剣樹抄 インヘルノの章 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2024年6月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167922276

作品紹介・あらすじ

歴史時代小説には、吉川英治『宮本武蔵』、藤沢周平『蟬しぐれ』、宮本昌孝『剣豪将軍義輝』、葉室麟『あおなり道場始末』など、剣の修行を通して成長する若者を描く青春小説の系譜がある。
冲方丁〈剣樹抄〉シリーズも、この列に加わる作品である。末國善己(解説より)

地獄にとどまり、地獄を払えーー

大火を引き起こした「極楽組」首魁・極大師は水戸光國のもとに自ら降った。
柳生義仙と廻国修行の旅に出ている六維了助は、逃げた配下の3人を追う。
東照宮討ち入りの謀反に関東での切支丹集団の潜伏、松平伊豆守の影――。
絡み合う魔の手から光國と了助は江戸を守れるのか。
傑作時代エンターテイント完結! 

感想・レビュー・書評

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  • 「極楽組」の配下たちの行方は?
    彼らを追う義仙と了助。更なる騒動に立ち向かう、光圀たち。
    そして苦難と辛苦の歩みは、了助を成長させる。
    大火に始まり大火で終わる、
    大江戸諜報エンターテインメント小説、ついに完結!
    ・剣樹抄地図
    東叡大王 八王子千人同心 かまりの隠れ里
    大谷のマルチル 公方館のコンヒサン インヘルノ
    ・解説 末國善己

    吊天井事件と極大師の投降。
    江戸で対面した光圀はその正体を知る。
    義仙と了助は日光東照宮へ行き、一千両盗難事件に。
    次いで、八王子千人同心の甲州征伐の義。
    武田忍の隠れ里で聞く、恐ろしき企み。
    大谷の石切場では、まさかの切支丹の集団が!
    極楽組のそれぞれの正体も徐々に判明してくる。
    そして江戸に帰った了助と義仙は、
    光圀たちや拾人衆の仲間と共に、江戸を守る戦いへ。
    了助はその木剣で地獄を払う!
    実在の人物たちを散りばめての、虚々実々が入り混じった
    物語も完結に。闘いのシーンがワクワクする緊迫感続出。
    複雑な人間関係にもドキドキの連続。それらを含め、
    様々な場面が丁寧に描かれていることにも、好感。
    そして多くの大人たちと関わり、義仙と出会い旅することで、
    了助が変化し成長してゆく姿を丁寧に描かれていたことが、
    なんとも心地よかったです。

  • 権謀術数が渦巻くサスペンスと、時代劇をより派手にしたアクション。さらには少年の成長ストーリーが折り重なり、とてもエンターテイメントに富んだ時代小説でした!

    実父の仇が慕う人物であることを知り、主人公の少年は復讐心に駆られてしまう。
    そんな彼が義仙という人物との旅のなかで仇や悪人に向き合うようになる姿が素晴らしい。
    とくに仇である人物の視点や江戸社会の暗部の話からそれぞれの人々が抱える地獄を知り、そうした人々の辛苦を解したことで少年と同じく恩讐を越えた心境になっていくのが共感できました。

    長い旅路の果てに少年が選択したことの道先はまだまだ苦難が待っていそうですが、人として成熟した彼ならきっと地獄を払って進めるんだろうと思えるラストでした!

  • 剣術の師の元、了助の成長を描く剣樹抄。面白かった。
    1巻では了助の過去が描かれ、2巻では仇が光圀であることを知る。3巻の本作では仇である光圀の背後にいた存在にまで辿り着くとともに復讐の上をゆく赦しを行うという成長を見せる。
    剣を通じて悟りを開いていくのは王道のストーリーではあるものの異能の仲間や諜報戦、バトル描写など読みどころが多くて面白かった。

  • シリーズ3作目
    ようやくここまで
    うまく物語が分散しているので、余計な感情移入がなかったことが、登場人物の立ち位置、バックグラウンドを知る上で足枷とならず、正面から取り組めた
    前作までのもやもやとしたものが昇華され、立ち込める暗雲の下でも、その向こうには青空があるのだなと、つくづく思う

  • 冲方丁は面白い。成長する了助の内面描写。物事へ向き合う心のあり方は物語とは別にそれだけで読ませる。また登場人物のキャラの魅力。特に泰姫と義仙は双璧だ。

  • 剣樹抄1巻・2巻は★5レベルであったが、完結編は・・・、という感じ
    大団円的なまとまりはあったが、突然キリシタン棄教や島原がからませて展開に唐突感があったかな
    面白いけど

  • 時代ハードボイルド小説。良い終わり方でした。

  • エンタメとして申し分ない面白さで、まさかキリシタンが絡んでくるとはという意外性もあった。
    主人公の了助が一部や二部では不安定でダークサイドに堕ちそうなところを、三部ではちゃんと成長をみせ地獄を払い大円団…というストーリーもベタなのかもしれないが良かった。
    解説を読んで、史実もそこそこ織り込まれていることを知りさすがだなとも思った。

  • 以前、NHKのドラマで、この作品の最初の方を描いた部分を観たけど、続きは放送されたのだろうか?まあ、少なくとも、この「インヘルノの章」の部分は、まだだろうけど、これは、かなり難しいだろう、と思う。それほど大作だ。

  • 待たせすぎだし、なんで文庫なんだよ、と思うが、公共図書館の予算も苦しくて、ハードカバーの部数が計算できない、のかな?

    福田和代ならまだしも、冲方丁までこの扱いなら、出版の未来なんて絶たれたも同然か…

  • 【陰謀の陰に老中が 傑作時代エンターテインメント第3弾!】火付盗賊の極大師が光國の元に降った。義仙と了助は配下の3人を追う。東照宮討ち入り謀反に切支丹の潜伏。了助の成長著しい完結編。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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