- 文藝春秋 (2025年3月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167923426
作品紹介・あらすじ
娘を喪った青子と、病を宣告された茅乃。
〈あたりまえ〉から放り出されたその先で、私たちはもう一度生きると決めた。
喪失の彼方のうららかな場所を描く、第166回直木賞候補作。
(あらすじ)
ふいに断ち切られた日常を前に立ち竦む青子と茅乃は、10年ぶりに再開した合気道をきっかけに、かつての仲間たちと再会する。
大人になり、痛みを知った男女4人の交流が胸を打つ……
◎白尾悠氏、絶賛!
少し離れたところから、光を届けてくれる誰かがいる。
〝ひとり〟の中に〝あなたと私〟がある。
『新しい星』は私たちの孤独を、そして孤独の中で共に存るということを、祝福する小説なのだ。
(解説より)
感想・レビュー・書評
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彩瀬まるさんの作品は2冊目
大学時代に合気道部で同期だった青子、茅乃、玄也、卓馬は、大学卒業後それぞれ悩みを抱えて暮らしています。
あるきっかけから合気道が4人をまた引き合わせたことで、家族に言えない本音や深刻な悩みを打ち明け合います。
家族ほどストレートに心に踏み込まず、大学時代の4年間一緒に汗を流し気心しれた4人の関係はとても楽なんだろうなぁ。
理不尽や不安、しんどい状況を4人で分け合い、お互いにかけ合う言葉もさりげなく優しくて心に染みました。
程よい距離感の友人関係は心強くて羨ましくなります。
辛いこと悲しいことが次々とおこりましたが、新しい星で生きる…読後感は悪くなかったです。 -
大学時代を共に過ごした4人の男女。社会に出て、「普通」から外れてしまった各々が、支えあったり励まし合いながら生きていく様子を描いた小説。
基本的に辛い境遇の描写が続き、社会に出ている身からすると他人事にも思えないこともあり、辛い読書になるかな、という第一印象。ただ一貫して4人の人間関係を中心とした優しさがストーリーの根底にあり、読了時には切ない気持ちもあれど、不思議と前向きな気持ちでもありました。
こんな友情を結ぶことができたら一生もの。シンプルに羨ましい気持ちにもなっちゃいます。 -
新しい星にも どうしてこの4人なのかも意味があるんだね、とても大事な。カヤノと青子と本当に不思議な関係だった。突然泣き出して、でも慮って静かに寄り添う。泣くなしっかりしろとか間抜けな言葉は吐かない。奈緒ちゃんと3人と全然接点ないのが不思議だって思うけど、青子の子供が亡くなって〜だからか?亡くなる前に奈緒ちゃんはちゃんと生活して育って大人になるよ負った傷は自分で直すよはちょっと酷いよ、癌で仕方がないでは酷いよ。と言いつつ自分が癌になれば人の事など考えない筈、それとこの本読んで何を学ぶのか未だ暗中模索 あとずーっとローギアだった
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時々ふっと出てくる優しくて悲しい表現に胸が詰まり、思わず涙が出た。
読み終えると新しい星というタイトルと意味が、すごくしっくりくる。漠然として、良いも悪いも含めた未知な感じで、なるほどな、と思った。
4人の関係が素敵だなと思う。羨ましいとすら思うけど、ないものねだりよりも今私がいる星で、そこから見える範囲で出来ることやしたいことを見つけたいと思った。 -
期間を経て、大学の四人の男女の友人が集まる。みんな自分以外は幸せなんだろうと、集まる際に悩む。しかしながら、それぞれは大小あれど苦しみや悲しみがあり4人はだからこそ繋がりが強くなる。それぞれが卑屈になりそうなときに、この友人たちのかかわりがいい。
いや、友人だけではない。家族、そして好きなもの。それは孤独から救ってくれるもの。
星のようなものたち。
「決して一人にはならない」てすごいよね。
あらためて自分の周りに居てくれる人、好きなことは大切に、しようと思った、
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連作短編集
大学時代、合気道部で同期だった男女4人(青さん、かやのん、ゲンゲン、卓ちゃん)の物語。愛称で呼び合える関係って良いですね。大学時代は充実した日々を共に過ごし、順風満帆に見えた4人だが、、
以下、各編の感想
「新しい星」
本書のタイトルと同タイトルの短編。希望に溢れるタイトルに見えるが、結婚、出産、仕事に躓いて意にそぐわない新しい星に叩き落とされた青子の話。立ち直るキッカケが、より不幸な星の友人(茅乃)を気遣う事ってのは何だかなぁ。と思ったけど、解説の白尾悠さんの解釈は違うみたい。それぞれ違う星に叩き落とされた友人に、自らが叩き落とされた星から光を届ける話だとのこと。素敵な解釈ですね。
「海のかけら」
玄也が主人公。1話に引き続き、自分より大変な仲間(卓馬)の窮状を見て前向きに生きるきっかけになるってのはあるだろうけど、どうなの?
