒頭部分で、ドイツ軍のトーチカなるものを知らなかったので調べて画像を確認した。
『魔王』は数十年前であるのに、中学の授業で歌わされたことを覚えている。
考えてみれば、なんであんな(怖い)歌曲が中学の音楽の指導要綱に入っていたのだろうか?
おどろおどろした旋律、まさにトラウマ的に脳裏にすり込まれているではないか、日本人なのにやる意味あった?
(追記 アラサーの子供達に聞いてみたら、2人ともやはり授業でやったとのこと) -
二転三転、四転!の、書き出しておかないと分からなくなってしまう複雑なストーリーでした。あまりにも過酷な現実から身を守るため、脳が作り出す『心の避難所』。これを題材とした、切ない物語でした。本当の現実と、脳が見せる『現実』。自分が見ている世界は、本当に現実か?とまで考えてしまった。
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冒頭、2019年9月の大学の講義は「サンドリーヌの避難所事件」について。ただし教授は生徒たちにくぎをさす。これは記録されてない事件だからネットで検索してもだめだよ、と。
この出だしを読んで、鋭い読者は感づくのかもしれないが、私は、次に続く1949年浜辺に打ち上げられる少年少女の死体、1986年11月、記者のサンドリーヌのノルマンディーの牧畜家への取材、そしてサンドリーヌの祖母の住んでいたという島への渡航、と不穏でミステリアスな空気の漂う空間で、これから一体何が起こり、明かされるのか普通に読んでいたのだが・・
やがてサンドリーヌは血だらけになっているところを警察に保護され、精神科医によって『避難所』が明かされ、さらに警部ダミアンによってさらにおぞましい真相が明かされたかにみえるのだが。
最後の最後で、予想もしなかった真相が教授によってされる。う~ん、これは。言葉がみつからないよ。耐えがたい心身喪失体験から回復はあるのか、ということをルブリはひとつの物語として描いたんだなあ。
そこここに戦争の影を感じる。ドイツに占領されたフランス、という構図。ピエール・ルメートルの「われらが痛みの鏡」シリーズでもドイツ占領下のフランスが描かれるが、やはり占領者ドイツは憎い存在として描かれる。韓国のこの時代を描いた小説は読んだことがないのだが、きっとこういう感じで日本は描かれているんだろうなあ。
<解説では>
ジェローム・ルブリ:1976年、フランス中部シェール県サン=タマン=モンロン生まれ。職業高校でホテル・外食業の上級技術者免状を取得後、トゥール大学応用外国語学部の一般教育課程を修了。その後はイギリスやスイス、フランスはプロヴァンス地方のレストランで働くなどさまざまな仕事を経て、現在はプロヴァンス地方で執筆活動に専念。
2019発表
2022.9.10第1刷 図書館 -
巧い一冊。
面白かった。
その言葉オンリーがきちんと心に残るほど、構成が、展開が巧い。
終戦後、幸せの場所として提供された孤島から始まるストーリーは終始不穏な空気と秘密めいた空気感が物語を灰色に染め上げる。
こういう世界観はこちらまで心ざわざわさせられるからたまらない。
そこから待ち受けているのは予想もつかない展開。
心痛む描写もあるけれど、この物語の出口はどこなのか、"真"と"芯"はどこに宿るのか、灰色は純白に変わるのか…ドキドキ感は止まらない。
夢中の面白さと無限の心なるものを学んだフランスサスペンスにめちゃ拍手。 -
不気味な島での不穏で不気味なホラーに始まり、おぞましい犯罪の被害者になってしまう女性のストーリーにつながって、色々なジャンルを味わった感。
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またしても全く同じ感想w
そしてフランスミステリーいいですよね
全体のイメージとしてはナポレオンが大砲撃ってるイメージです(伝わらんわ!)またしても全く同じ感想w
そしてフランスミステリーいいですよね
全体のイメージとしてはナポレオンが大砲撃ってるイメージです(伝わらんわ!)2023/11/22 -
ほんとですね笑
大砲的なのわかります!
そう考えると、イギリスミステリは古き良き、ドイツや北欧ミステリは暗い雰囲気、アメリカミステリは銃社...ほんとですね笑
大砲的なのわかります!
そう考えると、イギリスミステリは古き良き、ドイツや北欧ミステリは暗い雰囲気、アメリカミステリは銃社会を感じるなぁという。勝手なイメージです笑2023/11/22
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ジェローム・ルブリ『魔王の島』文春文庫。
フレンチ・サイコミステリー小説。
余りにも……という表現がふさわしいほどに読者を迷宮に誘うかのようなストーリー展開。こんなのアリか。
ネタバレになるので、詳しくは書けないが、ここまでやられるとミステリーとしての楽しみが消えてしまうような気がする。
ある日、地方新聞社の記者サンドリーヌの元に一度も会ったことのない祖母シュザンヌの訃報がもたらされる。祖母はノルマンディー沖の孤島に数人の仲間と共に暮らしていたという。その島に渡り、1週間逗留することになったサンドリーヌは次第に島内に漂う不吉な影に気付き始める。
かつてナチスの実験が行われていたという島で、10人の子供たちが子供キャンプに参加し、全員が海で溺れ死ぬという忌まわしい過去。島を恐怖に陥れる魔王……
『サンドリーヌの避難所事件』……
本体価格1,100円
★★★ -
フランス産ミステリー再び!
二転三転する展開と先が読めない物語は良かったが・・・。
フランス産ミステリーは似たような作品になりがちなのか!?
