ふたつの時間、ふたりの自分 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2023年10月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784167921187

みんなの感想まとめ

作家生活15年の軌跡を辿るエッセイ集は、著者自身の内面や経験を深く掘り下げた内容が魅力です。二部構成で、作家としての自分と主婦としての自分、また東日本大震災を通じた時間の流れを描き出しています。特に震...

感想・レビュー・書評

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  • 柚月裕子『ふたつの時間、ふたりの自分』文春文庫。

    2008年のデビューから2023年現在までの15年間の軌跡を辿る著者初となるエッセイ集。

    作家と主婦の『ふたりの自分』という自身のことを綴ったエッセイと東日本大震災で父親と祖母を失ったことを切っ掛けに東日本大震災前後の『ふたつの時間』を綴った二部構成のエッセイ集となっている。

    年代的に近いこと、同じ岩手出身ということもあってか、妙に納得するところが多い。自分も2年間、父親の仕事の関係で釜石に暮らしていたことがある。夜の町に光る新日鉄の工場、いつもゴーっというかワーンというような工場の操業する音が聞こえたものだ。

    最初のエッセイ『記憶の中の料理』に登場する中津川は盛岡の市内を流れる中津川なのかと思うのだが、特に説明も無く定かではない。しかし、後のエッセイ『道の記憶』と『思い出の道』に盛岡で幼少期を過ごしたことが描かれているので、やはりあの中津川だったかと納得する。柚月裕子が釜石生まれであることは知っていたが、盛岡でも暮らした経験があったことを初めて知った。

    柚月裕子は『想像する原点を思い出す五冊』というエッセイの中では、五冊の中の一冊に北方謙三の『逃れの町』を選んでいる。自分も北方謙三のハードボイルドの中では一番好きな作品だ。柚月裕子も書いているが、冬の軽井沢のシーンが良い。

    勿論、柚月裕子の小説は好きで、文庫化されたものは全て読んでいるが、柚月裕子の人と成りを垣間見ることが出来て、面白かった。

    本体価格820円
    ★★★★

  •  柚月裕子さんの、作家生活15年の軌跡が詰まった文庫オリジナルエッセイ集です。カバー装画はGLAYのTERUさんの描き下ろし。素朴ながら柚月さんの心情に寄り添っていると感じました。

     私の柚月さん像‥見目麗しい女性作家が、なぜあんな骨太な男臭い物語を描けるのか、そこに萌えますし、またある時は、主人公が(佐方シリーズのように)自分の正義を貫く姿に快哉を叫びました。

     本エッセイは、柚月さんの喜怒哀楽が散りばめられたバラエティに富む内容で、とても新鮮に感じました。各紙や小説誌等に掲載された以前のものも多くありながら、古さを感じさせません。
     特に、柚月さんの創作にまつわる裏話は興味深いものがありました。また、猫をはじめ、柚月さんの好きなもの・ことの話も多く、ファンの皆さんには必読ではないでしょうか。

     個人的に最も刺さったのは、震災の辛い経験を経て、表題につながったであろう終末部分です。
     ◯「ふたつの時間」(震災の日で止まったままの
            時と、そこから流れている時)
     ◯「ふたりの自分」(震災後の日常を送る
            自分と、あの日から動けずにいる自分)
     このくだりを読む程に、柚月さんの根底にある、世の中の理不尽や不条理に向き合い続ける姿勢が、痛いほど伝わる一冊でした。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      あちゃー、バレました?
      厳正な審査(審査員1人)の結果、かろうじて
      原型をとどめ、最も簡略化した呼称として
      正式に(独断で)選出・認定されま...
      あちゃー、バレました?
      厳正な審査(審査員1人)の結果、かろうじて
      原型をとどめ、最も簡略化した呼称として
      正式に(独断で)選出・認定されました。

