- 文藝春秋 (2023年1月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167919863
作品紹介・あらすじ
●第11回大阪ほんま本大賞受賞作!
高度経済成長期、義父との結婚を迫られたルーは
キャバレー「グランドシャトー」の
No.1ホステス真珠の家に転がり込む。
ふたりは姉妹のように仲睦まじく暮らすも、
莫大な稼ぎがあるはずなのに
下町の長屋に居続ける真珠を
不審に思ったルーは、彼女の過去を探るが――。
“男の作った城”キャバレーが街と女の生き様を照らす、
これは“ひかり”の物語。
みんなの感想まとめ
多様な人間模様と時代背景が織り成す、キャバレーを舞台にした物語が描かれています。主人公ルーは、義父との結婚を逃れ、キャバレー「グランドシャトー」に身を寄せることで新たな人生を切り開こうとします。彼女の...
感想・レビュー・書評
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通勤で使う京阪電車が京橋駅に滑り込む直前、読んでいた本から目を上げれば、窓の外に見える色褪せた黄色いビル、それが「グランシャトー」。
そこにはついこの間まで(と思って調べてみたら8年も前だった)「ナイトクラブ香蘭」というのがあったよねえ。そこをモデルにして書かれたと思しきお話。
義父との結婚を迫られ家を捨てキャバレー「グランドシャトー」に転がり込んだルーと、彼女がねえさんと慕う№1ホステス真珠の物語。
『みんなが焼け野原から鉄くずを拾って闇市をつくり、あっという間にコンクリートで覆いつくした京橋』の雰囲気がよく表され、当時のキャバレーの様子もよく分かる。
描かれる時代や風俗に加え、京橋や中崎町などよく知った場所が出て来ることもあって、まずまず面白く読めた。
型破りなルーの生き方の中に見える、当時の社会における働く女性の立場や見られ方に対する反骨心が痛快。
莫大な稼ぎがあるはずなのに下町の長屋に居続けた真珠だが、最終盤で明かされた、その清貧な生き方にも心を打たれた。
本の中のグランドシャトーのテーマソングは別のものだったが、脳内には“京橋は~♪”で始まる曲が流れ続けていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
入社して間もない頃、上司に連れられて行ったミナミのキャバレーの雰囲気を思い出した。かなり昔の昭和感がすごくて、大きな舞台がありボックス席が大量にあって、少し宮殿っぱい雰囲気にすごく圧倒された。あの頃の上司と共に懐かしく思い出された。
主役のルーは、悲惨な子供時代を過ごしたにもかかわらず、常に前向きでどんどん自分の思うがまま進んで大物になっていく姿が、見事に描かれていた。真珠ねえさんの一生は、なにか悲しい人生に思ったが、すごく心に残る作品だった。 -
Osaka Book One Projectによる「大阪ほんま本大賞」
大阪の本屋と問屋が”ほんまに読んでもらいたい大阪ゆかりの本”を選ぶ。
大阪及び関西近隣エリアの本屋さんが力を合わせて受賞作を売り
その収益の一部で大阪府の児童養護施設に本が寄贈される。
選考条件は
・大阪に由来のある著書、物語
・文庫本
・著者が存命であること
毎年、天神祭りの日に発表されるこの賞も今年で11回目。
今年の大賞は、高殿円さんの
『グランドシャトー』
高度経済成長期、
義父との結婚を迫られたルーは
キャバレー「グランドシャトー」のNo.1ホステス真珠(しんじゅ)の家に転がり込む。
姉妹のように仲睦まじく暮らすも、
莫大な金を稼ぎながら下町の長屋に居続ける真珠をルーは不審に思い過去を探るがー。
”男の作った城”キャバレーが町と女の生きざまを照らし出す、
これは”ひかり”の物語。
(文庫裏表紙より引用)
『グランドシャトー』
タイトルを見て、私の頭に浮かんだのは
「ん?”グランシャトー”ではなくて”グランドシャトー”?」
