清張の迷宮 松本清張傑作短編セレクション (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2024年7月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784167922443

作品紹介・あらすじ

●ミステリ界きっての“読み巧者”が清張短編のベストを厳選! 

数百作におよぶ松本清張の短編の中から、
ミステリ界の旗手二人が各々のベストを厳選! 
二人をして「文句のつけようがない」と
唸【うな】らせた傑作ミステリや、
人間への鋭い洞察が深い余韻を残す名作、
編者のセンスが光る意外な逸品など、
大作家の魅力を存分に味わえる10作を収録。
〝清張入門〟にもうってつけの珠玉のアンソロジー。

【目次】
理外の理
佐渡流人行

白い闇
詩と電話
装飾評伝
断碑
田舎医師
上申書
天城越え

感想・レビュー・書評

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  • 北村薫さんと有栖川有栖さんが松本清張作品を五作品ずつ計十作品を選んだ短編集です。

    私は清張作品は新潮文庫と文春文庫の宮部みゆきさんの松本清張傑作短篇コレクション(全三巻)でブクログを始めるよりだいぶ前にほとんど読んでいます。好きなんです、清張作品。

    でもこの短編集で読んだ記憶があるのは『白い闇』だけでした。『詩と電話』『上品書』『天城越え』が
    特に面白く、『詩と電話』はちょっとコミカル、『上申書』は次は一体どうなるのかと思い、『天城越え』は犯人の動機がとても切なかったです。


    北村薫さんと有栖川有栖さんの最後の対談も面白いです。

    松本清張短編傑作選・アンソロジー収録回数
    1位8回
    「張り込み」「顔」
    2位6回
    「声」「一年半待て」「黒地の絵」
    3位5回
    「白い闇」「装飾評伝」「鬼畜」
    「捜査圏外の条件」「空白の意匠」
    「西郷札」「真贋の森」「共犯者」
    だそうです。
    1位と2位は全作品読んでいました。
    3位も半分以上は読んでいると思います。

    現代の社会派ミステリーはとても読みやすく面白いですが、松本清張のような少し古い時代の巨匠の作品はあなどれないと思います。

    松本清張の未読本を読みたいのですが、どれが未読でどれが既読なのかタイトルが有名なので、読んだから知っているのか、有名だから知っているのかごちゃまぜになってしまい、二度買いしたらもったいないと思い悩みます。

    • なおなおさん
      まことさん、こちらでも失礼します。
      私も松本清張さんが好きです。
      きっかけは、映画「砂の器」(加藤剛出演)で、なんと、中学の時の授業で観たの...
      まことさん、こちらでも失礼します。
      私も松本清張さんが好きです。
      きっかけは、映画「砂の器」(加藤剛出演)で、なんと、中学の時の授業で観たのです。
      あれは何の授業だったのか…道徳?社会?
      親に頼んで小説を買ってもらい、今でも大事にしております。
      この本の表紙が気に入りました。
      まず清張さんがなんとも可愛らしく…^^;
      風刺が効いているのかな…新聞を手に、何か言いたげにひょっこりこちらを見ていますね。
      2025/01/24
    • まことさん
      なおなおさん♪
      私も松本清張なんて、古いの読んでるのかと思われないかと心配していました。
      私も『砂の器』の映画から入ったと思います。私は確か...
      なおなおさん♪
      私も松本清張なんて、古いの読んでるのかと思われないかと心配していました。
      私も『砂の器』の映画から入ったと思います。私は確か高校の時に映画館で観ました。
      それから大竹しのぶさん主演の『霧の旗』とかも観て、凄い面白いと思い、有名どころは、大体読みました。そして、しばらくして確かドラマで『黒皮の手帳』が始まり、『黒皮の手帳』を読んで、再ブレイク。
      この本も北村薫さん、有栖川有栖さんという豪華なお二人の、セレクトで、面白かったですよ。
      宮部みゆきさんの選んだ短編集もよかったですが。
      2025/01/24
  • 北村薫、有栖川有栖・編『清張の迷宮 松本清張傑作短編セレクション』文春文庫。

