星影さやかに (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2024年7月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167922504

作品紹介・あらすじ

●<マカン・マラン>シリーズ著者による感動の家族小説

昭和39年、羽田の町工場で働く良彦のもとに
亡き父の日記が届く。
戦時中に「非国民」と周囲から罵られ、
終戦後も自室にこもり続けた父を、
良彦はかつて軽蔑していた。
しかし、日記を紐解くと、
そこには父が口にすることがなかった想いと壮絶な人生、
そして良彦の家族三代をめぐる数奇な運命が記されていて――。

解説・中島京子

みんなの感想まとめ

家族の絆と過去の影を描いた物語が展開され、戦争を背景にした人々の複雑な感情が織りなす深いドラマが魅力です。昭和39年の羽田を舞台に、主人公の良彦は、亡き父の日記を通じて、戦時中の苦悩や家族の歴史を知る...

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読んだきっかけは地元のTSUTAYAにて『舞台は古川』というポップがあり地元人として読まなければと思い購入しました!

    古川という地域は仙台の北の方に位置し昔から米どころと言われてきており、ササニシキやヒトメボレを世に送り出してきました!
    さらに、大正デモクラシーを巻き起こした吉野作造の故郷でもあります!!
    舞台となる古川町は後に昭和の合併により古川市となり、平成の合併を経て大崎市となりました。

    本作では、戦時中に非国民と周囲から罵られ、終戦後も部屋に引き篭り続ける父が昭和の東京オリンピックの年に亡くなってしまう、主人公の良彦は妹から父の日記を渡される・・・

    良彦と妹、気位の高い祖母、祖母に従順な母、そして非国民と呼ばれた父の家族の物語!

    戦争の話ではありますが戦争を体験した市井の人々の話です!

    宮城県人であれば大丈夫だと思いますが登場人物達の訛りがキツいです。
    古川近郊の地名が出てきたり、吉野作造の話や奥羽列藩同盟の話なんかにドキドキします!
    古川人はぜひ読んでみてください!

  • 実話でした。親子三代の様子というよりも戦争に関わった人々の内の三代を描いて知ることだと思います。関東大震災の朝鮮人虐殺も日本を戦争に導いた陸軍に覆い被せて同調したアホな民間人も敗戦国になって報いを受けたのだろうか、秘密警察の真似事をしてまともな人を炙り出したアホな軍人も報いは?否 井出のジジイの様に180度態度を変えて生きて行った筈だ。こういう正しい小説を読むたびに憤るし神様はいないのかと

  • 夏になると戦時物が気になり手に取ってしまうのは日本人の本能なのか、子供の頃からの教育のせいなのかと考えてしまう。
    戦中、戦後と翻弄される良彦達家族。しかし東北の田舎が舞台の為直接戦闘に巻き込まれる訳ではないので、そういった悲惨さは感じられない。が、やはり大局の流れに巻き込まれていく。
    人の二面性が深く刺さる。本当に憎らしい鬼婆も、もう一つの顔は、プライド高き元姫であったり、その婆にいじめられる母もそんな婆を尊敬していたり。
    鬱になってしまった父も自殺願望を持ちつつも、なんとか生き切ろうと足掻く姿。
    時代が違っても生きる姿に背中を押された気持ちになった。

  • あたりまえだけど、戦争後も人生は続いていく。
    戦争が人の一生に与える影響について改めて考えることができた。

    関東大震災での朝鮮人の大虐殺。
    地震の混乱でみんながデマを信じて人を殺してしまう。パニックになると冷静な判断もできなくなる。そんな渦中にいて、ましてや虐殺の現場を見てしまったら、とてもまともな心ではいられないだろうなと思った。
    主人公・良彦の父である良一は、「この戦は負ける。戦争に行くな」と伝えたことで非国民扱いされて教師の職を失って。戦争が終わっても足元に現れる御真影に悩まされて外にも出られなくなって。
    考えたらあたりまえだけど、戦争が終わったことで「はい、今日から楽しく暮らせます」というわけではないんだと思い知らされる。

    良彦の父だけではなく、祖母や母の姿も印象的。
    良彦を怒鳴り散らしたり良彦の母をいびったりする祖母が、実は夫の駆け落ち相手とその娘を援助していたこと。強いなぁと思った。

    父が望遠鏡で見上げていた夜空。
    物語のはじめでは、幼い良彦が父親の考えていることがわからない、知るのが怖い、と底知れぬ夜空の闇を父の抱える秘密と重ねていて、
    物語の終盤では、その良一が「真実」を夜空の闇と重ねる。
    「そこにあるはずの星々は、昼間は見えない。夜に現れる輝きもまた、光年の彼方の光。実際には存在していないかもしれない星の影。
    真実もまた、それと同じなのかもしれない。
    見ようとするから見えない。在処を探そうとするから分からない。けれど、すべてが幻の訳ではない。眼に映るのが影であっても、実体がなければ光りはしない。」