グランシャトーは大阪、京橋にある総合レジャービル。
その中に、キャバレーが入っていた。
京橋はええとこだっせ、グランシャトーがおまっせ♬
関西人なら知っている人が多いであろうCMソング。
1980年代まで深夜帯を中心に放送されていたようだ。
私、今でも歌えるわ。。。
てっきりキダタローさんの作曲だろうと思っていたら
作曲者不詳になってて、ちょっと驚いた。
小説『グランドシャトー』は
まさにこの京橋”グランシャトー”がモデルになっている。
産経新聞・大阪版で連載されていたこの小説。
著者の高殿円さんはインタビューで↓のようにおっしゃっている。
大阪でキャバレーの話を書こうと思ったら
千日前か京橋だなあと思っていて。
そこで京橋にしたのは、もちろんグランシャトーがあるからなんですけど、
もう一つの理由は1945年8月14日、
終戦の前日に1トン爆弾が落ちて一度灰の街になったことが大きいですね。
前日なんて日本はもう降伏していたはずなのに、なぜ…。
そこからコンクリートを敷き詰めて、
闇市が立って、あっという間に歓楽街になった。
都心なのに長い間爆弾が埋まっているということで再開発もされず
そのまま手つかずだった元陸軍の施設がすぐそば。
大阪の中でも一番古き良き、
そして何でもありな五目めしみたいな感じが残っています。
でも、そういった京橋の良さもいつかはなくなる日が来るんじゃないかと思って。
それなら、私が覚えているうちに書き残そう、
キャバレーがまだなくなっていないうちに書く意味があるんじゃないかと思いました。
(引用:本の話〈高殿円インタビュー〉消えゆく文化、キャバレーを書き残したい)
主人公ルーはこの目まぐるしい変化の時代を
キャバレーで生き抜いてきた。
そこはまさに戦場だった。
その「グランドシャトー」に足を踏み入れる前から
ルーの人生は過酷だったけど。
自分は昭和世代だと思っていたし、今も思っている。
だけど、私の知る”昭和”はいつも”ひかり”が当たっていた。
当たり前だと思っていたそのことは
実はとても恵まれたことだったんだ。
ルーは”ひかり”を求めて強く生きていた。
ずっと、ずっと。
読みながら、ルーの悲しみ、悔しさが伝わってくることが何度もあった。
そして、ルーの強さに喝采を送ることも。
知っているつもりでいた
あの時代の大阪を追体験しながら
ちょっと懐かしい気持ちになっていた。
読み応えのある一冊だった。 -
矢継ぎ早に繰り出される大阪弁が、耳元でずっと聞こえている。
京橋という街で存在感を放つキャバレーの、きらめきと喧騒が目に浮かぶ。
ルーのたくさんの言葉や、行間からさえあふれ出てくるような強い気持ちが熱くて、応援したい気分になりながらぐいぐい読んだ。
仕事に誇りを持ち、性別による差が社会の中にあると分かりながらもひざを折らないルーの、なんとまぶしいことだろう。
「にせもんでもいい、あれは光や。あの光の行き着く先はカネで、だけどカネになると不思議とちいとも光らん。――可能性、望みこそが光だ。」
キャバレーというビジネスの栄枯盛衰が描かれているのも興味深かった。戦後の発展、バブル、不景気。家電の登場やさまざまな新しいモノにより、キャバレーだけでなくたくさんのビジネスが変化し生まれては消える。どの時代でも止まることのない経済の流れの中で、ルーはひたすら前を向いて歩いて(走って)いた。
そして、そんなルーと対照的な真珠ねえさん。あらすじや帯文では真珠の抱える秘密がフォーカスされているが、実際ルーがそれを探ろうとするのは後半の後半。ひとにはそれぞれ事情がある、ただそれだけのことと思ってお互い干渉しすぎずにふたりはずっと暮らしてきた。
ある意味戦後から離れられなかった、立ち止まってしまった真珠の姿は、理由を知れば悲しいものだけど、歩き続けるルーのオアシスでもあった。長屋での生活を持っていたからこそのルーのまぶしさであると思うと、やさしいあじさい、たたずむ地蔵さんのような真珠との強い結びつきこそが、悲しさよりもずっと、胸にしみる。 -