    2人のミステリー作家が厳選した松本清張傑作短編集。2人が5編ずつ選んだ10編を収録。

    流石は有名ミステリー作家が厳選しただけに余り馴染みは無いが、味のある短編ばかりが並ぶ。確実に読んでいると確信出来るのは『佐渡流人行』と『天城越え』の2編であるが、他の短編も読んでいるのに内容を忘れてしまったのかも知れない。

    『理外の理』。北村薫のセレクト。松本清張の作品はかなり読んでいるつもりだったが、この短編は初読みだった。まさかの展開に驚かされた。雑誌の方針転換により須貝玄堂が持ち込む原稿は採用されなくなってしまった。それでも玄堂が原稿を持ち込むこと12回。最後の原稿で……

    『佐渡流人行』。有栖川有栖のセレクト。既読。妻に嫉妬する男の復讐と爛れた男女の関係の結末を描いた時代サスペンス。横内利右衛門が佐渡支配組頭に命ぜられ、配下の黒塚喜介も佐渡に同行し、水替人足の管理をすることになる。江戸に戻った暁には出世も期待出来るものと喜介は妻を伴い、佐渡に渡る。

    『月』。北村薫のセレクト。初読み。偶然なのか、それとも意図的なのか、『佐渡流人行』と似たようなテイストの短編だった。地誌学を志す伊豆亨は大きな仕事に手を出すこともなく、女子大の教師に甘んじていた。

    『白い闇』。有栖川有栖のセレクト。初読み。果たして、この結末の後はどうなったのか、非常に気になるところ。泥々した男女の愛憎劇。石炭商の夫の精一が何時ものように東北の常磐地方と北海道に出張するが、予定を過ぎても戻らぬことを心配する妻の信子は精一の従弟の俊吉に相談する。

    『詩と電話』。北村薫のセレクト。初読み。タイトルからは容易にストーリーが連想出来ない。それでいて、ミステリーの謎が明かされているという大胆さ。1年前に胸を悪くして休んでいた新聞社に勤める梅木欣一は地方都市に異動になる。梅木が赴任した地方都市ではライバル紙の小林太治郎という通信員がスクープを連発していた。警察よりも先んじて現場に駆け付ける小林の秘密とは。

    『装飾評伝』。有栖川有栖のセレクト。初読み。松本清張にこういう雰囲気の短編があったとは。異端の画家、名和薛治について書こうとしていた主人公が気付いた名和の秘密。

    『断碑』。北村薫のセレクト。初読み。『装飾評伝』とも類似たような雰囲気の短編。ここまで、松本清張らしいミステリー短編が少ないことが解せない。鬼才と言われた考古学者の木村卓治の生涯。

    『田舎医師』。有栖川有栖のセレクト。初読み。なかなか渋い短編だ。ミステリーを前面に出すことなく、自身のルーツを辿る味のある短編であった。杉山良吉は亡くなった父親の猪太郎の故郷である葛城村を訪ねる。本家の杉山俊郎という医師の元を訪ねると往診に出掛けた俊郎は道から転落死してしまう。俊郎の葬儀に参加した良吉にある疑念が浮かぶ。

    『上申書』。北村薫のセレクト。初読み。松本清張にしては少し変わった作風の実験小説のような短編だった。戦時中に妻殺しの疑いをかけられた男の聴取書で構成される短編。証言が二転三転する男の供述。

    『天城越え』。有栖川有栖のセレクト。既読。映画にもなった有名な短編である。石川さゆりの演歌とは関係ない。高校生の時に読み、50年もの時を経て久し振りに読んだが、最初に読んだ時の衝撃が蘇って来た。16歳の鍛冶屋の倅が家出して天城峠を越えようとする。道中、24歳の若い女性と同行することになる。それから、30年後……

    本体価格960円
    ★★★★

  • 45冊! 新潮文庫の松本清張を全部読む 短編小説編/南陀楼綾繁
    波:2022年8月号 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/nami/tachiyomi/20220727_1.html

    北村薫(1949.12.28-)有栖川有栖(1959.4.26- )「清張の〈傑作短篇〉ベスト12」『オール讀物』2023年6月号|Fe
    https://note.com/fe1955/n/ncf307f31a87f

