ハートフル・ラブ (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2022年12月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167919757

作品紹介・あらすじ

★『イニシエーション・ラブ』彷彿 極上ミステリ短篇集

大学生の克己は実習グループの紅一点である亜紀に好意を抱く。
交際経験がなく、他の男子も彼女を狙っていると知り、
一歩引いていた克己だが、亜紀から「二人で会いたい」と
思わぬ誘いがあって――
(書き下ろし「数学科の女」)

他に、突然の余命宣告を受けて結婚を決意した夫婦を描く
「夫の余命」(日本推理作家協会賞候補)や、
アイドルの握手会をまさかのミステリに仕立てた
「なんて素敵な握手会」など、
どんでん返しの名手の技が冴える珠玉のミステリ7篇収録。

〈目次〉
夫の余命
同級生
カフカ的
なんて素敵な握手会
消費税狂騒曲
九百十七円は高すぎる
数学科の女

みんなの感想まとめ

心温まる要素を持ちながらも、痛ましい展開が待ち受ける短篇集で、驚きの結末が読者を魅了します。特に「夫の余命」や「同級生」、「なんて素敵な握手会」などは、思わず二度読みしたくなるほどのどんでん返しが特徴...

感想・レビュー・書評

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  • 人間不信になること間違いなし! HeartfulではなくHurtfulな短編集 #ハートフル・ラブ

    ■きっと読みたくなるレビュー
    優しく心温まる恋愛小説と思いきや、実は人が人を傷つけるバラエティーに富んだミステリー短編集。どれも気軽に読める作品ばかりですが、なかなかの衝撃が待ち受けています。

    楽しい作品ばかりですが、特に『九百十七円は高すぎる』『カフカ的』がおすすめ。登場人物たちの関係性から目が離せなく、ついつい熱中して読み込んでしまいました。

    ■各短編のかんたん感想文
    〇夫の余命
    脳腫瘍を患った夫を持つ、新妻の物語。アンソロジー『神様の罠』で既読の作品、再読してみても面白い。

    短編なのに構成と人間関係の描写がめっちゃ綺麗で素晴らしいですね~
    なにげない男女の会話がいいんですよ。これぞ乾くるみ先生の作品でした。

    〇同級生
    高校時代の同窓会での出来事、小説で成功した同級生のマンションに訪れると…

    自分も若き学生時代を思い出しちゃいましたね、切ないわー
    そして読み手をひっかけるのがお上手でした。

    〇カフカ的【おすすめ!】
    高校教師が旧友と出会い、交換殺人の約束をすることになって…

    短編にも関わらずかなり、人間関係から謎解きまでかなり濃密な作品でした。特に殺人計画、相談の描写は、思わず手に汗を握っちゃいました。

    〇なんて素敵な握手会
    アイドルの握手会での出来事、掌編。シンプルながらも、あっさり騙される…

    〇消費税狂騒曲
    消費税をテーマにしながら、一人の警察官の人生が描かれる物語。
    細かい金額でセコイのですが、私も日常生活で、この疑問は気になってたんですよね~アプローチが面白いし、年代とともに人間関係もしっかりと描いています。

    特に最後の数行でキレイで、物語全体を優しく包んでました。

    〇九百十七円は高すぎる 【おすすめ!】
    アンソロジー『彼女』で既読の作品。
    あらためて読むと、なかなかの百合っぷりな作品ですね。青臭くも薄暗い艶めかしさが好き。

    ある人のたった一言のセリフから、緻密に推理していくミステリーです。
    動機は不純ですが、解法から真相はミステリー好きも唸る一作です。

    〇数学科の女
    男子4名、女子1名の大学生グループの物語。本書メインの中編で、まさにHURTFUL満載な内容です。

    人間って欲望や弱みに付け込まれると、簡単に傷ついちゃうよね。いやー悲しい。
    そして最後まで成長しない主人公を見て、さらに悲しくなりました。

  • ブクログレビューを拝見して面白そうだったので読んだ。
    『夫の余命』は以前アンソロジーで読んでいる。
    ごめんなさい、本書は全く面白くなかった。

  • 心温まらない痛ましい話。驚きの展開が楽しめる。人間不信になりそう(heartful→hurtful)
    1.夫の余命 2.同級生(叙述トリック)
    3.カフカ的(交換殺人) 7.数学科の女
    お勧め4編