高度経済成長期の大阪、キャバレー「グランドシャトー」を舞台に描かれる、ホステスの真珠とルーのシスターフッド・ストーリー。
家出同然で大阪に出てきた、上昇志向の強いルー。No.1ホステスながら謎が多く、下町の長屋で慎ましく暮らす真珠。ルーがその長屋に転がり込み、仲良く過ごす描写が、とても好きだ。対照的なのに相性のよい2人。ぶっちぎりでNo.1を張る真珠を追うように、頭の回転のよさでめきめきと順位をあげていくルー。当時の大阪の時代背景も興味深く読んだ。キャバレーがどんなに眩く華やかな世界だったのかも。
とある夢のためがむしゃらに働くルーだが、まさかの展開が…。そこからのルーの八面六臂の活躍ぶりはとにかく痛快。そして、明らかになる真珠の過去…。
クライマックスは胸が締め付けられる。煌めきと悲しみで彩られた昭和~平成の大阪がみっちり堪能できる、人生の光と影がくっきりと描かれた物語だ。 -
高度経済成長期の日本の様子がよく分かります。ちょっと時代の説明が多く感じ、物語にうまく入り込めなかった部分もあり…
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よく知ってる京橋や中崎町が出てきて嬉しかった。
古地図が好きな私は、昔はこんなんやったんやなぁと想像しながら読むのも楽しかった。
ルーのどぎつい大阪弁も軽快でスカッとするし、なんせ大阪大好きな私には大阪ほんま本大賞バンザイやった!
大阪人の人情や深さは今も失われずにあると信じたい。
家族に恵まれなかった2人やけど、真珠ねーさんとルーの関係が心温まり、羨ましくもあった。 -
昭和から平成という時代を背景にした、ヒロインとその傍らに在った人物の一代記であると同時に、社会や風俗の移ろい、大阪の京橋やそこから然程遠くない地域の変遷が描かれているような、味わい深い小説である。
<大阪ほんま本大賞>という賞が在るのだそうだ。2013年に「大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本」を択んで紹介するということを始め、毎年続けており、2016年の第4回からはこの賞を<大阪ほんま本大賞>という呼称に確定して現在に至る迄続いている。
この賞の選考対象となるのは「大阪に所縁の在る著者、物語であること」、「文庫であること」、「著者が存命であること」の3つの条件を満たす本ということになっているそうだ。要は、「大阪に所縁の内容である文庫本」で「御薦め!」を大阪の書店関係業界の皆さんから成る選考委員会で択んで推薦しようということなのかもしれない。
些か失礼ながら、個人的には本に関して「〇〇賞」というような事柄は然程気にしない。本書に関しては、時々愉しく拝見している、大阪の色々な話題を綴るブログで紹介されている記事を拝読し、面白そうだと思ったから手にしたのである。
大阪の京橋と聞けば、個人的には、大坂城を訪ねた際に京橋駅を利用したというようなことを思い出す。京橋駅側から大阪城の天守閣が見えるような辺りに歩を進めると「砲兵工廠跡」という碑が在ったと記憶するが、京橋辺りは大きな軍需工場が在って、戦時中には激しい空襲に晒された経過が在る。そうした場所が色々な変化を遂げている。現在の京橋お辺りは、高層のオフィスビルが林立して「大阪ビジネスパーク」と称している場所にも隣接している感じで、街の様子が移ろった“振幅”が大き目な地区と言えるかもしれない。
本作は、実在したレジャービルをモデルにしているらしいのだが、京橋のキャバレー「グランドシャトー」を舞台にした物語である。
本作のヒロインのルーは、母親の再婚相手の両親が、母親が妊娠しないのであればその娘である彼女と結婚させると言い出したという事態を受け、とりあえず逃げることになった。そして大阪に辿り着き、何とか生きて行くということになるのである。
