社会科授業研究の理論

  • 明治図書出版 (1994年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (161ページ) / ISBN・EAN: 9784184423008

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授業研究における教師の成長過程を探求する本書は、ベテラン教師と駆け出し教師の違いを明らかにし、具体的な事例を通じて社会科授業の研究を考察します。特に、授業研究が教師の成長にどのように寄与するかを深く掘...

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  • <レビュー>
    ・わたくしたちがもっとも社会がわかったという実感がわくのは、日々の体験の中にあるひとつの事象や事物から世界が見えたときである。わたくしたちのまわりには無限大の事象のネットワークがある。これを事実として知り、未知のネットワークを探求していく能力をつけていくことが、社会がわかることである。
    ・単元毎の情報ボックスを作っているベテラン教師は多い。
    ・子どもが情報間の関係を習得していくことが社会科の授業の中核だとするならば、情報の量的豊かさがよい授業を成立させる必須の条件である。
    ・情報の量的豊かさを実現するスピードを、人並みより速くすることが要求される。
    ・つねに問いをもって情報に接していることが必要である。
    ・社会科の学習では、人の生きざまが見えることが重要である。人の表情まで見えるミクロな個人の行為に追求が、生き生きとした社会科学習には不可欠である。
    ・「かまど」を核として、かまどの周りで生活している人の行為を追求していくのである。
    ・社会事象をしっかりととらえるためには、自分の体験と結合させることが重要である。そして、とらえた事象を言語で表現していかなければならない。
    ・体験・経験と結びついているイメージ豊かな情報と新しい情報との結合は、後に生きてはたらく質のよい情報の獲得になる。
    ・社会事象のネットワークには、水平的ネットワークだけでなく、垂直的ネットワークがある。一つの社会事象はその事象が存在するまでの歴史的経過の中にある。なにげなく見える社会事象にも、文化の蓄積としての内容が組み込まれている。
    ・本を読むことは、新しい情報を獲得し、問題意識を生じさせ、それがいっそう情報の獲得に有利にはたらくという構造になっているからである。
    ・教師は情報が服を着て歩いているというのが本質である。読書量によってその人の姿が左右されることを、ベテラン教師は心得ておきたい。
    ・教師は「情報」の職人である。取材活動によって手に入れた情報を加工して、教育活動をおこなっている。
    ・「自分の『常識』をこわし、新しい常識を身につけるには『事実』に体当たりすることが一番である。」
    ・科学的な事実判断ができ、合理的な意志決定のいできる子ども
    ・社会がわかる子どもは、豊かな情報と事象を見る概念装置をもっている。
    ・合理的意志決定のできる子どもである。
    ・「創造性ゆたかな子ども」「未来社会を予測しながら合理的価値判断のできる子ども」
    ・概念装置を作りあげていく、合理的意志決定能力をつけていくためには、自ら追求する学習、体験を重視する学習が不可欠である。
    ・「学んだことが役に立つ」「学ぶこと自体が楽しい」といったことが実感となる社会科授業の構築が必要なのである。
    ・第一は一つの社会事象の追求から世界が見えてくることを実感できることである。
    ・第二は社会を見る概念装置を作りあげることの有効性を認識できることである。社会事象の明示的な因果関係である。
    ・第三は価値選択の場にたって、学んだことを総動員してくることの重要性を実感できることである。子どもの生活と直接つながっている論争問題を社会科の授業にもちこめば、自分の主張の裏付けとなる根拠を、自ら探求していくことの必要性に迫られてくる。
    ・子どもが自ら追求し考えるためには、体験・経験とつながった情報が必要である。地域社会が生産の場でなくなった現在においては、子どもの体験・経験が生産と切れている状況である。
    ・第一は体験・経験の欠乏が学習を不成立にしていることである。
    ・「事象を知るためには、その事象を表現する言語と、その事象と何らかの形でつながっていく経験とが必要である。言語と経験との往復運動によって事象の構造や機能が分かってくる。子どもの周囲の生活環境が豊かな経験を提供することができた時期には、言語に中心をおいて授業を展開していくことが重要であった。現在はそういった環境下にはないので、認識を深めていくためには、経験を広げ豊かにしていく授業を設計していかなければならない。」