    文春文庫『清張の迷宮 松本清張傑作短編セレクション』有栖川有栖 北村薫 松本清張 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167922443

  • 今までも松本清張の短篇アンソロジーは数々あって、出るとつい読んでしまう。どの短篇が好きとかこんなのもあったのねという以上に、最早、この選者はこれを選ぶのかこう読むのか〜ということのほうが面白くなってしまっているかもしれない。

  • 初めての松本清張でした。入門にお勧めされてるだけあって、とても良かったです。
    それから?それから?と、どんどん読みたくなります。
    テレビドラマや映画の原作に沢山使われている意味が分かりました。情景もストーリーも美しいし、おぉそうきたか!という驚きもあって。
    私は「月」が一番好きかな。

    黒皮の手帳も面白いんだろうなぁ。

  • いくつか読んだものもあるが、まとまって読むと清張の幅の広さがよくわかる。短編の方が楽しめる。「天城越え」は例のやつ。大沢在昌、Ed McBainと並行して読んだが、書かれた時代を最も感じにくい。

  •  松本清張の短編を有栖川有栖と北村薫のふたりが五作ずつ持ち寄って編まれた清張傑作選になります。時代小説、評伝小説、推理小説と様々なジャンルから幅広く採られているのですが、個人的に一番好きなのは、「月」でした。断トツと言っていいくらい。

     その「月」は、師匠には不興を買い、師匠の死後も主流から逸れ、地味な学問を研究していた歴史学者の人生を辿っていく物語なのですが、想像もしていなかった結末に不意打ちを食らってしまい、結構なショックを受けてしまいました。しかも簡潔で素っ気なく、そして美しい文章が、より心を抉ってきて、忘れがたい余韻を残します。未来の光に見えていたものは紛い物でしかなかったのか、と感じさせる、強烈な一撃でした。

     他にも、出版社側の事情から原稿の返却をしないといけない編集者の悩みになんだか共感してしまう「理外の理」、夫の死の真相を追う妻の姿を描いた、読後感の良い「白い闇」、三十年の前の殺人の真相をめぐる、動機も印象的な「天城越え」の三篇が特に印象に残りました。

  • 松本清張の文庫の新刊が読めるのは、ファンとしてもとても嬉しいかぎりです。 ましてこの短編集を編んだのが北村薫さんと有栖川有栖さんというお二方ならば尚更のこと。とても興味をそそります。お二人が選んだ10篇の短編は、1954年〜1972年に書かれた清張作品の中でも、よくぞこの作品を見つけてくださった!と、唸る珠玉の短編です。編者であるお二人にも拍手を贈りたいと思います。

    この本の裏表紙には“清張入門” にもうってつけ、と紹介されていましたが、私はむしろ松本清張をたくさん読んできたり、映像で観てきた読者こそ、その面白さがわかるのではないか、と感じました。

    10編の短編はどれも推理小説としての趣きが違い、多彩で読み応えがあります。小学校しか出ていない松本清張がいかに博識であったか、そしてそのことが、ひがみ、ねたみ、嫉妬、焦燥‥の塊となって作品に投影されている点が否応にも読み取れゾクゾクします。誰も書かなかった、誰も書けなかったテーマでありながら、今の現代でも充分共感を得るのは、今も連綿と根付いている格差社会の中に私たちもいるからでしょう。

    だから清張作品は短編であっても繰り返し映画やドラマに起用されるのだと思います。

    巻末に高村薫さんと有栖川有志さんの対談がありますが、それもとても面白く、作品解説的な役割をしています。その中で このアンソロジーを『宝の森 』と称していますが、まさにこの短編集は『宝の森』そのもの。もっともっと読んでいたい、もっともっと「清張の迷宮」に浸りたい、 そう思わせる一冊です。

    【目次】
    理外の理 (小説新潮 1972.9月号)
    佐渡流人行 (オール讀物 1957.1月号)
    月    (別冊文藝春秋 1968.6月号)
    白い闇  (小説新潮 1957.8月号)
    詩と電話 (オール小説 1956.8月号)
    装飾評伝 (文藝春秋 1958.6月号)
    断碑   (別冊文芸春秋 1954.12月号)
    田舎医師 (婦人公論 1961.6月号)
    上申書  (文藝春秋 1959.2月号)
    天城越え (1959.11月号)

  • 父の影響ですっかりファンになった松本清張。

    これまたファンの北村薫さんと有栖川有栖さんが選んだ短編集、となれば読まずにはいられない!

