クロワッサン学習塾 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2023年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167920548

作品紹介・あらすじ

教員をやめ、小学4年生の息子とふたり、
東京から地元に戻った黒羽三吾は、
父が営むパン屋で働きはじめる。

店で起きた万引き騒動をきっかけに、
ある少女と話をした三吾は、
彼女が学校の宿題で少し困っていることを知る。
かつての教え子の姿が心に浮かぶ三吾。
勉強を見てあげようか、と提案するのだが……。

さらに、息子の親友になった少年は、
自分も気づいていない、ある困難を抱えていた。

教員時代の後悔を胸に、人生の岐路に立つ三吾と、
学校や家で、ちょっと困ったことがあるのに、
言葉にできない子どもたちが、
「学ぶこと」の意味を探しながら成長する、
あたたかな物語。

みんなの感想まとめ

教育と成長をテーマにした物語で、元教師の三吾が息子と共に地元に戻り、父のパン屋で働きながら学びの場を提供する様子が描かれています。万引き騒動をきっかけに、困難を抱える子どもたちに寄り添い、彼らの成長を...

感想・レビュー・書評

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  • 元教師の三吾は、小学4年の息子を連れて実家に戻り、父が営むパン屋で働く。
    息子と同じくらいの少女がパン屋で万引きをするところを見てしまい…。
    その騒動をきっかけに母親が宿題を見てくれない、ということから自分にできることがあるはずだと思い、その母親と多少のいざこざ的なことがありつつも店の定休日に学習塾的なことを始める。
    他にも息子の同級生が、ディスレクシアだと気づいたり…。

    元教師ということもあって、子どもに対してどうすればいいのかとか、取り返しのつかない状態になる前に避けれたらという思いが伝わってくる。

    ちょっと説教くさいところやボランティア精神が強いのでは…と思うところも三吾だからか。



  • ☆4.5

    タイトルやあらすじから、元小学校教諭である三吾が、パン屋さんで働きながら塾を開くお話なのかなぁと思いながら読み始めたのですが、気付かされることや考えさせられることがたくさんあるそんな物語でした。

    ミステリー要素もあったり、子供たちの成長を感じられたり、心に響く言葉がたくさんあったり…と1冊でとても楽しめる作品でした!

  • パン屋さん要素はあまり感じられなかったような…
    もちろんパンは登場するけれど印象に残らない感じ。
    元教師要素が強かったです。

  • 「ねぇ、なんで勉強しなきゃいけないの?」
    と子供に聞かれた時、ちゃんとした答えを言える大人はどれくらいいるんだろう。
    私もこの本を読む前は、「勉強をしないと苦労するからだよ」と、あやふやな回答しかできなかった。
    だが、主人公の黒羽三吾の答え方を読んで、私はやっと納得する答えを見つけたなと思った。

    小学生の頃って、なぜか分からないが、親に内緒で危ない行動をしたい気持ちがある。(私は、特に何もしなかったはず…。)
    だからか、息子の真司が親に内緒で冒険に出かける物語を読んで、ちょっと懐かしいなと思った。
    激しく叱咤するのではなく、行動を客観的に振り返りながら、良い点・悪い点を息子自らに考えさせる、こういう怒り方も良いなと思った。

  • 教員を辞めて家業のパン屋を継ぐために、小4の息子と実家へ戻ってきた黒羽三吾。そこで万引きをした少女・一条茉由利が学校の宿題で困っている事を知り、無料塾を提案するが…

    ほのぼのしている様でかなりビターなストーリーでした。
    かつての教え子を救えなかった贖罪、そして教師と言う職業の疑問。奥さんと別れた経緯にはあまり触れていませんでしたが、子供が父親についてきたのがちょっと意外でした。そこら辺もう少し掘り下げて知りたかったです。

    教師を辞めたからこそ見えてきた「学ぶこと」が、とても考えさせられました。

  • 元小学校教師のパン屋のおやじが、紆余曲折あって無料の学習塾を開く話。もうちょっとパン屋部分をクローズアップしてほしいところだったけど、基本的には子どもたちの問題と教育論が多め。
    クロワッサンがパンのクロワッサンでなく三吾のあだ名なのは承知の上で、クロワッサン(パン)の影薄すぎない!?なんかもっと事あるごとにクロワッサン出してくれてもいいんだよ!?
    学習塾も、学習塾でのお話というか学習塾に誘う経緯がメインなのでタイトルから期待したものとはちょっと違うなという印象。面白かったんだけどね。

    山に住み着いてた近藤が安易に立ち直らなかったの、物語としては収まりが悪いかもだけど個人的には良かった。そんな簡単に立ち直れる人間ばっかじゃねえだろと思うので。

  • パン×教員

    全然絡むことのない2つのものがどんな風に絡むんだろう、、、(  ૢ•̅_•̅)と思っていたのですが暖かく時には深刻なシーンもあり面白かったです。

    元教員としての視点や母親の視点、両方が読めて良かったです。

  • 元教師が実家のパン屋を継ぎ、修行中の中、勉強を教えたり、パン屋とは関係ないことでいろいろと奔走する話。
    勉強を教えてもらえてパンも食べられる、羨ましいです。