      ここに心より(心だけ?)感謝の意を表すると
      ともに、貴殿のセンスを末永く顕彰するもの
      であります。
      なお、副賞や命名権購入料等は、何卒不問に
      付していただきたく‥‥ははは
      2024/01/27
    • おびのりさん
      私は、そのセンスをいただいて、「傍らコ」と名付けたブグ友がおります。
      私は、そのセンスをいただいて、「傍らコ」と名付けたブグ友がおります。
      2024/01/27
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      あは、面白い(笑)
      傍に珈琲さん、とかですかね?
      ネーミングはつくづく失敗でしたʅ(◞‿◟)ʃ
      検索すると「本と珈琲」は他にも複数いるし‥‥...
      あは、面白い(笑)
      傍に珈琲さん、とかですかね?
      ネーミングはつくづく失敗でしたʅ(◞‿◟)ʃ
      検索すると「本と珈琲」は他にも複数いるし‥‥
      2024/01/27
  • 柚月裕子さんの小説が面白かったので、人となりが知りたくなりエッセイに手をのばした。

    「祭りのひよこ」
    自分が駄々をこねて飼い始めたひよこの最期をみさせた母の強い意志、その迫力は読み手にも伝わってくる。
    「記憶は死なない」
    父の書棚から取り出して読んだ「樅ノ木は残った」
    津波で両親が亡くなって本が流されても手ざわりも父の記憶もなくなることはない。そう言い切れるまでどれほどの涙が流れたのだろう。
    黒板五郎の「遺言」
    「金なんか望むな。幸せだけを見ろ。
    謙虚に、つつましく生きろ。」
    柚月裕子さんも『北の国から』が好きだったなんて嬉しい!
    「母のぬくもりと」
    一緒に布団に入った時のぬくもりと絵本を読んでくれた母の声か。自分の少年時代を思い出す。

    朝露を集めて硯で墨を擦り、短冊に願いごとを書くと
    叶うのか。
    ああ、柚月裕子さんの大切な一冊に三浦綾子さんの「氷点」も!

    柚月裕子さんの中で止まった時間と流れている時間がある。あれから14年経って、課題は山積みのはずなのに忘れるのが得意な日本人。やはり想像力の欠如が問題なのか。
    柚月裕子さんのエッセイを読んでホロリとしたり、懐かしくなったり、怒りが沸いてきたり。読んでよかった。

  • 柚月さんのエッセイを読んで
    柚月さんの印象がどう変わるのか少し心配でしたが、見事に良い方へ。それもかなり良く。

    ご自身でも
    会うと違う印象の人だと言われると書いていらっしゃいましたが、
    私が想像していた今までのイメージとはだいぶ違う方でした。
    とても謙虚で、優しく、穏やかな柔らかい印象を受けました。


    考えさせられる事や
    涙する部分もありますが
    素敵なエッセイでした。

  • デビューから15年の間にあちこちに掲載されたものを集めたエッセイ集。

    柚月裕子先生は好きな作家さんの一人です。
    子供の頃のこと、好きなもの(本、漫画、映画、猫)、ご家族のこと、作品にまつわる秘話など、なかなか興味深い内容でした。
    岩手出身で山形在住の柚月先生。東日本大震災でつらい経験をされたことを知り、胸が痛くなりました。

    真面目で謙虚で、芯が強くて、大変な努力家という印象を受けました。
    ずっと応援させて頂こうという気持ちになりました。


    以下、今作と関係のない雑談になりますが…
    前に映画「孤狼の血 LEVEL2」を観ていて、柚月先生が出演されているのに気付いたときはびっくりしました。お顔を存じ上げていたので、「えっ!」となりました。

    あとTV番組でゴルフのことを語っていらっしゃるのを見た記憶があります。
    柔らかい雰囲気で素敵な方だなぁと思っています。

  • この作家さんこと、ちっとも知らなかった私は、驚きました。
    そしてこの標題の意味も最後の方で…思わず思い出しました、あの時のこと。
    涙も出ました。とてもよかったです…読んで、よかったです。

  • 柚月裕子さんのエッセイ集。

    柚月さんの作品はほとんど読み終わったので、柚月さんの人となりをなんとなく理解できました。
    今後も感動する作品を楽しみに待ってます。

  • 好きな作家さんの一人である柚月裕子さんの初エッセイ。
    作品にまっすぐに向き合っていることが、端々に感じられた。
    生母さんを早くに病気で亡くされ、その後震災でご両親を亡くされたこと。それぞれのエピソードがなんとも切なく辛い。
    タイトルの「ふたつの時間、ふたりの自分」は、読み終えた後でとてもしっくりきた。

