性の多様性と国語科教育 言葉による見方・考え方を働かせる授業づくり

  • 明治図書出版 (2022年10月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784185264235

感想・レビュー・書評

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  • 「性の多様性」について議論するときに、被害者性/加害者性という枠組みを用いることは、共生社会をつくる上で有効な戦略なのだろうか、という点が、最後まで、疑問として残った。
    もちろん、セクシュアルマイノリティの人々が直面している差別や暴力、ハラスメントの実態を考えるならば、そこには、確かに、加害/被害の枠組みで捉え、問題化しなければならない事象があるのは確かだろう。
    しかし、様な性のグラデーションを持つ人々がともに生きる社会を構想したときに、このような二分法は、逆に、我々の間にボーダー(境界)を作りだし、不要な対立を生み出すことにならないか、と危惧してしまう。

    もちろん、本書で著者が提示しようとしているのは、単純な、加害者/被害者像ではない。むしろ、あらゆる人々に、加害者性と被害者性の両者が存在しており、その両面を立ち上げることが重視されており、その点で、カテゴリーによる対立を回避しているともいえる。

    しかし一人一人のなかの加害者性/被害者性の両面に着目することを前提としたとしても、それでもなお、そこに二分法的な枠組みを持ち込むこと、さらにいえばその関係に「害する/害される」という概念を持ち込むことには、怖さをかんじてしまう。

    本書は、性の多様性をめぐって展開されてきた国内外の教育政策的な議論や、カリキュラム・実践の提案を踏まえつつ、様々な理論からアプローチすることてま、国語科教育とそれらをいかに結びつけうる可能性を見いだそうとしている。
    その努力の結果、見いだされたもののが、加害者性/被害者性という枠組みであるのだとしたら、これらのアプローチのどこかに、共生社会とは相容れない何かが存在していたのかもしれない。その分断の根を見いだし、再検討していくことが、今後に残された課題なのかもしれない。

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