禁断の罠 (文春文庫 よ 29-50)

  • 文藝春秋
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167921439

感想・レビュー・書評

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  • 6人の作家さんによって書かれたアンソロジー。
    どの作品もすごく面白かったです。
    特に好きなのは、米澤穂信さんの「供米」。ゾワっとしました!
    中山七里さんのお話は続きがありそう。気になります。
    満足度の高い1冊でした。

  • 六人の作家が綴ったミステリーチックな短編集。
    斜線堂有紀の作品、「妻貝朋希を誰も知らない」は特に新鮮。なぜ主犯が迷惑系動画を拡散させ、どうして友が死にいたったか、それらを関係者へのインタビュー形式で物語は進む。作者の他の作品も読みたくなった。

    中山七里の作品「ハングマン」は設定が面白い。単行本からの抜粋作品なのかな。
    続きが読みたい。

  • 6人のミステリー作家さんたちの短編集。

    どれもこれもとても読みやすく、あっという間に読了。

    個人的には、斜線堂有紀さんの「妻貝朋希を誰も知らない」が1番良かった。
    結城真一郎さんの「大代行時代」も好きでした。

    どの話も続きが読みたいです。

  • 気になる6人作家さんの短編が収められた贅沢な1冊です。
    中山七里さんのハングマン-雛鵜-は、もう1回どんでん返しがあるかなと少し期待を膨らませすぎました。
    有栖川有栖さんのミステリ作家とその弟子は、なんとなく予想はついたけれどザ・ミステリと言った感じで面白かったです。
    米澤穂信さんの供米は文章も結末もきれいで気に入りました。

  • 別冊文藝春秋2023年11月号結城真一郎大代行時代、斜線堂有紀妻貝朋希を誰も知らない 、オール讀物2023年3,4月合併号米澤穂信供米、7月号新川帆立ヤツデの一家、中山七里ハングマン、有栖川有栖ミステリ作家とその弟子、の7つの短編ミステリアンソロジーを2023年12月文春文庫刊。新川さんのヤツデの一家のラストのインパクトが強烈で印象的。結城さんの大代行時代の新卒の猪俣くんの秘密に驚いた。着眼点が楽しくて良い。斜線堂さんのどんでん返しは良くできているが、ややありがちで少し残念。

  • ミステリ人気作家が書いた6つの企み。好みの作家さんが多いため読みました。どれも面白い。新川帆立さんの「ヤツデの一家」は読んでいる時の感情が最後にひっくり返されるし、結城真一郎さんの「大代行時代」は今時で面白い。斜線堂有紀さんの「妻貝朋希を誰も知らない」は迷惑動画からの展開に衝撃。米澤穂信さんの「供米」は最後でなるほどと思わせる。中山七里さんの「ハングマン」は本作も読んでみたいと思わせられた。有栖川有栖さんの「ミステリ作家とその弟子」は2人の会話は物事の着眼点に脱帽。〆にふさわしいものだった。どの作品も読みやすくてgood

  • ミステリの名手が仕掛ける6つの企み
    『いくつ解ける?』
    人気作家の新作がいきなり文庫で勢ぞろい!
    油断厳禁!2度読み必至の最強アンソロジー
    との帯分に読み進め、楽しいひとときをあじわいました。
    『別冊文藝春秋』『オール讀物』等の文芸誌に精通されている方は、読んだことある!と感じられたとは思いますが、この6篇を選び一冊のアンソロジーを編んだ文藝春秋の担当者の方に感謝申し上げたいと思います。
    以下各篇に一言触れたいと思います。
    『ヤツデの一家』
    悲劇を避けられなかった不器用な長女は、ヤツデの様な家庭環境で、心まで不器用になってしまったのだろうか?
    『大代行時代』
    需要があるから、供給者が存在する?固定観念を覆す一作
    『妻貝朋希を誰も知らない』
    作者の意図は、迷惑動画に踊らされることではなく、境界知能者の理解と支援ではないのか?
    『供米』
    愛する者が失われた時、残された者か一番に願うこと・・・その一心で遺稿を・・・
    米澤穂信先生!
    深いなぁと思わず唸ってしまいました。
    『ハングマン━雛鵜━』
    現代の必殺仕事人は、ビッグデータを見方に復讐代行を・・・今後の展開に期待大!
    『ミステリ作家とその弟子』
    そのトリックには前例が・・・
    ミステリー好きには、ちょっと堪えるこのフレーズを逆手に物語を紡ぐ有栖先生!
    一流の作家は、超一流の読者なのですね


  • 著名な作家六名の短編集。
    イヤミス、どんでん返し、ほっこり、切ない等々、さすがと思わせる作品です。
    最近読書が億劫になっている私にはちょうど良く楽しい本でした。