  • 『夫の余命』『同級生』『なんて素敵な握手会』は結末を知ってええっ!となり、二度読み。
    さすがイニシエーション・ラブの作家さん!
    『消費税狂想曲』からは何がなんだかわからなくなった。
    仕事の後に数字の話は頭が働かず、駄目だった。

  • 「夫の余命」や「なんて素敵な握手会」のような、一瞬で見ていた景色が変わるような話作るの、本当にうまいと思う!

  • 帯に「『イニシエーション・ラブ』著者、
    オリジナル短編集」

    乾くるみが可哀想…

    いつまで経っても『イニシエーション・ラブ』が
    付きまとう。

    『イニシエーション・ラブ』は、
    それだけ、インパクトがあったのだが、
    あの時代を知らない世代に刺さるのか?

    いい加減に解放してやって欲しい。

    本書は、そこそこ楽しめる。

    ただし、『イニシ〜』が
    比較対象となってしまうと
    それを越えるのは…

  • 乾くるみさんらしいトリックが隠されている話が多い。それが故に読みながら展開に気づけてしまうところもあった。
    数字を題材にしているのは面白いがついていけなくなりなかなかページをめくる手が進まなくなってしまった。それ以外は淡々と読み進められる。
    先の展開が楽しみであっという間に読んでしまう、という感じではないのは、おそらくトリックが中心になって話が構成されているからだろう。トリックを成立させるためにストーリーが存在しているかのような感じ。
    とはいえスッキリしたい時、気軽に何かを読みたい時には再読したいと思える内容だった。

  • 【収録作品】夫の余命/同級生/カフカ的/なんて素敵な握手会/消費税狂騒曲/九百十七円は高すぎる/数学科の女

  • 短編集。イニラブの衝撃は一切ない。驚愕の結末が待ち受ける超絶ミステリは煽りすぎてて可哀想。

    ・夫の余命
    汚い叙述トリックで終わり方もいまいち。財産目当てでさくっと結婚させるために無理のある社長設定。
    ・同級生
    セカンド・ラブのほうがよっぽど面白い。
    ・カフカ的
    百合に夢見過ぎ。殺されたいならもっとやれただろ。
    ・なんて素敵な握手会
    既読の掌編。ありがちなギャグ。
    ・消費税狂騒曲
    めんどくさくてつまらなかった。
    ・九百十七円は高すぎる
    九マイルなめてんのか。これも百合に夢見過ぎ。
    ・数学科の女
    展開は割と好き(登場人物は好きじゃない)。女をなんだと思ってんのかな?って妊娠計画に腹が立つ前にさらっと読んだ。これなかったら★1かな……何がハートフルなんだ??と思ったらHURTFULだった……

    総評
    期待しすぎた。

  • ●夫の余命
    二度読みした。イニシエーション・ラブを彷彿とさせるような鮮やかなトリック。
    後ろから読み直すと理解できた。
    ご臨終のシーンで「ベッドを囲む四人の隙間から、貴士さんの顔がわずかに見えている」のところ、なんで近づいて見れないんだろう?って気になったけど、そういうことかー!!と納得。

    ●同級生
    なんか切ない。
    主人公は一見幸せそうなのに、ラストで幸せを願うということは幸せじゃないってことか(?)