  •  郊外のパン屋を舞台に繰り広げられる、教育に纏わるハートウォーミングストーリー。
     元小学校の男性教員が職を辞して、実家のベーカリーを継ぎ、父と息子の三代で暮らしながら修業しつつ、町の人々と関わり、無料の学習塾を開いて子供たちを支えてゆく。
     教師の役割、親の役割、そして、子供の成長と、学ぶことの意義が問われる。
     勉強に悩む子供の姿を等身大で描きつつ、各家庭にも事情があり、葛藤があることを丁寧に追っており、誰かしらに共感しやすい構図になっている。
     やがて、多忙な教員時代の袋小路の想いと信念が、主人公の試行錯誤を通して、或る一つの理想像として結実する。
     思うに、学ぶとは、手段を知るための道筋なのではないか。
     大人になる過程で、働いていく上で、壁や困難に遭うのは、ほぼ必然。
     そんな時、ただ諦めたり、失ったり、追い込まれてしまう前に、何とか足掻き、考慮し、工夫し、這い上がり、道を切り拓いていくための「思考の充填」こそ、学習の意義ではないかと考える。
     勉強は、手段であって、目的ではない。
     人生を豊かに、個々の思いや夢を実らせていくための、「心の武器」になりうるものだと思う。
     学べる環境を整え、学びを手助けする先達が導き、そうして、人間社会は発達してきたのだから。

  • 無料のボランティアが余計胡散臭く思えることって確かにある。難しい。パン作り楽しそう。

  • 日本の教育制度や担任による指導の限界を探り、元教員である主人公がそれをアシストする、という物語。おもしろい。教育とは何かを考えられる。

    p.52
    地域差はあるのだろうが、自分が子どものころ、宿題の丸つけを親にやってもらってから提出する、というやり方はなかったように思う。教員になるために勉強しているとき、最近はこういう方法が出てきていると知ったのである。
    理由はさまざまにあり、親自身に学習に参加してもらうのが大きな目的のひとつだろう。通知表の数字や教師の評価だけでなく、自分の子がなにが得意でなにが苦手かをじかに知ってもらい、親子による学習の機会を促すためである。親の負担は多少増えるが、子どもにとってもうまいやり方だと思う。

    一方で、教員の負担軽減という側面も一部にはあるだろう。確認するだけなら時間も手間もかなり省ける。もっとも、きちんと見ようとすれば親による丸つけの有無にかかわらず、時間はかかるものだ。
    子どものためにと使命感を持って、丁寧な仕事をしようと思えばいくらでも時間と手間はかけられるし、楽をしようと思えば手を抜くこともできる。いずれも給料は変わらない。余分にかけた手間の対価は笑顔や感謝など無形のもので、それすらないことのほうが多い。子どもの成長という、ほとんどの場合は確認のしようもない充実感、あるいは自己満足。
    それが教員の仕事であり、現実でもある。
    わたしを指導してくれた先輩教員も、積極的に親を宿題に巻き込む主義の人だった。
    比較的早く実践していた人物かもしれない。
    その理念は賛同できるものだったので、べつに楽をしたいからとかではなく、わたしもまた親に丸つけをしてもらったり、確認してもらったり、親子で取り組むような宿題を積極的に出していた。

    p.56 ったのではないか。
    学校からドロップアウトしたこと自体が悪いとは思えない。学校など必要のない人間もいるし、外で学ぶ方法もある。けれど彼女は、松村結梨は、自分の人生を修正する力を持てなかった。助けを求める方法を知れなかった。
    教育とはなんなのか。
    学習とはなんのためにあるのか。
    割り算なんてできなくたっていい。電卓のほうが百倍速く、正確にやってくれる。県庁所在地なんて知らなくたって困らない。ネットですぐに調べられる。
    でも、だからといって学習が不必要だなどとは思わない。学習は知識でなく、その先にある”考える力”を、究極的には“よりよい人生”を掴むためにあるものではないの
    か。
    なぜ自分は、日本の学校は、彼女にそれを与えることができなかったのかー。

    p.254 後悔、葛藤、やり残したこと、正直それらは山ほどある。
    教育とはなにかー。
    教員時代に見出せなかった答えを、いまも追い求めているのかもしれない。はっきりした答えは、きっと一生かかっても見つからない気がする。けれど見つけようと試行錯誤することに意味があるのではないだろうか。
    この学習塾は、その答えを見つける旅の出発点になるんじゃないか。そんな予感がしていた。

