ミカエルの鼓動 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2024年10月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784167922818

作品紹介・あらすじ

【ぶつかり合う天才外科医たちの魂】

少年の命を救うのは、どちらの正義か。

大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。
あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。
「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。

そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。
大学病院の暗部を暴こうとする記者が、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。

二人の医師の「志」がぶつかり合い、大学病院の闇が浮かび上がる。
命を救うための、正義とは――。

気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。
堂々の文庫化!

みんなの感想まとめ

医療の倫理や命の意味を深く掘り下げる本作では、心臓外科医たちの対立を通じて、最先端医療と従来の技術の間で揺れる葛藤が描かれています。手術支援ロボット「ミカエル」を推進する西條と、従来の手術方法を重視す...

感想・レビュー・書評

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  • 柚月裕子『ミカエルの鼓動』文春文庫。

    今度の柚月裕子の小説は医療ミステリーである。

    柚月裕子にしては、珍しくかなり物足りなさを感じる小説だった。この小説の最大の山場である心臓に難病を持つ少年の手術の後で長々と登場人物の過去が語られたことで冗長的になったこと、その分『ミカエル』の問題はお座なりに描かれ、プロローグとラストの登山シーンは理解出来ないし、主人公の家庭問題も取って付けたようで雑音にしかならない。


    手術支援ロボット『ミカエル』を使った心臓外科手術の第一人者である西條泰己は北海道の大学病院でもエースと目されていた。しかし、院長がドイツの病院から同じく心臓外科手術の天才医師である真木一義を招聘してきた。真木は西條の目の前で途轍もない速さと正確さで心臓外科手術を完遂してみせる。

    焦りを感じる西條にフリーライターの黒沢が取材で近付き、『ミカエル』が何らかの問題を抱えていることを告げる。

    そんな中、生まれつき心臓に難病を持つ12歳の少年が手術を受けるため大学病院に入院する。そして、少年の術式を巡り、西條と真木は対立することになる。西條の主張する『ミカエル』を用いた最先端医療か真木の主張する従来の術式による開胸手術か……

    本体価格910円
    ★★★

  • 柚月裕子の作品としては珍しい(初めての)医療ミステリ。
    読み始めた最初の方では「白い巨塔」のような病院内政治の権謀術数が渦巻き、自らの医療ミスを隠し正当化するような話かと思っていた。
    結論から言うと「白い巨塔」とは全く違うものだ。主人公の西条は自らの技量に自信を持ち、周囲からもエースと認められ、病院内での権力争いにも人並みの思いは持っているが、所謂ヒール(悪役)ではない。平等かつ安全な医療の普及を目指し、患者を治すことを最重要視している至極真っ当な医師だ。対する真木とは考え方が異なるだけでどちらも命を預けるに足る優れた医師と言ってよい。
    この作品では地域医療のあり方や医者の倫理観などが問われており、そこには利権や保身が絡んでいる。私たち企業に勤めるビジネスマンはコンプライアンス教育で「損得より善悪」というワードを何度も繰り返される。それでも世の中ではコンプライアンス違反が後を絶たないのは事実だし、何よりも損得(金銭)が全てという考えの人が多いのも悲しい現実ではある。

  • 最新医療機器ミカエルと従来の手術方法で対立する西條と真木。手術方法を争う展開に引き込まれていきました。上層部の隠蔽は許せないな。西條の復活した姿を見てみたい。

  • ずっと積読であったが、久しぶりに柚月さんの本を読みたくなって読んだ本。
    柚月さんの初めての医療小説、読み応え十分。
    全くの無知からよくこれだけの中味の濃いものを書けるものだと感銘!
    印象に残った言葉
    人生の意味は、自分が納得できるか。結果がどうであれ、自分が決めた道なら後悔はない。
    さきのことはそのときに考えればいい、いまは目の前にあることをするだけ。

  • 最先端医療機器ミカエルで手術を行う西条と従来の開胸手術の真木、二人の駆け引きと患者に向き合う姿がいい。続編が読みたい!

  • 柚月 裕子さんの医療ミステリー。
    文句無しの★5つです。
    500ページを越える長編ですが、グイグイ引き込まれます。

    二人の天才心臓外科医の葛藤を軸に、様々な謎が描かれます。
    一人は、北海道の総合病院で手術支援ロボット『ミカエル』を駆使する西条医師。方や、ドイツ帰りの開胸式手術のプロである真木医師。

    難病の少年の治療方針を巡り、激しく対立する二人。そんな中、ミカエルにある問題が発覚する。果たして、医療の未来は?そして、二人の対決はどうなるのか?

