[真珠湾]の日 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2024年7月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784167922528

作品紹介・あらすじ

1941年12月8日、日本軍は真珠湾を奇襲攻撃した。なぜ「必敗の戦争」を始めたのか。9カ月に及ぶ熾烈な外交交渉の内幕、その果てに訪れた開戦の日の24時間の詳細な推移とは。膨大な公刊資料、証言、日記などを元に、東京、ワシントン、ホノルル、マレー半島と舞台を移しながら、克明に記録した傑作ドキュメント。解説・砂川文次(芥川賞作家・元自衛官)


「昭和史の語り部」が遺した、もうひとつの「日本のいちばん長い日」
――精緻に記録された「開戦の日」

付録[主要人名索引]を特別収録!


その安全のために、あるいは国益という名の打算行為から国家がなりふり構わず立ち上がることは、これからもありうるのである(「あとがき」より)

『日本のいちばん長い日 決定版』好評発売中!

みんなの感想まとめ

歴史の転換点である真珠湾攻撃の日に至るまでの複雑な外交交渉とその背景を、詳細に描いたドキュメンタリー作品です。著者は、アメリカとの交渉の過程や日本の内部の葛藤を克明に記録し、戦争の悲劇に至るまでの緊迫...

感想・レビュー・書評

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  • 半藤一利さんと言えば第二次世界大戦などのノンフィクション。真珠湾の日に何があったのかという掘り下げかと手にしたが、読みはじめたらそれ以前からの様々なやり取りから始まる実録であることがわかった。
    アメリカ側との交渉、所謂ハルノートというれるものの様である。

    歴史の一つとして、真珠湾攻撃というものがあるが、そこに至るまでの過程、その最中の国や軍の会話がありありと記録されていたことに驚く。
    何より、この歳になるまで「日本が先制攻撃を仕掛けてアメリカを怒らせた」勝手にそう思っていたが、それまでには様々なやり取りがあり日本も待ったり交渉したり譲歩したりとしていたとある。
    それなのに起こった戦争は実に残念であり、多くの人を巻き込んだ悲しい戦争だったと言わざるを得ないが、この例のように少しのズレや勘違いタイミング違いなどが要因となると言えるだろう。
    命に関わること特に沢山の人を巻き込むことは決して焦らず納得いくまで話し合い悲しい決断をしないでほしいと願うばかり。

  • 2025/12/14読了
    『日本のいちばん長い日』とセットで購入。
    日米両政府の外交交渉の決裂(というより、戦争回避のための努力の放棄)、相互の無理解・偏見、そして開戦通告の遅れ。――様々な要因が重なった末に、“宣戦布告無き奇襲攻撃”は日本にとって空前の戦果を挙げ、大勝利に酔った軍も国民も、短期決戦ではなく泥沼の長期戦を選んでしまい、その先には……。「軍人だからこそ、戦争開始を決定できる責任者だからこそ、もっと科学的に、論理的に判断してもらいたかった」とは、鯨統一郎『新・日本の七不思議』にあった台詞。国民感情を煽って支持を得たは良いが、煽られた側に煽った側も逆に煽られ、破局に至るまで止まらない流れが生じてしまう。冷静な、客観的事実に基づく議論を欠き、主観的、感情的言説で支持を集める、今のポピュリズムにも同じような流れを感じ取ってしまうのは、気の所為であって欲しい。
    本書における一連の流れは勿論、偶然を含めた事実の積み重さなりだが、意図された筋書きのように感じられるのは、歴史を振り返ったときに有りがちな錯覚なのだろう。同じことは、他の歴史の転換点――ベルリンの壁崩壊、ソ連解体、9.11~アフガン、イラク侵攻への流れetc.――にも言えるのだろうけど。

  • 日本が歴史的大勝を収めたとされ、また、日本が崩壊へ向かって歩みだした真珠湾攻撃の日。

    その日に至るまでの国の幹部や交渉役たちがどのようなやり取りをしていたか、が本書の前半に描かれる。ここは個人的には日本の追い詰められた鬱屈とした空気感もあり、読んでいて面白いというものではなかったが、読みごたえがあったのが、いざ真珠湾攻撃に向かっていき、そしてその戦果が日本に伝えられた時の日本人の反応であった。

