罪人の選択 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2022年11月8日発売)
3.21
  • (11)
  • (35)
  • (68)
  • (24)
  • (2)
本棚登録 : 659
感想 : 44
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167919559

みんなの感想まとめ

テーマは罪と選択、そして生と死の狭間に立たされる人々の葛藤を描いた短編集で、特に表題作は日本を舞台にしたミステリとして印象的です。収録された四つの物語の中で、SF要素が強い作品が多く、それぞれ異なる世...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 終戦の翌年、磯部は佐久間に殺されようとしていた。佐久間の出征中、その妻を寝取ったためだ。
    磯部の前に出されたのは、一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。どちらかを口にし、生き延びられれば罪は許されるというが……。(『罪人の選択』)


    貴志祐介さんの短編集。四作収録で、表題作は日本が舞台のミステリですが他三作はSFです。

    特に気に入ったのは『呪文』という話。星間企業が支配する世界で植民惑星の調査をする男を主人公とする物語で、調査中の惑星の住民の思想や民俗などが興味深い。

    『赤い雨』も良かったです。正体不明の微生物「チミドロ」により浅く染められ蹂躙された世界の話。生物学などは詳しくないですが、世界観に生々しさがあり、裁判シーンの熱狂も良い。
    遠藤徹さんの『壊れた少女を拾ったので』にも、『桃色遊戯』という謎のピンクのダニで滅ぶ世界の話がありましたが、終末のイメージにはなぜか鮮やかな色が似合います。

  • 夜の記憶デビュー当時のものなの?!?!
    SF苦手ではあるけど貴志祐介のものは何故か読めちゃうんですよね…。
    でもやっぱり罪人の選択がいちばん面白かった。

    最後の赤い雨はずっとエヴァが頭から離れなくて困ってました笑

  • 短編集
    SFが3作、ミステリが1作
    以下抜粋して雑感

    『夜の記憶』
    巻末解説を見てびっくり、初出はなんと1987年!!
    ISOLAでのデビューよりさらに9年も前の作品だそうです
    この本の出版日が古いわけではありません、文庫の初版は2022年11月です

    『呪文』
    文中で太字で記されている言葉がいくつかあるのですが、今ひとつその効果がわかりませんでした
    でも収録作では一番好きかな

    『赤い雨』
    藻類の研究所が破壊され、遺伝子操作された繁殖力抜群の真っ赤な藻が世界中にばらまかれて……というお話
    血糊藻(チノリモ)と青深泥(アオミドロ)を合わせた名前「チミドロ」というネーミングセンスが最高
    途中まではわくわくして読んだのですが、後半はこういう展開になっちゃうのか、と正直拍子抜けしてしまいました

  • 貴志祐介さんの作品を読みたくて読んでみた。
    「夜の記憶」は、デビュー前に書かれたというSF。
    人間ではない生き物視点で進むパートと、ある人間によるパートが進んでいき…
    完全に光がなく、音の周波を発信しその反射で地形や障害物の有無を把握する生き物の視点がとてもリアルで、天敵に狙われるシーンには思わず息を呑みました。
    「呪文」は、銀河文化調査にて植民惑星「まほろば」を訪れる話。豚に似た神をひたすら”憎み呪う”という恐ろしい風習により、念力(サイコキネシス)が発生し、それによりまた別の惑星に災害が発生し、それをまた憎み…
    無意識で憎み合うことで発生するという最悪の奇跡にゾッとした…
    「罪人の選択」は、妻と不倫した友人が、焼酎か缶詰を一気に呑む(食べる)、ロシアンルーレットなるものをする話。
    どちらかには毒が含まれていて…
    皮肉と恐怖が効いたお話。
    「赤い雨」は、新参生物「チミドロ」により、地球の生態系が崩れ、海や山などが全て真っ赤な世界での話。
    チミドロにより人間達は健康を害するが、一握りの人間だけが、チミドロの害を受けない「ドーム」に入ることが許される。
    「ドーム」では、チミドロの研究等々が行われているが
    ドーム内外の人々の格差等々読んでいて辛いものもあったが、青い地球を取り戻すために奮闘する人々の持つ「希望」に、胸を打たれました。

  • 貴志祐介の罪人の選択を読みました。

    発表時期の異なる4つの短編が収録されています。
    SFが3編、ミステリが1編でした。

    デビュー前に書かれたという夜の記憶は2つの物語が並行して語られるSFで、全く関連がないような2つの物語が最後につながります。
    呪文と赤い雨もディストピアな未来に一筋の希望を描くSFでした。