    • 清瀧さん
      柚月裕子さんの作品は全て、拝読しています。
      今回、初めてエッセイを読んで、臨床心理から盤上の向日葵に至るまでの作品の魅力が垣間見えた気がいた...
      柚月裕子さんの作品は全て、拝読しています。
      今回、初めてエッセイを読んで、臨床心理から盤上の向日葵に至るまでの作品の魅力が垣間見えた気がいたします。
      2023/11/09
    • ねこさん
      清瀧さん
      コメントありがとうございます。
      柚月さんの作品、全て読まれているのですね。
      作家さんのエッセイを読むと、人となりがわかり、作品をよ...
      清瀧さん
      コメントありがとうございます。
      柚月さんの作品、全て読まれているのですね。
      作家さんのエッセイを読むと、人となりがわかり、作品をより深く理解できる気がしますよね。既読の作品を改めて読み直したくなります。
      2023/11/09
  • デビューから15年の間に書いたものを集めた、エッセイ集。
    受賞のことばやメッセージ、文庫化する他作家の作品の書評など、随筆的なものに限らず広く集められている。

    あちこちに書いたものなので、内容が重なる部分も。
    そのなかでご両親への想い、ご両親を亡くされた東日本大震災と津波に対する文章は、胸を打つ。

    なぜこの作品を書こうと思ったのか、というきっかけやモデル、書いている間のイメージ、デビューにまつわるエピソードなど、秘話も多かった。

  • 著者のデビュー時から最近まで、山形新聞とか週刊誌で折々に掲載された文をまとめた初のエッセイ集。
    引っ越しを繰り返した幼少期や、小説家としてデビューしたころの書く喜びとともに書き続ける苦悩と不安などが、率直に綴られている。
    さらに、映画化された自分の著作や今までに読んだ本などについても。
    その中で、心に残る一冊として、北重人という作家の『汐のなごり』を挙げている。読んでみたくなり、書店のネット取り寄せなどに、他の本とともにアクセスしたが、扱い不能の表示が。
    出版社でも絶版になっているのだろうか。いずれかに再版されることを希望したい。

    このエッセイで、著者の両親は東日本大震災で亡くなっていることを知った。

  • 人気ミステリー作家 柚月裕子さんの初エッセイ集が発売! カバー装画はGLAYのTERUさんによる描き下ろし。 『ふたつの時間、ふたりの自分』(柚月 裕子) | ニュース - 本の話
    https://books.bunshun.jp/articles/-/8279

    ほめ言葉たどり出会えた名前 「私は今、柚月裕子です」:朝日新聞デジタル(有料記事2019年11月3日)
    https://www.asahi.com/articles/ASMBX61S1MBXUPQJ00J.html

    柚月裕子が語る、善悪の境の曖昧さ 「“何が正しいのだろう”という問いは延々と紡がれていく」|Real Sound|リアルサウンド ブック(2021.05.15)
    https://realsound.jp/book/2021/05/post-760293.html

    文春文庫『ふたつの時間、ふたりの自分』柚月裕子 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167921187

  • エッセイと聞くと日常に起きたことを面白いおかしく書いてる作者が多い中、こちらはもともと真面目な性格なのか、エッセイにおいてもそれが際立っていると言う印象。
    後半の東日本大震災のくだりは、昨今の能登半島地震もあったことから、涙なしには読めない。

  • 社会問題を扱った作品、ハードボイルドな作品、柚月さんの作品の背景をほんの少し見させてもらえたような気がする。作家さんに直接お会いする機会はほとんどないけど、エッセイから人柄が滲み出ていて、次の作品もより楽しみになった。
    綺麗な青色が印象的な装丁がGLAYのTERUさんだと知ってびっくり。

