スタッフロール (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2025年3月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784167923402

作品紹介・あらすじ

『戦場のコックたち』『ベルリンは晴れているか』著者が放つ、
才能や評価で悩んだことのある、すべての人へ贈る物語
圧巻のエンターテインメント長篇!


【あらすじ】
1980年代のハリウッド、圧倒的に男性優位な映画界で
もがき奮闘する特殊造形師のマチルダ。
現代ロンドンで、ある出来事をきっかけに
自分の才能を見失い葛藤する
CGクリエイターのヴィヴ。
映画の特殊効果に魅せられた二人の人生が
一本の映画を通じて繋がり合う。
創作者の情熱と苦悩を、リアルかつ力強く描いた直木賞候補作。

文庫化にあたり、2024年にアカデミー賞〈視覚効果賞〉を受賞した
『ゴジラ-1.0』などについて熱く語った「文庫版あとがき」を収録。

みんなの感想まとめ

創作者の情熱と苦悩を描いたこの物語は、映画業界で奮闘する二人の女性、特殊造形師のマチルダとCGクリエイターのヴィヴを通じて、才能や評価に悩む人々の心に寄り添います。丁寧な描写が読者を引き込み、中盤から...

感想・レビュー・書評

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  • この作者の作品を順番に読んでいるが、丁寧な描写にいつもホッとする。
    読者として丁寧に読もうと思っていたのに、いつものごとく、中盤から加速するようにして読み終えてしまった。

  • 自分ごとだが、映画を見に行った時は必ずスタッフロールが終わるまで席は立たない。

    素晴らしかった映画はもちろんだが、どんな映画であれ、それを生み出す苦労や困難は必ずあったはずで、映「像」制作者の端くれとして、それは素直に「お疲れ様」という気持ちと、関わった人への敬意と感謝を込めて最後まで見ることにしている。

    特殊効果が、実写のクリーチャーのアニメーションから、CGに移り行くお話でもあるが、自分もすごくそれは実感する。機材や技術が表現を変えていくというのが実感で、それは今後もずっと続くと思うし、しかし映画というスクリーン表現はまだしばらくは無くならないと思う。

    自分は映画には関わったことはないので、銀幕に映されるスタッフロールに縁はなかったけど、羨ましさは少なからずある。
    スタッフロールに名前が刻まれることは、やはり映画人にとっては誇らしいことだと思うし、それが映画に対する責任の証でもある。

  • 特殊造形師とアニメーター、映像に関わる仕事をする草分と現役の二人の女性
    リアルとCG 手法は違うけれど自身の感性が物を言う世界なんだろうなと思う

    二人の女性をとおして、
    懐かしい世界であり深くは知らない仕事の世界に浸っていられたし
    一人一人の思いに寄り添っていられた

    読み終わってからしばらくボーーッとなったのは久しぶり
    映画を見る時は最後までみて、席を立つのは照明が明るくなってからだったなあ

  • 特殊造形師になったマティルダとCGクリエイターのヴィヴ、映画制作に携わる2人の女性視点の物語。

    2人の苦悩というか、映画制作の裏側が見れて面白かった。スタッフロールに自分の名前があったらすごく感動するだろうな。わたしは最後まで観る派です。

    移り変わっていく年代の中に知っている作品がちらほら出てくるのもいい。
    2人に限らず、みんながどれほど映画制作に想いを込めているのか、こんなチームに作られた映画はいい作品になっちゃうだろうなと思ったので、作中の『レジェンド・オブ・ストレンジャー』が観てみたかった。