    プロローグの雪山のシーンが、最後のエピローグに見事に繋がりました。なるほど、だから雪山のシーンなんですね。

  • 手術シーンの描写の細かさが凄い。実際に手術を見ているのか、更にアドバイスも受けたのか、とにかく細かい。物語の基本筋は医師と権力、隠蔽、マスコミとよく見るものが並んでるが、この話を独特なものにしているのが医療支援ロボットミカエルで、これは映像化して欲しいと思った。まあまあ現実的な存在のミカエルを通して医療とは、という話が描かれているが、ソフトウェアに関わる立場としては、ミカエル問題の描き方には疑問で、こうはならないんじゃないかな。終盤はプロローグを結び付けるなど情緒的ではありつつも、長く厚い話に決着がつくのではないあたりは好みから外れるかな。

  • ストーリーは予測のつく展開で真新しさはないが、
    人物描写と文章力が秀逸で、最後まで飽きることなく楽しめました。

  • 医療ミステリーで、500ページを超える作品ですが、一気に読みました。

    柚木裕子さんの小説は時間を忘れて読んでしまいます。

  • ストーリー的には想像の出来る範囲で何か突飛な事が起きたりする訳ではないのに、この500ページを超える内容にスルスルと引き込まれていく。

    医療のあり方、命の意味、一つの命を救う為の正義とは何か…医師にとっての正義、患者にとっての救いを問う。

  • 医療系の物語の最高傑作は白い巨塔だと思っているが、この本にも同じ医者の治すということへの熱量が描かれておりとても面白かった。
    治療法をめぐっての意見のぶつかり合いはこの手の話の醍醐味でもっとドロドロ意見がぶつかることを想定していたがあくまで本筋はそこではなく、
    医療への向き合い方や命を扱うとはどういうことか、考えながら読むことができた。

  • 著者初の医療ミステリー。
    先頃読んだ夏川草介著『命の砦』とは、同じ医療ものでも、何と印象の異なることか。
    プロローグでの雪山シーンが、本筋とどのように関係するのかと思ったが、最後のエピローグで納得。
    北中大病院で最先端の医療支援ロボット「ミカエル」での手術を行う西條泰己は、自他共に認める第一人者。
    病院長も、ミカエルは北中大病院の稼ぎ頭になるとロボット支援下手術を推進していたが、ある時からその姿勢に変化が見られるようになる。
    西條も、フリーのジャーナリストからミカエルを巡っての悪い噂があることを仄めかされる。
    そんなときに、病院長はドイツで辣腕を振るっていた従来通りの開胸手術のエキスパート真木一義を特任教授に迎える。
    この二人が、先天性心疾患の少年白石航の手術を巡り、どちらが手術医になるか、つばぜり合いとなる。
    ロボットによる先端手術と従来通りの開胸手術、どちらの手術になるのか、興味が尽きない。
    同時進行的に、西條と真木の過去が語られ、物語に膨らみをもたらす。
    現役の医学部教授から、「小説の二人の医師と私たちの目指すところは一緒だと思う」と認められた作品だそうだ。

  • 最近、仕事帰りに立ち寄る大きめの書店で、
    大々的に展開されていた本作。
    -------------------------
    この医師は、
    神か悪魔か。

    医療の在り方を
    社会に問う
    感動作!!

    少年の命を救うのは
    手術支援ロボットか
    天才心臓外科医か?
    -------------------------
    表紙の装丁が気になり手に取りました。
    500ページを超える結構厚めの一冊ですが、
    続きが気になり一気読みでした。

    北海道にある北中大病院。
    北海道では各地に限られた医療機関しかないため、
    この中央病院は、北海道内では数少ない貴重な存在。

    そこで手術支援ロボット「ミカエル」を操作し、
    心臓手術を成功させた西條。
    彼は、病院長からも一目置かれ、
    将来を期待されている存在だった。

