- 文藝春秋 (2023年11月8日発売)
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感想 : 27件
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167921293
作品紹介・あらすじ
イエス・キリストの正体とは?
先端科学の知識と作家的想像力を駆使し緻密に組み立てられ傑作ミステリ。
日本版「ダ・ヴィンチ・コード」登場!
日本人考古学者・夏原圭介はキリスト生誕の地・イスラエルのナザレで、〈イエスの乳歯〉と思われる歯を発掘した。しかも、その乳歯からはホモサピエンスとは異なるDNAが検出された。イエス・キリストは現生人類とは異なる〈人類〉だったのか?
イエスの乳歯はセンセーショナルな話題を呼び、神の実在が証明されたとして世界中でキリスト教をはじめとした宗教ブームが湧き起こる。
夏原の旧友で新聞記者の小田切秀樹は夏原のインタビューに成功する一方で、妻の夕海が勢いを増した新興宗教に取り込まれてしまい苦悩する。
そんな折、夏原と同じく大学の同じサークルだった沼修司が亡くなったとの知らせが届く。教師のかたわら源為朝の鬼退治伝説を調べていた沼は、青ヶ島で調査中に事故死を遂げたらしい。沼の妹から兄の遺品整理をして欲しいと頼まれた小田切は、彼ら三人の恩師の娘で、やはり同級生だった秦野牧と一緒に青ヶ島へ赴くが、そこで思いがけない事態に陥るのだった。
感想・レビュー・書評
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本岡類『聖乳歯の迷宮』文春文庫。
目を引く派手な文字が踊るオーバーカバーに書かれた本の紹介を読むと面白そうなので、読んでみることにした。
文庫書下ろし作品。日本版『ダ・ヴィンチ・コード』と言うよりも、マイクル・コーディの『イエスの遺伝子』の方が近いだろうか。
空想科学サスペンス・歴史ミステリー・エンタメ冒険小説とも言うべき、非常に面白い作品だった。
考古学者の夏原圭介は、イエス・キリスト生誕の地であるイスラエルのナザレの古い教会の下にある洞窟住居跡から『イエスの乳歯』と思われる歯を発掘した。その歯からはホモ・サピエンスとは異なるDNAが検出された。
『イエスの乳歯』発見のニュースは世界を駆け巡り、神の存在が証明されたとキリスト教への関心が高まる。そして、キリスト教ばかりではなく、カルト宗教を含めた様々な宗教までもが異常な盛上がりを見せる。
一方、夏原の大学時代からの旧友で新聞記者の小田切秀樹は同じ大学時代からの友人の沼修司が亡くなったことを知る。八丈島で中学教師を務める傍ら源為朝の鬼退治伝説を調べていた沼は青ヶ島で調査中に事故死していた。沼の妹から兄の遺品整理をして欲しいと頼まれた小田切は彼ら三人の恩師の娘で、やはり同級生だった秦野牧と一緒に青ヶ島へ向かうが、そこで思いがけない事態に陥る。
ナザレで発見されたキリストの乳歯と青ヶ島の鬼伝説がどう結び付いていくのか……
本体価格900円
★★★★★詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ナザレで発見された乳歯は、イエス時代のものだった」
「いったい何者なのか
ナザレで発見された謎の乳歯からホモサピエンスとは異なるDNAを検出」
これは本文中に出てくる日報新聞の見出しなのだが、もしも現実にこんな新発見があったらワクワクするという方や、『ナショナルジオグラフィック』をつい手に取って読んでしまうなんて方もきっと楽しめると思う。もちろんフィクションに寛容であることは前提となるが。科学の発達により今までは知り得なかったことが解明され、揺るぎない事実となる。しかし一方で、非科学的なことが人によっては精神的な支えになり、欲望を満たし生きる意味になる。情報社会において、拡散も共有も世界の壁はない。世紀の大発見があった世界の様子に引き込まれた。
神や仏を信じ超自然的な存在を心の拠り所にする宗教、観察や実験による再現性のある物事とその因果関係を突き止める科学、相容れないながらも事実を知るには切り離せない部分がある。物語の中では、岩宿遺跡を発見した相澤忠洋や、現生人類とネアンデルタール人との交雑発見など、実在の人物や実際の報道などもチラッと出てくる。きちんと知らないことが多いのだが、ん?と思った時Wikipediaなどで調べながら読んでいたため、いい具合に頭の中でフィクションとノンフィクションを混ぜ混ぜにできて楽しめた。どんな結末を迎えるのか最後までドキドキしながら読み進める。現代の世界ならもしかしたら?と思わされる結末はなかなかに恐ろしくもある。 -
お宝ミステリの一冊。
こういうミステリが読みたかったんだ…と満足&お宝級の面白さ。
世界中が湧いた"キリストの乳歯"発掘ニュース。これだけで掴みはオッケー。
主人公の記者と共に乳歯のDNAから辿る神のルーツ、拡がる仮説に興味の渦が止まらない。
そこに突然投入された青ヶ島に伝わる源為朝の鬼退治伝説と親友の死。
二つが螺旋のように絡み合い、どういう収束を迎えるのか、たどる楽しさがやまない。
夜空に瞬くような浪漫と濃霧に隠された真実が不意に怒涛のように押し寄せる終盤はお見事の一言。
何気ないエピソードの効かせ方といい、巧い。 -
キリスト教はかじった事あるけど
こんな事でブームになるかなとは
思った。
中東と日本の青ヶ島の鬼伝説がどう交わる
のかなあと思いながら読みました。 -
