まぐさ桶の犬 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2025年3月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784167923419

作品紹介・あらすじ

ミステリ作家やミステリファンに熱い支持を受ける“葉村晶”が帰ってきた──!

タフで不運すぎる女探偵・葉村晶。
吉祥寺のミステリ専門書店〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉でアルバイトとして働きながら、〈白熊探偵社〉のただ一人の調査員として働いている。

「さよならの手口」(2014年4位)、「静かな炎天」(2016年2位)、「錆びた滑車」(2019年3位)、「不穏な眠り」(2021年10位)と「このミス」上位常連の人気シリーズ、5年ぶりの書き下ろし長編が文庫で登場です。

「鼻からポタポタと血を垂らしながら考えた。いったいどこのどいつだ、わたしを殺そうとしているのは……。
心当たりは、ありすぎるほどあった」(本文より)

葉村晶も五十代に突入し、老眼に悩まされるお年頃。
魁皇学園の元理事長でミステリのエッセイストとしても名を馳せた乾巌、通称カンゲン先生に、<秘密厳守>で「稲本和子」という女性の行方を捜してほしいと頼まれた晶。
彼女の一人娘は学園の理事だったが、本屋で万引きしたとして留置中に急死していた……。
高級別荘地の<介護と学園地区構想>など、さまざまな思惑が絡み合い、
やがて誰もが予想のしない結末へ!

「静かな炎天」は「このミス」2位、「読書芸人」のカズレーザーさんや、のんさんも絶賛、2020年には、NHK総合で「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~」として連続ドラマ化もされています。
クールでドライでシニカルで、唯一無二の強烈な魅力を放つ葉村晶が、緑の古い小型車“毒ガエル”を駆って真実に迫ります。

感想・レビュー・書評

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  • 5年ぶり。葉村晶シリーズの新作がやっと出た。現代和製ハードボイルド女性探偵小説の代表格と言っても良いだろう。しかも時代に沿ってきちんと歳をとっている。

    よって、小説舞台の年代と葉村晶の歳をいろいろ推理するのも愉しみのひとつである。明確に示してはいないが、「今年コロナが5類以降の予定」物語初めの頃が3月だった。「昨年2022年10月」という記述があることから、「2023年3ー7月」の出来事だとみて間違いはない。葉村の歳は、最初から50歳代になったことを嘆いていることや、「暗い越流」では2013年に40歳なりたてだったことから、50才か51才で間違いないと思う。

    さて、そんな葉村晶、乱視が進み、老眼鏡も合わなくなり、保湿剤や日焼け止めの量が増え、目薬、皮膚炎、湿布薬の消費が激しくなった。「わたしは(将来QOLのための、白髪染や補聴器、入れ歯などの)必要経費の費用を捻出できるんだろうか」本気で心配している。とりあえず、歯痛治療でセラミックの被せに15万円も要ると聞いて慄いている。葉村晶は見事なロスジェネ世代であり、不安定な非正規労働者なのである(こんなに優秀なのに!)。

    それはそう、コロナ禍もあり、3年以上まともな探偵依頼がなかったし、古本屋「MURDER BEAR BOOKSHOP」のアルバイトも仕事があまりなかったのである。小説的にはそうやって長いお休みがあったことを説明している。でも、人気シリーズなのに続編が出なかったことには、「裏の大人の事情」があったのだろうと、わたしは推理している。

    それはそうと、「まぐさ桶の犬」とは「牛の群れがおなかをすかせて牛舎に帰ってきて秣を食べようとしたら、秣桶に犬がいて、食べるのを邪魔する。犬だから秣なんか食べないのに居座り、牛にごはんを食べさないと吠え続ける。そこで、自分には役に立たないが、誰かがそれでいい思いをするのは絶対にイヤだ、とその「役に立たないもの」を手放さずに意地悪や嫌がらせをし続けるひとを「秣桶の犬」と呼ぶのだそうだ」(141p)。まぁ、そういう人いますよね。と他人事ならいいんだけど、葉村晶が手がける以上、次々に大変なことが起きる。葉村晶なので、死ぬような目に遭う。果たして「秣桶の犬」て誰?