    ・第二は体験のもっている総合性が重要だからである。
    ・身近な地域における体験的活動の重視が子どもの興味や関心を生かした授業の展開を可能にし、総合的に問題を考えていく子どもを育てていくことができる。
    ・「体験だけでは学習の鍵とはならない。反省のない体験は、ただの体験におわり、学習への可能性を失うことになり、再び『はいまわる経験主義』の批判と汚名を受けることに陥ってしまうかもしれない。そこで、当然のことながら体験を『経験』へと昇華するために、体験を吟味する『反省』(reflection)という内省と思索の行為が不可欠な学習として位置づけられなければならないのである。」
    ・豊かな体験をさせ、それを、報告、記録、説明、絵画表現、話合いなどの活動をとおして、経験に高めていくような社会科授業設計をしていくことが今後の課題である。
    ・社会科では、概念や事象間の関係を学習していく。その際、体験に裏付けられた情報を豊かにもっていないと、概念や事象の意味が分からないのである。
    ・「教科の対象となるものは自然、社会、言語、数などの諸事実であって、教科内容はこうした客観的現実の諸事実に根ざさなければならない。しかし教科内容の系統化を考える場合には、こうした諸事実を順次教えていくというのではなく、諸事実をつらぬく概念や法則を中核にすえる必要がある。概念や法則のなかには諸事実をつらぬく論理が込められているからである。だから、概念や法則を教科内容の中軸におき、それらの教授を通して論理的思考力や知性を正しく養おうとするのである。しかし子どもは、概念や法則だけを学ぶわけにはいかない。概念や法則は、具体的な事実や現象を通してのみ習得されるからである。こうして教科内容と教材(具体的な事実や現象)とが相対的に区分される。」
    ・社会科は社会諸科学の研究成果を組みこんで社会認識教育をしていく教科である。
    ・社会科の授業が科学化しにくいのは、社会事象が自然現象とちがって、人間の気持ちが入ってきて、複雑な様相を示しているからである。
    ・社会諸科学の研究成果を授業の中核において、分析的に社会事象をみていくことが重要である。
    ・子どもの追求過程および追求内容に対応していくためには、教師はその時点での社会諸科学の研究成果が到達している解を把握していることが重要である。
    ・「教科の過程は、その教科の構造をつくりあげている根底にある原理について得られるもっとも基本的な理解によって決定されなければならないということであった。特殊な題目や技能を、ある知識の領域のより包括的な基本構造になかでそれらが占める文脈上の位置を明らかにしないで教えるのは、次にのべる若干の深い意味において不経済なことである。第一に、そのように教えれば、生徒が今までに学習したものから、後に学習するものに通ずる一般化をすることが非常に困難になるのである。第二に一般原理を把握することができなかった学習は知的興奮という報いを得ることはほとんどないのである。教科に興奮をもたせる最善の方法は、その教科を知るだけの価値のあるものにすることであり、そのことは、得られた知識を、いま学習した事態を越えたさらに先の思考においても使えるようにすることを意味している。第三に、知識を獲得しても、それを相互に結合するだけの十分な構造をもたなければ、その知識を忘れがちなのである。関連のない一組の事実は、記憶のなかであわれにも短命に終わる。」
    ・教科内容から学習材を構成するさいには次の点が必要である。
     ① クラスの子はどんなことに興味と関心をもっているのか。
     ② 子どもの体験・経験とつなぐにはどのような事象や事物をもってくればよいか。
     ③ 学習材と結びつく教授技術は何か。
     ④ 学習材にどのような人物を登場させれば、教科内容の習得に有効にはたらくか。
    ・「むしろ、今後の社会科、二十一世紀の社会科は、思考や判断の仕方、能力、技能といわれるものが学習内容の中心におかなければならないだろう。そして知識といわれるものは、この能力・技能育成の手段と考えられるべきではないのか。教育内容と教材とを区別するならば、教育内容こそが思考・判断の仕方、能力、技能であり、これまでの知識内容といわれてきたものが教材に位置づけられるべきだと主張したいのである。」
    ・教育は、子どもを小さな研究者として位置づけ、子ども自身が問題を発見し解いていく過程である。
    ・人が社会を見るには「顕微鏡」が必要である。
    ・人が社会を見るには「モデル」(概念装置)が必要である。