    エヴァンジェリンとアンヘル親子の活躍が好きです。

    全然別の話だが、金原ひとみさんのナチュラルボーンチキンを思い出した。
    マティルダとモーリーンが混じることがあれば、こんな風かな、と。

  • SFX、VFXの世界を初めて知ったので、とても興味深く読みました。

    携わる人みんなが誇りを持って仕事をしている様子がひしひしと感じられました。

    SFXとVFXの過渡期が描かれていて、新しい技術をすんなり受け入れる人と頑なに拒否する人が登場していました。

    受け入れるかどうかによって、進退も決まるシビアな世界だと知りました。

  • 偏見まじりですが思いつくままに感想!
    SFやファンタジー映画が好きな身として、書店で本棚を眺めていたときに、表紙の絵柄に惹かれ、あらすじにも読み応えがありそうな印象だったため購入。
    登場人物も9割は西洋人で、文体も英語の日本語訳のような印象で、日本人が日本語で書いたことを確認して不思議な感じを覚えた。
    ただ、ストーリーに引き込まれた。
    主人公が2人とも女性で、どちらもSFやファンタジー映画が好きだという設定や、ちょうどリバイバル上映を観に行く予定だったスターウォーズの話が出てきたりと、共感部分がたくさんあり
    主人公たちの悩みは、私の悩みとどことなく似た部分があり、主人公が同僚に励まされるシーンでは思わず感情移入して号泣してしまった。
    深緑さん、男性なのかと思っていたけど女性作家さんだと知り、意外な反面、納得。

  • 映画、特にアカデミー賞レースが好きだけれど裏方や映画制作の内情を理解せずに、映画を批評してるなぁ…良いのかなぁ…と気になっている日々。書店で見かけて、物語として楽しみながら映画のことを知れるの良いな!と思い手に取りました。

    映画の特殊メイク、CG制作の人の心のうちや、作業を知らなかったのでフィクションとはいえ参考になった気持ち。
    CGに温かみがないとは鑑賞者として思ったことない(自覚ないだけか?)けれど、CGがすごいから映画もすごいとはならないなとは強く思っている。
    映像美が凄くても、そこまでで映画を観た感動としては古い映画の方が勝る時がある。
    制限がある状況で創意工夫して、捻り出した発想の転換みたいなアナログの凄さはまたCGとは一味違うのかなと。
    目まぐるしく動くカメラワーク、CGで作れる景色があってこその画角と、ドローンとかCGのようなダイナミックなカメラワークができないからこその魅せ方の違いとか…。

    でも、CG作業の大変さ、日本映画のCGが海外に見劣りする理由、など驚きました。
    特に後者はこの本で語られる内容が腑に落ちました。すごく、軽視しそう、日本の業界。一人一人は野心があって技術が高くても、お金の話を通そうとすると理解してない人には暖簾に腕押しで通じない…。
    お金もなさそう…。
    だからこそ、ゴジラ-1.0の評価は感動しましたし、データ量凄いと思っていたら そこを工夫していたとあとがきでわかり、最後まで興味深かったです。

    ただ、辻一弘さんの名前を挙げられてましたが現在は日本国籍ではなくアメリカ国籍で、カズ・ヒロという名前で活動してらっしゃるようなので、カズ・ヒロ氏(2018年の受賞当時は辻一弘)など書いた方が誠実な気がしました。アメリカ国籍にした動機を読んだ限りでは、その点はクリアに記載する方が彼に誠実だと思っています。

    登場人物みんな、共感できないのと、行動が理解できないまま終わりました。
    マチルダの衝動的すぎる行動や、CGへの過剰な反応、モーリーンの土足で踏み込む感じ、リーヴがあんなダメダメからどうやって立ち直ったのか、なのになんであんなにマチルダの名前を載せたくなかったのか、なのに最終納得してるのか、ヴィヴが警戒心薄すぎではないか?とか。。
    クライマックスの事件?的展開が起きるまで長いし、事件が起きてから収束するまでがめちゃ短い気がしました。構成のバランスは、私にはちょっと偏ってる感じがしました。

    p446

    446
    「〜賞や役職は関係ない。賞を獲っていなくても、役職についていなくても、それは時の運であって君の実力を左右するものじゃない。〜」の部分印象に残りました。
    第97回アカデミー賞が、本命なしと言われているのを目にして実際各作品をちょこちょこ見て事実そうだなと思いました。
    もし、違う年だったらANORAはノミネートされた中でマイナーだけど面白い!という知る人ぞ知る陰ポジションだったかも。
    教皇選挙も もっと受賞あったかも。
    たまたま同じ公開年なだけでより比べられてしまうの不思議だなと。組み合わせ次第では激戦の年もあるし…。それがまた運命的で面白いかもしれないけれど恒久的な映画の評価にはつながらないかもと思えた。