    ●カフカ的
    なぜか最初から主人公が男性だと気づいた。
    セリフの口調に違和感があったし、バーのくだりとか、出会った男性に奥さんがいて「君がそういうことを気にするとは思ってなかった」というセリフもそれっぽいなと。
    とはいえ、双子の妹がいなかったことには驚いた。
    全然違うけどひぐらしのなく頃にを思い出した。

    ●なんて素敵な握手会
    たったの4ページなのにどんでん返し。
    見事に騙された。先入観って怖い。

    ●消費税狂騒曲
    登場人物の苗字に三、五、八がついてて消費税なんだな〜と八代さんが出てきたところで気づいた。
    この本の中で一番つまんなかった。(逆に言うと、この話以外は全部面白かった)

    ●九百十七円は高すぎる
    こちらも消費税のお話。
    出た出た、得意の百合展開だと思いながら読み進め、主人公のソワソワする気持ちとリンクしながら全裸待機してたけどダメでした。

    ●数学科の女
    クールな男性と悪女の組み合わせはセカンド・ラブっぽい。
    最初に確率の話が出てきたので、これ絶対他の男ともくっついてるでしょと思ったら案の定。
    女性も怖いけど主人公もなかなかの壊れっぷり。

  • お気に入りは「数学科の女」

    強かな女性の処世術に引いてはいましたが、それを受け入れて尚も興味を失わない箕浦のメンタルの強さが脱帽でした。何だかんだ言って、結婚しそうな感じですよね。

  • 短編ミステリ7篇

    ラストで見方が変わったのは
    「夫の余命」
    「なんて素敵な握手会」
    だな

    「数学科の女」
    亜紀も相当ヤバいけど克己はそれ以上なんじゃないかな

  • 『イニシエーション・ラブ』が大ヒットした乾くるみ氏の短篇集。
    どれも驚きに満ちた短篇ばかりで面白いのだが、「ハートフル・ラブ」という短篇が無いのに、本書のタイトルに付けるあたりは、『イニシエーション・ラブ』の読者を引き込もうという出版社側の思惑があったのだろうか。



    ※作品のネタバレを数多く含むので、未読の方は絶対に読まないでください。



    「夫の余命」★★★★★
    時系列が逆になっており、初見では読みにくさが目立ったが、ラストに驚愕。
    即座に再読してしまった。タイトルも絶妙。
    そして妻が病気と分かって読み返すと、夫が自身の病を乗り越えて妻と結婚した聖人などでは全くなく、病気の妻との結婚や延命を拒み、妹とくっつこうとしている遺産目当てのクズだということが、時系列が逆になっていることで、徐々に明らかにされるのが上手いところだ。

    「同級生」★★★★
    こちらも真相が上手く隠されており、即座に再読。
    オザケン→尾崎くんのミスリードもよいが、集まる人数について、香純の「たぶん五、六人」というセリフから、「六人(死者の鶴田を含む)」だと勘違いしているのが、夏海と読者だけであるのが見事。
    再読すると、鶴田の言葉も意外と刺さる。

    「カフカ的」★★★★
    堂林萌子や船村桔次の感じ、真弥という名前から性別を誤認させようとしているのが分かり、真弥=男なのではというのは割と早い段階で見当が付く。
    ・滝井玲奈が強姦を罪に問わないことを提案している
     →自分を襲えと真弥に言っている
    ・新宿の「エイトポイント」
     →エイトポイント=8点、ハッテンということでゲイ(男同士)
    ・両刀使い
     →普通は男性に使う言葉?
    というあたりで真弥=男だと思うのだが、
    修学旅行から男性教師と女子生徒を2人で帰すというのが考えにくいので、そこだけが引っかかっている。

    「なんて素敵な握手会」★★★★
    既読。
    アイドル=女性、握手会に来る客=男性という思い込みを見事に使った良作。

    「消費税狂騒曲」★★★
    他の短篇とは異なり、至って普通のミステリ。
    小銭の煩雑さから、税抜き・税込み表示まで、消費税に関わるエピソードを上手くまとめた作品になっている。
    平成をテーマに書かれた作品らしく、時代感が感じられる。

    「九百十七円は高すぎる」★★★
    あこがれの先輩と同じものを身に付けたいという気持ちから数字の意味当てをするが、「消費税狂騒曲」の続きか?と思うくらい、税込み、税抜き、イートインなど消費税の話が多い。
    最終的には幸せな感じで終わっているが、百合的な話だけに好みは分かれそう。

