笑うマトリョーシカ (文春文庫 は 60-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167922269

感想・レビュー・書評

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  • 早見和真『笑うマトリョーシカ』文春文庫。

    早見和真の小説を読むのは『イノセント・デイズ』に次ぎ、2作目。最近ドラマ化された作品のようだ。

    何とも不思議なミステリーである。主人公が曖昧で結末までもが曖昧なのだ。

    47歳で官房長官となり、総理への道を突き進む清家一郎が主人公かと思えば、次第に影が薄くなり、女性ジャーナリストの道上が主人公のようにも見えたかと思えば、清家一郎の母親の浩子が主人公にも見え、清家一郎の同級生で秘書の鈴木が主人公かと思えば、曖昧なのだ。

    従って、語り手が一体誰もがなのか判然としないままに、どんどん物語は進んでいくのだから参ってしまう。

    清家一郎が高校時代から政治家を目指し、生徒会長に立候補する所や清家一郎の出自の秘密が少しずつ明かされ、母親の浩子の驚愕の正体が明らかにされる所など部分的には面白いのだが、小説全体としてはまとまりが無く、面白くないのだ。

    ミステリーに政治家を登場させて、その裏側を描くからには、その政治家のドロドロした悪行の全貌を描いて地獄に落として欲しいと願うのが読者の気持ちなのであるが、結局は何も起きないままなので、不完全燃焼を感じてしまう。


    ★を4つにするか3つにするか非常に迷ったが、3つにせざるを得ないだろう。大密林の評価が異常に高く、本当に信用出来ない。大密林とは喧嘩別れして正解。

    本体価格880円
    ★★★

  • 読み応えあり過ぎて参りました。生者必滅会者定離がこんなに拡大して迫って来るとは。ヒットラーとハヌッセンの関係性が物語の軸で誰がハヌッセンかの物語のゴールなんだけど、エピローグの前までに見つけることが出来ないのね。光一の店の座敷に一堂が勢揃いしたのは圧巻でした、もちろん誰がマトリョーシカ人形なのか分かるもんだと思いきやで、思っていた人全員がマトリョーシカはマトリョーシカでもの外側だったとか、小松さん登場もだし 出会いから別れまでマサに生者必滅会者定離で伝わる。もし本当にホンモノとニセモノという区分けがあるならば清家一郎がどちらかなんて誰も判断出来ないし、もし物語が現実に存在するとか恐ろしい うーん政治の世界にはあるのかもね

  • 早見和真さん初読み。結構な長さだったが、一気読みしてしまった。官房長官まで上り詰めた清家一郎という人物の物語。ミステリー要素もあり話の展開に目が離せなかったが、最後までこの清家のことがよく分からなかった。この小説に込められた意味を十分理解するには再読が必要だが、いずれにしても「支配」「コントロール」が一つのキーワードになる話で、その原動力や破壊力の強さをつくづく実感した。

  • じつは自分が操られている側だと知らずに、相手を侮り、思い通りにしようとする。滑稽だけれど、怖しいことだ。
    人間の最も内側で笑う人形は、この世で一番怖しいのかもしれない。

  • 連休初日の夜から一気読み。
    やっぱりなあ、と、思いながら読了。ミステリー調で謎解きのようで面白かった。
    ニセモノか、ホンモノか。
    眼が笑ってない人はいっぱいいる。実際その点で言えば、俳優たちはちゃんとそこまで演じているから凄いものだ。
    演じてるなんて殆どの人は演じてるのでは。上手く笑えてるかどうかの違いかも
    だからこそ、清家は実は。。。演じてはいない。で、
    操る操られる。あるだろう。
    実際操られていた方が楽かもしれない。
    ただ人の命と引き換えにと、言うのはね。
    立派な政治家とはいえそれだけはダメだ
    失格。
    鈴木が助かったのは救いだ
    まあ、それだからこの小説はなりたつのだが。

  • テレビの1話を見て原作が読みたくなり翌日速攻本屋さんへ!
    ニセモノとは…ホンモノとは…
    人間の顔の側面なんていくつもあって自分でも本当の自分がどれなのか困惑する時がある。
    一つの物事に対し、そもそも何通りもの考えが自分の中にもあり、どの自分がホンモノ?なんて自分でもわからない。
    釈明も解明も不能…ちょっと本書のホンモノ、ニセモノの問いとは観点が違うけれどラストの方はそんなことを思い浮かべながら読んでいた。

    読後がなんだかモヤモヤ。
    結局何も起きず何もスッキリしないまま終わってしまった。

  • 途中までは、なんとも退屈なお話…読むのを断念しそうになるほど、だったのですが!!

    中盤以降から、どんどんと話が、思っていた方と違う展開に広がっていって一気読みでした。

    操ろうとする人間が、実は翻弄されていた、なんて、怖いです。

  • 早見先生の作品をいくつか読んでいたのでドラマ化、文庫化ということで手に取りました。
    とても面白い作品でした。 政界を渡るカリスマの半生は素晴らしい内容で、青春時代を共にした仲間との偉大なるサクセスストーリーという1つの側面でも楽しめました。
    引きで見た一郎が圧倒的に主人公な作品でしたが、ドラマでは記者が主人公なんですかね。
    エピローグを読みながら東出昌大さんを一郎に当てはめていました。

  • 【2024年読了ー53冊目】 

    愛媛の名門男子校でクラスメイトだった二人…
    父を政治家に持つ清家一郎は「いつか政治家になる!」という夢を語る
    そして鈴木俊哉は彼のブレーンとして清家を支え、彼を政治の世界へとの仕上げていく…
    というと、代議士とその秘書の青春小説のように思えてしまうが、とんでもない…
    なんせ清家一郎という人物の真の姿が全く分からない
    そして清家が47歳で若き官房長官となった時
    「彼が誰かの操り人形だったら?」
    そう感じた女性記者が背景を探り始める…
    そして浮かび上がる怪しい人間関係と不審死…
    何よりも代議士・清家一郎を操っている人物は誰なのか?
    時間が経つのも忘れての一気読みでした…

    ドラマでは第一話が終わりましたが、まぁ配役ピッタリですね!
    特に清家一郎役…
    一見お人好しで子どもっぽい感じ…でも実は?みたいな…(笑)
    そしてドラマでは原作では全く描かれていない女性記者の父親の事故からのスタート
    原作のラストにもびっくりでしたが、ドラマはどうなるんでしょうか?
    そして清家の母親役は誰?
    色々楽しみ…

    原作では高校時代に清家たちが松本清張『砂の器』の映画を観るシーンが描かれます
    交響曲『宿命』が流れるラストシーンは何度みても胸が締め付けられます
    映画だからこその名シーン
    清家はこの映画を観た後、嗚咽し自身の出自について鈴木たちに話し始める…
    でも実はこれも…(笑)
    とにかく私も久しぶりに『砂の器』鑑賞します!

  • 一気に読んだ。青春小説のような前半からは想像もつかないラスト。複数の人間の立場で書かれたそれぞれの心理がおもしろい。ドラマ化では櫻井翔さんが清家一郎を演じるそうだが、他のキャスト発表が楽しみだ。特に母親役が。

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著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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