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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167920746
作品紹介・あらすじ
日韓併合下の釜山沖の小さな島、影島。下宿屋の娘、キム・ソンジャは、粋な仲買人のハンスと出会い、恋に落ちて身籠るが、実はハンスには妻子がいた。妊娠を恥じる彼女に牧師のイサクが手を差し伸べる。二人はイサクの兄が住む大阪の鶴橋へ。しかし過酷な日々が待ち受けていた――。全世界で共感を呼んだ大作、ついに文庫化!
みんなの感想まとめ
激動の時代を背景に、異国でたくましく生きる韓国人の数奇な人生を描いた作品は、心に響く物語が展開されます。主人公キム・ソンジャは、恋に落ちた仲買人ハンスとの間に子を宿しますが、彼には既に家族がいることを...
感想・レビュー・書評
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ミン・ジン・リー『パチンコ 上』文春文庫。
祖国から日本に渡った韓国人の数奇な人生を描いた大河小説。韓国版の『おしん』という感じのストーリーである。噂通り面白い。
激動の時代の中で祖国に別れを告げ、日本という異国の地で逞しく活きる韓国人。戦時中は日本人も韓国人に負けず劣らず逞しかった。今の時代、軟弱な多くの日本人は言葉もままならない異国で暮らすなど不可能だろう。
日韓併合下の釜山沖に浮かぶ小さな島、影島で下宿屋を営むキム・フニはヤンジャを嫁に迎え、ソンジャという娘をもうける。しかし、ソンジャが13歳の時にフニは結核で静かに息を引き取る。その後もヤンジャは娘のソンジャの手を借りながら、下宿屋を続ける。
17歳になったソンジャは、34歳の仲買人コ・ハンスと恋に落ちて身籠るが、ハンスには大阪に妻子がいることを知り、ハンスに別れを告げる。妊娠を恥じるソンジャに牧師のパク・イサクが手を差伸べ、二人は結婚し、イサクの兄が住む大阪の鶴橋へと向かう。
大阪でイサクの兄のパク・ヨセブとその妻キョンヒと暮らすことになったソンジャとイサクはノアとモーザスの2人の息子を授かる。やがて、戦争は激化し、ソンジャたちは再会したハンスの言葉に従い、田舎へと疎開する。
本体価格960円
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昨年、釜山に行ったときに影島を訪れた。限られた土地に所狭しと住宅が立ち並び、ここに朝鮮戦争で攻められ避難してきた住民たちが肩を寄せ合って暮らしたのだという話を聞いた。
在日朝鮮人―日本が1910年に韓国併合を実施し、1948年にサンフランシスコ平和条約が発効するまで、韓国から日本に渡ってきた人々とその子孫は特別永住者としての地位が与えられた。朝鮮半島では地勢的影響から、長く他国の占領下に置かれまた東西冷戦の分断最前線として経済発展が抑制されてきた。
貧困にあえぐ人々は着の身着のままで日本に渡り、言語も通じないままバラック小屋のような不衛生な住環境で暮らして日銭を稼ぎながら生きてきた。そのバックボーンには様々な事情があり、母国の朝鮮では次々と戦争が発生して血縁者の安否すら分からない。一方で日本での暮らしも根強い差別や強烈な男尊女卑、忍び寄る戦争の影響など多くの不安が押し寄せてくる。
そんな状況下でもたくましく生き、また数多くの出会いと別れを繰り返して、今日までその血脈と生業を繋げてきたのだという、何とも壮大な親子三代に渡るライフヒストリーの前編である。 -
グイグイ引き込まれてしまう。シドニィ・シェルダン氏の作品に出てくるような女性の強さと、裕福で権力のある男性から好意を持たれて庇護されるという韓国ドラマのような要素を併せ持った小説。ヨンジャの両親から注がれる愛情、ヨンジャの素直さと素朴さ、ハンスのスマートさ、すべての登場人物が魅力的。戦後の韓国人がどのように暮らしていたのかがわかる。
以外、本書より抜粋。
「本物の悪人がどういうやつか知りたいか。平凡な男を捕まえて、本人も夢見たことがないほどの成功を与えてやるだけでいい。どんなことでもできる立場になった時、その人間の本性が現れる。」 -
韓国併合。朝鮮戦争。
文字だけでは重みが分からない。理解できない。
フィクションではあるけど、これ以上に過酷な環境だったに違いない。
全員のキャラクターが立っているし、全員が今日1日を死に物狂いで生きている。辛いけどものすごく感情移入できるし過酷な情景が目の前に広がる。