    受賞した人のスピーチは、素直に受け止めていたけれど、その発言次第ではほかの映画人の心を抉ることもあるのかと気づくきっかけになった。
    攻撃性を意図しなくても。。
    ノミニーとして画面に映され、誰かの名前が呼ばれた途端ほぼ映らなくなる。その、名前を呼ばれなかった人たち一人一人の心のうちとか、映画界に身を置く人たちとして思うところとか。それぞれあるんだろうなと想いを馳せる契機となった面白い本でした。

  • 映画に夢を見た女性たちの物語。ところどころ、本当の話、特にスターウォーズまわりの話がたくさんあって、良かった。
    解説を著者自身が書いていて、ゴジラ-1.0のことについていっぱい書かれていたのも良かった。

  • 人物像やストーリー、会話に深みが感じられなかった。ヴィヴの会話は子どもだし、モーリーンやチャールズ社長の動きは意味不明。意味深なマチルダにも特に謎はなかった。納得感が持てないせいで何度も集中が途切れて、読み終われずに挫折するかもと危惧したが、「とある業界の話」としての蘊蓄、こだわりで興味が繋げられたので無事読了。

  • 第一幕の俳優の型取ってるシーンが好きだった。
    普段あんまり意識しない、読んでて世界を作ってく感覚が、海外が舞台の小説だとより感じられることを初めて発見。
    自分が存在した証拠が欲しいと思うのは当然で、でもいいもの作れたらもうなんでもいいとも思うけどそれって結局証拠になるんだよなきっと。
    どんな分野も、それに惹かれる人によって在ることを分かっておきたい。

  • 特殊造形やCGの技術の説明に文字数を多く割かれており、そのせいでストーリーがぶった切られるのは勿体なかった。
    でもその説明がなければ出てくる用語は理解できないし、難しいところだ。
    実のところ洋画に全く興味がなくて、スターウォーズもマトリックスもジュラシックパークも有名どころすらひとつも見たことない私はお呼びでなかったのかもしれない。

  • 映画のスタッフロールは最後までしっかり観るようにしているけれど、名前が載っている人々がどのような努力をして、どのような葛藤を抱きながら映画を作っているのか想像したことはなかったように思う。
    当たり前のように享受しているエンターテイメントも、自分には才能があるのかと苦しみながら、お互いの才能をリスペクトしながら作品を作り出しているクリエイターの方々がたくさんいるんだよな。

  • 一幕
    戦後すぐの時代、ハリウッドの魔法に憧れた少女マチルダが特殊造形師を目指す。幼少期の原体験を追求して自分の中にあるモンスターを形にしようとするが、3DCGの時代にのまれ消えてしまう。
    二幕
    2017年。3DCG全盛の時代。アニメーターのヴィヴはハリウッドのショーレースに心をやられている。
    ヴィヴは憧れの「レジェンドオブストレンジャー」(マチルダが最後に造形師としてモンスターを作った映画)のリメイク作のアニメーターに選ばれる。
    マチルダの過去の確執の解決とヴィヴのアニメーターとしての復活の話。

    自分は映画好きとしてたしかに、3DCGを“偽物”として観ている節があった。リアルこそ至高という考えがなぜか植え付けられている。
    本作を通して、映画の見方も変わりそう。スタッフロールにクレジットされる何百もの人たちそれぞれの情熱を感じた。
    特に一幕が面白かったなあ。クリエイターがクリエイターたる所以と情念がありありと描かれている。自分の表現が新しい技術によって否定されたように感じる恐怖。
    二幕で一幕の苦しみが昇華される過程はアッパレ。

