祓い師笹目とウツログサ (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2024年6月5日発売)
3.44
  • (7)
  • (29)
  • (40)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 398
感想 : 29
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784167922313

作品紹介・あらすじ

見えないけれど、どこにでもいる

植物の妖怪とも称されるウツログサ。多くは無害だが人についたものは宿主の欲望を読んで成長することもある。幼いころから傍にある穴。誰にも言えず自分だけが見えることに怖さを感じて――(「アナホコリ」)。ニュータウンのひかり台でウツログサを祓う男と、それに囚われた人々の心のうちをあざやかに描く。

『活版印刷三日月堂』の著者によるリアルで不思議な物語。文庫オリジナル。

みんなの感想まとめ

見えない妖怪「ウツログサ」と、それに取り憑かれた人々の心の葛藤を描いた物語は、独特なファンタジーの世界を提供します。ウツログサは、無害な存在でありながら宿主の欲望を読み取る特性を持ち、時には人々の人生...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『植物の妖怪とも称されるウツログサ。多くは無害だが人についたものは宿主の欲望を読んで成長することもある』

    生まれながらに隣に穴がついてまわっていた「アナホコリ」
    恋すると爪から芽が出て成長する「オモイグサ」
    文字が体に纏わりつき変化していく「ツヅリグサ」
    村人みなが瓢箪を背負っている「ウリフネ」
    空に浮かんでいる透明な綿菓子のような「ヒカリワタ」

    憑いている人、あるいは一部の人にしか見えないウツログサ。すっかり取り憑かれている人もいれば、そこにいるのが当たり前すぎて違和感を感じていない人も。
    皆、見えない人たちとの疎外感や違和感を感じつつも困り果てているという感じはない。

    だが様々なウツログサが見え、祓うことが出来るという年齢不詳の男・笹目と出会うことで決断の時が来る。
    笹目は決して祓うことを強制しない。
    本人が困っていないなら祓う必要はないという。

    長年寄り添ってきたウツログサとの別れを決断する人、ともに生きることを選ぶ人、ついに取り込まれた人、その結末は様々。
    妖怪と聞くと悪いイメージしかないが、中にはその存在に救われた人もいるし新たな一歩を踏み出そうとする人もいる。

    笹目の一歩も二歩も引いた立ち位置や、それぞれの物語が淡々と語られているところなど、なかなか新鮮なファンタジーだった。
    ほしおさんは「菓子屋横丁」シリーズしか読んだことがないが、こういう作品もあるのかという発見ができて良かった。

  • 植物やキノコやカビに近い、植物の妖怪のような、この世の理とは別のところで存在するもの、ウツログサ。
    意思も何もないはずなのに、欲望のようなものを察して、宿主が喜ぶことをする。
    これがまぁ、切ない。
    5話の編成なのだけれど、ひとつひとつのおはなしに、1人の人生のうちの多くの年月が記されていて、そこにウツログサがどう関わっていたのか、それが物語の軸になっているから、ウツログサの存在が良くないものだと思っていても、いざ払うとなると迷いが出てしまう。
    ずっと一緒に生きてきた、体の一部のようなものになってしまうんだなぁと、こちらまで切なくなる。
    例えるなら蟲師のような。と、語彙力の乏しさを誤魔化すためにこの本の雰囲気を伝えるのなら、これが1番わかりやすいかもしれない。蟲師がわかる方になら。

    • shifu0523さん
      結月さん、こんにちは。蟲師のたとえ、しっくりきました。それだけお伝えしたくて。失礼しました。
      結月さん、こんにちは。蟲師のたとえ、しっくりきました。それだけお伝えしたくて。失礼しました。
      2024/11/15
    • 結月さん
      shifu0523さま
      コメントありがとうございました。
      普段、コメントを残していただくことが滅多にないもので、大変に気付くのが遅れてしまい...
      shifu0523さま
      コメントありがとうございました。
      普段、コメントを残していただくことが滅多にないもので、大変に気付くのが遅れてしまい、すみませんでした。
      蟲師の例え、共感いただけて嬉しいです(⁎ᵕᴗᵕ⁎)
      続編も出ております。そちらもまた、素敵でした。
      2025/07/28
  • ほしおさんのお話が好きでなんとなく近づかなかったこの本をとうとう手に取った!
    ウツログサの存在にちょっとおののいた。苦手なヤツだ。それでも、読んでみないといいとも悪いとも言えないし。”頑張って”読んだ。祓い師の寿命にびっくり。

  • 目には見えぬが、まわりには「ウツログサ」と呼ばれる植物のような妖怪のようなものがいるという
    多くは害はないが、人の欲望を読んで成長することもある
    そんなウツログサを見ることができ、必要ならば祓うこともできるのが祓い師笹目という正体不明の男
    それぞれ違うウツログサの話が5篇載っているが、中でも「ウリフネ」は折口信夫の民俗学の本からの引用もあり印象深い話だった。


  • 読了。少し生きづらさ感じてる人と植物の妖怪のような存在とそれを祓う仕事をしてる人との不思議な話。怪異と呼ばれるような話は好きよく読むけど、これはまたちょっと違った不思議な話でした。