  • 美味しいパンが食べたくなった。

  • 神奈川県三浦半島、横須賀市に近隣する農地の広がる住宅街のクロハ·ベーカリー
    三吾は教員を辞めて
    小4の息子の真司と地元に戻って
    父が営むこのパン屋で働きはじめる
    そして無料で
    真司の友人達に勉強を教えることになる

    学ぶとは何かを考えさせられる
    子供達と三吾の関係が大人と子供ではなく
    人間と人間の関係で
    お互いがプラスにはたらく関係になっていて良い
    少しミステリーな部分もあり
    続編も少し気になった

  • 主な登場人物は元教員の三吾と、小学四年生の息子真司。真司の友達の隆之介、隣のクラスの茉由利。

    三吾の元教員という経験からの話や、教育に対しての見解などが、興味深く、また、共感する内容だった。
    三吾の父で真司の祖父である康太郎が、孫の真司との会話の際にジェネレーションギャップを感じさせるのも、康太郎の年代を感じて良い。

    幻冬舎文庫の、遠藤彩見著「給食のおにいさん」シリーズを読んだことがあるが、似通ったものを感じた。
    どちらも「教育」が関わる本なので、当然といえばそうである。

    伽古屋圭市さんの作品を読むのは初めてでした。
    面白かったです。続刊が出ることを期待します。

  • 帯に「中学入試で出題」とあって
    登場人物のメインも小学生だったので
    気になって読んでみました。

    実家のパン屋を継いだ黒羽三吾は
    もと小学校教師で息子がひとり。
    ようやく新しい仕事にも慣れた頃
    毎朝店を訪れる小学生の少女が
    万引きをしていると確信する。
    おおごとにならないうちに
    少女と話をしようとする三吾だが。

    という事件から始まって
    その子の生活環境を知ってしまい
    「息子の宿題のついで」という形で
    勉強をみてあげるという話になる。
    とはいえ、このご時世(−_−;)
    何か目的があると勘ぐられてしまうのよね。
    そんな父親のため、少女自身のために
    息子と、その友だちとで
    ある謎を解くところも、おもしろかったです。

  • 茉由利の母に深く共感した。シングルマザーで生活もいっぱいいっぱいなのは容易に想像できるはず。それなのに10年も教員を勤めていて、もっと勉強を見てあげてくださいってよくも初対面で軽々しく言えたもんだなと初っ端からドン引きしたし、三吾の力不足をひしひしと感じた。
    そこから話はとっ散らかっていって、パン職人にしても中途半端、塾も全て三吾の自己満足でしかない。
    第四話も全体として見ればこの件は必要なのかはてなが浮かぶ所だが、子どもたちの冒険としてはとても面白かった。

  • パン部分はあくまで職業で、基本元先生として子供を教え諭す事がメイン。
    過去の後悔もあり、息子と一緒に教える事もあって、子供に対して真剣かつ真摯に向き合っているのが伝わる。きちんと言葉にしてくれるので素敵な大人だなと思います。

  • タイトルからもっとゆるくほのぼのしたストーリーを期待してたんですが、思ったよりダークな感じでした。
    元教師の目線で色々な物事を捉えていく、そんな感じがしました。

  • この本には「パンもの」「学習塾もの」という二つの期待があったはずなんだけど、まずパン小説としては本当に「地方にある普通のパン屋」レベルの描写しかないのがBad。このパンが美味しそうとか、タイトルにあるクロワッサンに強い拘りが……とか全くない。そもそもクロワッサンほとんど出て来ないし。

    塾の描写もかなり浅い。パン屋に無料の学習塾を作るという設定が中々無理筋だったのか、塾成立まで時間が掛かったのも気になったが、なんといっても肝心の塾で過ごす時間が短すぎる。これは作中の時間経過が少ないせいなのかなと。塾で学んだ成果が子供達に全然出て来ない。
    また元教師の主人公が万引きをしていた子供の親に無許可で勉強を教えて、それがバレて親に謝りに行ったときに悪態をついたのは正直ない。毒親というほど相手の親が悪人ではなかったこともあって、これでは主人公の不審者度が勝ってしまう。

    そして全五章のうち、二章が少年探偵団の描写に割かれていて、本当に書きたかったのはこっちじゃないのという感じがアリアリ。ただパンでも塾でもなく、ポッと出の事件の、どうでもいい内容の少年探偵団を見せられても全く面白くない。

    かなり無難寄りな小説なんだけど……合わせ技一本で星1か。
    不快感があるとか疑問が残ったとかではなくて、単純にしっかり出来が悪すぎる…。

  • パン屋×教育。
    とても興味深いお話で、教育者として学ばされることがたっくさんあった。。学ぶってどういうこと?を再確認するためにまた読みたい。

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著者プロフィール

1972年大阪府生まれ。公務員退職後、『パチプロ・コード』で第八回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し2010年にデビュー。

「2017年 『散り行く花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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