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本 ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167922191
作品紹介・あらすじ
「号泣しました。様々な痛みを抱えて生きる人々を、そっと包み込んで肯定してくれる優しい作品です。」――新川帆立(作家)
★感涙必至のお仕事ミステリーが誕生!★
~元看護師の著者が送る、命の物語~
完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に勤める看護師・卯月咲笑。ある日、意識不明の男性のベッド脇に見知らぬ女の子の姿が。それは卯月だけに視える患者の「思い残し」だった——。彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。ナースが起こす小さな奇跡に心温まるお仕事ミステリー。
★創作大賞2023(note主催)「別冊文藝春秋賞」を満場一致で受賞★
\note投稿時から絶賛の声多数!/
「この話、好きです。救いがあって。」
「ほわっと心があったまるようなミステリー」
「ドラマ化希望!」
「ずっと余韻に浸りたい素敵な作品」
「こんな世界があればいいな、と思いながら読みました」
\noteスタッフからも感動の声/
「どうしようもない現実の厳しさと、それでも希望を持つ大切さ――最終章でボロボロ泣きました」
「病に倒れたとき、戸惑いや不安と向き合うことの大切さを教えてくれる作品」
「感動せずにはいられない傑作」
「苦しい時に、何も言わず、ただ静かに寄り添ってくれる、親友のような作品」
「医療現場の息づかいが聞こえてくる医療ドキュメンタリーのようでもあり、斬新なミステリーでもあり、ラブストーリーでもある傑作」
「本が大好きな9歳の娘と共に堪能した」
「卯月の健気で優しく、しなやかな姿に、私の心残りにもそっと手を添えてもらったような気持ちになった」
感想・レビュー・書評
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10月下旬の朝日新聞の書評欄で見て「読みたい」に入れていた。
総合病院の長期療養型病棟に勤めるナースの卯月には患者の心残り、そのことにまつわる人物の姿が視える。彼女がその「思い残し」を解きほぐし、より良い看護を目指して奔走する日々が描かれる。
「思い残し」に対しては少々おせっかいという感じもし、途中で哀しい理由が明かされてああそうかとは思ったが、それで血糖値を測り忘れてはいけないな。
それぞれの「思い残し」は結構あっさりと解決するのでお話のアクセントとしては適当という気もするし、後半には、様々な「思い残し」と向き合った末に本来の健全な看護の状態を見つけ出す成長の姿を見ることができるので、まあ、いいとするか。
「思い残し」の解決以上に、看護師として働く人たちの生活や心情がしっかり書き込まれているところがこの本の読みどころ。
作者さんは看護師として10年以上勤務してきた方らしく、看護の様子に加え病室の臭いだの夜勤明けの変なテンションだの細かな描写に現場の人の感覚を感じる。
長く長期療養型病棟で勤務し将来に悩む卯月、研修期間でその仕事に悩む水木、ミスに落ち込みながらも今やらなければならない仕事に取り掛かる山吹、送別会で自らの心情を吐露する透子さん、自分と仕事と患者さんのことを考え、悩み、日常を進めていくそれぞれの姿がリアルに感じられ、とても良かった。
最終話の結婚式は出来過ぎだとは思うが、こういうのに弱いのだな。とても良い気持ちで読み終えることができた。
実際に入院してお世話になったこともあるので、それは大変なお仕事と思ってはいたが、自分のミス一つで誰かが死ぬかもしれないという責任の重さの割に恵まれない環境で働いておられる実態も知れ、改めて頭が下がる思いがする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
元看護師が書いた医療系のミステリー(?)。
死に近づいた患者が「思い残し」があると、病床の側に人が出てくるようになり、あるきっかけで見えるようになった看護師の卯月がその思い残しを解消しようと助けて行く。それが事件、事故を見つけることになる。最初のうちは、そこまで立ち入って行くのか、探偵まがいかと思ってしまう。やはり熱中し過ぎて医療ミス寸前まで行き、徐々にフェードアウトして行く。
同性との恋愛、結婚が何度も出てくる。帯に号泣とあったが、あまり泣けない。過酷な医療現場の状況に大変さを強く感じる。