    最後、良彦の母が良一の日記を読んで、自死しようとしていたのも家族のために備えてくれたのもどちらも本当のお父さんだ、真面目に生きてくれたのだからそれで良い、と受け入れているのがかっこいい。
    「お父さんに限らず、この世の中を生ぎでいぐのは、ご苦労さんなこどでねでがしょか」
    良一だけではなくて、みんないろんなものを抱えて、二面性をもって生きている。それで良いんだということ。良彦の祖母も母もそうだったように。

    良い本が読めた!


    「囚われから離れようとするから囚われる。囚われには囚われ、放心には放心することが自然なり」

  • 毎年、終戦記念日前に戦争に関する本をまとめて読んで8月15日を厳かな気持ちで迎える 今年は出遅れてなかなか良い本との出会いがなかったけど、丸善に陳列してるのをふと手にとって読みました

    知らない作者でしたが、よく出来た小説です 人物像も心情も丁寧に練り込められて読後感もなんともいえないしみじみとした気持ちになります

    オススメです

  • 地方の方言を話す登場人物たちの様子がイキイキ描かれている。戦争終結から、東京オリンピックの頃を生きた父の人生。

  • 吉野作造を、敬愛する父は関東大震災の後神経症になり東京から古川に戻って引きこもる。旧家を取り仕切る気丈な祖母、それに従う母、妹との田舎の日々。戦争から敗戦の後の人々の節操の無さ醜さと虚しいだけの戦争を一家の歴史を通して描いている。
    まともな神経の人こそ壊されていくようで恐ろしかった。

  • 戦地ではなく、攻撃をほとんど受けることがなかった東北の家族のお話。
    地動説のように、時代が違えば受け入れられる話が、ある時代では迫害されてきた。
    そんな過去が遠い昔ではない日本にもあって、平和の大切さをみに沁みて感じることができる本。

  • 戦争の非常さ
    その時生きている人の儚さ
    最後涙が止まらなかった。

  • まだ途中だけど、久しぶりに優しい気持ちになれる本。高校生の時に読んだ井上靖のしろばんばを思い出した。しろばんば全然覚えてないのでイメージです。これ傑作かも。なんとなくの戦中、前の日常だけど、しっかり内容が濃い。よい本に出会えました。

  • 著者自身の祖父と父にまつわる実話を基にした小説とのことだが、それもあってなんだかNHKの「ファミリーヒストリー」みたいなテイスト。

    章によって、一人称が息子→母→父…と入れ替わっていくが、それによって家族の有り様が多面的に立ち現れてくる。
    昭和39年から過去を振り返る序章と終章は、単行本のために書き下ろされたもののようだが、これが加わることで時間的な深みが増す効果を生んでいる。

    「ファミリーヒストリー」を視てもいつも思うけど、自分よりも二世代ほど前のこの時代、現代よりも世の中がずっと不確実で、どの家族も社会状況に翻弄されながら生きていたのだと思い知らされる。
    主人公の家族に限らず、どの家族も不確実な時代をそれぞれに懸命に、誠実に生き抜いていた。が、それが共同体に広がると、同調圧力やら余計なものが働いて、時に悲劇も生まれる。
    そんな人の世の難しさ、哀しさもまたこの小説には刻まれている。

  • おもしろい!!ではないけど、いい本に出会えたなという感覚。高校生の課題図書とかにしてほしい。

    わたしも祖母が生きているうちに、と思うけどやはりなかなか行動にはうつせていない。戦争の時代を生きた人が減っているこの時代、この小説が出たことには大きな意味があると思う。大変な時代だなぁで終わらせず私たち大人が未来を守っていかねば、、と思うけど、わたしがあの世界を生きることになったら世論の波に飲み込まれず、登場人物たちのような気高く尊い生き方ができるんだろうか。

  • ふむ

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著者プロフィール

1966年、東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。『銀色のマーメイド』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年にデビュー。17年、『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、第6回JBBY賞(文学作品部門)受賞。他の著書に「マカン・マラン」シリーズ、「キネマトグラフィカ」シリーズ、『風の向こうへ駆け抜けろ』『蒼のファンファーレ』『鐘を鳴らす子供たち』『お誕生会クロニクル』『最高のアフタヌーンティーの作り方』『星影さやかに』などがある。

「2021年 『山亭ミアキス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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