    巻末に古本屋店長富山さんの、本文の註を兼ねた「ミステリ紹介」がある。ミステリ好きには堪らないオマケである。何と第五回目だそうだ。残念ながら私、海外ミステリはおろか、国内稀覯本にも食指は動かないのだけど、映画には動く。「自伝小説家」関連で「殺人鬼のインタビュー記事を書くことになったライターの話」としてデイヴィッド・ゴードン「二流小説家」が日本で映画化されたということでTSUTAYAで検索したら「あった!」。序でに過去、鉄道ミステリシリーズで検索して無かった「新幹線大爆破」も、昨今のリバイバルで仕入れていた。来週は借り受けて是非これを観ようと思う。ありがとう!富山店長。

    さて、富山店長所有の車はなんやかんやで3回も大事故を起こしたのだけど、緑の古い小型車“毒ガエル”と、押し付けられた飼い犬のクロが、このあと葉村晶の「相棒」になりそうだ。ということは、つまり続編書く気満々ということじゃないか!期待してますよ、若竹七海さん!

  • 超★5 不運すぎる女探偵、人探しから始まる仕事が想像以上に大きな騒動に巻き込まれ… #まぐさ桶の犬

    ■あらすじ
    古本屋の店員でありながら私立探偵でもある葉村晶、彼女はひょんなことから隣人の介護を押し付けられた。その縁で学園の元理事長、乾巌から人探しの依頼を受ける。ただし秘密厳守という条件付きだ。本人をはじめ、娘や関係者などの情報を追う葉村だったが…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    超★5 じっくりと楽しめる私立探偵小説、おもろい!

    ジェフリー・ディーヴァーなら、どんでん返しが何回あったか数えてみたくなりますが、葉村晶の場合は、ツイてない出来事が何回あったか数えてみたくなります。最初から最後まで七転八倒、楽しませていただきました。

    冒頭いきなり危機一髪なシーンから始まり、そして数ページで紹介を挟んで、すぐに隣人に望まない仕事を押し付けられるという。その仕事では法事会場に赴くことになるのですが、そこでもまたとんでもないことが起こっちゃうという。不平不満はあるんでしょうが、少なくとも怒り狂わず粛々と生きてるだけで、もう惚れちゃいますよね~

    こういう人って、イヤな奴ばっかり集まってくるんですよ。しかも自然に。まったく優しく手を差し伸べてくれる仲間がいないというところもカワイソすぎる。でもでも東都総合リサーチの桜井との絡みはホッとするね。

    さてストーリーですが、これが鬼熱なんですよ~。単なる人探しから始まるお仕事なんだけど、想像以上の大きな犯罪や騒動に巻き込まれていく。序盤から中盤は人間関係を追うのがメインなんですが、魅力のあるキャラで丁寧にプロットを綴ってるし、ここだけでも十分に面白い。

    さらに中盤以降、エレベータであるものを見つけるシーンあたりからは、どんどんストーリーがうねってくるんです。過去にあった学園の出来事、不動産事業など、徐々に背景が明るみになっていくのですが… 後半は不運すぎる女探偵の本領発揮です(爆笑

    個人的には一番気になってたのは『まぐさ桶の犬』のタイトルですね、どういった意味が込められているのか。意味合いは比較劇序盤に明かされるのですが、これが物語にどう絡んでくるのかが良くわからなかったです。もちろんしっかりと最後まで読めば明かされるのですが… その意味を知った時、これまで読んできたストーリーを身体全体で感じることができましたね。

    また本作はコロナ禍の描写も描かれてます。薄暗い出来事でもしっかりとしたためてくれるところはさすが。そして葉村としては探偵業がさらに流行らなくなり、苦労が倍々ゲームになっているようです。つらたんですね。

    葉村晶シリーズの最新作、高品質で読み味抜群の私立探偵小説でした。今年読み逃せない一冊ですよ!

    ■ぜっさん推しポイント
    若竹先生のナチュラルな筆致が素敵すぎるんすよね、42度適温の温泉につかってるような感覚です。謎解きとしても、人間関係をじっくりと紐解きながらスケールを大きく見せていく。

    大技やアクションもあるんだけど派手ではなく、決してうるさくないんです。全く誤魔化しがない筆力で素晴らしい。ずっと読んでいたくなる、そんな読書体験でした~

  • 〈葉村晶シリーズ〉の9冊目。
    私がこのシリーズを読み始めた時に既に40歳を超えていた主人公は、いまや老眼鏡もあわなくなってきた50代に突入。
    コロナ禍が始まり、生き延びること丸3年。変わらず「ミステリ専門書店のアルバイト店員」にして「客の来ない探偵社で調査活動休止を余儀なくされている調査員」という立場のまま。