    そこに心臓手術ではスペシャリストと言われる、
    真木がドイツからやってくる。

    心臓に病を抱えた少年の治療方針を巡り、
    ふたりは激しく対立する。

    患者を救うのは、
    ミカエルか医師の手か。

    柚月さんの作品は、
    「ウツボカズラ~」しか読んだことがなく、
    本作が二作目?だったのですが。

    面白かったです。

    ひとりひとりの命に差はないけれど、
    でも未来で救える命の数を考えてしまったり、
    わかっていても胸が苦しくなる場面も。

    病院内の不穏な動きや、
    権力争いのような空気、
    主人公の生い立ち、
    丁寧に描かれていました。

    読了直後は、
    疲れて放心状態になりました。笑

    柚月さんの他の作品も読んでみたいと思います。

  • 医療用ロボット『ミカエル』を使用する心臓外科の第一人者・西條。
    『ミカエル』をベースにした医療を中心に据え、より多くの患者を救いたいと考えている。

    天才心臓外科医・真木が北中大附属病院に、院長・曽我部によって、招聘されてくる。

    曽我部の思惑は…

    西條は、『ミカエル』の誤作動の噂があることを知ることに…

    『ミカエル』を失うことにより、真木にポジションを奪われるかもしれないという不安がよぎる西條。

    ヒューマンエラーがあるように、機械の誤操作も起こりうるはず。
    機械も完璧ではない…
    その時にどのように防ぐのか…
    生命と向き合う現場ではちょっとしたミスが、死に直結する。

    西條と真木の連携で、航の生命を繋いだように、バックアッププランを必ず用意しておかなければならない。

    しかし、結局、『ミカエル』の誤作動を隠蔽し、西條のミスと片付けてしまおうとするなんて…
    曽我部は許せない。

    雨宮の息子がどうなったんだろう…
    雨宮も西條同様に『ミカエル』の誤作動を明らかにする道を選んだのだろう。

    西條と真木、ともに名医として、心臓外科医として活躍していて欲しい…

    やっぱり柚月裕子は、『検事・佐方貞人』シリーズかな。ちょっと期待値が上がっていたかも…

  • 画期的だか中断が難しいものを導入する部分は、どこにでも起こり得る問題だと感じました。
    また、姑息手術という言葉を初めて目にし、ネガティブな意味ではなく長期的に根治を目指すものなのだと学びました。

    「不満はあったが、だからといって不幸せではなかった。」
    「小さかった笑いは、哄笑になった。」

  • とても良かった!
    私にとってかなり分厚い目だったが、読み始めるうちどんどん夢中になってあったいう間に読み終わってた感じがした。
    読んでほしいと思います!

  • 2作目にして、ひっさしぶりの柚月裕子さんの作品。
    少年の命を救うのは、天才外科医の神の手か、手術支援ロボット”ミカエル”か。
    ミカエルは、患者を救う天使か、それとも悪魔か…
    めちゃくちゃ骨太な医療ミステリーでした!
    まず驚いたのが、手術シーンが一工程ごとに事細かく描かれている事(柚月さん医師なのか?!)。
    改めて心臓外科医は凄い存在なのだなと…
    今作では、命の重さについてもストーリーの中で深掘りされています。
    ミカエルの不具合が分かった時、主人公西條は、今後もミカエルを使い続ける事で患者を沢山救うか、不具合により患者を死なせないためにミカエルの使用を断念するかで、非常に葛藤します。
    少年の渡の手術の際に不具合が起きた時の、西條の決断が胸を打ちました。(ミカエルの使用を断念し、ライバルの真木に執刀医を譲り、自分は助手に入る)
    西條は、ロボット手術が普及することで、過疎化の進んだ地方の病院でも、都市部と同じだけのクオリティの医療を普及していきたいという意志を持っているのに対し、真木は未来の医療よりも今この瞬間の患者を救うことをとにかく考える。
    お互いに考えが違う部分もあるが、そういう存在こそが医療を前進させていくんだなと感じました。
    命とは何かという事について、考えさせられる作品でした。
    ラストシーン、旭岳への登山にて辿り着いた、西條の答え(自分の意志とは無関係に、体は生きることを続ける)に、圧倒されました。

  • 難病の少年の治療に対する二人の名医の対立。大病院の中の派閥対立。医療器具メーカーとの癒着、そして二人の名医の生い立ちが絡み…緊迫の医療サスペンス

  • 西條と真木、2人の天才心臓外科医の確執と共鳴。医療系の王道をいくストーリー展開だと思いますが、中盤以降の疾走感に圧倒される。特に、航の手術シーンは圧巻の臨場感で気づいたらすごい手汗。医療用語がわからなくてもこんなに楽しめるんだと。

  • 感想
    犠牲の上に成り立つ進歩。だが許容してはいけない。医療には人の力が必要。一握りの天才が全てを解決するわけではない。だが英雄はいる。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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