    ・このモデルは、教師が作りあげてそれを子どもたちに与えることはできない性質のものである。子どもが、まず、モデルの創造に必要な部品、すなわち、体験・経験とつながっている情報を獲得してこなければならない。そして、その部品を使って自分で組み立てていく過程が必要である。
    ・一夫多妻を選択した戦略者の行動パターンは次のようになるという。
    「複数の女を操作しなければならない彼には、まず広い視野と物事を長いタイムスケールで考える能力が必要である。繊細緻密な思考力、人(女)の心を読む能力、そして何より女の尻に敷かれない自身と勇気が必要だ。彼の繁殖の世界は無限である。彼の周囲には複雑な人間模様が次々展開されていく。それらの困難な状況に対応するためには、人と人とを調停する能力、ウソや方便なども含めた、言語的能力、人を惹きつけたり納得させたりする話ぶり、態度、なども必要となってくるだろう。暗い性格や神経質な性格は交際範囲を狭めてしまい、百害あって一利なしである。」
    ・新しい学力観に立つ授業は、「個性的で、創造性の豊かな子どもの育成」「自ら学ぶ意欲をもった子どもの育成」に対応できるものに改革されなければならない。
    ・新しい学力観に対応するためには、学習している一人ひとりの子どもが見えてくるような授業に転換していくことが必要である。
    ・「問いや問題をもち得たこと自体が、学習が成立した」という考え方に代えることが必要である。
    ・一つの問題に予想が、何十と出てくることである。それをいくつかの仮説に整理して、グループが一つの仮説を追求していく学習過程を組めば、複々線型の学習過程となる。
    ・子どもの関心次第で、「まとめ」「新しい問いの整理」「未来予測」「既習事項との関係」といった多様性のあるまとめの展開が必要である。
    ・「理科においては、体験だけでなく、一般化・抽象化しなければ自然認識にならない。(略)この触れたといった体験は長期記憶となって残り、そのときは評価されなくても、そのことが興味・関心の源となり、意欲もわき、後から学ぶ知識も定着するようになる。体験学習の意味はここにある。」
    ・教師が、関心・意欲を育てる学習を展開していくさいの基本は、子どもの体験に学習の基盤をおくことである。
    ・学習指導案は仮説の集合体である。
    ・指導計画において、基本的な問いとその問いに答えたさいに習得される答えの質(知識の質)が明示できていることが必要である。
    ・「知る」は社会事象の存在を認識することである。
    ・「わかる」は社会事象の関係を認識することである。
    ・その習得した概念なり法則性を、他の地域や事象に適用してみる。
    ・「考える」は社会的論争問題に一定の価値判断をすることである。
    ・「How」は、目的、手段・方法、構造、過程、相互関係を求める問いである。
    ・「Why」は、結果をしめして原因を求める問い、すなわち、因果関係を求める問いである。
    ・評価は、授業との関連で考察していくことが重要である。自ら学ぶ意欲を実現するための授業の評価のためには、「学んだことが役に立つ」「学ぶこと自体が楽しい」と、子どもが実感できる教材と授業構成が必要である。そして、この授業のなかで子どもが自ら学んでいった成果を評価していきたい。
    ・第一は一つの社会事象の追求から世界が見えてくることを実感できることである。
    ・第二は社会をみる概念装置を作りあげることの有効性を認識できることである。
    ・第三は価値選択の場にたって、学んだことを総動員してくることの重要性を実感できることである。
     ミクロな情報、個人の目的的行為、因果関係といったこれまでの学習成果を総動員してこなければ、合理的意志決定をすることはできない。個人的感情による好き嫌いではなく、科学的根拠および具体的資料による価値判断の重要性が実感できれば、自ら学んでいく状況になっていくことができる。
    ・第一に関しては、絶命文や絵を書かせ、それを分析して評価することである。
    ・第二に関しては、学んだ事象間の関係を、子どもがそのように使ったか、という視点からの評価でできる。
    ・第三に関しては、価値判断の根拠に豊かさと意志決定過程の科学性を評価するのである。

    <目次>
    はしがき
    Ⅰ情報の理論
     一 情報の量的・質的豊かさを求める
      1 情報の量的豊かさ
      2 情報の質的豊かさ
       (1)観察やものづくりをする
       (2)個人の行為に着目する
       (3)比喩を使用したり視点を動かして社会事象をとらえる
       (4)社会事象に文化の蓄積を見る
      3 情報の量的・質的豊かさを実現する方法
