名探偵と海の悪魔 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2025年3月5日発売)
3.33
  • (1)
  • (6)
  • (6)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 198
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (624ページ) / ISBN・EAN: 9784167923495

作品紹介・あらすじ

 日本推理作家協会賞 翻訳部門最終候補
 英国推理作家協会スチール・ダガー賞候補
 英国歴史作家協会ゴールド・クラウン賞候補
「このミステリーがすごい!」第4位
「週刊文春ミステリーベスト10」第6位
「本格ミステリ・ベスト10」第6位

 呪われた帆船で連続する怪事件は悪魔の仕業か?

 海洋冒険+怪奇小説+不可能犯罪。あまりに面白すぎる本格ミステリ巨編!

 時は17世紀、 大海原を進む帆船で起こる怪事件。
 囚われの名探偵に代わり、屈強な助手と貴婦人が謎を追う。
 すべては悪魔の呪いか、あるいは――?

 ――この船は呪われている、乗客は破滅を迎えるだろう。
 バタヴィアからオランダへ向かう帆船ザーンダム号に乗船しようとしていた名探偵サミー・ピップスと助手のアレントら乗客たちに、血染めの包帯で顔を覆った男がそう宣言した。その直後、男は炎に包まれて死を遂げる。名探偵として名を轟かすピップスだが、いまの彼は罪人として護送される途上にあり、この怪事件を前にしてもなすすべがなかった。

 オランダへと帰国するバタヴィア総督一家らを乗せ、ザーンダム号が出航せんとしたとき、新たな怪事が発生した――風を受けてひるがえった帆に、悪魔〈トム翁〉の印が黒々と浮かび上がったのだ! やがて死んだはずの包帯男が船内に跳梁し、存在しないはずの船の灯りが夜の海に出現、厳重に保管されていた極秘の積荷が忽然と消失する。すべては悪魔の仕業なのだろうか?

 わきおこる謎また謎。だが名探偵は牢にいる。元兵士の助手アレントは、頭脳明晰な総督夫人サラとともに捜査を開始するも、鍵のかかった密室で殺人が!

 驚愕のSFミステリ『イヴリン嬢は七回殺される』の鬼才の第二作。海洋冒険譚と怪奇小説を組み込んだ全方位型エンタテインメント本格ミステリ!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2025/6/1読了
    デビュー作『イヴリン嬢は七回殺される』の、トンデモ級にややこしいSFミステリに続く著者2作目は、17世紀のオランダ《東インド会社》の商船内の怪事件。バタヴィアからアムステルダムへの航海中に多発する事件は、悪魔〈トム翁〉の仕業なのか? そして、頼み綱の筈の名探偵は囚人として船内独房に入れられていて、これはディクスン・カー×米澤穂信『黒牢城』みたい(※1)な展開なのか……と思いきや、予想は見事に裏切られることになる。当時の過酷な船旅の様子(※2)に、当時の西欧による植民地支配や魔女狩りといった負の歴史も交えつつ、物語の展開は悪魔の所業でどんどん危機的状況となり、ミステリであることを忘れそうになるが、最後にきっちりミステリとして着地させるという力業が炸裂するお話であった。

    (以下、ネタバレ度が少々up 既読者向けの内容です)
     ↓
     ↓
     ↓
    しかし……みんなが悪魔の仕業と信じているならそういうコトにしておこうよ、とも採れるオチが、受け容れ難い真実よりも判りやすいフェイク情報のまかり通りがちな現代の暗喩のような気がするのは気の所為か? そして、当時のオーバーテクノロジーらしい《愚物》は何だったのだろうか……?(※3)

    ※1)カーは、不可能犯罪は勿論、歴史物も書いているし、『黒牢城』も有岡城に囚われた黒田官兵衛が探偵役で、本作と設定そっくりと思ったら、『黒牢城』との共通点は青崎有吾の解説にもバッチリ書かれていた。考えることはみんな一緒か……。
    ※2)本作より40-50年は前の時代設定の原田マハ『風神雷神』よりも、航海は劣悪でシビアな印象。まぁ、この差は国力や技術よりも、国賓を乗せた使節船と人命は二の次でも商品重視の商船との違いによるのかもしれない。
    ※3)推測するに、天体の位置から正確な緯度経度を割り出せる、ナビゲーションシステムのような装置だったのだろう。

  • 前作デビュー作の【イヴリン嬢は七回殺される】が良く、これからが期待される海外作家スチュアート・タートンの2作目です!

    海洋、怪奇、ミステリーと様々な要素が詰まった作品です!

    名探偵は牢屋に囚われており、助手が活躍する構成も良いが、最後まで読むと納得!

  • 前作あわへんかったし読むん躊躇してたけど、これはなかなか好み。

  • 終わり方が最高!
    様々な思惑のある乗客、乗員を乗せた船舶内で起こる事件の数々…伏線が巧妙な本確ミステリー。まるで、マダミスのようでワクワクする。

    傲慢かつ残酷な権力者の所業は、現代社会に通じるものがあり、(いもしない)悪魔の存在に恐れ、憎しみを募らせる人々の様子は、現代の排外主義を描写しているようで面白い。
    また、女性が賢くイキイキと描かれていつつも、それは許されないという時代背景など…。謎解きだけじゃなくて、描かれているキャラクターや、プロット、巻き起こる出来事が社会派作品としても魅力的で飽きずに楽しめた。

    そして最後の真相は………これは予想しなかった!
    思いっきり騙されて、そして結末が個人的に最高すぎて、やばい。
    このキャラクターたちの続編ほしいけど、作者さん的に多分そういうタイプの方ではないだろうな〜。

    17世紀西洋の知識欠落しているせいで、病者とか、彼らの服装とか諸々…想像しきれなかったところも所々あるので、どうかアレント・ヘイズをドウェイン・ジョンソンに演じてもらってハリウッド実写化してほしい。

全4件中 1 - 4件を表示

スチュアート・タートンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×