人を選ぶ作品ですね〜! -
「もっと近くにおいで。
そうすれば楽になれるから……。」
ある女性が、死亡した祖母の遺品整理のために、ノルマンディ沖にある島を訪れる。
そこにあったのは「魔王」の痕跡……。
物語はホラー小説のように始まる。
ところが、別の章が始まると事態は一変し、読者を驚かす。
最後の章まで、先の見えない物語。
不条理こそ恐怖
虚妄こそ逃避
人の心こそ、出口のない迷路。
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以前読んだこの作家の「魔女の檻」でランナーズハイ状態になった。満を持して代表作「魔王の島」を手に取る。確かにすごい。話はこんなだ。
ある日、新聞記者のサンドリーヌは祖母の訃報を受けて遺品を整理するためにノルマンディー沖の孤島を訪ねる。いわく有りげなその島には4人の老人だけが住んでおり不吉な気配が島を覆っていた。かつてこの島にいた子供たちを死に至らしめた魔王とは?島には第二次大戦中のナチス・ドイツが残していったトーチカが不気味に聳え、姿はないのに鳴き声だけ聞こえる野良猫、島内で不意に流れるシャンソン。そして島の秘密を語ろうとしたフランソワーズが急死し、サンドリーヌの不安は恐怖に変わっていく…。
しかし、この後がすごい展開になる。マトリョーシカのように何重にも罠が隠されている。一言でいえば、これは誰の話なんだ!
でもこの話はネタバレしたら楽しめないと思うので、ぐっとこらえる。
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続きを読みたい衝動を抑えきれず、歩きながら読んでしまう危ない本に久しぶりに出会った。
まったく無関係にみえるような登場人物たちが、なぜ、あるものに対して共通の違和感を抱くのか、それが分からないのがもどかしい。まるで何かの象徴のような、思わせぶりのアイテムや歌や風景は、混沌と混乱で作られた沼にわたしを引き摺りこんでゆくのだ。
ずるずると。
小さな島の海岸で異常な数のカモメにつつかれていたのは、腕のない子どもの死体だった。それを発見したのは犬を散歩中の女性で、驚いた彼女が海のほうに目をやると、その海面には更に9人の子どもの死体が浮かんでいた。
全然違う場所にあるのに、同じ時間を指している複数の時計。汚れていたはずなのに、いつの間にか綺麗になっていたバスケットシューズ。島の子どもたちが怯える魔王の存在。壁に描かれた棒人間。繰り返し繰り返し流れるシャンソン。それらのピースがぴったりどこかにはまれば謎はすべて解けるのか。
この話の結末をどう受け止めるかは、人それぞれだろう。
わたしは思う。人の心の複雑さを。
脆さと強さが織りなす、その心というものの繊細さを。
人は誰しも心の奥底に、自分だけの深海を持つ。
その海の底は恐ろしいほどの静寂に包まれている。そして、そこにはどんな光も決して届かないのだ。やがて両目は退化して無くなってしまう。だからもう、二度と涙を流すこともなくなるのだろうか。 -
2019年の大学の講義から物語は始まる。舞台はノルマンディー、1986年のサンドリーヌとダミアン警部、1949年のシュザンヌのそれぞれの視点で主に描かれる。始めはホラーぽい展開でこのままホラー感全開で終わるかと思ったが、1章2章3章と趣きが深まっていって重厚な小説に変わって行った。最後はまた大学の講義風景に戻って、こんなにのけ反ったのは初めてかもしれない。凄い作品に出会えた。
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久々に重厚なミステリ小説を読んだ。
この小説は奥行きがある。アメリカスタイルのミステリは横に広く登場人物も多くて複雑に絡み合うものが多いが、
このフランス小説は横に広がる絡みは少ないが、奥行きが何層もある。ほじくって行くと、まったく別の景色が見えてくる。
そしてまたほじくると、また景色が変わってしまう。物語を回していく登場人物も10人弱しかいない。
ストーリーの骨子自体はシンプル。あらすじにもあるように、祖母の訃報を聞いた女性が、祖母の終生の住処である孤島へ遺品整理に行く。
そこで村人たち何人かに出会い、その島にまつわる悲しい過去の物語を知る・・・と、シンプルなものです。
ミステリマガジンの「ミステリが読みたい2023年版」で、海外小説ランキング9位でしたが、
国内の9位作品と比べると圧巻で圧勝ですね。さすがに世界の9位でした。
物語以外の部分でも、著者が文学や古典の知識をちょくちょく入れてくれるのが嬉しい。
「へ~そういう作品があるのか、あの作品にはそんなセリフがあったのか」と勉強になります。
はっきり言って、中盤までは読者は何を読ませられているのか、いまいち分からない状態になります。
著者の目的が分からない。
犯人をあてるわけでもなく、動機を見つけるわけでもなく、トリックを解明するわけでもなく、狭義のミステリ小説の枠にはまらない作品。
それでいて、謎は深まるばかり。訳が分からないまま、それでも話に引き込まれて行く・・・。
描写に少し凄惨な部分もあるので、読者の対象年齢は18歳以上が良いと思う。
さらに、この本のもたらすものを余すところなく受け止めようとするならば、読者は25歳以上が望ましいかも知れません。
若いうちは共感が難しい素材を使っているためです。
終盤、この物語が本当は何だったのかが分かったとき、とても深い感銘を受けることになるでしょう。