「蝶々ふわり」
一番好き。温泉での気づきや、「悲しみが邪魔だ」と思う青子の決意が心に沁みた。
確かに解説の白尾悠さんの解釈は正しいのかもしれない。
「温まるロボット」
卓馬の話。コロナ禍下のリモート飲み会。まぁ男の話はどうでもいいかな。
「月がふたつ」
茅乃にとって、大学時代からの親友青子は何も装う必要のない相手、一方で夫や子供の前では虚勢を張っている。家族だからこその距離感ってあるよね。
「ひとやすみ」
何を書いてもネタバレが過ぎてしまうけど、お疲れ会を開いてくれる友達は欲しいなぁ。
「ぼくの銀河」
先に男が主人公の話はどうでもいいかなと書いたんだけど、間違いでした、ごめんなさい。玄弥が主人公の話ですが、良かったです。4人の中で一番不器用な玄弥が、優しく丁寧に言葉を紡ぎ出します。しかしトロピカルアイスティーがこんなに活躍するとは。
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大学時代の友人 男女4人の交流を描いた連作短編集。
とても繊細で優しい物語だったので、
大切に少しずつ読み進めました。
大学を卒業した後の4人は それぞれ困難、試練に立ち向かいます。
物語のトーンは悲しく、苦しい。。
のですが、4人の友情が優しくて温かくて。
涙とにっこりが同時にやってくるような素敵なお話でした˘˘̥♡
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彩瀬まる読了5冊目。既に単行本を入手していたが、例の計画的に読む作戦のため、文庫化を契機に読み始めた。文庫版には白尾悠の解説入り。本書は第166回(2021年下半期)直木賞候補作。今村と米澤が受賞で、なんとあの同志の逢坂が3位で賞を逃す。そして我らが彩瀬まるは第4位。まあ、選考委員の殆どが60歳以上の爺さん婆さんだからしょうがないか。ちなみに、流行作家の柚木裕子には勝った!!
人間って普通に見えるけど、多かれ少なかれ悩みを持っている。悩みのない平和な人はごくわずか。4人は大きな悩みを抱えているが、大学の合気道部という仲間にお互い支えられながらも次のステージ(新しい星)に行く。茅乃が乳癌を患ったという設定、その説明に出会って数秒後、ああ茅乃は彩瀬まるに殺されるという予感が沸き起こり、その通りにお亡くなりになった。やはり亡くならないとお話を締められないのか。この間、死ぬなよ死ぬなよと祈り続けたが残念な結果となった。ただ、娘の菜緒が確実に成長した姿を見て安心して本を閉じることができた。選考委員は普通だとか情熱に乏しいだとか言いたい放題だが、確実に私の心臓は締め付けられたり緩められたりと彩瀬まるに弄ばれた。
久々に彩瀬まるに手を出したため、禁断症状にのたうち回っている。次の文庫化は「かんむり」か?予定だと約一年後になる予想だが、たぶんそんなには待てないだろう。ついに蜘蛛から順に読み始めるプロジェクトを開始してしまうのか。それは他の作家の新刊書にかかっている。さあ、どうなる! -
直木賞候補になったことで名前を知った作家さん
学生時代に合気道部で同期だった男女4名の物語。
章ごとに、書き手の主題は変わるが、彼ら4人のそれぞれと、関わりの中で物語は進む。
学校を卒業して10年後以降ぐらいから、話は流れていく。
外見状は順風満帆に見えたとしても、人はそれぞれ他人には言えない事情を抱えている。その他人に言えない悩みまで、彼らはよく話し、そして分かち合う。
押し付けるわけでないその関係は、ありえないほど優しい。でも、作り物、偽善ぽくはなく優しい。
ひょっとして好きな作家さんかもしれないので、他の作品も読ませていただこうと思います。 -
青子と茅乃の関係性と、お互いにかける言葉がとても温かくて優しくて良かった。
ガン治療でまつ毛が抜けたことを話した時、「言われなきゃ気づかないよ。」という言葉を飲み込んで、「スーパー美しいつけまつげ、探す?」という言葉を選んだのが印象的だったし、乳癌のことを初めて打ち明けられた時に、「これから治療を生活に組み込んでいくことになるんでしょう?一番楽なペースを考えよう。私も一緒に探す。」と、相手の問題を一緒に抱えてくれる言葉は、とても頼もしく感じただろうなぁと思った。悩みや辛さを打ち明けてくれた友人にかける言葉ってとても難しくて、私だったらどの言葉もしっくりこなくて、変なこと言うよりはと黙ってしまいそうだなと思ったから、自分が今後同じ場面があった時にこういう前を向ける言葉を送りたいと思った。
無くしたと考えるのではなく、あったことを幸せだと考える。同じ出来事でも、考え方を変えられるんだとハッとした。
お互いが全く違う人生を生き、違う苦しみに直面する。自分の気持ちなんてわからないでしょう、と友人を突き離したり線を引くのではなく、素直に落ち込んでいることを溢してみようかな、と思った。きっと私の友達は、一緒に考えようとしてくれる人ばかりだと思う。