    プロローグみたいな話でいきなり殺されかけて、のっけから“世界で最も不幸な探偵”の面目躍如。
    とある学園の元理事長から“秘密厳守”の人探しの依頼を受けるが、その学園の創業者の一族がなかなかに面倒で、改めて冒頭の場面に行きつく399頁までの間に、いつもの通りに、関係あるのかないのか色んな人が出てきて色んなことが起こり色んな思惑が絡み合う。
    『推理ははずしまくり、調査は中途半端、ことの落着も見ないままクビ』になってしまっても『入り組んだ人間関係に勝手に飛び込ん』で行くのは、いくつになっても変わらずで、50代になっても満身創痍。
    ま、このシリーズ、謎解きもだが、彼女のそういう生態を読んで楽しむ本ですからね。角田港大先生もお元気そうで何より。

    99頁に家系図があったが、終わってみれば「誰か、あれをもう一度整理してくれない」と言いたくなる乱痴気加減には、いささかげんなりではあった。

  • 面白かった!タイトルはこの前読んだ『さむけ』の中の台詞と繋がるのだが覚えてなかった。お年頃・葉村晶の体調に共感。人探しする中またもや不穏な陰謀に巻き込まれ‥もう凄まじい現場遭遇は定番か。巻末富山店長のミステリ紹介も良い。

    • fukayanegiさん
      111108さん

      さっそく読まれたのですねー!
      タイトルに!?ってなってたんですが、ロス・マク繋がりなのですね。
      そうやって海外ミステリを...
      111108さん

      さっそく読まれたのですねー!
      タイトルに!?ってなってたんですが、ロス・マク繋がりなのですね。
      そうやって海外ミステリを絡ませてくるところもこのシリーズの魅力ですよね。

      そうだ、もう入ってるだろうから予約しなきゃと思って予約したら既に30人待ちでした。。。
      でもなんかみんな結構好きなんだなって思って嬉しい気持ちも。
      2025/04/06
    • 111108さん
      fukayanegiさん♪

      本当にいいタイミングで教えていただきありがとうございました!大型書店行く機会があったので買っちゃいました。やっ...
      fukayanegiさん♪

      本当にいいタイミングで教えていただきありがとうございました!大型書店行く機会があったので買っちゃいました。やっぱり図書館だとかなり待ちますよね‥
      そうなんです!本筋の他にミステリー蘊蓄みたいなのがちょこちょこ出てきて、それを巻末の「富山店長の紹介」で解説→また読みたい本増える、というパターンがまた嬉しいんです♪
      2025/04/06
  • 若竹七海『まぐさ桶の犬』文春文庫。

    葉村晶シリーズの長編作。

    もうこのシリーズを読むのはいいかなとスルーしていたが、『このミステリーがすごい!2026年版』で国内作品の第5位にランクインしていたことから読むことにした。何ともミーハーな自分に失笑する。

    吉祥寺のミステリ専門書店MURDER BEAR BOOKSHOPでアルバイトとして働きながら、白熊探偵社のただ一人の調査員として働いているタフで不運過ぎる女性探偵の葉村晶も50代に突入したようだ。

    プロローグこそ本筋と大いに関係ありそうだが、冒頭50ページのゴタゴタは余り本筋とは関係なく、この辺りを読むのに結構時間を要した。そして、いよいよ葉村晶が調査依頼を受けるのだが、もはや読み続けたいと思う欲求はひと欠片も残っていなかった。余りにも葉村晶が加齢や懐の寒さばかりに不平不満をつぶやくので、非常にまどろっこしいのだ。

    果たして、もうこのシリーズはスルーするのが正解だったのだ。自分の野生の勘は衰えていなかったようだ。

    『このミステリーがすごい!2026年版』で国内作品の第5位にランクインしたのは、作中に散りばめられた古今東西のミステリー小説や映画の断片がミステリー通と言われる方々の気持ちをくすぐるのだろうなと思ったりもする。


    相変わらず探偵業は開店休業状態に近い葉村晶。ある日、近所の屋敷に住む金持ちの女性の紹介で魁皇学園の元理事長でミステリのエッセイストとして有名な乾巌から、秘密厳守で稲本和子という女性の行方を捜して欲しいと頼まれる。

