半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義 (文春ジブリ文庫 3-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784168122019

感想・レビュー・書評

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  • 宮崎はもちろん飛行機マニアで最後の長篇として大人向け戦前日本が舞台『風立ちぬ-生きよう』を作った。アニメを五十年作ってきて「もう無理」「トトロ続篇は緑が昔と違うので描けない」300×180のセル画で零戦の独特なカーブを描くのは困難。でも出さない訳にもいかない。半藤は少年時代、米軍機から機銃掃射された体験があるので軍艦マニアだと言う。大正大震災で被服工場跡地から助かったとは。軍国主義と見られるのを警戒してか、表題の如く「司馬遼太郎の言うように日本は表座敷に上がろうというのは思い上がりだった」
     戦前も日本は民主主義で今の北朝鮮のような先軍主義ではない。戦前日本を『軍国主義』と言うのは変な言葉で、軍人は日米開戦は破滅とわかっていた。ただし政治家も国民も保護領を持つことを禁じられるのには堪えきれなかったに違いない。核兵器時代になって アイゼンハワーは「先制攻撃は許されない」としたが、真珠湾攻撃の前にはアメリカから耐え難いほど挑発があった。隠忍自重できるのは余程腰抜けか、冷徹な独裁者だけだろう。

  • ・「太平洋戦争 日本航空戦記」の表紙を谷井健三という絵描きひ書いてもらった際に「どうしても描けない」と言った
    ・才能のない連中が戦争をしたがるのである→才能のないものが成り上がるための時代への皮肉

  • 読んでるうち、「なんでェ、あれもこれもそれも、別段大した問題じゃねェんだな」と肩の力が抜けていく一冊。

  • 半藤 一利さんという方は、知らないです。けど、三国志についての対談本が出ていたので買いました。

    「バカの壁」の人との対談よりは、おもしろく読めました。
    まあ、それでも宮崎 駿は、基本的に人の話聞いちゃいないんですけどね。
    それでも、政治的な話が全面にでないで、自分のマニアな趣味とかが中心になっていた方が魅力的だし、素直で楽しいと思います。

    心性としては、実は宮崎 駿って、百田 尚樹とそんなに変わらないと思います。

  • 宮崎駿の文章は、なぜかいつもいちいち納得してしまう。この対談集も、うなずきながら読んでしまった。

  • 普段読まない類の本でしたが、「風立ちぬ」をみたのもあって、映画のシーンを思い出しながら楽しめました。また、この本を読んで、半藤さんの本、夏目漱石の本にも興味が湧き、読書の幅が広がる良いきっかけをいただきました。

    実際、話が飛び飛びでいろんな話が繰り広げられるので、知識の乏しいわたしには辛かったですが、対談という形だったので、読み進めるのに苦痛はありませんでした。
    おふたりのように、物事を深く捉え考えられる人になりたいです。

    もう1度、「風立ちぬ」見たくなりました。

  • 2013年9月10日購入。
    2016年7月22日読了。

  • 「愛国談義」とタイトルにあるが、中身は夏目漱石の話から始まり、新作の「風立ちぬ」の話、そこから発展して関東大震災や太平洋戦争へと続いてゆくが、話はこれらのテーマを行きつ戻りつして、取り止めがない。あちらこちらに面白い話がちりばめられている。どれか興味がある話があれば、「なるほど、なるほど」と思って読めば良い、そういう気楽さのある本だけれども、中身は濃い。
    半藤さんはあとがきでこのように書いている。
    「いまの日本の政治は期末利益優先の株式会社の論理で国家を運営している。わたくしにはそうとしか見えません。とにかく目先の利益が大事であって、組織そのものの永続は目的ではない。自然環境や医療や教育や自活の方策など、国民再生産の重要課題などは後回しで、その日暮しで、国民の眼くらましとなる利益のあがる政策最優先です。」
    本当にそうだと思う。今の日本は行先が定かではない、その不安を誤魔化すように毎日毎日景気動向の話で盛り上がっている。でも肝心の行き先は誰にもわからない、そのことを正視するがこわくて、『一億総活躍社会』なんて言葉が出てくるのだろう。
    第2部の終わりの方に”「持たざる国」の将来のこと”という章で、宮崎さんが「健康で働く気があれば大丈夫。それしかないだろう」「不安がるのが流行っているけれど、流行に乗っても愚かなる大衆になるだけだからやめなさい」「不安なときは楽天的になって、みんなが楽天的なときは不安になれ」と言っているのが面白い。「「この生き方が正しい」なんて、そんなこと決めないで、いろいろでいい。困るときは、みんなで困るしかないんです。オタオタするなら、みんなで一緒にオタオタするしかない。」とにかく生きろ!と言われているようで、なんだかよくわからないけれど、ふっと笑ってしまう。そしてふっと肩の力が抜けたところで、さぁもう少し頑張ってみるか、と思える言葉だ。
    ただ「今日本で着るものも食うものも自分ではつくっていませんね。そのことは、あんまり大丈夫じゃないなぁ」「しかもいまの日本人には、この国には資源がないという発想がない」ともいっている。「持たざる国」であるという発想がない。それではどうすればいいのか・・・?この後宮崎さん半藤さんなりの意見がもちろん書かれているが、それこそ「この生き方が正しい」なんて決めないで、それぞれがオタオタと生きればいい、そういうことなのだろう。

  • 2015年7月11日読了。

  • ふたりのおじいさんが好きな話題でしゃべり続ける、考え方の方向性はいろいろあっても愛国談義だ。
    知識としてもっていない話題は分かりにくかったりするけど、ふたりの話しを横で聞いている気分だとすると、いろいろ興味もわいてくる。

    じぶんたちがジジイになった時にこういうはなしができるかな…

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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