       (1)読書量を増やそう
       (2)愛読書をもとう
     二 活発な取材活動と知的生活の環境整備が重要である
      1 積極的な取材活動
       (1)広くでかける
       (2)同一地域へたびたびでかける
       (3)問題意識をもってでかける
      2 知的生活の環境整備
     三 情報を管理する
      1 「情報管理」は失敗の歴史である
       (1)分類は数が多くなればわからなくなる
       (2)死蔵される資料をだすな
       (3)情報整理に逃げるな
      2 情報を管理する
       (1)時系列で資料を管理する
       (2)「カード」を使って創造的活動をする
       (3)常時使う資料はクリヤーブックで管理する
    Ⅱ 授業研究の基礎論
     四 育てる子ども像を描く
      1 社会科が育てる子ども像
       (1)社会がわかる子ども
       (2)論争問題を考える子ども
      2 社会科で育てる子ども像と授業
       (1)自ら追求する学習
       (2)体験・経験を重視する学習
     五 自分の研究の位置がわかる
      1 社会科論史の見取図をつくる
       (1)どんな社会科論史があるか
       (2)論争の一例
      2 典型的授業実践の歴史地図をつくる
       (1)昭和二〇年代の実践者
       (2)昭和三〇年代の実践者
       (3)昭和四〇年代の実践者
       (4)昭和五〇年代の実践者
       (5)昭和六〇年代以後の実践者
      3 授業構成の基本パターンの構造図をつくる
     六 仮説をもって身近な地域をみる
      1 地域教材は重要か
      2 仮説をもって身近な地域をみる
      3 地域教材の有効性を生かした実践
    Ⅲ 授業内容の構成論
     七 科学の研究成果を生かして教科内容を構成する
      1 研究成果を生かす道すじ
      2 教科内容の研究
      3 学習材の研究
     八 科学の研究方法を生かして教科内容を構成する
      1 研究方法論を教科内容化する
      2 教科内容となりうる研究方法論とは何か
       (1)問題発見の技術
       (2)モデル設計の技術
     九 教科書から授業内容を構成する
      1 原因・結果の関係を抽出する
      2 問いの構造を検討する
      3 子どもの活動を抽出する
      4 複数の教科書を比較する
    Ⅳ 授業設計・分析論
     一〇 多様性をもった授業設計をする
      1 単線型授業から複々線型授業へ
      2 体験、人生観、世界観の違いが認められる授業へ
      3 正解との関係で評価される授業から一人ひとりの育っていく過程を評価する授業へ
     一一 「学習指導案」を研究する
      1 学習指導案研究の意味
      2 単元の指導計画記述 ―記述の形式―
      3 単元の指導計画記述 ―知る、わかる、考える、過程―
       (1)概念探求過程の単元設計
       (2)価値分析過程の単元設計
      4 目標(評価基準)記述
      5 問いと予想される反応記述
     一二 「授業」を研究する
      1 「授業」を研究するさいの課題はなにか
       (1)すすんで授業研究をする
       (2)ミクロな授業技術の取り出し
       (3)「仮説」を明示する
      2 学習指導案と授業実践を比較することによって授業分析をする
      3 問いと知識の発展を視点として授業を分析する
    Ⅴ 評価論
     一三 自ら学ぶ意欲を実現するための授業と評価を考える
      1 自ら学ぶ意欲を育てる授業実現の条件は何か
      2 子どものよさを伸ばす評価をする
     一四 「子ども」と「授業」を評価する
      1 評価の理論
       (1)新学力観と評価
       (2)目標設定と評価
      2 個の評価
      3 集団の評価
    Ⅵ 授業研究の方法論
     一五 「授業研究」の研究
      1 授業研究の研究方法
      2 研究主題の設定と研究過程
      3 研究仮説の設定
      4 検証過程の研究状況
       (1)比較対照事例を置いていない研究
       (2)比較対照事例を置いた研究事例
    あとがき

    <レビュー>
