- 文藝春秋 (2023年11月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167921255
作品紹介・あらすじ
第164回直木賞候補作。
ひたひたと忍び寄る恐怖
ぬるりと変容する日常
話題沸騰の「最恐」ミステリ、待望の文庫化。
閉鎖空間に監禁された
デスゲームの参加者のような切迫感。
──彩瀬まる
平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、元不倫相手を見返したい料理研究家……
きっかけはほんの些細な秘密だった。
保身や油断、猜疑心や傲慢。
内部から毒に蝕まれ、
気がつけば取返しのつかない場所に立ち尽くしている自分に気づく。
凶器のように研ぎ澄まされた“取扱い注意”の傑作短編集。
感想・レビュー・書評
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164回の直木賞候補作だったようです
直木賞ではないかなと思うけど
それだったら「夜の道標」は、もっと評価されて良かったのでは、と思うのですよ
日常の小さな綻びが次第に大きくなっていく
シャープな短編5編
「ただ運が悪かっただけ」 オール読物2017
一人の初老の男が脚立から落ちて亡くなる
その死因を幾つか考えていくミステリー
日本の尊属殺人は多いらしい(保険のおばさんからの情報)だからか、高齢者が亡くなると介護者は事情聴取される
例え何かあったとしても運が悪かっただけって許してあげたい
「埋め合せ」オール読物2018
これは読んでて助けてあげたい小学校教師
失敗したプール注水をなんとか誤魔化して 水道料の賠償を逃げたい
考えつく限りの創意工夫
これ現実でプールの水の件で賠償した事故がありましたよね
仕方ないとしても 先生は大変
「忘却」書下ろし
高齢者の物忘れは、時には優しさになるのかも
「お蔵入り」オール読物2020
苦労して資金を集め撮影も順調な映画監督
キャストの中に薬物使用疑惑の俳優が
どうにかしようとすればするほど自分の首がしまっていく映画監督
「ミモザ」オール読物2020
若い頃の不倫相手の男が落ちぶれて、金を無心
ちょっと見返してやりたいだけだったのに
行き過ぎた保身は、綻びが出てしまう
綻びが大きな穴になり そこにあった日常が崩れる直前詳細をみるコメント5件をすべて表示-
1Q84O1さん「埋め合せ」「忘却」「ミモザ」の三編が面白かったです^_^「埋め合せ」「忘却」「ミモザ」の三編が面白かったです^_^2024/06/22 -
おびのりさんちょいクズだから1Qさん好みかなちょいクズだから1Qさん好みかな2024/06/22 -
1Q84O1さんかもしれませんねwかもしれませんねw2024/06/22
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またしても体調を崩している。
なんだか今年は季節の変わり目全部で体調を崩していて、厄年が全て終わったにも関わらず、しんどかったような気がしている。細菌が目に見えたらいいのに。免疫が目に見えたらいいのに。
今回は、咽頭炎だ。
発熱もない、頭痛もだるさも鼻水もない。ただただ、喉が痛くなって、声が出なくなった。
今はもう声以外の不調は全くなく、約一週間、声が出ない生活を送っている。
仕事に支障は出まくりだし、家にいても独り言ばっか言ってたことに気づかされるし、結局わたしは一人で外出している時以外は基本的にずっと喋っているらしい。そんな時はもう、カフェで読書一択!
人間関係を描いているのに、まるでホラー作品を読み終えたかのような読了感を覚える作品というのが、ある。代表例は、辻村深月さんの『噛みあわない会話と、ある過去について』とか。
あの、ぐりぐりとこちらを追い詰めてくるような描き方は本当に本当に怖かった。
で、本作品はというと。
5つの作品の主人公(もしくは登場人物の一人)は、みんなある隠し事を抱えている。その隠し事は、絶対に他人にばれてはいけない。でも、もしかしたら誰かには、その隠し事のことがばれたかもしれない。そしてその誰かは、ばれたら一番やばいやつかもしれない――
という、ずっとこのヒヤヒヤ感とともに進んでいく読書で、まるでそれは、解説を担当されている彩瀬まるさんの言葉を借りると「閉鎖空間に監禁されたデスゲームの参加者のような切迫感」。カフェの喧騒が嘘のように静かになった世界で、わたしの唾を呑む音だけがごくり、と響き渡る。悲鳴を上げそうになったその瞬間、再び喧騒の中へ。何が起こったか分からなくなると同時に、息苦しさだけが残り、呼吸が浅くなっていることに気付く。目の前には、まだ温かいソイラテ。そんなに時間は経っていないはずなのに、ずいぶんと時間が経っているような気がする。それだけ追い詰められていたということか。
特に印象的な作品は2つ。『埋め合わせ』と『ミモザ』
いずれもものすごく日常的な場面を描いている分、怖さがましまし。
『埋め合わせ』の主人公は小学校の先生。日直で学校へ行った日に、あることをやらかしてしまう。彼は必死でそれを隠そうと、計画を企てる。そして実行する。さて、この計画は果たして成功するのか否か。
『ミモザ』の主人公は、料理研究家の女性。現在は結婚し、夫がいる。しかし、すでに関係が終わった不倫相手に再会。彼が放つ言葉が、愛の言葉だったらまだマシだったかもしれない。
この『埋め合わせ』に、五木田先生という先生が出てくる。
この男、読みながらやばい匂いがぷんぷんしているのだけれど、この先生、実写化したらたぶんわたしの好みなんじゃないかという気がしていて、P82「とらえどころがなく、いつも飄々としていて、話していると落ち着かなくなる。(中略)なぜかこの男から呼ばれると男子生徒からふざけ交じりに『センセイ』と呼びかけられているような気持ちになるのだ」。たぶん、シュっとしていて黒縁のメガネをかけた無造作ヘアー男子だと思うんだよね(偏見)。それでいて学校の先生!