    本体価格1,000円
    ★★

  • 『仕事はできるが、不運すぎる女探偵・葉村晶』シリーズ最新作。
    初登場の作品では20代だった彼女も今は50代。体のあちこちに不調を抱え、無理は出来ないお年頃になったのだが、やはり今回の依頼もハードな展開になっていく。

    まぐさ桶の犬:『自分には役に立たないが、誰かがそれでいい思いをするのは絶対にイヤだ、とその「役に立たないもの」を手放さずに意地悪や嫌がらせをし続けるひと』

    正直、葉村晶シリーズに登場する人物たちって、みんなこの「まぐさ桶の犬」ばかりな気がする。
    身勝手で、相手の気持ちや都合などお構いなしで、自分の感情や都合ばかりを押し付ける。おまけに誰もかれもが信用ならない。
    そこに振り回され抱え込みながらも自分を保ちやるべきことをやる晶の精神力がすごいと毎回感心する。
    このシリーズを読むたびに同じ感想になってしまうのだけれど。

    今回の依頼人もターゲットも、その周囲の人たちも、富山店長も自宅周辺の人々もみんなそんな感じで安定していると言えばいえるのだが、読んでいる私が段々しんどくなる年頃になってきた。
    特に人間関係が、横溝正史先生の作品に出てきそうなくらい爛れていて複雑で、表向きの関係と実は…の関係が多すぎてちょっと辟易してしまった。
    さすがの晶も今回は途中しゃくりあげながら夜道を歩くシーンもある。そりゃ泣きたくもなるだろう。

    クロちゃんが今後は晶の癒やしであり良きパートナーになってくれたら良いのだが、それまでの飼い主の元では吼えてるだけの印象なのでどうだろうか。

    本作は書下ろしということだが、コロナの影響がいまだ根強い内容になっている。あんなに大変だった時期が遠い昔のように感じるのは良いのか悪いのか。
    取りあえず、歯の治療ができて良かった。

    私はこんな嫌な宿題を誰かに残すような死に方はしないように、シンプルに生きて、不必要なものはどんどん手放していきたいと改めて思った。
    自分が「まぐさ桶の犬」なんて言われないように。


    葉村晶シリーズ(「悪いうさぎ」以外はレビュー登録あり)
    ①依頼人は死んだ
    ②悪いうさぎ
    ③さよならの手口
    ④静かな炎天
    ⑤錆びた滑車
    ⑥不穏な眠り
    ⑦まぐさ桶の犬(本作)

    他に「プレゼント」にも晶の登場作品が収録されています。

  • 『葉村晶シリーズ』の七作目ですね。
    五年ぶりに、葉村晶が帰ってきた!
    久し振りに若竹七海さんを読みたくなっている時に、ピシャリと出てきてくれてワクワクしながら読ませてもらいました。
     葉村晶も、五十を越えて多少の不自由はあるものの、まだまだ活力に溢れているのに、安心しました。
     ミステリ専門書店のアルバイト店員にして、〈白熊探偵社〉も兼業でただひとりの調査員で働く葉村にご近所さんから依頼がくる。それを契機に、秘密の人探しをするようになるのだが…………?
     相変わらず、複雑な人間関係のゴタゴタに巻き込まれて事件が少しずつおおごとになっていく。
     若竹七海さんの、ユーモアとウェットが的確に導いてくれる文章に惹かれながら愉快に楽しみました♪
     嬉しいことにミステリの名作が物語に盛り込まれていて、巻末に本の紹介が記されています。
     ミステリの醍醐味をとことん味わえる至福の本と言えますね(=^ェ^=)

  • 葉村晶シリーズ最新作(2025年11月時点)。
    図書館に入ったのに気付いてすぐ予約入れたけど、結構時間掛かってしまった。

    タイトルの暗示がいい。
    その意味を知らなかった自分にとって、全編通じてそのモチーフがじわりじわりと伝わって来た。
    エピグラフでロス・マクドナルド作品からの引用を入れつつ、まだ今ひとつピンとこない状況。
    途中でその意味と呼応する本書のエピソードの骨子となる場面を描く。
    そしてすったもんだの挙句、最後にまたそのモチーフに戻る。
    結局は、という人間の哀しさ。

    相変わらず身も心も満身創痍の葉村。
    これだけ人の毒に晒されながらよく挫けないなと賞賛の意すら覚えるがそこでふと気付く、あれ富山店長、葉村にけっこうな嫌味を投げかけてはいるものの決定的なところで意外と一線越えないなと。
    その流れでいくと、もう辛辣で心が壊れるくらいのきつい言葉が浴びせられるかと思いきや、良くも悪くも普段どおりの淡白加減。
    うーん、どっちなんだ!?

