新しい星 (文春文庫)

  • 文藝春秋
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感想 : 7
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  • 本 ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167923426

作品紹介・あらすじ

娘を喪った青子と、病を宣告された茅乃。
〈あたりまえ〉から放り出されたその先で、私たちはもう一度生きると決めた。

喪失の彼方のうららかな場所を描く、第166回直木賞候補作。


(あらすじ)
ふいに断ち切られた日常を前に立ち竦む青子と茅乃は、10年ぶりに再開した合気道をきっかけに、かつての仲間たちと再会する。
大人になり、痛みを知った男女4人の交流が胸を打つ……


◎白尾悠氏、絶賛!
少し離れたところから、光を届けてくれる誰かがいる。
〝ひとり〟の中に〝あなたと私〟がある。
『新しい星』は私たちの孤独を、そして孤独の中で共に存るということを、祝福する小説なのだ。
(解説より)

感想・レビュー・書評

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  • 期間を経て、大学の四人の男女の友人が集まる。みんな自分以外は幸せなんだろうと、集まる際に悩む。しかしながら、それぞれは大小あれど苦しみや悲しみがあり4人はだからこそ繋がりが強くなる。それぞれが卑屈になりそうなときに、この友人たちのかかわりがいい。
    いや、友人だけではない。家族、そして好きなもの。それは孤独から救ってくれるもの。
    星のようなものたち。
    「決して一人にはならない」てすごいよね。
    あらためて自分の周りに居てくれる人、好きなことは大切に、しようと思った、

  • 彩瀬まる読了5冊目。既に単行本を入手していたが、例の計画的に読む作戦のため、文庫化を契機に読み始めた。文庫版には白尾悠の解説入り。本書は第166回(2021年下半期)直木賞候補作。今村と米澤が受賞で、なんとあの同志の逢坂が3位で賞を逃す。そして我らが彩瀬まるは第4位。まあ、選考委員の殆どが60歳以上の爺さん婆さんだからしょうがないか。ちなみに、流行作家の柚木裕子には勝った!!

    人間って普通に見えるけど、多かれ少なかれ悩みを持っている。悩みのない平和な人はごくわずか。4人は大きな悩みを抱えているが、大学の合気道部という仲間にお互い支えられながらも次のステージ(新しい星)に行く。茅乃が乳癌を患ったという設定、その説明に出会って数秒後、ああ茅乃は彩瀬まるに殺されるという予感が沸き起こり、その通りにお亡くなりになった。やはり亡くならないとお話を締められないのか。この間、死ぬなよ死ぬなよと祈り続けたが残念な結果となった。ただ、娘の菜緒が確実に成長した姿を見て安心して本を閉じることができた。選考委員は普通だとか情熱に乏しいだとか言いたい放題だが、確実に私の心臓は締め付けられたり緩められたりと彩瀬まるに弄ばれた。

    久々に彩瀬まるに手を出したため、禁断症状にのたうち回っている。次の文庫化は「かんむり」か?予定だと約一年後になる予想だが、たぶんそんなには待てないだろう。ついに蜘蛛から順に読み始めるプロジェクトを開始してしまうのか。それは他の作家の新刊書にかかっている。さあ、どうなる!

  • 登場人物が亡くなる系の本や映画やドラマは感情移入しすぎて、現実世界に戻ってくるのに時間がかかるので最近は避けていたけれど、表紙のイラストが気になって購入。

    気持ちの部分が繊細に表現されていて、最後は少しほっとできる終わり方で良かったです。

    読み終わった後に、帯の「喪失の彼方のうららかな場所を描く」を読んで「確かに」と思える作品でした。

  • 大学の合気道部同期の男女4人の物語。
    4人の関係性、距離感がとても優しくてあたたかい。

    美しくもあり緻密な文章により、今まで言語化できていなかった過去の経験を表現してもらえた。

  • 今まで以上に友情の大切さを感じた。友達とその家族のことまで大切に思う気持ち、素敵だなと思った。

  • 連作短編集。
    大学時代に同じ合気道部だった4人の男女、青子、茅乃、卓馬、玄也。
    30歳を過ぎてから、再開し、旧交を温めていく。子どもと死別し離婚した青子、コロナで家族と離れて暮らす卓馬、仕事がうまくいかなくて引きこもりとなった玄也、癌を発表した茅乃。
    それぞれがそれぞれの人生で苦悩しつつ、お互いを励まし合い生きていく様が心地よい。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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