    ・わたくしたちがもっとも社会がわかったという実感がわくのは、日々の体験の中にあるひとつの事象や事物から世界が見えたときである。わたくしたちのまわりには無限大の事象のネットワークがある。これを事実として知り、未知のネットワークを探求していく能力をつけていくことが、社会がわかることである。
    ・単元毎の情報ボックスを作っているベテラン教師は多い。
    ・子どもが情報間の関係を習得していくことが社会科の授業の中核だとするならば、情報の量的豊かさがよい授業を成立させる必須の条件である。
    ・情報の量的豊かさを実現するスピードを、人並みより速くすることが要求される。
    ・つねに問いをもって情報に接していることが必要である。
    ・社会科の学習では、人の生きざまが見えることが重要である。人の表情まで見えるミクロな個人の行為に追求が、生き生きとした社会科学習には不可欠である。
    ・「かまど」を核として、かまどの周りで生活している人の行為を追求していくのである。
    ・社会事象をしっかりととらえるためには、自分の体験と結合させることが重要である。そして、とらえた事象を言語で表現していかなければならない。
    ・体験・経験と結びついているイメージ豊かな情報と新しい情報との結合は、後に生きてはたらく質のよい情報の獲得になる。
    ・社会事象のネットワークには、水平的ネットワークだけでなく、垂直的ネットワークがある。一つの社会事象はその事象が存在するまでの歴史的経過の中にある。なにげなく見える社会事象にも、文化の蓄積としての内容が組み込まれている。
    ・本を読むことは、新しい情報を獲得し、問題意識を生じさせ、それがいっそう情報の獲得に有利にはたらくという構造になっているからである。
    ・教師は情報が服を着て歩いているというのが本質である。読書量によってその人の姿が左右されることを、ベテラン教師は心得ておきたい。
    ・教師は「情報」の職人である。取材活動によって手に入れた情報を加工して、教育活動をおこなっている。
    ・「自分の『常識』をこわし、新しい常識を身につけるには『事実』に体当たりすることが一番である。」
    ・科学的な事実判断ができ、合理的な意志決定のいできる子ども
    ・社会がわかる子どもは、豊かな情報と事象を見る概念装置をもっている。
    ・合理的意志決定のできる子どもである。
    ・「創造性ゆたかな子ども」「未来社会を予測しながら合理的価値判断のできる子ども」
    ・概念装置を作りあげていく、合理的意志決定能力をつけていくためには、自ら追求する学習、体験を重視する学習が不可欠である。
    ・「学んだことが役に立つ」「学ぶこと自体が楽しい」といったことが実感となる社会科授業の構築が必要なのである。
    ・第一は一つの社会事象の追求から世界が見えてくることを実感できることである。
    ・第二は社会を見る概念装置を作りあげることの有効性を認識できることである。社会事象の明示的な因果関係である。
    ・第三は価値選択の場にたって、学んだことを総動員してくることの重要性を実感できることである。子どもの生活と直接つながっている論争問題を社会科の授業にもちこめば、自分の主張の裏付けとなる根拠を、自ら探求していくことの必要性に迫られてくる。
    ・子どもが自ら追求し考えるためには、体験・経験とつながった情報が必要である。地域社会が生産の場でなくなった現在においては、子どもの体験・経験が生産と切れている状況である。
    ・第一は体験・経験の欠乏が学習を不成立にしていることである。
    ・「事象を知るためには、その事象を表現する言語と、その事象と何らかの形でつながっていく経験とが必要である。言語と経験との往復運動によって事象の構造や機能が分かってくる。子どもの周囲の生活環境が豊かな経験を提供することができた時期には、言語に中心をおいて授業を展開していくことが重要であった。現在はそういった環境下にはないので、認識を深めていくためには、経験を広げ豊かにしていく授業を設計していかなければならない。」
    ・第二は体験のもっている総合性が重要だからである。
    ・身近な地域における体験的活動の重視が子どもの興味や関心を生かした授業の展開を可能にし、総合的に問題を考えていく子どもを育てていくことができる。
    ・「体験だけでは学習の鍵とはならない。反省のない体験は、ただの体験におわり、学習への可能性を失うことになり、再び『はいまわる経験主義』の批判と汚名を受けることに陥ってしまうかもしれない。そこで、当然のことながら体験を『経験』へと昇華するために、体験を吟味する『反省』(reflection)という内省と思索の行為が不可欠な学習として位置づけられなければならないのである。」