長期療養病床で終末期医療なので死の様相が濃い。自分も辿る道と思うと、できる限り家族や医療関係者の手を煩わせたく無いと思ってしまう。 -
看護師さんは尊い。
人は不器用。
思い残しのない人生が送りたい。 -
看護師が主人公の連作短編集で、医療系お仕事ミステリ。
総合病院の長期療養病棟で働く卯月咲笑は、入職7年目の看護師。同性の恋人を事故で失ってから、死期の迫った患者の「思い残し」が視えるようになる。「思い残し」とは、人物の姿をしているのだが、会話したり声を聴いたりすることはできない。
以前読んだ『BORDER』は死者と会話ができる刑事の話だったが、それとちょっとにている。こちらは「会話」ができないので、患者の過去や生活環境から、その「思い残し」の正体を探っていく。
作者は、13年ほど看護師として勤務したという。その経験をもとにして物語を書いているのだろう。実は私の連れ合いも看護師で、そのキャリアは30年以上ある(現役です)。私自身も若いころ小さな病院で、事務職として働いた経験があるので、看護師の仕事や生活については馴染みがある。それでとても面白く読めたのだが、表紙カバーの絵だけはいただけない。ナースキャップをつけているのだ。衛生上の観点から、現在では廃止されているところがほとんどだ。連れ合いの勤める病院も、私が通院しているクリニックもナースキャップはつけていない。そして、ナースウェアもスクラブタイプが主流になってきている。ワンピースタイプは、ほとんど見ません。
シリーズの第二巻も出版されている。 -
帯の「号泣しました。」は、私は全くなし。
最後まで静かに読み終えた。
卯月が白衣を着たときだけに見える「思い残し」。
この手の小説で、亡くなった後に何かが見えるというのはよくあるけど、患者さんが入院中に…というのは初めてのパターン。
やっぱり、生きているうちに「思い残し」はなくなった方がいいなと思う。
作者の秋谷さんは元看護師さんということで、病気のことや処置の方法の描写は、なかなかリアル。
卯月が中堅看護師になるタイミングで終わっているので、続編が出たらいいな。 -
☆4
以前タイムラインでフォロワーさんの感想をお見掛けして気になっていた作品です。
長期療養型病棟に勤める看護師が主人公の物語。
お仕事小説ということで、普段はなかなか知る機会の少ない医療現場の裏側を知ることが出来て、とても興味深く読ませて頂きました。
専門用語もたくさん出てきたのですが、分かりやすく丁寧に説明してくださっているので勉強になりました!
どのお話も良かったのですが、6章のお話がとても感動的で思わず泣いてしまいました…(っ ̫ ; ˘)
続編も出ているとのことなので、今から読むのが楽しみです❁⃘*.゚
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長期療養病棟に勤める卯月咲笑は
あることをきっかけに
患者の思い残しが見えるようになった。
作者の秋谷りんこ自身も看護師で
自らの体験から
実際の生々しい看護を描写していて
葛藤や喜び、やりがいなど
共感できることが多かった。
人がなくなるとき、
この人の人生を思い、家族の思いを想像し
寄り添う。
それを思い残しとして
姿が見える特殊な力のように
描かれていたことが、
とても、夢があるというか、
一つのお仕事ミステリー小説になっていたなあと
あまりに自分の病棟と似ていたので手にとった一冊だったけれど、日々の看護や葛藤を
肯定してくれた気持ちになった。
病院ではどんな風に看護が
なされてるのか、それはなんのためなのかが、
医療従事者でなくても
分かるように書かれていたので
大切な人が入院した時に
家族が抱く不安に対しての救いにもなると思った。 -
看護師卯月咲笑は、死期が迫った患者の『思い残し』が見える。
『思い残し』を解決して、患者に寄り添いたいという優しさ溢れる話だけではなく、看護師の仕事の厳しさとやりがいも味わえる。
劇的な展開もなく、感情が揺さぶられることもないが、いい話だなあとしみじみ味わった。
続編が2冊あるようで、いずれ読んでみたいと思う。 -
主人公は看護師5年目の卯月咲笑。医療モノだが、OP室とか救命救急とかではなく、長期療養型病棟が舞台。そこで働く看護師・卯月の日常が描かれている。働きながら卯月は視てしまう。幽霊ではないけど、死を目前にした患者が思い残している人を、霊のように。そして思い残しを解決すると、その霊のようなものは視えなくなる。ちょっとおせっかいと思うけど、不快ではなかった。
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長期療養病棟で働くナースの卯月。彼女には、患者さんが心に秘めた"思い残し"が見えた。