あと、『お蔵入り』に出てくる小島のそこはかとない色気の描写。P149「スポーツ中かのような健やかさと、それを裏切る双眸の暗さ。土でわずかに汚れた頬と、濡れて額に張りついた長い前髪には、どこか倒錯した色気がある」。
こういう描写があるのも、やっぱり女性作家さんの作品だよなぁ(偏見)。
だけど、基本的には要注意の作品。裏表紙にもあるように、「凶器のように研ぎ澄まされた”取扱い注意”の傑作短編集」です。ゾクゾクしたい時におすすめ。-
にゃんこさん
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします!!
なるほど、、
わたしは騙し騙しでも、不調と共存し続ける、ということができる...にゃんこさん
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします!!
なるほど、、
わたしは騙し騙しでも、不調と共存し続ける、ということができるにゃんこさんが素晴らしいと思うのです。
わたしはまだ喉の不調が続いているのですが、その日の状態によって一喜一憂、振り回されているので…
今後大病を患った時に生きていけるんだろうか、と、気がかりでなりません。まあ、メンタルの問題ですね。
仔猫時代のトラウマがにゃんこさんを強くしたのでしょうか、、、2024/01/13 -
naonaonao16gさん
> まあ、メンタルの問題ですね。
もう歳だから、健康診断とか要らない気がしてますが、勤め先が五月蠅く言うの...naonaonao16gさん
> まあ、メンタルの問題ですね。
もう歳だから、健康診断とか要らない気がしてますが、勤め先が五月蠅く言うので仕方なく年一回「人間ドック」を受診しています。
確かに猫は図太いです。でも末期になれば痛みに負けて「もう死なせてぇ~」と叫ぶかも知れません。
ただ此のコトは、猫的に過剰なお節介で成り立っていて、死にたいと言う人の言い分が通るようになった時に、死にたくない人へ「死にたいでしょ?家族にも迷惑掛かってるし」とか平然と言うようになるコトを危惧して踏ん張るコトにしているだけなんです。←大袈裟
まことさん
「なんむ一病息災」は、トラウマになる話ではありませんので、、、2024/01/15 -
初めまして。
男性についての描写が出てきたのですが、ミモザの瀬部はどうだったのでしょうか?私は全編通して一番ヤバイ奴と思ったのですが。初めまして。
男性についての描写が出てきたのですが、ミモザの瀬部はどうだったのでしょうか?私は全編通して一番ヤバイ奴と思ったのですが。2025/09/14
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運が悪かっただけと忘却がめちゃくちゃ好きです。
このふたつを読めただけでお釣りがくる感じ。
嫌な人ばかり出てきて、嫌な気持ちになるのになんでこんなに面白いんでしょうね。
短編集なのでサクサク読み進められるのも嬉しい。-
私の本棚に、いいねをありがとうございました。
芦沢央さんの作品いいですよね。
まだ1冊か2冊しか読んでないけど、めちゃくちゃ気になる作家さん...私の本棚に、いいねをありがとうございました。
芦沢央さんの作品いいですよね。
まだ1冊か2冊しか読んでないけど、めちゃくちゃ気になる作家さんです。2024/07/08
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誰にでも日常起こりそうな身近な「あっ、やってもた…どないしょ…」という心の描写を描いたお話。短編集でどの話も見事に落としてくれます。タイトル通り汚れた手をそこで拭いたらあきまへんという内容でした。
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悪い事って隠せない。選択を迫られる瞬間、保身のために人は嘘をつきたくなる。汚れた手をそこで拭きたいから。その手を拭いた場所どうやって綺麗にしよう。他の物で拭くから…汚れは頑固になって後悔するんだ。
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題名に惹かれて手にした本
心理描写が秀逸で、ゾワゾワしたけど先が気になり無事読了!
