- 文藝春秋 (2023年1月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167919825
作品紹介・あらすじ
昨日までの当たり前は、いつの間にか去っていたのだ。
新銅山の発掘、面扶持の断行、藩校の開設、類を見ない大型船の造船……。
七郎右衛門は、幾度も窮地に陥りながらも、利忠の期待に応え続ける。
だが、家柄もなく、殿の信頼を一身に集め、旧態依然とした大野藩の改革を続ける七郎右衛門には、見えざる敵の悪意が向けられていた。
そんな中、黒船の襲来により、日本中に激震が走る。
時代は移り変わろうとしていた――。
幕末最強バディ小説の誕生。新時代を生き抜くヒントがここにある!
文庫解説・細谷正充(文芸評論家)
みんなの感想まとめ
経済改革をテーマにしたこの作品は、幕末の激動の時代における小藩の立ち直りを描いています。主人公の内山七郎右衛門は、借金返済のために様々な事業を打ち出し、時には大きなリスクを冒しながらも、藩の未来を見据...
感想・レビュー・書評
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越前大野藩は明治になった折に、借財がとても少なかったという。たった4万石、実高2万8千石にしては異例。その要因を取材して構成された作品になる。
身をもっての戦いなどの場面はないものの、借金を返すための事業やら、そのせいでの軋轢、成功させるための大きな博打!など。
生きる上で現在でも行われる経済的な戦い。
武士は金に頓着せぬ物といい、金勘定に長けた人を下に見る風潮があった。そんな中、藩の歳入の10倍にもなる借財を返して事業をおこしてお金を稼いでいく。刀での戦いよりよほどしんどい努力が必要だと思った。
無理難題のような新企画を打ち出す殿だが、種痘や洋式軍備の必要性など、未来への嗅覚はとても鋭い。それに家臣を信頼してケツ持ちをする度量がある。ついていきたくなる、わが殿。
そして主役の内山七郎右衛門、今まで知らなくてすまなかった。
あなたは偉人だ。
4歳ちがいの主従の、武器を使わない精一杯の戦い。
お互いへの信頼が、読んでいてたまらなく心地よかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オーディブルにて。
タイトルからして殿が大活躍する話かと思いきや、側近が主役だった。殿が家臣の誰を引き立てるかという才によるところも大きいけれど。
現在の福井県大野市にあたる大野藩という小国が、なぜ財政難から立ち直って借金を返せたか?という経済改革がメイン。
七郎右衛門は良くスルスルと商人のようなアイディアが出るものだ。殿がCEOならCFOとして優秀すぎる。企業のサクセスストーリーを読んでいる感覚で楽しめた。 -
激動の幕末から明治の世へ、世の中の動きにつれやり方は変わっても七郎右衛門の心の基は変わりないように見える。殿のため藩のため、それだけを見据えて歩き続けている。弱気な時も迷う時もあったろうに芯のところには粘り強さというか頑固さというかしっかりとした物があったのだろう。
そして、尊敬でき認めてくれる”わが殿”だったのですね… -
後で調べるまで、恥ずかしながら大野藩や主人公が実在の存在とは知らなかった。
主人公は悩みはするものの次々に事業に成功して更に樺太開発まで手を出すなんて、まるでIF戦記を読んでいるような気分だった。
武士の商法と馬鹿にされるが、幕末の激動の時代に故郷の存続のために武士が商売に挑み、大政奉還後も旧藩士の生活を守ることができた。打出の小槌の完全な勝利ですね。
素敵な話でした。 -
新銅山の開堀、面扶持の断行、藩校の開設、類を
見ない大型船の造船…。七郎右衛門は、幾度も
窮地に陥りながらも、大野藩主・土井利忠の期待に
応え続ける。そんななか黒船が襲来、日本に
激震が走る! -
四万石の大名とはいえ、実質は二万八千石。年間収入にして一万二千両ほどしかない大野藩の借財は、実に九万両にも及んでいた。七郎衞門は、この膨大な借金の返済を十二年かけて成し遂げたのである。
諸藩がこぞって借財に苦しんでいた時代にあって、大野藩が借金を返済できたのは、なにか特別な秘策があったからではない。七郎衞門という、優れた経済感覚をもつ人材を得たことに尽きるのだろう。彼が行ったのは、殖産と倹約に努めるという、どこの藩でも試みているごくありふれた方策に過ぎない。あるいは、運にも恵まれていたのかもしれない。
しかし、七郎衞門が真価を発揮するのは、その後である。無借金となったことで得た信用力を背景に、藩札を活用したのである。藩札で藩の特産品を仕入れ、それを経済の中心地である大坂で現金販売する。しかも、販売は藩の直営店で行う。問屋の中間マージンを省き、利益を最大化する仕組みであった。
さらに輸送費を抑えるため、藩は輸送船を五隻所有した。こうして生み出された莫大な利益は、「わが殿」利忠公の政策実現のために惜しみなく使われた。藩校や病院の設立、洋式軍備の導入、さらには北蝦夷(樺太)の開拓にまで及ぶ。その事業の規模は、薩摩のような大藩にさえ匹敵するほどであった。
武士道の根幹をなすものは、主君への忠義である。七郎衞門は、その忠義を生涯をかけて実践した人物であった -
厚い信頼関係のもと進む人間同士の関わりが、読んでいてとても心地よかった。
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歴史物ではない。この言葉がこれほど似合う小説はあるだろうか。
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銅鉱山の拡大から始まった大野藩の新規事業は商社機能を持つ大野屋の設立から北前船による海運業、北方蝦夷の開拓へと広がっていき実質石高1万2千石から実質15万石へ。明治維新を迎えるも土井家に忠義を尽くし続けた内山家の大野屋は新時代を迎える。
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名君と言われる土井利忠の藩政改革を支えた財政は、大野藩の特産品の取引で作られた。
短期的施策と中長期の施策。通例、常識の枠を越えた投資。そして成功に導く実行力。今の日本にも゙欲しいねぇ。 -
「米」本位制から脱却できなかったことが、武士の時代の終焉に繋がった。
日本史の授業に出てくる「○▲改革」は緊縮財政ばかりで積極財政は稀なのだろうか。
経済発展の段階というものを考えれば、現代の感覚で批判しても詮無い事だが。 -
お金のやりくりの話が多いから 読んでで自分まで財布の紐を締め直してしまう
七郎右衛門は幸せな人生だったなぁと。中々こんなにいい上司?には出会えない
幸せ者だ。 -
2023年1月4日購入。
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実在の大野藩の財政を立て直すべく奮闘する七郎右衛門。
主君土井利忠の政策の断行や部下への思いやりあふれる魅力的な人柄への忠誠心。
銅山で新たな坑道を探す挑戦、新しい学問所の開設。
そんな七郎右衛門が周囲の嫉妬を受けてひどい目にもあったりするなんて、理不尽すぎる。
不可抗力みたいな災難がふってきたりするし。でも、それに対する七郎右衛門の反応に悲壮感がないのは救いだった。
幕末から明治にかけて、長い長い時間をかけての2人の戦いを読み終えて、ほーっと大きく息をはいていた。
本当に、お疲れ様でした。
テーマゆえではあるのだろうけど、七郎右衛門の妻の存在感が薄かったかな。 -
【新時代を生き抜くヒントここにあり! 幕末最強バディ小説】借金を繰り返す殿・利忠。七郎右衛門は呆れながらも、藩の財政再建を成し遂げようとしていた。そんな中、黒船が襲来し、激震が走る!
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畠中恵の作品