    物語の詳細はまぁー込み入っている。
    最初から最後まで関係者達の血縁関係がこんがらがりまくり。
    途中ちょっと家系図出てきて、もっと大きいの欲しいよーと思っていたけど。。
    自分で作ってたら凄いことになってただろうな。

  • 待ちに待った葉村晶シリーズ最新刊です。
    歳をとっても、体の不調を訴えながらの調査でも、やっぱり葉村晶はカッコいい。
    彼女ほど、シニカルかつ公正そして野性的な人はいないから。(この3つの要素が一緒に成り立っている事が不思議)

  • 久しぶりの葉村晶。
    あの葉村もとうとう五十路だなんて。葉村の二十代の頃から知っているだけに感慨深い。あんなに尖っていてクールだった葉村も今や老眼や歯の衰え、体力の消耗等などに悩まされるなんて。
    五十路の葉村はすっかり角が取れて常識的になった気がする。富山を始めとしてマイペースなご近所さんからも使われ放題で、ますます損な役を背負わされている感じ。お人好しにもほどがある。そして不運続きは相変わらず。

    今回は秘密厳守の人探しの依頼を受けた葉村。次々に登場する一癖も二癖もある何やら訳アリの人たちに翻弄されながらも、老体に鞭打って必死に食らいつく葉村の姿を見ると、やっぱり葉村はこうでないと、と思う。
    次、葉村に逢う時は六十代?この先六十代七十代と年を重ねても、相変わらず周囲の人たちに翻弄されながら探偵を続けていてほしいと願ってやまない。

  •  このシリーズ好きなんです。
    久しぶりですね。

     探偵ってなんか惹かれるものがありますよね。

     何年か前にNHKでやっていた浅野忠信さんのロンググッドバイかっこよかったし、永瀬さんの濱マイクも好きです。

     本作と全く関係ないありませんね。

    次回作も楽しみにしています。

  • ”不運という名の基礎疾患”
    コロナ禍に事故にあって病院で手当てを受けた葉村晶の自分への評価。
    今回も葉村は大変だったなあ、そして面白かった。
    癖のある登場人物、過去シリーズの関係者の再登場、次々に降りかかる不運とそれにもめげずに謎解明に取組む50歳になった葉村。好きなシリーズものの最新作を読むのは読書の楽しみです。
    巻末の「富山店長のミステリ紹介」はいつも興味深く読みますが、文藝春秋さんの特設サイトも必見。シリーズ一覧・葉村語録は楽しめます。

  • 若竹七海作、日本が誇るハードボイルド。
    葉村晶に会うたびに、上のように思います。
    この語り口のうまさ、乾いていながらじわじわしみてくる毒。ああ、ハードボイルドだなあ。
    しかし、事件そのものは、やはり日本を意識させる。
    もしも、この事件を扱う探偵が葉村晶ではなく、どちらかというと安楽椅子探偵に近い探偵だったら、もし、頭なんか搔きむしりながら解決する探偵だったら、このじめじめしたバックボーン、いやらしい人間の悪しき本性、これぞ横溝作品、なんて言いたくなるし、現代日本の裏側をついてくるあたりは、これぞ松本清張作品と言いたくなるかもしれません。
    そのじめじめを襲ってくる激痛で解決してしまうのが葉村晶なんですねえ。
    終止襲ってくる痛みが口の中にあったり、生命の危機を感じさせるのが花粉症だったりと、なんとも、なんとも、気の毒。この気の毒具合がたまらなく魅力なんですよねえ。
    葉村晶を襲う痛みの辛さというのは、畢竟、人間の身勝手ということになるのかな、と思いました。
    そして、このまま老化が進んで活動に難渋が増えていく前に、もっともっと葉村晶の探偵報告を読みたいのです。
    50代の葉村晶、短編集を3冊ぐらい、それから角田港大先生の作品を2作品くらい、ぜひぜひ読みたい。
    巻末のミステリ案内、ありがたく、読書計画を立てようと思います。