ただ、イサクと聞くとどうしてもリバプールのイサクが頭に浮かんでしまってブレる。 -
朝鮮に生まれながら、時代の流れの中で日本に来て、必死に生きていくソンジヤ。ハンスとの出会いで、息子を授かり、イサクの愛に包まれて日本へと辿り着く。賢く世の中の流れを読み取り、戦争を乗り越えて、陰で彼女と家族を支えるハンス。家族への愛を、それぞれに抱きながら、日々を懸命に生きていくソンジヤとその家族。戦前戦後なので、過酷な運命ながら、一人一人への作者の温かい描き方がとても良い。訳者の方の文章が巧みで、最初から好感を持って、話にグイグイ引き込まれていった。
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日韓併合下の朝鮮で生まれ、貧困の中で育ち、ハンスと恋に落ち息子を授かり、イサクの愛に守られながら大阪へ渡る。
今の私たちには想像もできないような貧困と差別の中、控えめに誠実にたくましく、愛する家族のためだけに生きる女性ソンジャ。
在日韓国人を韓国人の視点から書かれているが、日本を糾弾する内容ではなく、全ての登場人物を愛情を持って書いている点が素晴らしい。
1940年代の在日韓国人の生活に、こんなにも引き込まれて読めるのは、訳者の翻訳力の高さでもあろう。
日本人が知ろうとしなかった在日韓国人の歴史に思いを馳せながら、ソンジャとその息子たちの人生がどのように流れていくのか、下巻に期待したい。 -
まず思ったのが、私は歴史を知らなさすぎる。戦中戦後の在日コリアンの立場や生活を生々しく知ることができた。その上で戦後80年の現代を生きている私はどう生きるべきなのだろうか。
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著者が韓国系アメリカ人ということもあり、日本人の視点とは違う日本の過去を書き表している。ほんの70〜80年前の話なのに、今では考えられない差別、貧困が描かれている。その辛い生活の中で、必死に生きていく主人公ソンジャの心の動きに、読み手も心を動かされる。
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★★★★★ 韓国から日本に渡った一人の女性、彼女の人生で絶えることなく続く苦労と小さな幸せと愛。人生はパチンコの如く。負けると決まっている勝負、なのに続けてしまう。力強いエピック。
★★★★★ Life of a Korean woman who survived all the difficulties the life threw at her. And about her beloved ones, Korean or Japanese. Life is a Pachinko. It’s not fair. You’re bound to lose. But you keep playing. An epic.
Pachinko
Min Jin Lee, 2017 -
情景が浮かびやすい
社会の底辺に属する者は誰であれ、人生について、何をどこまで望んで許されるかについて、我慢することに慣れている。
長男がまだ赤ん坊だったころのこと、いまでも忘れられませんよ。抱っこするたびに胸がいっぱいになってね。かごいっぱいに盛った新年のお餅みたいに真っ白で──つきたてのお餅みたいに柔らかくて、ぽちゃぽちゃして。いかにもおいしそうだったから、一口かじってみたくなったりして。
「ねえソンジャ、女の一生なんてね、ひたすら働いて辛抱するだけなんだよ。一つ辛抱して、また次も辛抱して。苦労に終わりはないって覚悟しておくといい。あんたもそろそろ一人前の女だからと思ってこんな話をするんだけどね。女の人生はどんな男と結婚するかで決まる。ちゃんとした相手ならいい人生になるし、悪い男なら、苦労ばかりの人生になる。でもね、相手がどうあれ、辛抱はつきもの。ともかく一生懸命働くこと。貧乏な女の面倒なんて誰も見てくれないからね。自分だけが頼りなの」
島で生まれた者はほかの者とは違う。自由な精神を与えられている
あきらめずに続けることが何より肝心だ。人は誰しも持って生まれた才能を伸ばさなくてはならない。アッパを喜ばせたいなら、これまでどおりのことを続けなさい。どこへ行こうと、おまえはうちの家族の代表だ。りっぱなふるまいをしなくてはいけない。学校でも、町でも、世界へ出ても。誰が何を言おうと関係ない。誰が何をしようと関係ないんだよ