  • 規模が全く違うけれど同業者。監督や演者の物語は数あれど、特殊造形やCGが主人公って新しいな!?ということにまず驚いた。ちゃんと説明してくれるけど、CG知らない人にリグやらIKやら分散レンダリングやらわかるのかな?と余計な心配をしてしまった。文庫版あとがきが楽しく、作者さんの視覚効果賞への情熱と、改めてゴジラ-1.0の凄さが感じられた。(山崎監督の「自分でやりたくならないようにスタッフには天才しか置かない」という話良すぎる)

    女性が映像業界で生きていくことが大変なのはわかるけれど、マティもヴィヴもメンタル弱めなのであまり共感できず。自分にとっては遙か頭上のお方たちなのでそんなに悩むことないのに…と思うけれど、アナログへの劣等感や、スタッフロールに名前が出る喜びは業界あるあるだよなぁと感じた。

  •  歴史だった。映画のお話だけど、まるで歴史小説だった、すべてが収束していく最終章は、あやうく泣きそうになった。

     本屋さんでジャケ買いした作品で、深緑野分氏の作品を読むのは初めて。なので前情報をまったく入れなかったんだが、本当にアメリカとイギリスを舞台とする翻訳小説、のような気分で読めた。あれ、翻訳じゃなかったっけ?とたびたび思うくらい、翻訳ものっぽい文章と情景描写が見事。文庫版あとがきを読むと相当な映画好き、いや映画オタクだそうで、なるほど「見て来たように異国を書くなあ」と思わされたのは、やはりたくさん映画を観ておられるからかな?と感じた。
     先に「歴史だった」と書いたが、とにかく作中の時間軸が長い。それはすぐ察することができるので、長期戦かな……と思ったのだけど、どんどん展開して行くので気がついたら100ページくらい進んでしまっていたりする。

     映画というものを作る人たちは、本当に無数とも言える人数が関わっている。俺は映画のスタッフロールを眺めるのが好きだ。もちろん全員の名前を追えるわけではないし、そもそもセクション名の意味がわからなかったりもするけど、こんなにも沢山の人たちが関わっているのだと知ること自体が好きだ。
     タイトルが示す通り、ストーリーの最も重要な鍵となるのは『スタッフロール』だ。仕事をした、この作品に参加した、その証となるスタッフロールだ。監督や俳優だけではない、無数のスタッフたちも余さず表現者だ。彼らはスタッフロールに証を残せたかどうか、それが勲章になる。力になる。映画だけでなく、音楽演劇ダンスなんでもいい、プロアマチュア部活動なんでもいい、何かしらの「表現」をチームでおこなったことがある人なら、読み終わる頃にはきっと目元がじわっとしてしまうと思う、俺みたいに。

  • 時代の変遷と映画作りの背景は主人公達を通してとても良く描かれていたと思うのですが、特殊造形師やCGの仕事を良く知らないので、かなり専門用語や業界内のやり取りが出てきて、正直読み進めるのがきつかったです。

  • 作者の映画と特撮への愛情が溢れているが、文字だけで表すと、素人には辛い部分も。

  • とても面白かった。
    何より、描写がすごくて、制作の現場が丁寧に描かれていて、特殊造形の舞台裏を覗かせてもらっているようだった。
    ヴィヴがなぜそんなに落ち込んでいるのか、マチルダがなぜ辞めてしまうのか、少し納得できない気もしたけれど、そんなことは気にならなくなるような臨場感だった。
    あらためて、『2001年宇宙の旅』を見てみたいと思った。

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著者プロフィール

深緑野分(ふかみどり・のわき)
1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。その他の著書に『分かれ道ノストラダムス』『カミサマはそういない』がある。

「2022年 『ベルリンは晴れているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

深緑野分の作品

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