自選作品集 わたしの人形は良い人形 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2025年2月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167923365

作品紹介・あらすじ

少女漫画界のレジェンド、山岸凉子の“最恐”ホラー、令和に降臨。

山岸作品の中でも、トラウマ級の恐怖と言われる伝説的な作品がある。
それが表題作「わたしの人形は良い人形」だ。

昭和21年。初子という少女が交通事故で死んだ。
葬儀では副葬品として立派な市松人形が添えられたが、
その人形は初子と一緒に焼かれないまま箪笥に仕舞われることになる。
長い時を経て、今、呪いの人形が背後から忍び寄ってくる……。
ラストの1ページが、読む者を更なる恐怖に突き落とす!

「こんな恐ろしい話、ほかにない」──三宅香帆

収録作はほかに、
クラスメイトにも馴染めず孤独と不満を募らせる地味な女子高生が学校である日突然、美しい少女に話しかけられる「八百比丘尼」
家々に火が灯る日暮れ時。歩いても歩いても家に辿り着けないその訳に戦慄する「化野の……」 
両親の離婚でN市のとある学校に転校した少女を襲う怪奇現象を描いた「千引の石」

感想・レビュー・書評

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  • 山岸凉子『自選作品集 わたしの人形は良い人形』文春文庫。

    如何にも少女漫画というタッチの絵で描かれ恐怖の4編。何と言っても表題作の『わたしの人形は良い人形』が恐い。


    『千引の石』。古事に準えた真の恐怖が暗示される結末に向かって、転校という不安、雨、古い体育館という恐怖を演出する要素が少しずつ揃っていく過程が見事。両親の離婚でN市のとある中学校に転校した少女が立入禁止の古い体育館で経験した恐怖とは。


    『化野の……』。主人公の女性が家路を急ぐ日暮れ時、歩いても歩いても見覚えのある景色には出会えず、家に辿り着けない。単純な話ではあるが、夢の中で味わうような不条理な出来事の連続とその真相に戦慄する。


    『八百比丘尼』。人魚の肉を食べて永遠の美貌を得たと言われる八百比丘尼の伝説をモチーフにしたホラー。捻りの効いたストーリーは予想外の結末へと向かう。クラスメイトにも馴染めず孤独と不満を募らせる地味な女子高生が学校である日突然、美しい少女に話し掛けられ、自宅へと招かれる。


    『わたしの人形は良い人形』。表題作。確かにこの作品は極めて恐い。子どもたちが口にする童謡と物言わぬ無表情な市松人形が言いしれぬ恐怖を演出する。戦後間もない昭和21年、初子という少女が進駐軍の車とぶつかり、しばらくして亡くなる。初子が車とぶつかったことを初子の両親に伝えなかった責任を感じた千恵子の母親は手持ちの立派な市松人形を副葬品として初子の元に添えた。しかし、その人形は初子と共に焼かれることはなく、箪笥の中に仕舞われる。そのことが原因なのか千恵子も水難事故で亡くなる。時を経て、再びあの市松人形が2人の少女の関係者の元に現れる。何度も何度も襲う恐怖の描写……

    本体価格900円
    ★★★★

  • 生きてる人の営みがあるから、そういうものは存在するしなくならない。
    あれ最近どっかで同じようなこと書いた気が、と思ったら辻村さんの闇祓だ。小野不由美さんのゴーストハントでも、残穢でも、恩田さんの私の家では何も起こらない、でも、同じこと思った。ずーっとずーっと昔から、事象は変わっているとしても人々は変わってない。心に響くし、刺さるし、影響しあって変質してしまうものだってあるよな…

    怖い…し醜いし目をそらしたいんだけどどうしようもなく惹きつけられる、天人唐草とか抉られるから読みたくないのに読んでしまう。トラウマ的な(ヒトの)話だと、何でこれに惹かれるのか、惹かれる自分もおかしいのか、訳がわからなくなる…

  • 亀裂の割れ目の底から出て来るのだ 幽霊とは結局「無念」が姿を変えたものなのだと良く分かる 人間の感情とは、現代の最大の隘路なのかもしれない。

  • 「千引の石」「化野の…」「八百比丘尼」「わたしの人形は良い人形」の四篇収録の山岸涼子自選作品集。

    表題の短編が一番怖い。まあ表題になるわけだ、と納得する恐怖です。終わりのない怪異。執念が取り憑いてしまった人形にまつわる怪異なのですが、延々と続くであろう怪異の存在として暗示されているのが嫌です。お母さんのような精神を持っていればいい、という解決法はあるのですが、怪異が存在しているということを認識してしまった時点で、その解決法が通用しなくなるのでどうにもならない。
    誰かを犠牲にするしか解決できない、という怖さ。
    人形からすると、寂しくないように友達を誘っているだけ、と言う善意が根底にあるのかな。だとすると、余計に怖さがますように思います。無邪気ゆえの邪気が一番怖い、と言うやつか。

    「八百比丘尼」といえば日本でいう不老不死の代名詞ですが、それを伝奇でなくSFホラーに仕立て上げたのが、作者の腕前ということか。
    今更ながら、八百比丘尼という名前が想像させる物語の強さに驚き、読み手の予想していたそれを覆してしてくれたことに嬉しくなりました。
    嫌な話ですけどね、面白さが勝ちました。

  • 装丁的に小説だと思ってたら漫画だったww
    馴染みのない絵柄だったから若干のめり込めず…。

    ただメインの人形の話は、自分が人形が好きだから楽しく読みました。確かに怖い!読了後の後味がなんとも言えない…解説にも書いてある通り、「どうしようもない」。

    久々にホラー読んだなぁ。(表紙見た家族には引かれた)

  • 第125回アワヒニビブリオバトル テーマ「人形」で紹介された本です。ハイブリッド開催。
    2025.3.7

  • 山岸涼子の“最恐”自選作品集
    4編の違ったテイストのホラー作品を掲載しています。
    中でも表題作「わたしの人形は良い人形」は・・・なかなかにゾッとする感じで、読み応えもありました。
    真夏の夜更けに読み返したいと思います(^_^;)

  • 表題作である「わたしの人形は良い人形」は今読んで怖いかどうかは微妙であるが、因果応報と言い切れない無差別的に引き継がれていく呪いを1986年の時点で描いていることに感心する。(清水崇の「呪怨」は2000年)

    また「八百比丘尼」の(おそらく山岸凉子の読者層の多くが共感するであろう)周囲になじめない主人公が、それ故に悪意のターゲットになるというのも面白い。

    今回の収録作の中で個人的に一番好きなのは「化野の・・・」で、(おそらく自覚はないが既に死んでいると思われる)主人公が朦朧とした意識と記憶の中でひたすら彷徨い続けるだけで、最後まで何も解決されないというのが良い。

  • 【「最恐」といえば、伝説のこの作品!!】昭和21年。ある少女が事故で死んだ。葬儀では副葬品として立派な市松人形が添えられたが……。「八百比丘尼」など4作を収録。

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著者プロフィール

山岸凉子(やまぎし・りょうこ)
1947年北海道生まれ。69年デビュー後に上京。作品は、東西の神話、バレエ、ホラーなど幅広く、代表作に「アラベスク」「日出処の天子」「テレプシコーラ/舞姫」など。

「2021年 『楠勝平コレクション 山岸凉子と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山岸凉子の作品

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