  • 【収録作品】
    序章
    アナホコリ
    オモイグサ
    ツヅリグサ
    ウリフネ
    ヒカリワタ

    ウツログサという植物の妖怪のようなものvs祓い師、というようなバトルもの……ではない。
    「アナホコリ」以下の各話は、ウツログサに憑かれた人たちの視点で語られる。笹目との出会いで自分に憑いているものの正体を知った「わたし」たちは、それぞれ異なる決断を下す。

    淡々とした語り口の、体温の低い物語。希望とも絶望ともちがう、ただ生きることが語られているように感じた。

  • とてもよかった
    ウリフネ
    ツヅリグサ
    優しいけど切ない
    笹目さんの物語も知りたいと思った

  • 連作短編集。
     普通の人には見えない、植物の妖怪のようなもの「ウツログサ」。たいていは無害だが、時には繁殖しすぎたり、人に悪影響を与えたりする。そんな時は祓い師が駆除する。主に薬を使って。笹目は先代に拾われ、この仕事についた。祓い師になると寿命が延びるらしい。彼も年齢不詳の男性として描かれている。
     漫画「蟲師」みたいだと思う。舞台が現代で、ニュータウン(古びた団地)ひかり台だけど。
     しかも、もうすぐ続編が出るらしい。多分読む。

  • 植物の妖怪、ウツログサを祓う笹目とウツログサを宿す人達の物語。ほしお先生のこれまでの作品とは違った雰囲気の物語で新鮮だった。ウツログサを祓う選択をする人もいれば祓わない人もいて、その選択の先にもどこか寂しさがある余韻の残るお話だった。これもシリーズ化して欲しい。

  • この作者さんにしては珍しく、ちょっとダークな感じの作品。人には見えない、人の憑く植物を祓う仕事についている笹目という不思議な男。ウツログサのせいなのか、そういう人にウツログサが憑くのか、何話かは切ない気持ちになる。わたし的には「ウリフネ」の話が良かった。続きがあるようだから読みたい。笹目の行く末も気になる。

  • 漆原友紀さんの蟲師を思い起こしました。そちらを知っているので、小説だと色々の部分がくどいなぁと感じました。ただそれはマンガと小説という創作方法の違いなのかもしれません。さりげない小品集として 蟲師を知らない人には楽しめるのかもしれません。祓師笹目は 狂言回しの役割で あまり出てきませんが、今後シリーズ化すれば、色々展開するかもしれません。

  • 祓うひとにもわからないウツログサというあやかしのような不思議なものが見える人たちの話。
    ウツログサとの付き合い方や考え方がみんな違うので、祓う祓わないも人それぞれ。

    ウツログサに取り込まれたあとどうなるのか宇宙くらい怖いですが、気になりますね。

  • ウツログサという、人には見ることの出来ない、草の妖怪のようなクサたち
    アナホコリ、オモイグサ、ツヅリグサ
    ウリフネ、ヒカリワタ

    それを祓えるという祓い師 笹目
    憑かれた人が笹目の近くにやってくる
    そんなクサに憑かれたらどう感じるのだろう、祓ってほしい??

  • 植物の妖怪のようなもの『ウツログサ』。

    久しぶりにグサグサきた。
    何となく全体的に、生きる事に執着のない諦めのような苦しさを感じた。
    話は「ウツログサ」とその宿主の関わりが主で、毎度同じ場所に現れる祓い師笹目さんが謎すぎて気になる。続編希望。

  • もっと読みたい…

  • ウツログサという植物の妖怪みたいなものとそれが見えてしまったり、憑かれてしまった人とそれを祓う笹目との不思議なお話。

    わたしはこういう世界観大好きで、短編になっているので、読みやすく、それぞれの人達のウツログサとの出会いがあって面白かったです。

  • 続編のほうを購入してからこちらを購入。たまたま続編のほうを書店で見つけて購入したのですがその書店には1冊目がなく別の書店でこちらを購入しました。
    以前は本はいつでも買える、手放してもいつでも買いなおせるって思っていたけどそうじゃないんだと遅まきながら気づいてから読みたい本を見つけた時は買うようにしてます

  • 図書館でふと見つけて読了。

    久しぶりにこういう小説を読みました。個人的には「ヒカリワタ」の世界の捉え方は好きでした。

  • 不思議な世界観。ずっと物悲しい雰囲気がただよう。
    特に最後のお話はウツログサと関係ないところで辛い。
    どのお話もよかった。

  • ・アナホコリ
    ・オモイグサ
    ・ツヅリグサ
    ・ウリフネ
    ・ヒカリワタ
    このところ長編小説ばかり読んでいたからか、一章がすごく面白くなりそうなところで終わる感じがして物足りなかった。
    けど、「ヒカリワタ」はすごく好き ヤングケアラーって言葉だけで終わらせたくないな せつなくて でも愛だよね 司書さんも良い

    この話シリーズ化しないのかな
    笹目さんの事も もっと知りたい

全28件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ほしおさなえの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×