  • 6編、どれも「禁断の罠」というより、かなりの毒をもっている。

    「供米」、読みなれている作家さんがやはりしっくりする。

  • 禁断の罠
    有名作家六人のアンソロジー。興味があった作家、余り読まなかった作家の作品もあり、楽しみだ。

    ヤツデの一家 新川帆立
     今作で印象ががらっと変わってしまった。筆者の作品は強い女性、コミカルなミステリーのイメージミステリーと位置付けていたがまるっきり印象にないミステリーを仕上げてきた。
     主人公の真実は強い女性で政治家として権力を手に入れている父親の跡を継ぎ政治家になる。自分を醜女と思っており、周りの見方もネガティブな女性だ。妹の優芽は世間知らずで姉に依存して生きている。血の繋がらない兄の渉は仕事などは一切出来ないが、真実からすれば顔も良いし、何でもいう事を聞く都合の良い人間である。
     ある日、渉と優芽との情事に気づき、渉の女癖を警戒する。しかし、後日改めて真実がいない所で二人が会っている事に気づき、裏切られた気持ちで真実は渉を殺害する。そしてこの作品はこの後の展開が秀逸であり、衝撃をうける。
     新川帆立は全て読んでいる訳ではないが、確実に変化があったであろう作品。

    大代行時代 結城真一郎
    銀行員の主人公と新入社員のコミュニケーションを描いた作品。どの世代にもジェネレーションギャップはある訳で、自分と違った価値観、考え方を持った新人達に苦労する主人公を描いているが、何が罠で何が謎なのか一切理解に苦しむ。文面は面白いが、普通によくある事をそのまま捻りもなく記載しているだけで、ミステリーでも何でもない、主人公を使った、ただの不平不満と自己満足の話だ。何が禁断で何が罠てあるのかが全く分からない。代行の正体がわかる部分が肝なんだろうが、このアンソロジーに掲載すべき作品ではなかった。

    妻貝朋希を誰も知らない  斜線堂有紀
     SNSのコメント欄やインタビュー形式で進んでいくミステリー。動画サイトを使い迷惑行為で炎上している妻貝という人物。彼の行動を巡り、インタビュアーが様々な人達から彼の性格や人柄を読み解く。
     冒頭、SNSのコメント欄が描かれ、単純に迷惑行為による炎上事件を題材にした作品かと思いきや、該当者達へのインタビューを通じて加害者妻貝の人物像がわからなくなっていき、最後は驚きの展開に変化していく。インタビュー形式のみで、実質的に登場人物が見えないのだが、それを上手に活用して、少しずつ該当人物達の人物像が見えていくのは秀逸で面白い。記者の活躍が光るが記者自体のバックボーンがあれば(他の作品に登場している等)魅力は更に上がっていたと思う。
     前から気になる作家だったので、今後別の作品も手に取ってみたい。

    供米 米澤穂信
    詩人である春雪の死後、彼の遺稿がみつかり、それが出版される。友人である主人公が読む限り、
    明らかに出来が悪く、亡くなる間際、完成されていないものだと気づく。春雪の妻は彼の事を理解しているはずで、何故、未完の作品を出版するに至ったのか。
     短編でありながら心引き込まれるストーリーは見事で、淡々と話が進みながら、無駄が一切省かれた手法は、春雪に劣らず見事といいたくなる。
     春雪の妻は何故未完の作品を発表したのか。まるで「満願」を初めて読んだ時の様な心地良さだ。

    ハングマン-雛鵜- 中山七里
    単純に面白い。全く初めて読んでも、まるで以前からずっと続いているシリーズの様に世界観を拾える。今作だけで完結しない、更にはスタートもなく、出来上がっている世界に放り込まれた感覚だ。ミステリーとしても面白いし、恐らく人間に一定の線引きをしている比米倉が最後に秘めた決意は今後、続編として広がっていく様に思う。(だから雛鵜なのだろう。)
     ドス黒いダークなイメージがこの作品には充満していて、久水はとても良い印象の青年なのだが彼が巻き込間れた事件、トラブルは大きな事件への足掛かりでしか無さそうだ。
    2023年はほぼ新刊は購入納めになっていたのだが、ハングマンの長編が年始に出ていた様なので購入しよう。

    ミステリ作家とその弟子 有栖川有栖
    タイトルの通り、ミステリ作家と弟子のやりとり。高齢の作家と押しかけて弟子になった有望な若手。二人のやりとりは面白く、作家が弟子に課題を与え、弟子が導いた解答に対して作家が見解を伝えれる。桃太郎やウサギと亀等作家のインスピレーションの作り方が面白い。この様なやりとりが主体の、作家と弟子の日常的な作品かと思いきや・・・。短い作品だがバックボーンが見えるようで、短編としての切り取る部分が見事だといえる。ストーリーの飛躍は必ず必要だが、全く違った作品になる為、長編などでも読んでみたいと思う作品だ。

     全体的に僕が作品を触れた事がない、少ない作家も多いが、やはり有名作家は面白い。全体的に完成度も高く、不満は少ないアンソロジーだ。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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