万葉と沙羅 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2024年5月8日発売)
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感想 : 19
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  • 本 ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167922177

作品紹介・あらすじ

実は、まわり道は一番近いのだ。

傑作青春小説がついに文庫化!

中学で友人関係に苦しみ不登校だった沙羅が選んだのは通信制高校。
そこで再会した幼なじみの万葉は、古本屋でアルバイトする青年。
「本という宝を探すにはコツがいる」と彼に教えられるうちに、
沙羅も読書の奥深さに目覚めていって――。

新美南吉、宮沢賢治、松本清張、マリー・ホール・エッツ……小説や絵本など、実際の著名な25冊の本が登場!
大切な人と本でつながる瑞々しい青春小説。

解説・若松英輔

感想・レビュー・書評

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  • 万葉と沙羅は、小学校前の幼馴染で2人が再会したのは通信制高校である。
    万葉は、両親が別れた後に母を亡くし父は再婚後にドイツへ赴任、その後叔父と暮らしていた。
    沙羅は、中学で友人関係に苦しみ不登校になり、1年遅れで通信制高校へ入ったところでの出会いだった。
    再会した万葉は、叔父の古本屋でバイトをしていて本にも詳しく、沙羅も自然と読書の奥深さに目覚めていく。
    2人の関係や友人との付き合い方など、その折々に触れて絵本や小説なども登場する。
    お互いに感想を言い合ったり、どの本のどこが好きなのか…
    こういう相手がいると楽しいだろうなぁと思いながら青春時代に読めばもっと深く心に染みてたかも…

    本との出合いは、人との出会いのようでもあり、人とを繋げるものでもあると感じた。




  • バックが黄色で主役の2人が描かれたシンプルなデザインの表紙が素敵。中江有里さんの小説を初めて読んだ。物語を読み進めると言葉や文章では現しきれない感情の差異について考えるきっかけを貰える。派手な小説ではないけど、生きて行く上で大事なことが描かれてる小説だと感じた。

  • 最寄り駅内の小さな書店の新刊コーナーで見つけた一冊。
    黄色と緑と赤というとても目につく配色!
    -------------------------
    実は、
    まわり道は
    一番近いのだ。

    不登校だった沙羅は、
    通信制高校で幼なじみと再会。
    本を通じて2人が
    成長していく傑作青春小説。
    -------------------------
    本は時を越えて人を救う力がある。

    不登校だった沙羅が再会した小笹馴染みの万葉。
    作内には、いくつかの本が登場します。

    そのなかで「砂の城」は、実際に読みました。
    そっか、沙羅は泰子のことを受け身って思ってたのか、と。
    私は芯のブレない強い女に見えていましたが、読み手によって見える景色も印象も違うんだなと。

    沙羅と万葉の日常と進路と。
    二人とも良い子だから、頑張ってほしいなと。
    親戚の伯母さん目線でした。苦笑

    著者の文庫版特別エッセイが収録されていますが、
    本が非常口というのはとても共感です。
    私は人見知りだし、
    人間好き!というわけではないけど、
    人が書いた本に救われているから。

  • 本選びは 目にあった本にすればいい
    本は生ものなんだ。いつまでもあると思っちゃいけない。
    人の本棚って面白いね。頭の中身を覗いているみたい。

    本好きの人にはあるあるネタがあって、そんな点も楽しめる。

    できるなら、登場する本をストーリーにもう少し絡ませてくれると、それらの本を読みたくなるのに、と思った


  • 中江有里さんのファンで、手にした本です。中江さんの読書愛が溢れていました。

    万葉と沙羅の、本を介しての触れ合いや、それぞれの心の成長を、自身の悩み多き青春時代と重ねて読むことができました。

    万葉の言葉「読み終わっても、読書はずっと続いている」 私も本当だと思います。

    本を通して繋がれる人間関係って素敵です。色々な方の本の感想を読める、このブクログが私は大好きです。

    小説の中に登場する本で、まだ読んでいない気になるものがありました。

    若松栄輔さんの解説、奥が深く読みひたってしまいました。

  • 迷える青春時代から遥か遠くに来てしまったので、まどろっこしく感じました。
    真っ只中の方にお勧めします。

  • 一言で言うと『好き』です。
    万葉と沙羅、そしてその周りの登場人物かそれぞれ何かしら困難をかかえている。でも当人以外はそんな風に見えてない。普段生活していてもみんな感じる一場面。それでも転換のタイミングで出てくる本たちがいずれも読んでみようと思わせるのは絶妙でした。
    そして、私がこの本の中で線をひいたのは
    『好き』という佑月の気持ちには、きっと虹のようなグラデーションがある。どれかの色が好きとあうのではなく、七色の虹が好きなようだ。
    の部分。この本の中でもLINEだけじゃなくて電話する場面とかで表現されてるように、文字だけでは伝わらない、伝わりにくい言葉ってあるからこそ、やっぱり実際に会って顔を見る、声を聞くってことは重要なのだと改めて気付かされる内容でもありました。

    最後にポメラニアンとビーグルの挿絵がなんともかわいらしいので見逃さないでください!

  • 【本は非常口。いつだって、逃げていいんだよ。】不登校を乗り越え、通信制高校に通う沙羅。そこで再会した幼なじみの万葉は、本が大好きな青年だった。本が結ぶ瑞々しい青春小説。

  • 大好き!大好き!
    読み終わったら、万葉と沙羅に会えなくなるのが寂しくて悲しくなっちゃうくらい好き
    恋とか愛とかには当てはまらない関係良きー!
    通信制高校に、いたときの二人をもっと見たかった(読みたかった)なー
    文庫版特別エッセイも、じんわりと…よかった。
    作中にあった、『草の花』 『廃市』ついでに『海市』も読んで見ようと思う


    1つだけ気になったのだけど、中学のときに学校に行けなくなった理由の人が声をかけてきた理由はなんだったんだろ 謝りたかったとかだといいな…

  • 今も十分に面白いけど中高生のときに読みたかった。勉強して偏差値上げて大学行く以外の生き方があることを学生の時に知りたかったし、本をもっと読んでおきたかったな。

    本当にまわり道が一番近い。

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著者プロフィール

俳優、作家、歌手。1973年大阪生まれ。89年芸能界にデビューし、数多くのTVドラマ、映画に出演。俳優業と並行して脚本の執筆を始め、2002年「納豆ウドン」で第23回「NHK大阪ラジオドラマ脚本懸賞」最高賞受賞。06年には第一作となる小説『結婚写真』を刊行し、小説、エッセイ、書評など文筆活動も積極的に行う。NHK-BS『週刊ブックレビュー』で長年司会を務めた。NHK朝の連続テレビ小説『走らんか!』ヒロイン、映画『学校』、『風の歌が聴きたい』などに出演。近著に『万葉と沙羅』(文藝春秋)、『残りものには、過去がある』(新潮文庫)、『水の月』(潮出版社)など。文化庁文化審議会委員。19年より歌手活動再開。

「2023年 『北條民雄『いのちの初夜』 2023年2月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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