彩瀬まるさんの本を初めて読んだけど、とても好きな本だった。
「あるものとないものは似ている。自分はなくしたのではなく、あの素晴らしいものに二ヶ月間も触れさせてもらったのだ。あるとないとが反転し、生きられるようになった。」
「彼女たちは自分をケアする方法を山ほど知っていて、強靭だった。不幸が直撃して弱っている友人たち、と勝手に抱いていたイメージを慎重に修正した。誰が弱いかなんてわからない。もしかしたら、弱り方すらよくわかっていなかった自分が一番弱かったのかもしれない。」
「私が変えられるのは自分の運命だけなんだ。子供の運命はそれがどんなものであっても、その子が一人で背負うしかない。」 -
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連続短編
4人の男女がそれぞれの悩みを抱えながら支え合い生きて行くお話
4人のうちの1人が乳がんになり骨に転移するんだけど、ちょうど私の身の回りに起きたことと重なったので恐ろしくなった
友達の存在が温かく強くとても綺麗なお話だったけど実際の世の中はこんな友達がいる人少ないし、なんなら友達すらいないんだけどなー -
大学の合気道部同期の男女4人の物語。
4人の関係性、距離感がとても優しくてあたたかい。
美しくもあり緻密な文章により、今まで言語化できていなかった過去の経験を表現してもらえた。 -
登場人物が亡くなる系の本や映画やドラマは感情移入しすぎて、現実世界に戻ってくるのに時間がかかるので最近は避けていたけれど、表紙のイラストが気になって購入。
気持ちの部分が繊細に表現されていて、最後は少しほっとできる終わり方で良かったです。
読み終わった後に、帯の「喪失の彼方のうららかな場所を描く」を読んで「確かに」と思える作品でした。 -
大学時代に合気道で知り合った男女4人のお話
皆それぞれ大なり小なり悩みを抱えて生きている
この4人の関係性いいなぁ -
新しい星/彩瀬まる
読了 2025.05.12
直木賞候補作の連作短編小説。書店で見かけ気になって購入。
かつて大学の同級生だった4人の大人、それぞれの人生の苦悩が描かれる。我が子を亡す、癌になる、引きこもる、パンデミック。あいつがそんな悩みを抱えてたなんて、とすら思わせるほどに、人生とはままならない。解決できる物事の方が稀であり、割り切っていくしかないことがほとんどだ。それは新しい視点や、時間をかけて消化していくことが必要だ。
何かしらの出来事によって、人生は大きく変わる。まるで知らない星に放り出されたように、葛藤や模索や希望が、この新しい星にはある。
嫌味や皮肉の効いた友情ものも好きだが、これはかなり綺麗なお話だった。
あまり大きな展開やどんでん返しや、そういった起伏がないので、特段この話が好き!とかはなかったかな。逆にこの話は嫌い(もう読まない)もなかった。
共感ポイントもあったので、また読み返したいと思う。 -
大学時代、共に合気道部だった男女4人。その内の一人の女性が乳がんとなったことから、10年ぶりに再会する物語。会話が不自然で仕方がない。男は、いくら奥さんとは言え、性に関する悩みを相談したりなんかしない。まして、大学時代の女友達になんか相談しない。わかってないね人間を・・・ガッカリです。
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大切なことは、ひとそれぞれで、完全に理解することはない。だからこそ、簡単なことばを使って傷つけることがないようにしなければ…
読み終えて、かつての友人たちが出会い、お互いのいまを尊重しながらも、丁寧に、深く関わる光景に、とてもあたたかい眩しさを感じた。
また読み返したい。 -
文庫化により再読
やっぱり最後は泣けた
こんなちょうど良い距離の友だちっていいな -
今まで以上に友情の大切さを感じた。友達とその家族のことまで大切に思う気持ち、素敵だなと思った。
著者プロフィール
彩瀬まるの作品

送信してしまいました。
まるさんは星がテーマの作品、多くないですか?
送信してしまいました。
まるさんは星がテーマの作品、多くないですか?
そうですか!
私は2冊しか読んだことがないので、よくわかりませんが、まるさんの星のテーマの作品でお勧めがあったら教え...
そうですか!
私は2冊しか読んだことがないので、よくわかりませんが、まるさんの星のテーマの作品でお勧めがあったら教えて下さい(^^)
すみません。
「暗い夜、星を数えて」のイメージが強すぎて。
改めて調べたら、とりあえずタイトルに「星」が付くのは、こ...
すみません。
「暗い夜、星を数えて」のイメージが強すぎて。
改めて調べたら、とりあえずタイトルに「星」が付くのは、この作品しかないようでした…。