    ・豊かな体験をさせ、それを、報告、記録、説明、絵画表現、話合いなどの活動をとおして、経験に高めていくような社会科授業設計をしていくことが今後の課題である。
    ・社会科では、概念や事象間の関係を学習していく。その際、体験に裏付けられた情報を豊かにもっていないと、概念や事象の意味が分からないのである。
    ・「教科の対象となるものは自然、社会、言語、数などの諸事実であって、教科内容はこうした客観的現実の諸事実に根ざさなければならない。しかし教科内容の系統化を考える場合には、こうした諸事実を順次教えていくというのではなく、諸事実をつらぬく概念や法則を中核にすえる必要がある。概念や法則のなかには諸事実をつらぬく論理が込められているからである。だから、概念や法則を教科内容の中軸におき、それらの教授を通して論理的思考力や知性を正しく養おうとするのである。しかし子どもは、概念や法則だけを学ぶわけにはいかない。概念や法則は、具体的な事実や現象を通してのみ習得されるからである。こうして教科内容と教材(具体的な事実や現象)とが相対的に区分される。」
    ・社会科は社会諸科学の研究成果を組みこんで社会認識教育をしていく教科である。
    ・社会科の授業が科学化しにくいのは、社会事象が自然現象とちがって、人間の気持ちが入ってきて、複雑な様相を示しているからである。
    ・社会諸科学の研究成果を授業の中核において、分析的に社会事象をみていくことが重要である。
    ・子どもの追求過程および追求内容に対応していくためには、教師はその時点での社会諸科学の研究成果が到達している解を把握していることが重要である。
    ・「教科の過程は、その教科の構造をつくりあげている根底にある原理について得られるもっとも基本的な理解によって決定されなければならないということであった。特殊な題目や技能を、ある知識の領域のより包括的な基本構造になかでそれらが占める文脈上の位置を明らかにしないで教えるのは、次にのべる若干の深い意味において不経済なことである。第一に、そのように教えれば、生徒が今までに学習したものから、後に学習するものに通ずる一般化をすることが非常に困難になるのである。第二に一般原理を把握することができなかった学習は知的興奮という報いを得ることはほとんどないのである。教科に興奮をもたせる最善の方法は、その教科を知るだけの価値のあるものにすることであり、そのことは、得られた知識を、いま学習した事態を越えたさらに先の思考においても使えるようにすることを意味している。第三に、知識を獲得しても、それを相互に結合するだけの十分な構造をもたなければ、その知識を忘れがちなのである。関連のない一組の事実は、記憶のなかであわれにも短命に終わる。」
    ・教科内容から学習材を構成するさいには次の点が必要である。
     ① クラスの子はどんなことに興味と関心をもっているのか。
     ② 子どもの体験・経験とつなぐにはどのような事象や事物をもってくればよいか。
     ③ 学習材と結びつく教授技術は何か。
     ④ 学習材にどのような人物を登場させれば、教科内容の習得に有効にはたらくか。
    ・「むしろ、今後の社会科、二十一世紀の社会科は、思考や判断の仕方、能力、技能といわれるものが学習内容の中心におかなければならないだろう。そして知識といわれるものは、この能力・技能育成の手段と考えられるべきではないのか。教育内容と教材とを区別するならば、教育内容こそが思考・判断の仕方、能力、技能であり、これまでの知識内容といわれてきたものが教材に位置づけられるべきだと主張したいのである。」
    ・教育は、子どもを小さな研究者として位置づけ、子ども自身が問題を発見し解いていく過程である。
    ・人が社会を見るには「顕微鏡」が必要である。
    ・人が社会を見るには「モデル」(概念装置)が必要である。
    ・このモデルは、教師が作りあげてそれを子どもたちに与えることはできない性質のものである。子どもが、まず、モデルの創造に必要な部品、すなわち、体験・経験とつながっている情報を獲得してこなければならない。そして、その部品を使って自分で組み立てていく過程が必要である。
    ・一夫多妻を選択した戦略者の行動パターンは次のようになるという。
    「複数の女を操作しなければならない彼には、まず広い視野と物事を長いタイムスケールで考える能力が必要である。繊細緻密な思考力、人(女)の心を読む能力、そして何より女の尻に敷かれない自身と勇気が必要だ。彼の繁殖の世界は無限である。彼の周囲には複雑な人間模様が次々展開されていく。それらの困難な状況に対応するためには、人と人とを調停する能力、ウソや方便なども含めた、言語的能力、人を惹きつけたり納得させたりする話ぶり、態度、なども必要となってくるだろう。暗い性格や神経質な性格は交際範囲を狭めてしまい、百害あって一利なしである。」