イスラエルのナザレ、かつてイエス・キリストが住んでいた場所だというところで、厳重に埋められた乳歯が発見された。イエス・キリストの乳歯ではないかということで科学的に分析されたその歯から見つかったDNAは現人類のものとは異なっていたため、「神」が実在したという仮説に世界中が湧きたつことになる。
私もおそらく典型的な日本人なので、宗教にはほぼ興味がなく、キリストの乳歯が見つかったといっても「へえ、そうなの」という感じですが。そのDNAが特異=キリストは本当に神だった、というのにはびっくりです。だけどそれでいきなり宗教に頼ろうというのは……なっちゃうのかなあ。この発見が世界にもたらした騒動がとんでもなくって、恐ろしいような気すらしました。
壮大な人類学の謎に加えて、乳歯が本物なのか否か、そして青ヶ島で起こった事件の真相は。謎が盛りだくさん。そしてハラハラドキドキの展開も待っています。 -
現生人類とは異なるDNAを持つイエス・キリストのものとみられる乳歯の発掘と、東京の南360キロの絶海に浮かぶ鬼伝説のある青ヶ島での一アマチュア考古学徒の変死という2つの出来事についての謎をめぐるミステリ小説。
日本版「ダ・ヴィンチ・コード」と称されるのももっともな、科学や考古学の知見を織り交ぜた良質のミステリ小説だった。キリスト教や青ヶ島などについても勉強になった。結局否定されることにはなったが「神人類」仮説というのも興味深かった。
途中までの盛り上がりに比べ、結末に賛否両論あるようだが、自分は最後の種明かしまで真相にたどりつけず、意表を突かれるラストで面白かった。
ただ、自分は学生時代に考古学を専攻していたのだが、教授が「発見のためには根性でもっと掘れ」といった発言をする(遺物発見のために地層や遺構を無視して掘り進めることは考えにくい)など、ちょっと考古学に対する理解不足は感じた。 -
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話の規模が大きく楽しみながら読めた。発散と収束のバランスが良い
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引き込まれる設定だっただけに、終盤は残念。
犯人もわかりやすく、せっかく壮大な設定だったのに、結局仲間内の話で小さくまとまってしまった感じ。
結局やることやっちゃうのか…という残念感も。
この内容なら、ボリュームを出して、もっと広げないとかなぁ。 -
イエスの乳歯って すごくワクワクしました。青ヶ島の鬼の話も出てきてワクワクが止まらない!
とにかくおもしろかったデス -
主人公に「おいおい」と思うところはあった。
最後の数十ページでまさかの展開が…。
読み応えのある作品。 -
イスラエルのナザレで廃墟となった教会の下の洞窟住居で、羊皮紙に包まれた乳歯が発見された。その乳歯は、イエス・キリストと同時代のものであり更にホモ・サピエンスとは異なるDNAが検出される。イエスは神の子であるから人間とDNAが異なるのは当然であり、神が実存していたことの証明になると世界的に宗教ブームが巻き起こる。イエスの乳歯は果たして本物なのか、それとも捏造か──
SNS時代ならではの陰謀論の蔓延、青ヶ島で考古学調査と発掘をしていた友人の死、妻が陰謀論に傾倒していく中で雑誌記者の主人公は聖乳歯の正体を探ろうとする。
SNSで話題になっていたので読んでみた。
宗教と歴史、科学を絡めた壮大なミステリーだった。これまでにも聖遺物は幾度となく発見されては本物かどうかを巡り騒動を巻き起こしてきたが、今作のイエスの乳歯という題材が面白い。イエスは天に帰ったので骨や墓はない。でも、乳歯ならば残る可能性はあるよね、という着眼点がお見事。いかにもありそうな話に思えて興奮した。
一見関係のなさそうな青ヶ島の鬼伝説が絡んできて、物語は怒涛の展開を見せる。これこそ、フィクションの面白さ!という感じの物語だった。
ところどころ、作者のご年齢のせいか表現が古臭かったり不適切な部分があってノイズとなりつつも物語自体は楽しかった。 -
意外な結末にびっくり。
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一気読み。面白かった。
大袈裟な帯に釣られて手に取ったが、正解だった。
読んでて、どこまで史実・現実か分かんなくなるくらい没入。
オチは賛否ありそう。個人的には最終辻褄が合ったし良かったと思う。
若干ミスリードもあり、残りページ少ないけど結論たどり着くの!?ってハラハラしながら読めた。
忘れた頃にもう一回読もう。 -
【日本版『ダ・ヴィンチ・コード』登場!】イスラエルで発掘された〈キリストの乳歯〉のDNAは、ホモサピエンスとは異なる人類のものだった!? イエス・キリストの正体は?
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考古学ミステリ的なストーリーの中に、現代社会のさまざまな問題が散りばめられた良作。
一つの出来事に解釈が重なって大きな社会変化をもたらす。その出来事自体が生み出される動機もまた、、
ここは読んで体験すべきところ -
前半はスローペース。フリンがどうのこうの…となり始めた頃から読む手が止まらなくなりました。犯人がわかってからの畳み掛けはもう一回転くらいほしかったけど、総合的には面白い作品でした。宗教に疎いのでちょっと賢くなりました!
本岡類の作品