    ほとんどが初めて読む短編で、読んでいて本当に楽しかった。ざわざわとするような怖さや切なさや驚きもあって、素晴らしい10編でしたー!

    一昨年、亡父と松本清張記念館と「時間の習俗」に出てくる和布刈神社を訪れたのは良い思い出です。

  • 「月」という一編を読みたくて。

    月の光の中で終わる「佐渡流人行」の次に「月」を置いたのは意図的な編集でしょう。

    「月」のなかの老学者がとる姿勢は斜めじゃないかな?

  • まさに〝清張入門〟アンソロジー。初めて松本清張を読んだがこんなに面白いんだと気付かされ、終始ワクワクして読み進めた。淡々としていながら、自らの不遇の半生を投影した魂の叫びのような文章。興味から徹底し、綿密な調査や取材をしたからこそのリアリティー。特に好きだった『月』。なんとも言えない後味の悪さだが、どこか余韻を残す読後感だった。清張マニアのお二人の対談もより理解が深まりよかった。

  • すっごく良かった
    「月」に衝撃を受けた 大好き

    「佐渡流人記」「装飾評伝」「断碑」も好き

  • 普段なら松本清張と言えども、いろんなジャンルが入るアンソロジーは避けてしまうんだけど、有栖川有栖が選んだとなれば話は別。

    読んでみると、普段なら選ばないであろう作品もおもしろい!(いつも思うけれど、読まず嫌い程損なことはないね)

    ・佐渡流人行
    ・装飾評伝
    ・天城越え
    が特におもしろかったかな。

    それから、表紙の絵が!私は好き(笑)

  • 売れっ子作家2人が清張さんの短編から10編を選び収録した本。躊躇わず購入してしまった。内容には全く関係ないが表紙がちょっと、、。さて読んだ事がある短編と初読みの短編とあったが好みだったのは「理外の理」「佐渡流人行」「月」「天城越え」前2作品は感情を出さない作家、妻が何かとんでもないことを起こすと暗示させるような文章でどんどん読ませ期待を裏切らないラスト。「月」は今まで何度も読みラストもわかっているが何度読んでも面白い。多分それは老作家の複雑な感情が丁寧に書かれているから。「天城越え」は昔、田中裕子主演で映画化された。田中裕子が凄く妖艶だった事を思い出した。

  • 昭和の、それも初期の頃の話だったり。
    登場人物が大正生まれだったり。
    貨幣価値が数円単位だったりで、もはや時代小説の感あり。前時代的なかんじ。
    そういう味わいを楽しむべきなのかな。
    でも、ぶった斬られる切れ味は凄いです。
    以下、ネタバレです。

    もう価値観違いすぎて、よくわからなかったのが
    「詩と電話」「断碑」ですかね。女性の扱いに納得がいかないというか。当時では当たり前だったのかな。
    「月」とか「白い闇」は好きでした。特に「月」には爽快感すら覚えました。一推しは、と訊かれると
    「天城越え」かなー。「装飾評伝」も捨てがたいの、嫌ミスっぽいかんじが。「佐渡流人行」も好きですね。非情な結末とか巻末に書かれてましたけど、基本、男がバカでセコいんですよね。そして狭量で嫉妬深い。そういう主に男にとって、受け入れがたい現実が活写されているから「非情」ってことになる。くどくどと心情を述べるようなところがないのも「非情さ」を際立たせているのかも。「天城越え」は、いわゆる叙述トリックに入るのでしょうか、やられた感の残る完璧さを感じます。
    ただ、出てくる小道具が古くて。川端康成「伊豆の踊子」を読んでから読むと、いっそう興が増すそうですが。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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