  • 男くさいストーリーを展開する著者のエッセイ。小説とは違う面を見せつつ、趣向はそっち側にあることに納得。
    故郷への強い想いも印象的。

  • ふたつの時間 ~~ 12の小編 2009年1月から2022年3月
    ふたりの自分 ~~ 5の小編 2011年4月から2018年3月

    ここにも あの経験をした人がいた

  • 私にとって柚月裕子さんと言えば、「孤狼の血」「凶犬の眼」「暴虎の牙」.悪徳警察官vs ヤクザの三部作

    初めて読んだ時は、女性がこんな男の世界の小説を書かれるとはと驚いたものだ
    それから大ファンになり、ほとんどの著作を読んだが、今回は初エッセイ集とのこと

    前述した「孤狼の血」の創作秘話は、おもしろかった
    「仁義なき戦い」のビデオにどはまり
    広島弁が大層気に入り使いたいので、舞台を広島にしたとか生の広島弁を聞きたいがためにマツダスタジアムへ
    広島カープの試合を見に行ったなどなど

    しかし、そんなヤクザ小説を書かれる方とは思えないほど全編通じて、とても物静かで謙虚な方とお見受けした
    堅実なお人柄が文章から伝わってくるとともに、柚月さんのふるさと愛、東北愛を強く感じた

    2011.3.11の東北大震災でご両親を亡くされた柚月さん
    当時のことを語られた文章には胸が痛んだ

    「どうかこの震災を忘れないでほしい。どんなことでもいい、自分に何ができるかを考え、被災地に救いの手を差し伸べてほしい。どうか見捨てないでください」
    柚月さんの心からの叫びに、我々も応えなければ

  • 柚月裕子さんのエッセイ集『ふたつの時間、ふたりの自分』本日読了。とても面白かった。デビューから15年間のエッセイをまとめた記念本。巻末の本人のあとがきでも仰っていたが、時系列の確認だけで、エッセイを書いた当時の気持ちを大事にして加筆訂正などはされていないとのこと。柚月裕子さんの真摯で丁寧な文章や、作品に対する誠実な姿勢が伝わってくる。特に、東日本大震災でご両親を亡くされた経験や、作家としての歩みが綴られている箇所は心を強く揺さぶられた。また、猫や本への愛情、故郷への思いなど、彼女の人柄や内面を垣間見ることができる内容となっている。興味深く一気読みしてしまった。このエッセイ集は、柚月裕子さんのファンのみならず、多くの人々に感動を与える作品だと思う。タイトルのふたつの時間、ふたりの自分は自分にもあって凄く共感した。彼女の作品が今後も楽しみです。

  • 柚月氏には小説で勝負してほしいので、あまりエッセイを読んでも感慨はない。黒川博行「疫病神」についての話と、タクシードライバーの解説(誰もが気づきたくない孤独)は良かった。「盤上の向日葵」が「砂の器」を意識して書かれたことも納得感ある(とはいえ完成度は比べるべくもない)。最後の「ふたりの自分」に書かれている数編は、三陸生まれの著者ならではのもので、エッセイでなく是非小説として書いてもらいたいものだ。

  • 初めて柚月さんをしったのは検事の本懐を読んだときで女性作家がよくこのような本が書けるなと驚きでした。
    それから興味をおぼえて数冊読むようになりました。
    この本を読んで驚いたのは
    東日本大震災でご両親をなくされていたことです。
    その後も正義感あふれる本を書かれていて、とても
    立派だと思います。
    いろんな気付かされたことがありますが、なかでも
    ウェールズのところで、誇りに思うものができたときに
    自分は揺るがない強さを得られるように思う。
    というところです。

  • 私は柚月裕子さんの小説を読んだのは「あしたの君へ」だけでしたが、書店で本作を見かけて少し目を通したら自分好みの予感がしたので購入して読みました。
    硬質ながら温かみのある文章がとても良いです。
    物事を見る感性の鋭さが見られるところに、作家としてのデビューが40歳と遅めであっても、作家になるべくしてなった人だと思えました。
    ブルース・リーにハマった話など、人柄が窺える話も面白かったです

    東日本大震災でご両親を亡くされた話もあり、震災直後の現地の様子は、読む側もとても辛いですが、決して忘れてはいけないことだと思いました。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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