大阪で懸命に生きようとするのだが、色々と巧く行かずに苦労していた中、ルーは「グランドシャトー」で働くことになる。そして街で出くわした女性が、真珠という源氏名で働く「グランドシャトー」のナンバーワンで、思わぬ再会をした。やがてルーはこの真珠との深い関りで生きて行くこととなる。
本作の“主旋律”は、昭和30年代半ばから昭和40年代半ばの頃、更に平成初期に至る迄のルーの生き様なのだが、「キャバレー」という業態の娯楽産業の変遷、社会変化、街の様子の変化、真珠が秘めている事柄等の様々な“旋律”が巧みに絡み合い、「交響楽」の様相を呈していると思う。これは、大阪の書店関係業界の皆さんから成る選考委員会で「大阪に所縁が深い内容の御薦めな一冊」として択んだのも納得出来る作品だ。
本作では大阪の中の地名が色々と出ている。何れも立寄った、または通り過ぎたことが在るような場所で、過去の時期の様子が判って興味深かった。或いは、また大阪を訪れるようなことがあれば「『グランドシャトー』で言及が在った…」と何処かで思い出すかもしれない。
なかなかに好い作品に出遭えたことを歓びとしたい。紐解き始めると、頁を繰る手が停められなくなってしまい、一気に読了に至った。 -
BK制作の朝ドラと同じ匂いがした。本作で語られる時代の文脈や人々の息遣い、光の濃淡が朝ドラのそれとほとんど同じ。ただ一つ違うのは、主人公がキャバレーのホステスで、絶対に朝ドラでは取り上げられないだろう題材だということだ。
朝ドラは、本物の光の側を生きる人々しか主人公になり得ないが、本作はにせものの光に縋るしか生きる術を持たない人々にスポットライトをあてた。不幸なことから夜の世界へ足を踏み入れることになるも、持ち前のキャラクターと負けん気でのし上がる主人公のルー。一方、店のナンバーワンでありながらも貧乏暮らしを続け(この理由は最後に明かされるのだが)、ルーに「ねえさん」と慕われる真珠は、裏主人公と言って良いだろう。この2人が織りなすシスターフッドも見所のひとつだ。
戦後から高度経済成長期、バブル期、そして平成初期を生き抜いた、2人の女の生き様が凝縮された見事な小説だった。 -
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何とも濃ゆい人生を生きた二人の女性。
それぞれ家族に恵まれす流れ着いたキャバレーに居場所を見つけ、お互いの存在に癒やされていたように思う。
二人共タイプは違うけれど凄く個性的で格好いい。
きっと辛いことの方が多い日常の中で、チャンスを逃さずのしあがっていく。
かといって手に入れたものに執着せずにやりたいことをやる。
信念があって、本当に格好よかった。 -
大阪の魅力がぎゅぎゅっと。もっと好きになりました。いやー、昭和の感じも素敵やわ
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旅先で「大阪ほんま本大賞」の帯を見つけ、折角の機会だと思い購入しました。
キャバレー「グランドシャトー」で働く2人のホステスを軸に、高度経済成長期から平成初期までの大阪・京橋の歴史をたどる、激動の時代を生きた女性たちが"ひかり"をつかむ物語。
主人公・ルーの過酷な家庭環境の中で必死に生き抜いてきた強さと爽快な大阪弁に元気を貰い、そんなルーを救った先輩ホステス・真珠さんの何があっても優しく見守る温かさに心が救われ、2人の地蔵長屋での生活に癒されて。
普段の私なら手に取っていないジャンルだと思うので、本大賞をきっかけに出会えて心から良かったと思える作品でした。
No.1ホステスの真珠さんがどうしていつも同じ衣装で、地蔵長屋での質素な生活を続けているのかの真相を知った時、涙が止まりませんでした。
"ずっとしんどいのがいちばんあかん。"
私も誰かに貰った優しさを、他の誰かにもかけてあげられる人になりたいと思えました。 -
いつも立ち寄る本屋さんに『大阪ほんま本大賞受賞作』として陳列されていて、華やかなイラストが本棚一面を埋め尽くしていたのが圧巻で、思わず手が伸びた。
大阪人にとっては、幼い頃からテレビをつければ否応でも目にした「グランシャトー」のCM。