    先にも述べたが、長引く泥沼の日中戦争のさなかにあって、また、米英からの圧力もあり、日本人は鬱屈とした感情を抱えて過ごしている様子が読み取れた。

    そこにもたらされた、あの米国、歴史的にも日本人に鬱屈を強いてきた憎き相手に一矢を報いたというしらせが日本に届き、日本人は歓喜にわき、浮かれて舞い上がったという。
    ここに、結果としては悪い方向に国民は団結してしまったといえる。
    そして、日本は悲惨な結末へと向かっていく。

    本書を読んで恐怖を感じたのが、鬱屈とした状況にあって、自分たちに害をなしてきた外国人を攻撃することで国民がまとまってしまい、ごろごろと大石が転がり落ちていくかのように転落したという日本人のすがたである。

    まさに、今の日本、日本人が足をかけている道ではないか。

    戦後80年となり、戦争を知らない人間たちが(私もそうだが)様々な言論を飛び交わせている。それ自体は否定するものではないが、耳障りの良い富国強兵論、排外主義的な議論に気持ち悪さをなんとなく感じていたところであったが、本書がその気持ち悪さの正体を見せてくれた。

    過ちを繰り返さぬために、耳障りの良い主張に騙され、取り返しのつかない道に進まないために、二度と戦争の惨禍を繰り返さないために。

    日本人が転落するきっかけとなった真珠湾の日について、日本人が転落していく危険性を感じる今、当時の日本人のようすをつぶさに描写した本書を読めたことは非常に有意義であった。考えさせられる一冊であった。

    ぜひ、みなさんも、今だからこそ、読んでほしいと感じる一冊でした。

  • 太平洋戦争開戦となった真珠湾攻撃の12月8日。その日にいたる1ヶ月ほど前からの日米の外交戦略の推移を描き出した作品。

    アメリカとの戦争は無謀であるということは重々承知の上で、開戦に踏み切った軍部の思考には追い詰められてしまったのか、という思いがあるのですが、暗号解読されていたという事情を知ってしまうと、全てが手のひらの上の出来事だったのか、という勝ち目がない以上に勝てるはずもないという無力感が出てしまいます。

    真珠湾攻撃に成功したことを知った市井の人々が残した記録が興味深い。
    戦争に勝てるという高揚感や、よくぞ開戦に踏み切ったという賞賛が全てではなく、敗戦を予測して暗鬱な気持ちを叫ぶ人もいる。
    国民全てが、ある意味で洗脳されていたかのような印象で描かれることも多い戦時中ですが、決してそんなことはないという証拠。
    しかしながら、先行きの見えない日中戦争に疲弊していた気分を、奇襲による勝利で吹き飛ばしたことによる開放感が強く感じられるのも事実で。言ってしまえばその場の勢いというか、目の前のご馳走に飛びついてしまうという衝動は抑えられないのだと思います。
    戦時と平時の違いはあれど、聞こえのよい言動に飛びついてしまうのは、2025現在の自分達も同じもの。いや、人間である以上、過去も未来も変わらない本能なんでしょう。それを、立ち止まって考え直すことが重要なのだと思います。

    戦争に勝利したから敗北したからではなく、なぜ戦争になってしまったかを考え抜き、同じことを起こさないための努力を続けるというのが、後世の役割なんでしょう。

    となると、まずは選挙に行こう、だな。
    そこで、その場の勢いに呑まれない、という教訓を活かせるかどうか。聞こえの良いことをいう人々は、どのタイミングでも出てくるものなので。

  • これだけ、戦争はいかん、という教育を受けながらも、真珠湾への奇襲が大成功した様に、痛快さを感じざるを得なかったところに、本作を読んだ意義があったのではと思う。
    戦争になって欲しくない、と言う気持ちを抱きながらも、どこかに沸々とした「一発わからせてやりたい」という気持ちもあって、大東亜共栄圏、アジア民族の盟主、のような都合の良い大義が結びついてしまい、ボロボロになるまで止まれなかったのか。ではなぜ実際に、窮鼠猫を噛むに至ったのか、日中戦争あたりの話を勉強したい。

  • これだけ調べたのは凄いと思うけど、やっぱり真実はわからないのか。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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