動揺した様子はかけらもなく、言葉の一つひとつに確信がみなぎっていた。ハンスがわずかなりともためらいを見せたことは一度もなかった。
「日が暮れるころ、全員でこの店に来なさい。キムが店の入口を開けておく。疎開することを誰にも話してはいけないよ。ほかの住人が脱出を試みる前に大阪を離れなさい」ハンスは立ち上がり、ソンジャをまっすぐに見つめた。「ためらう者は置いていくしかない」
ハンスは両方の眉を上げただけで何も言わなかった。どんなときもよけいなことは言わずにおくのが得策だ。
ソンジャはどうしていいかわからなかった。感謝していないわけではない。それよりも、自分の人生が、無力さが、恥ずかしかった。陽に焼けた両手、汚れた爪で、櫛さえ通していない髪に触れた。こんな姿をハンスに見られたくなかった。自分はもう二度ときれいにはなれないのだとふいに思った。
その種の会合に参加するときは、自分の頭で考えろ。何が起きようと自分の利益の拡大を図れ。連中がだめなのは──日本人も朝鮮人も等しく──集団の利益を優先するからだ。だが、真実を教えてやろう。博愛的な指導者などこの世に存在しない。私がおまえを守るのは、おまえが私の下で働いているからだ。おまえが愚かな行動、私の利益に反することをしたら、そのときからおまえを守れなくなる。いいか、決して忘れるなよ。
ヨセプは家の所有者を近所の人々に伏せた。どんなときも、実際よりも貧しいふりをするほうが賢明だ。
家を正面から見ただけでは広めの簡素な家としか見えなかったが、なかに入ってみると、際だって清潔で整理整頓が行き届き、本格的な台所には夜間に手押し車を置いておく場所もしっかり確保されていた。 -
上巻を読了。関西出身なので朝鮮学校が身近にあり、チマチョゴリを来た学生を普段から見慣れていたのだけど、彼らが主人公の子供や孫のように思い返されて今になってしみじみとした。韓国併合や戦後の混乱については歴史としては習うけれども、実際のだれかの物語を垣間見ることで肉付けされていく。悲しいことがたくさん起こると普段は読むのが辛くなりがちだけど、この物語ではどの登場人物たちも根は清く一生懸命なので、応援しつつ読み進めている。下巻も楽しみ。
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素晴らしい内容。
日本人が知らなかった、知ろうとしなかった在日コリアンの話し。
ここ何年間かで一番胸を打たれた本に巡りあえたことに感謝。 -
感想は下巻にて。
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戦前〜戦中〜戦後にかけての朝鮮人一家の話し。
戦後の混乱と貧困や差別など、複雑な社会情勢の中での人生観や倫理観をテーマにした大河小説なんだけど、三浦綾子の様にもう少しテンポが良いといいかなあ。
内容は面白いけど、会話文よりも説明文が多い印象。
でも表紙のデザインが凄く好き -
在日コリアンが、学校で卒業アルバムで酷いことを書かれて死亡した、そういう差別があることから描かれた小説。作者の中でテーマとしては30年間あったそう。戦後日本の余裕のなさから来る排他的なものも、というか島国的な排他強さもこう描かれると情けない。読んでよかった。
作中でも韓国人が怒りやすいなんて言われてるけど、情が熱いというんだよ、ってところです。墓参りしてねえなあ… -
戦争の時代を生きた人、故郷がどこにもない人、民族としてのアイデンティティを持てない人、差別を受けてきた人を知り、
今の自分は恵まれていると思った。
人間いつの時代も平等ではないけれど、
その中で、境遇を僻むことなく懸命に生きたいと思った。 -
2025年のベスト本!
韓国の家族80年の物語。
4世代に渡る話なのでたくさんの登場人物が出てきたけれど、読み終わってからずいぶん時間が経っても、ふとしたときにあの人やこの人のことを思いだして、切なくなる。ずっと余韻が残ってる作品。
翻訳なのを忘れるくらい文体が自然で読みやすかったので、没頭した。
私はあらすじを知らずに読んだけど、
・韓国と日本の関わり
・在日韓国朝鮮人の方々の暮らし
このあたりに興味がある人に熱烈におすすめです。
私が一番感じたのは「人生のままならなさ」、それが本当に悲しかった。また読みたい。
この本が好きな人におすすめの本
ミン・ジン・リーの作品
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