CMキャラのリリアンさんが強烈なインパクトを与え、夜の時間帯にしか流せない怪しげな面白さがいつまでも記憶に残る。
本作は、実在した「グランシャトー」をイメージしたキャバレーを舞台に昭和から平成にかけて苦難を乗り越え、深い絆を深めていく2人の女性の物語。本当に実在したかのような人物像の描写にグイグイ惹き込まれ、赤の他人同士が家族以上にここまで信頼や尊敬し合える関係にとても胸が熱くなり、羨ましくも感じた。
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大阪のキャバレー、グランドシャトーのNo.1とNo.2のホステスの人生、生きざまを描いた物語り。プロローグは全編読み終わって読み返すとまた違った見え方がする秀作です。普段、知らない世界を垣間見るワクワク感は高殿さんの作品の随所に表現されていて読んでいて流石というか、とにかく面白いです。
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にせもんの光でも、光なん?(p.176)
〔Ⅰ〕ルーの波乱万丈。真珠に拾われグランドシャトーのナンバー2として五年、東京の有名タレントとして二十年、戻ってきて沈没寸前のグランドシャトーをたてなおし七十二歳にして現役ホステス。
〔Ⅱ〕真珠はなぜかグランドシャトーにこだわっているようだ。ルーは真珠だけにこだわっておりそのためにグランドシャトー再建もした。
〔Ⅲ〕これはルーと真珠の物語。パワフルなルーと神秘的な真珠。ふたりは自分を曲げず生きる。そのいさぎよさに魅せられ、やがて哀しくもある。産経新聞やったかに連載されてたとき読んでたけどいっぺん通しで読んでみようと。
ここはキャバレーだ。踊りと音楽がすべてなのだ。(p.11)
ええか、キャバレーっちゅうのは大阪の生まれや。(中略)楽しいことはみぃんな大阪から始まったんやで!(p.12)
ここにいるすべての女が、いつかの自分だ。(p.83)
ルーがここから離れないのは、金というものが生み出す希望に目がくらんでいるからである。(p.93)
夢と金が同じものだった時代。(p.93)
ホステスの言うことは、どこまでが本当でどこまでが嘘かはそのときになってみないとわからない。(p.140)
にせもんの光でも、光なん?(p.176)
何でも教えてくれた。あのキャバレーが。(p.218)
浦島太郎はもとからじいさんやったんや。亀を助けて一時だけ、現実逃避をさせてもろただけ(p.262)
もううちしか残った花火をあげられへん。(p.279)
指輪のひとつやふたつ、この世とあの世のすきまに落っこちることもあるやろう。(p.336)
けれど、人も神さんも好きなように流れて集う。ここは街に流れる川の上やから。(p.351)
誰も彼もが楽なほうに生きたらええ。ずっとしんどいのがいちばんあかん。そうやな、ねえさん。(p.351)
■グランドシャトーについての簡単な単語集
【アキ】明広。ルーの弟。
【大路アキヒコ】ルーがグランドシャトーに来たときの支配人。オーナーに見込まれてやってきたやりて。
【川崎橋】ルーが真珠と出会った橋。どの橋や? と思って調べてみたらよく通ってる橋やった。
【北野病院】真珠が治療を受けている病院。実在。大阪では最も評判のいい病院かもしれない。
【グランドシャトー】大阪京橋にあるキャバレー。ルーが入った頃は百五十名のホステスがいた大キャバレー。モデルは当然「グランシャトー」でしょう。現在すでにキャバレーはなくなっていますが器はいまだ健在で他のことをやってはります。一度も入ったことはないけど大阪人なんで若い頃しょっちゅう、コメディNO1のお二人が踊ってるテレビCM観てました。売春等はせず、客が健全に(?)チークタイムで踊ったり疑似恋愛を楽しむ店というイメージ。ちなみに今これ書いてるのはグランシャトーから歩いて数秒のとこにある喫茶店。呑兵衛ではないけど、京橋はホームグラウンドのひとつで僕にとっての「大阪」。あとは天王寺と梅田(ずいぶん雰囲気違うけどそこもまた、大阪。