    貴志祐介というとミステリ作家のイメージがあるけど、確かにSF的な構成を持つホラー小説も多いよなあ、と思ったのでした。

  • 【夜の記憶】
    かつて人間だった男が、意識だけを異型の魚類に移されて生活している。
    人間だったときの妻との記憶、違う星に行ってしまった妻と海上をボートで疾走した記憶を思い出し、海中を全速力で飛翔する。
    とても美しい。
    一生会えなくても、人間の姿ではなくなっても、彼の心を満たすのはまだ若かった妻との記憶。

    【呪文】
    時間も空間も超えて、さらに無意識にお互いを攻撃し合って破滅した植民惑星の話。
    ただの民衆の捻くれた信仰心が破滅に導いたのではなく、実際に意図的に(無意識だけど)攻撃されて悪いこと続きだった。
    そのへんの設定がどう理解すればいいか難しい。
    連れて帰ったタミちゃんは美少女になって長生き出来たかな。

    【罪人の選択】
    罪人は必ず間違った選択をするから、2択を迫れば勝手に死ぬらしい。
    戦時中につくられた酒とフグの卵巣の缶詰め。
    どちらを食べたら死ぬか予想がつかず面白い。
    さらに、その2択は戦後すぐと現代とで行われるのだが、答えが違うのも面白い。
    せっかく過去の遺物からヒントを見つけ出して、戦後すぐ死んだ彼がどっちを選んで死んだか分かったのに、18年たった今では成分の変化により答えが逆になっていて無駄だった。
    自分の手を汚さず不貞行為をはたらいた男を殺せるなんていい方法だ。

    【赤い雨】
    この話が一番好きだった。
    チミドロという藻類によって汚染された地球を救うためには、それによる感染症で死に至った人間の検体が必要だと考えた瑞樹。
    こっそり持ち込んだはいいものの、実は死体は生きていた。
    それなのに、ここまで上手くいったのに、検体から目を離して彼氏の部屋でイチャイチャしはじめる。
    何やってんだよ、という感じ。
    だから錯乱状態の検体が勝手に逃げ出して安全空間であるドーム内に逃げ出し、その罪によって瑞樹はドームを追われた。
    やっちまったという感じだけど、彼女ならドームの外でも本気で研究をしてくれると信じられる。
    どうかお腹の赤ん坊と長生きしてほしい。

  • 薄味な作品集。4作品が収められているのだが、良かったのは『呪文』くらいで、ほか3作品はひねりなくサラッと終わるので物足りない。
    ジャンルも統一性がなく、SF3作+ミステリ(サスペンス?)1作。発表期間も古いものは1987年、新しいものは2017年ということで、何とも寄せ集め感が。

  • 罪人の選択
    普通にミステリとして面白かったです。
    呪文、赤い雨
    とちらもSFで、状況が理不尽で過酷なのも共通ですが、赤い雨のほうが良かったです。

  • 短編集。

    「夜の記憶」1987年
    あまり面白くは無かったけど、デビュー前の作品としてはすごいなと思う。二つの視点で片方は深海魚というか、人間じゃない視点でやってるのがすごい。

    「呪文」2009年
    面白かった。マガツ信仰。諸悪根源神信仰というのが面白い。あまり知らなかった概念だけど、その思考はわかる。面白いな。
    超能力は結局あったということか。オチとしても、もう人の手を離れた企業という神が面白いな。国家よりも企業の力のほうを上に置くのを「赤い雨」でもやってて面白い。

    「罪人の選択」2012年
    どこかで読んだ気がするけど違うかも。でもこの二者択一で迫るのまま見るよね。缶詰か酒か。感謝か怒りと言われましてもわからないって。逆に次のほうは缶詰だろっていうのはわかった。でもボツリヌス菌はわからなかった。缶詰に腐食が発生して鉛中毒かなと思った。実際それで命を落とした船乗りはいたし。

    「赤い雨」2015年~2017年
    光一はやなやつかと思ったら良いやつで見直した。逆に村長はやっぱテロかなと思ったら普通に意識障害だった。展開が雑では?
    長編にも出来るけど中編で無難にまとめたって感じ。チミドロから先に進めなかった感じ。
    設定が良かったので楽しめた。イメージではスピルバーグ監督の宇宙戦争の赤いツルを思い浮かべてた。藻じゃないが。赤かったなあ。
    あとはエヴァ。
    ドームの人たちは漂白で、つまりアルビノのイメージだったのかな。
    面白い世界観。

