驚異の世界史 オリエントの幻 物語はバベルの塔から始まった (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1989年2月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784168116056

感想・レビュー・書評

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  • アッシリア、ヒッタイト、エジプト。普段あまり馴染みのないメソポタミア文明揺籃の地を対談とビジュアルでたどる入門書。親しみやすかった。最新の概説にもふれてみたい。アッシリアは庶民の生活までわかるが、ヒッタイトは公文書しか残っておらず、その運用や庶民生活は謎とのこと。エジプトはどういうカウントで二十いくつも王朝があることになってるのだろう。多神教世界に一神教の太陽神信仰を打ち立てようとしたイクナートンはやはり強く印象に残る。他に、シュメールの書記養成塾の生徒の日記が、人類最初の贈賄と収賄が描かれてるのでは、と思ったり。アッシリアの残酷さは宣伝が行き届いてるが見せしめの意味合いもかなりあった、という一節にモンゴル帝国史を語る杉山正明氏の筆致を思い出したり。メソポタミアの人たちは、死後の世界というものに対して非常に悲観的で、アッカドのサルゴン大王やバビロンのハンムラピ大王でも墓がないということを知ったり。あるピラミッドがつくられると、それはもうまもなく盗掘された、というのがどうも事実のようですね(p.143)ということだったり。ヒッタイトの法律は体刑が賠償に代わる。眼には目をのバビロンより、いくらか進歩し温和に(p.239より)。旧約聖書を「神の意思に反して、自然の状態から離反するようなことは許せないということで一貫」(p.92)と語っていたり。

  • 新書文庫

  • (2015.07.08読了)(2008.02.23購入)
    副題「物語はバベルの塔から始まった」
    「四大文明 メソポタニア」松本健編著、を読んだとき、参考文献としてこの本があげられていたので、積読にあったのを思い出してついでに読んでみました。
    この文庫本のもとは、1978年12月発行の
    (NHK文化シリーズ・歴史と文明)埋もれた古代都市〈第3巻〉オリエントの曙光
    を再編集したもの、とのことです。
    この本では、中東の三つの古代都市が取り上げられています。
    メソポタミアのバビロン(現代のイラク)、エジプトのテーベ、ヒッタイトのハットゥサ(現代のトルコ)です。
    森本さんが進行役で、三つの都市についてそれぞれの専門家から話を聞く、という形になっています。
    メソポタミアとエジプトについては、すでに知っていることがほとんどですが、ヒッタイトについては、興味深く読めました。
    エジプトとヒッタイトとの交流を示す文書が、同じ人物(ヴィンクラー)によって、発掘解読された、という話です。

    【目次】
    栄光のバビロン  板倉勝正・森本哲郎
    1 歴史上におけるバベルの塔
    2 バビロン以前の二つの文明
    3 バビロン第一王朝とアッシリア
    4 メソポタミアの象徴バビロン
    ファラオの挑戦  川村喜一・森本哲郎
    1 エジプトの中心、テーベ
    2 死後の世界とミイラ
    3 残された遺跡が語るもの)
    謎の帝国ヒッタイト  岸本通夫・森本哲郎
    1 ヒッタイト語解読の過程
    2 大帝国の成立と崩壊
    3 ヒッタイトの社会構造と文化

    ●メソポタミア文明(114頁)
    メソポタミア文明の担い手は、シュメール文明はシュメール人、アッカドからバビロニアはバビロニア人、それからあとはアッシリア人、さらにヒッタイトとかミタンニ、後にはペルシアというように、さまざまな民族が入れかわり立ちかわりやって来て、いろいろな王朝が興亡するわけですね。
    ●ボアズキョイ(191頁)
    ボアズキョイの遺跡からは、粘土板が、なんと一万枚近くも出て来たんだそうですね。
    一万枚といっても、破片を一つ一つ数え上げての数なんですよ。もっとも、それを整理してつなぎ合わせても1000枚ぐらいにはなるでしょうけど。

    ☆関連図書(既読)
    ■メソポタミア
    「旧約聖書 創世記」関根正雄訳、岩波文庫、1956.05.06
    「帝王と墓と民衆」三笠宮崇仁著、光文社、1956.04.30
    「神・墓・学者」ツェーラム著・村田数之亮訳、中央公論社、1962.07.25
    「発掘」曽野寿彦著、中公新書、1964.03.30
    「ギルガメシュ叙事詩」作者不詳・矢島文夫訳、山本書店、1965.07.30
    「ギルガメシュ」梅原猛著、新潮社、1988.10.15
    「古代オリエント」(世界の歴史1)杉勇、講談社、1977.02.20
    「ヘブライの神話」矢島文夫著、筑摩書房、1982.12.15
    「四大文明 メソポタニア」松本健編著、日本放送出版協会、2000.07.10
    ■エジプト
    「ピラミッドの謎」吉村作治著、講談社現代新書、1979.11.20
    「クレオパトラの謎」吉村作治著、講談社現代新書、1983.02.20
    「ツタンカーメンの謎」吉村作治著、講談社現代新書、1984.10.20
    「ピラミッドは語る」吉村作治著、岩波ジュニア新書、1985.10.21
    「古代エジプト文明の謎」吉村作治著、光文社文庫、1987.08.20
    「ピラミッド・新たなる謎」吉村作治著、光文社文庫、1992.04.20
    「エジプト史を掘る」吉村作治著、小学館ライブラリー、1992.06.20
    「貴族の墓のミイラたち」吉村作治著、平凡社ライブラリー、1998.12.15
    「四大文明 エジプト」吉村作治・後藤健編著、日本放送出版協会、2000.07.10
    「ファラオの階段」川村喜一著、朝日新聞社、1979.12.10
    ■ヒッタイト
    「埋もれた古代帝国」大村幸弘著、日本交通公社、1978.04.01
    「鉄を生みだした帝国」大村幸弘著、NHKブックス、1981.05.20
    「古代アナトリアの遺産」立田洋司著、近藤出版社、1977.01.10
    「埋もれた秘境 カッパドキア」立田洋司著、講談社、1977.10.30
    「シルクロードの幻像」並河萬里著、新人物往来社、1975.03.10
    「地中海 石と砂の世界」並河亮著、玉川選書、1977.12.25
    「民族の光と影」羽田明著、毎日新聞社、1978.04.15
    (2015年7月21日・記)

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著者プロフィール

1925年東京生まれ。東大文学部哲学科、同大学大学院社会学科を修了。朝日新聞編集委員などを歴任したのち著述に専念。旅を趣味とし、そのエッセイ・評論はユニークな洞察と巧みな筆致で多くの読者の支持を得た。

「2023年 『ニジェール探検行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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