  • まぐさ桶の犬?
    冒頭に、「自分に不必要なものは他人にも使わせない」という意味が紹介されていました。

    「仕事はできるが、不運すぎる女探偵・葉村晶も老眼に悩まされるお年頃。」という紹介を見て、なんだか他人事と放っておけず(?)読んで見ることにした。
    初めて読んだのだけど、実は何冊も出ているシリーズものらしい。
    手元に届いた時は450ページというボリュームに少々ビビりながらも、読み始めると一気読み。
    うん、トシ重ねると身体にいろいろガタが来るけど、まだまだなんとかがんばろう(苦笑)。








  • 不運すぎる女探偵、葉村晶の最新作。
    相変わらずの多重構造犯罪への巻き込まれ方は「待ってました!」と、言わずにいられない。今回も目を剥くような依頼が舞い込む。

    冒頭のシーンから早速引き込まれる。
    だけど彼女も不死身じゃないし、更年期だし、奥歯は痛むし、老眼にもなるし。
    人間味溢れてるけれどしたたかで、お人好しじゃない。魅力爆発の最新作でした。
    また、気を長く持って次回作、楽しみにしてます。

  • さすが葉村晶。相変わらずの不運っぷり。
    ちょっと長くて中弛み感もあったけど、終わってみれば全て納得でよく出来てるなぁと感動。

  • 5年ぶりの探偵・葉村晶シリーズ。物語とともにキャラクターも年齢を重ねる珍しい設定の本シリーズ、主人公の葉村は五十代に突入している。原因不明の歯痛に悶え、全力疾走には息も絶え絶え、文章を読むにはさりげなく老眼鏡を取り出す葉山に、少しだけ人生の後輩である私も深く共感してしまう。

    今回の葉山の仕事は人探し。3年ぶりの大仕事に張り切る葉山だが、ブランクのせいか、はたまた寄る年波のせいか、やることなすこと上手く行かない。そして、本作でも作者の若竹さんは葉山に、これでもか言わんばかりに次から次へと不幸のボールを投げつけるのである。

    登場人物が多く、カタカタ表記も多用されるので、なかなか頭に入ってこなかったのは、私もアラフィフだからだろうか。とりあえず、これを読んでいる途中、歯医者の検診は予約を入れたのであった。

  • やっぱり葉村晶シリーズ、大好きだ!!!!

    久しぶりのシリーズ新刊。書店にもたくさん並ぶのはわかりきっていたのに、喜びを抑えられずに予約し、発売日に購入した。
    発売日は平日だったので、細切れにしか読めないな、と思い、今日まで寝かせた。そして土曜日の今日、万難を排して一気に読みましたー!!!!!

    という、わたしの個人的な話はどうでもいいのだが、万全を期す価値があったほど、本書もとても面白かった、ということが言いたかった(笑)。
    今回もとびきりのお人好しで、とびきり不幸で、そしてとびきり格好良い探偵・葉村晶と出会えます。

    これも個人的なことなんだけど、なんだか今年は「一族もの」の小説と縁があるようだ。読み途中で中断している『檜垣澤家〜』も早く読もうっと。

    若竹先生!気が早いけど次も楽しみにしています!!

  • 葉村晶の新作!コロナ禍、アフターコロナの「今」を生きる葉村晶。ずっと先に読み返す事があれば、すごく懐かしく感じるんだろうか。

    探偵の仕事は久しぶりと、葉村晶は元学園理事長から人探しの依頼を受ける。由緒ある学園を牛耳る一族は、みんな癖がありすぎて。いつもなら一気に読むのだが、やたら登場人物が多くて把握するのが一苦労。何回もページを戻ってしまった。さらに皆んな不倫だの庶子だのと、関係性がややこしい。甥でもあり従兄弟でもあるとか、姪でもあり義理の妹でもあるとか、体面を重んじるわりには、かなり関係性が乱れていた。そしてそんな話ばっかりでちょっとうんざり。

    もっと人物を減らして、スッキリさせた方が良かったんじゃないかな。この話で言いたかったことが、あまり伝わって来なかった。話の本筋よりも、本屋の企画展とか、亡くなった作家の〈お別れの会〉の話とかの方がずっと面白かった。

    これを読むと、いろいろとミステリが紹介されているが、今年こそピーター・トレメインのフィデルマのシリーズ読みたい!と思った。

  • 久しぶりの葉村シリーズ長編
    年をとった主人公は、相変わらずの巻き込まれ体質でズタボロに

    今作は登場人物が多く、その相関関係も複雑に絡み合って、誰が重要人物なのか翻弄されました
    「隠されていたもの」は予想通りで、ちょっと・・・

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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