  • 4編からなるSF短編小説。罪人の選択と赤い雨が面白かった。最初の2つの短編である夜の記憶と呪文はSF要素が強過ぎるのか、あまり好きではなかった。SFや貴志祐介好きにはたまらないと思う。

  • タイトルになったミステリーも面白かった。
    ラストのチミドロも興味深い。

  • 貴志祐介の気持ち悪SF好き。
    惑星マホロバのお話が特にお気に入り。
    カルト宗教感と奇病のコラボレーション!

  • ミステリー、サスペンス、ホラー、SFと、幅広いジャンルで作品を発表している貴志祐介の短編集。SF者の間では、「新世界より」の作者として有名ですね。今作に収録されている4篇のうち3篇はSF、1篇(表題作)はミステリーと言って差し支えない内容と思いますが、ミステリーの方の貴志祐介を期待して手に取った方は、冒頭収録の「夜の記憶」がかーなりハードコアなSFなので、相当戸惑うかもしれませんね・・・(^_^;

    SF寄りの作品集、ではありますが、一読しての印象は、世間的にイメージされるいわゆるSFとは一線を画します。鴨が最も強く感じたのは、土着的な恨み・辛み・妬みの奔流。一言でまとめると「ドロドロ感」、です。
    どの作品にも共通しているのは、登場人物のそうしたネガティヴな感情が、当人の意思にかかわらず世界を変容させるパワーを発動させ、絶望的な中にも不思議な希望の光を感じさせる結末へと繋がっていることです。描かれる情景は、どれも暗く湿度が高く、読んでいてとてもダウナーな気分になります。
    が、読み続けるとそのダウナー加減がなんだかクセになってしまう、面白い作風ですね。ただ、好き嫌いはかなりはっきりと割れると思います。
    鴨的には、「嫌いじゃない」ぐらいかなー。機会があれば、他の作品も読んでみたいです。

  • 4作品の短編集になっていて、短編集だから仕方ないけど、あまり興奮がなくわりと淡々としてた印象。その中でも呪文は先が気になりながら読み進められて、呪いの連鎖を連想させられるような終わり方が結構好きだった。夜の記憶が一番読みづらかったかな。赤い雨は途中まで良かったけど釈然としないオチ。罪人の選択は読みやすいけど可もなく不可もなくみたいな感じかな。

  • 夜の記憶でぽかんとなったけど、二作目の呪文が面白かった。

  • SFは嫌いではないが、なかなか全体像がつかめないまま進んでいく感覚に苛立ちを覚えた。
    個人的にはあまり好きなストーリーではなかったかな。

  • やや古めの作品の短編集
    「赤い雨」の完成度が段違い。緻密な描写と説得力のある設定が絶望感のある世界を作っている。
    光一は絶対裏切ると思った。

  • うーん。うーん?
    以前の貴志さんの作品が好きだったなあ。

  • 4つの短編を載せた作品集。

    夜の記憶
    よく分からない海中を泳ぐ生物の話と、なんだか穏やかなようで不穏な男女の話が交互に展開されていく。背景の説明とかあまり無くてよく分からないまま進んでくけど、最後に「そうだったのか」と。ただ付いていくのに少し疲れた。
    呪文
    色んな星に散らばった部族と、それをまとめる中央司令部みたいなのに派遣された主人公の話。散らばってるのに何故か信仰が似たようになり、そのせいでその星の部族が壊滅してしまうという謎。最初の話よりは感情移入できたけどちょっとゾッとする終わり方。
    罪人の選択
    2代に渡る罪人への断罪の話。初めの話を受けてからの2つ目の捻り方は面白かったけど、少し先を読めちゃった。
    赤い雨
    これが個人的に一番良かった。遺伝子操作された赤い藻、チミドロに全て支配された地球が舞台。人間すらも最後には殺してしまうチミドロ。その治療法を探す女性が主人公。設定もしっかりしてるし、まあ最後のひとネタは分かっちゃったけども面白かった。短編だから終わり方はサッパリしてたが続き読みたい。

  • 「呪文」が面白いです。
    「新世界より」に通ずる世界観。

全39件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

貴志祐介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×