    ・新しい学力観に立つ授業は、「個性的で、創造性の豊かな子どもの育成」「自ら学ぶ意欲をもった子どもの育成」に対応できるものに改革されなければならない。
    ・新しい学力観に対応するためには、学習している一人ひとりの子どもが見えてくるような授業に転換していくことが必要である。
    ・「問いや問題をもち得たこと自体が、学習が成立した」という考え方に代えることが必要である。
    ・一つの問題に予想が、何十と出てくることである。それをいくつかの仮説に整理して、グループが一つの仮説を追求していく学習過程を組めば、複々線型の学習過程となる。
    ・子どもの関心次第で、「まとめ」「新しい問いの整理」「未来予測」「既習事項との関係」といった多様性のあるまとめの展開が必要である。
    ・「理科においては、体験だけでなく、一般化・抽象化しなければ自然認識にならない。(略)この触れたといった体験は長期記憶となって残り、そのときは評価されなくても、そのことが興味・関心の源となり、意欲もわき、後から学ぶ知識も定着するようになる。体験学習の意味はここにある。」
    ・教師が、関心・意欲を育てる学習を展開していくさいの基本は、子どもの体験に学習の基盤をおくことである。
    ・学習指導案は仮説の集合体である。
    ・指導計画において、基本的な問いとその問いに答えたさいに習得される答えの質(知識の質)が明示できていることが必要である。
    ・「知る」は社会事象の存在を認識することである。
    ・「わかる」は社会事象の関係を認識することである。
    ・その習得した概念なり法則性を、他の地域や事象に適用してみる。
    ・「考える」は社会的論争問題に一定の価値判断をすることである。
    ・「How」は、目的、手段・方法、構造、過程、相互関係を求める問いである。
    ・「Why」は、結果をしめして原因を求める問い、すなわち、因果関係を求める問いである。
    ・評価は、授業との関連で考察していくことが重要である。自ら学ぶ意欲を実現するための授業の評価のためには、「学んだことが役に立つ」「学ぶこと自体が楽しい」と、子どもが実感できる教材と授業構成が必要である。そして、この授業のなかで子どもが自ら学んでいった成果を評価していきたい。
    ・第一は一つの社会事象の追求から世界が見えてくることを実感できることである。
    ・第二は社会をみる概念装置を作りあげることの有効性を認識できることである。
    ・第三は価値選択の場にたって、学んだことを総動員してくることの重要性を実感できることである。
     ミクロな情報、個人の目的的行為、因果関係といったこれまでの学習成果を総動員してこなければ、合理的意志決定をすることはできない。個人的感情による好き嫌いではなく、科学的根拠および具体的資料による価値判断の重要性が実感できれば、自ら学んでいく状況になっていくことができる。
    ・第一に関しては、絶命文や絵を書かせ、それを分析して評価することである。
    ・第二に関しては、学んだ事象間の関係を、子どもがそのように使ったか、という視点からの評価でできる。
    ・第三に関しては、価値判断の根拠に豊かさと意志決定過程の科学性を評価するのである。

  • ベテラン教師が駆け出し教師と違っているところは何か。
    駆け出し教師がベテラン教師へ育っていく過程に必要な授業研究は何か。
    社会科の授業研究について具体的な例をあげながら、教師の側から「授業研究」を考えていく。

  • これも、東京書籍の教科書を使っている先生必携。
    でも、これより、昔にかかれた、絶版になっている本の方が、略案形式とかで実践例が多く載っているので使いやすい。
    ちょっとは面白くなると思います。

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著者プロフィール

旺文社『螢雪時代』アドバイザー
「大学受験ラジオ講座」の講師,編集顧問を歴任。
著書に『大学受験 ココが出る!! 世界史Bノート[三訂版]』『高校とってもやさしい世界史』(旺文社),『世界の歴史 人物事典』『世界の歴史 できごと事典』(集英社)などがある。

「2020年 『大学入試 全レベル問題集 世界史B 2 共通テストレベル 改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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