    「数学科の女」★★★★
    乾くるみのことだから、大学生の恋愛を描いて良い結果で終わるわけがないと思ったらその通りになった。
    私は箕浦が誘われた時点で、「これ、きっと他の3人も同じだろうなあ…」と思ったので、真相はたくさんの人が予想できたのではないかと思う。

    ちなみに本編では箕浦が米原と結婚しそうなラストになっているが、もしも羽群殺害が失敗した場合は、予定通りDNA検査が行われ、ゴムを米原の鞄に入れたのは箕浦だということになるから、その時に米原がそそのかせば羽群は箕浦を殺す可能性が高い。
    米原が、羽群が逮捕されることで慰謝料をせしめて離婚するという計画を描いているというのもありそうだ。
    そうすると、ゴムを付けさせたのは一人で十分(箕浦だけ)だっただろうから、箕浦は死んでもいいと米原は考えていたことになり、そんな相手と結婚しようとしている箕浦が心配になる。


    全体的に叙述トリックやどんでん返しが多く、非常に面白い作品揃いなのだが、
    バイセクシャルが2篇に打算的な性愛1篇と、人には勧めにくいのは残念だ。

  •  割と面白かった。ハートフルとは飛んだ皮肉である。まあ確かに何等かのラブに纏わる短篇小説集ではあったが。

     途中で落ちの予想がついてしまうものも幾つかあったが、全体としてはそこそこ娯しめた。深夜に珈琲とチョコレートを御供にこういうちょっとブラックなミステリの短篇集を読み耽るのが無上の楽しみである。


     たった四頁の短篇「なんて素敵な握手会」はラスト一行で全てが鮮やかに反転。思わずその場で二度読み必至でした。

  • 移動中に少しずつ読み進めて完読。
    終盤にグッと引き込まれる短編ばかり。

    「なんて素敵な握手会」は、思わずすぐに読み返した。
    文章の妙を存分に味わえる。

    最後の「数学科の女」は、結末が予想できたような気もするけれど、それでも不気味さが際立っていた。

    乾くるみワールド楽しめた。

  • 7編を収めた短編集。
    最初の「夫の余命」はおっ!と思ったが、その他の作品はうーん、という感じ。
    最後の「数学科の女」は本書の中では長めの短編だが、動機もトリックもなんか短絡的というか、腹落ちしなかった。

  • 消費税のやつと917円のやつ読んでてよく分からなくなった

  • 「夫の余命」
    「同級生」
    「カフカ的」
    「なんて素敵な握手会」
    「消費税狂騒曲」
    「九百十七円は高すぎる」
    「数学科の女」
    七話収録の短編集。

    タイトルから心温まる愛の物語かと思いきや、装丁の綴りを良く見るとHURTFUL LOVESとある。
    愛は愛でも正反対の傷つける方。
    確かに至る所に毒がみっちり仕込まれていた。

    殆どは既読だったが、最終話の「数学科の女」だけは書き下ろし。

    舞台は都内の大学。
    実習グループの紅一点の美女・亜紀と、彼女に好意を抱く四人の男子学生。
    狐と狸の化かし合いのような展開から目が離せない。
    最後のオチも絶妙。

  • 『イニシエーション・ラブ』『セカンド・ラブ』と来ていた乾くるみラブ・シリーズ(?)の新作短編集。さすが数学科出身の著者らしい細かな数字のオンパレードで、しかしどこかコミカルな『消費税狂騒曲』『九百十七円は高すぎる』が楽しい。一方で読み始めたばかりで油断気味の読者に初っ端から叙述トリックをぶちかましてくれる『夫の余命』の魅力も捨てがたい。

  • 私には合いませんでした。

    短編なのに読む手が進まない…話の展開がつまらない、共感できるところが少ない。
    結末を知って衝撃を受けることもありませんでした。

    私には合いませんでした。ごめんなさい。

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著者プロフィール

静岡県大学理学部卒業。1998年『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。著者に『イニシエーション・ラブ』、『スリープ』など。

「2020年 『本格ミステリの本流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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