患者さんの思い残しを解決しながら、卯月も自分のなかにある"思い残し"と向き合い成長していく。
生と死にまつわる話なので、時折、こみ上げてくるシーンも多かった。とくに身内が今まさに長期療養病棟にいるので、重なってしまう部分も多かったせいもあるだろう。
誰しも死からは逃れられない。自分はどんな風に向き合えるだろう。とても良い話だった。 -
実際に看護師経験がある方が書かれた小説のせいか、とてもリアルで、専門的な知識?もあって、ある意味ためになったというか、わかりやすくて、入り込めました。
人生で入院したことは、出産時の2回と、盲腸で入院しただけだけど、自分の入院の時も、母を送った時も、看護師さん達のチームワークというかテキパキさと優しさにとてもお世話になったことを思い出しました。
私の中では、医者は治す人かもしれないけど、看護師さんなしでは本当に闘病生活はできないな…と。
だから、この小説、本当に良かったです。
つらい想いをしても、患者さん、思い残しの人に寄り添える卯月さんをずっと応援したくなりました。 -
思い残しが視えたとしたら、どのように活かしていけばいいのか悩みながら、仕事をしていくような気がしました。
生きていれば、幸せなことだけではありませんが看護師さんも含め最期に関わる人たちが優しいといいなと思いました。 -
中堅ナースの卯月が患者の側に見える『思い残し』を解決しながらナースとして、人として成長していく姿を描いた物語。元看護師の著者が書いただけあって、臨床の患者像や疾患像などはわかりやすいが矛盾なく描かれていた。看護師だけでなく、それに関わるスタッフ(作業療法士と言語聴覚士、救急救命士など)の姿が出てくるのも珍しいなと感じた。物語は、6人の患者の『思い残し』との物語なのでボリュームも少なく、ドップリと言うよりサラッと読める内容で、通勤通学で短時間に読むにも適しているかも。続編ももう少し時間を開けて読んでみたい。
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「思い残し」が視える看護師の卯月。
人生をやり残しなく終えることが出来る人は、ごくわずかだと思う。
死ぬまでにやりたいことを日々考え、自らは生きていくこと。
そして、誰かのために自分が出来ることをやること。
両方を忘れないで、毎日の時間を大切に過ごしていきたい。 -
【収録作品】
1 深い眠りについたとしても
2 誰でもきっと一人じゃない
3 苦しみと目を合わせて
4 一歩前に踏み出すために
5 ありのままを受け入れて
6 病めるときも健やかなるときも
長期療養型病棟に勤める看護師、卯月咲笑が患者の思い残しを解消しようとする物語。 -
長期療養病棟に勤める看護師卯月。卯月が特殊な能力を持ってしまい、患者が気になっている「思い残し」を見ることができる。最初はその「思い残し」を解決したい気持ちに従って動くのだけれど、ナースとして毎日丁寧に仕事をしていくうちに、患者さんやその家族に丁寧に寄り添っていくことの大切さに気がついていく。そして自分の専門性をどのようにしていくかも見つけていく。看護師が成長するためにプリセプターという仕組みで少し先輩の看護師が新人看護師に寄り添って成長の見守りをするということや、看護師さんたちが何を考えたり、ミスを犯さないようにどう気をつけているかなど、現場の様子がとてもわかりやすく描かれていて、最後まで一気に読んだ。
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作者さんは13年間看護師をされていたとあるように、患者さんの思い残しが視えるという設定が無理なく、リアリティもある作品だった。看護師というハードな職業、しかも末期医療などは、神経がすり減っていくだろう。その中で寄り添う看護師に頭が下がる。
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帯に「大号泣」とありましたが、
わたしはそこまでは…
特定の層には、
凄く刺さると思います。
本書は、そのうちドラマ化されそうな気がします。 -
本書を読んでいる時丁度、テレビ東京BS番組「あの本詠みました?」に、著者がゲスト出演していた。
患者が死を意識したとき、その患者の「思い残し」た人物を視ることができるという看護師卯月が主人公。
思い残しは、患者の心にひっかかったり、気にかかっていることがある場合に現れ、卯月自身の辛い過去が影響しているようだ。
文庫惹句の「号泣しました」は少し大袈裟だが、心温まる話が6編の医療ミステリー。デビュー作とは思えないほどの出来映えで、続編もありか。
医療ドラマが全盛のテレビドラマにも、向いているかも。
秋谷りんこの作品