【地蔵長屋】ルーが真珠とともに暮らすことになった。両端に地蔵がある。真珠は毎日地蔵をきれいにしている。
【真珠】ルーが若かった頃の憧れのホステス。稼ぎは国会議員以上。いつも黒のベルベットロングドレス。お腹が空いていそうな人や動物を見かけるととりあえず持っているお菓子を与えてしまう。よくわからない性格で天然ボケ系なのか外国人なのかとか想像してみているが。
【隅田】ボーイから二十五年のたたき上げ。
【チキンラーメン】ルーと真珠の絆のひとつ。
【TOOKO】ルーが見つけてきたシンガーソングライター。モデルというのではなくイメージ的にはaikoさんかな。
【中崎町】ルーと真珠が暮らす寮があった。梅田に近いけど、かつてはここに描かれたように下町というか場末感あふれる場所やったんやけど梅田の広がりとともにそういうのを好む意識高い系の人たちのおかげで(?)今はずいぶんおしゃれな感じになってきた。ちょっと残念ではあるけど、悪いことではないんでしょう。
【ナギサ】ルーが入った日に真珠のツナギをしていたホステス。ルーをうっとうしがってる感じ。
【成島】オーナー。若ボン。
【弾き語り】ルーはグランドシャトー再建作戦の中で路上で弾き語りしてた〈オトムライ〉=隅田慎滋と〈売れ残りバンド〉をスカウトした。今ならあいみょんさんなんかも目をつけられてたかも。
【ぽんせん】ルーと真珠の絆のひとつ。
【ヘレン】ホステス。ナンバー2の常連。
【まりん】ホステス。ふたり子連れ。寮で幅を利かせていた。
【ミキ】ホステス。あごに大きなホクロがある。
【ミミ】ホステス。ナンバー2の常連。
【やぐらソージ】歌手。贔屓していたルーが適当に歌ったメンショーのCMソングのフレーズをパクりそれがヒットしてなんとなく芸人扱いとなる。モデルというのではなくイメージ的にはやしきたかじんさんかな。
【ルー】主人公。現在七十二歳、伝説のホステス。この物語は十九歳の彼女がグランドシャトーにやってきた昭和三十八年(1963年)暮れから始まる。ダンスするのが好き。真珠を「姉さん」と呼び慕っている。母と弟の明広と洋平がいるが別離した。モデルというのではなくイメージ的には上沼恵美子さんかな。グランシャトーでナンバー2として五年やり東京に出てタレントとして二十年活躍、その後戻ってきて沈没寸前のグランシャトーを真珠のためにたてなおす。 -
装丁から想像していたストーリーとは違ったけど、元気いっぱいのルーが時代を生きているのが楽しかった。
今は当たり前にあっても、時代と共に廃れていくもの。
いつの間にか無くなってしまったもの。
そういう哀しさも寂しさもある。
地蔵長屋での丁寧な暮らしに、私は憧れる。 -
近くに住んでいたこともあり、地名や言葉含め読みやすかった。ストーリーも山あり谷ありで、大阪ほんま本大賞にハズレなしだ
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大阪人なら、行ったことはなくとも名前は知っている京橋グランシャトー。ずっと「グランシャトー」やと思っていたのに、えっ、「グランドシャトー」やったん!?と驚きながら読みはじめましたが、実存するのは「グランシャトー」ですよね。
どこまでがホンマなんですか。史実に基づいた小説を書くのがお得意な著者のこと、グランシャトーもそこで働く人たちにもきっとモデルがいらっしゃいましょう。
いわゆるお勉強はでけんかったとしても、人生の機微を知る人たちがここにおる。姫路から逃げてきて京橋にたどりつき、中崎町の長屋に居ついたルーと共に、何十年という時を私も過ごしたような気分になりました。
すべての光景を思い浮かべることができるからこそ浸れる小説だという気もします。大阪人以外の人が読んでも面白いのかどうかは聞いてみたい。 -
読み終えてすぐに大阪ミナミのキャバレーに行きました。
著者プロフィール
高殿円の作品
