乱都 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2023年4月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167920289

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

この作品は、応仁の乱以降の京を舞台に、裏切りや戦乱の中で生き抜く男たちの姿を描いた連作集です。特に、これまで脇役として描かれてきた人物たちが主役として立ち上がり、それぞれの思いや葛藤が丁寧に描かれてい...

感想・レビュー・書評

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  • 何気なく出くわした感の一冊だ。時代モノの小説である。以前にも作品を読んでいる作者なので「好さそう…」と思って入手したが、実に好かった。素早く読了に至った。
    「乱れる都」というような感の『乱都』という題名だ。物語の主要な舞台となるのは“都”たる京都である。
    全体として7篇の物語が在って、“序”や“幕間”という繋ぎの極々短い部分が在り、“終章”という篇が末尾に添えられる。或いは京都が「最も乱れた?」と言い得るような時期、応仁の乱からの概ね100年間というような物語である。
    7篇の物語には各々の中心視点人物(=主人公)が据えられている。畠山義就(はたけやまよしひろ)、細川政元(ほそかわまさもと)、大内義興(おおうちよしおき)、細川高国(ほそかわたかくに)、法華一揆に加わっていた商人の椿屋平三郎、足利義輝(あしかがよしてる)、足利義昭(あしかがよしあき)という7名の、時間を超えた中心視点人物(=主人公)が据えられ、各篇が展開し、この中心視点人物(=主人公)の物語、併せて彼らが生きた、或いは生きようとした時代の、“都”の宿命のようなモノ、彼らと“都”との関りというようなことが各篇の物語となる。概ね100年の「移ろう時代と、時代の中で確かなモノを掴んだのか、翻弄されたのかが判じ悪い人達の物語」という風情だ。
    畠山義就は「応仁の乱」の原因の一部になった人物であり、長く続いてしまった戦乱を駆けた武将だ。細川政元は「応仁の乱」の後の時代に謀略を巡らせた政治家だ。大内義興は周防国や長門国の大名として、京都の戦乱に関わる羽目になった。細川高国は細川政元の後の時代の混迷の中で台頭し、やがて排される人物である。椿屋平三郎は法華宗に帰依する商人だが、一向一揆や法華一揆が政争に巻き込まれ、武力衝突をした時期を生きるという羽目になった。足利義輝はそういう時代の後に幕府を建直すことを図って、やがて排される。足利義昭は、自身では期せずして、室町幕府の最後の将軍になった人物だ。
    「応仁の乱」を契機に「戦国」という局面に入って行くとされている。その「戦国」というような時期の「京都」を、7人の中心視点人物(=主人公)を介して描き出している。実に興味深い。
    他に個人的な話題を少し加える。少し以前に京都市山科区を訪ねる機会が在った。彼の地には「山科本願寺」が在ったことを紹介するパネルが掲出されているような場所が在る。政争、戦という中で一向宗や法華宗に帰依していた人達が軍事行動に巻き込まれて行く経過が描かれる篇が本作に在るのだが、現地で観たパネルの事等を何となく思い出していた。加えてその篇に登場する椿屋平三郎の店舗兼住宅が在る場所は「烏丸五条」ということになっている。最近、京都を何度か訪ねた経過で何度も歩いていたようなエリアだ。
    末尾に添えられた終章には足利義昭が登場する。畠山義就が駆けた「応仁の乱」以降の「戦国」が行き着いた先で、足利義昭が観たモノ、感じたことは何だったのか?そこへの時間旅行という感の作品だと思う。御薦め!!

  • この作品は、表現がむずかしいけど、非常に興味深いものだ。足利義輝は別として、僕が今まで読んできた小説の中で、脇役だった人物が主役であり、それぞれの思いを持って生きていたことがわかった。特に畠山義就については、よく目にするけど、全く実像が分からなかったので、長年の懸案が1つ解決した。

  • 応仁の乱以降の京について、ある時は将軍の目線で、またあるときは将軍と関わりのある人物の目線で描かれており、都の魔力に当てられた人々の姿がとても読み応えがあった。
    また、それぞれの話が少しずつつながっていっており、そこもまた面白かった。

  • 【応仁の乱にはじまる《仁義なき戦い》】応仁の乱から室町幕府の終焉まで、裏切りと戦乱の坩堝と化した京に魅入られ、争いに明け暮れた男たちの生き様を描く連作集。

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著者プロフィール

天野純希
1979年生まれ、愛知県名古屋市出身。愛知大学文学部史学科卒業後、2007年に「桃山ビート・トライブ」で第20回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞を受賞。近著に『雑賀のいくさ姫』『有楽斎の戦』『信長嫌い』『燕雀の夢』など。

「2023年 『猛き朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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