「忘却」 誤配達の電気料金督促状を、お隣さん に渡し忘れたことから大変なことに…
「ミモザ」 私には受けつけられない最悪の話。
久しぶりに本を読んでイライラした。
主人公はみんな思ってる。
どうして、こんなことになってしまったのだろう -
こわいこわい。
隠し事はよくないね。
隠そうとしてもどんどんボロが出て痛い目にあうよ。
日常でありそうな人間の浅ましさと狂気的な付け込み具合。
ストーリーの組み立て方もゾッとさせる締め方なので、ほん怖見てるみたい。
元に戻れない深みにハマっていく心理描写が見事に私まで焦らせてくるこの感じ、本の中で良かった。
現実では起こらないように自分の手は汚さないように、汚れてもすぐに綺麗にしよう。
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本当に本当に些細な引っ掛かり。
それを突き詰めて、見えてきた真実がゾワゾワするけれどおもしろい。
読んでいて一緒に「もうやめてくれ!」と叫びたくなるスリルと、それでも見たくなるおもしろさに大満足。 -
短編5編。ホントに怖い話とはこういうのをいうのだろう。どんどんドツボにはまっていく人間の話に、どうなるんだ、どうなるんだとページをめくる手が止まらなかった。
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ちょっとした過ちが、どんどん大きくなって沼にハマっていく嫌な感じの短編集。
それぞれの主人公が可哀想になりました…
ちょっとぐらい…とかとりあえず様子見とか駄目だな~と実感。
ハッピーエンドではないけど、テンポ良くて面白く、あっという間に読了。
オススメです! -
日常で起こりそうだけど起きて欲しくない出来事と、その時の人間の脆さや狡猾さを描いたミステリ短編集。
終始、心をザワザワとさせる不穏な空気感。なんて中毒性のあるイヤミス感だろう。怖くて息苦しいんだけど、先が気になって止まらない。
やっぱり『埋め合わせ』が良かったかな。学校プールの給排水トラブル。もうミスが起きたら、早めにキチンと対処しなきゃいけないのに…変にごまかそうとしてズルズルと状況が悪くなっていく。たまにニュースになったりする話だけに、リアリティがあって恐ろしい。ぞっとする。伏線回収やらオチとかよくできてて良かった。
イヤな人も何人か登場してて、ある意味いい感じで感情を掻き乱してくれる。『ミモザ』の元カレなんて最たるものでこわい。
見事にモヤモヤしっぱなしで読み終えた。こんな感情の揺さぶりも、読書の醍醐味なのかなって思わせる作品。-
2024/11/21
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うたえながさん
コメントありがとうございます。
ですよね、この話イヤミス感がハンパなくてしんどかった。だけど一番良かった。うたえながさん
コメントありがとうございます。
ですよね、この話イヤミス感がハンパなくてしんどかった。だけど一番良かった。2024/11/21
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ひとつひとつの話ほどの出来事は、もちろんありません。しかし、もっと穏やかな出来事は、日常のどこにも潜んでいる気がします。
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人の嘘、嫌なところがもろに出てくる。
短編なので読みやすい。
このタイプの秘密は良いことないよね…。 -
【他の原因が先に見つかれば、本当の出所は探られずに済む】
「あぁ…やってしまった…どうしよう…」自らの過ちを何とかバレないようにごまかしたい。そんな状況下において心の奥底に渦巻く不安・後ろめたさ・焦りの感情、そして張りつめた緊張感の解像度が非常に高い。私も経験したことあるなぁ、この背筋がゾクッとするような感覚。特に『埋め合わせ』と『ミモザ』は自分自身がまるで主人公になったかのように感情移入してしまい読後もゾワゾワしてしまったほど。ラストは奈落の底に突き落とされる作品もあるので地獄を疑似体験したい方はぜひ。 -
ヒヤヒヤした〜!
自分のせいで起きた不幸の短編集。
【お蔵入り】が1番お気に入り。
先が気になってあっという間に読了!!
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どれも心がざらっとする嫌な感じの短編です。
それがいいんですよね。
1話目の「ただ、運が悪かっただけ」は嫌な感じだけで終わっていなくて好きです。
☆は3と1/2くらいで。
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芦沢央さんの作品、audibleでは聴いたことありましたが、文字で読むのは初になります!
短編集ですが、面白かったです。
『汚れた手をそこで拭かない』というタイトルが秀逸です。
全ての物語に「あゝ、そこで拭いちゃったか」とダメな方へと思考が回ってしまって結果、最悪になる。
人間だから誤魔化したいし、怒られるのとか責任取るのとか嫌だけど、多分正直に言っちゃうのが1番いい結果になりそう。
人怖、イヤミスでした!
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ほんの些細な過失や秘密を隠そうとして、どんどん深みにはまり、取り返しのつかないことになってしまう。汚れた手をどこで拭けば良かったのか。芦沢さんらしい、超イヤではないが、結構イヤなイヤミス短編5編。
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きっかけはささいな失敗や小さなミス。
きっと誰しもが「なんとか失敗を無かったことにできないか」と思ったことがあると思いますが、これらはミスを隠し通そうとしたばかりに、どんどん深みにハマっていく話。
「埋め合わせ」はプールの水を止め忘れたことを子どものせいにしようとした教師が、他の教師にはめられさらに大事にされてしまう話。
謝ってしまえばそれで済んだのに、、と思っても後の祭りで、取り返しのつかないことになってしまう。
冒頭の「ただ、運が悪かっただけ」を除いて、すべて心が重くなる、自分だったらと考えるとゾッとするような話でした。
著者プロフィール
芦沢央の作品
