チャイナ・ドリーム 中国夢幻譚 (2)

  • 徳間書店 (1993年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784191252288

感想・レビュー・書評

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  • 中国小説短編集の「チャイナ・ドリーム」ニ巻。
    田中芳樹、狩野あざみ、井上祐美子、赤坂好美、真樹操の五名による六作品収録。
    狩野あざみがニ作品ですね、なんでこんな編集になったのか。
    しかし、2025年になってニ巻を読めるとは望外ですね。古本探した甲斐があったというものです。初版は1993年かあ、30年前とはねぇ。

    狩野あざみ「黄帝の末裔」
    『亜州黄龍伝奇』の過去の出来事。いろんな時代で、黄竜の力を手に入れようとしていた輩はいたはずなので、大なり小なりの事件は起きてきたのだろうな、ということ。荘子の胡蝶の夢を元ネタとして綴られてます。夢と現の境目があやふやな感覚は楽しいけども、それが大概悪夢だったするから自分は困ります。

    井上祐美子「王聡児紅蓮」
    白蓮教の乱前日譚。後に反乱を起こす王聡児と為政者の乾隆帝との出会いと、立場からくる相容れない二人の別れ。違う出会いをしていたら友になれたと思うか、という問いかけをしてしまいそうな雰囲気があります。大のために小を捨てる選択をする乾隆帝と、目の前の苦しみを見捨てられない王聡児。どちらも善で悪である部分を含んでいる二人の生き方、身上は互いに気高く、並び立てないのが悲しい。

    真樹操「烏鷺庵筆記」
    妖狐との奇妙な交流のひと時を描き、その虚実に言及しないけども、存在しなかったはずの歴史の記述を示すことで、妖の存在も確かなものとする試み、なのかな。
    偽書というか、胡散臭い「烏鷺庵筆記」という書物の内容の真実をほのめかす語りだったのか。異種間の交友録として心地よかったです。

    赤坂好美「天馬千里行Ⅱ 金狼姫迷情」
    「チャイナ・ドリーム」で連載形式の玄奘の旅行記。
    立ち寄った高昌国で尊崇を受けた玄奘。彼が再び旅に出るときに、彼の国の姫がお忍びでついてきてしまった、という物語。彼女を助けるために玄奘たち一行が国家間の争いに巻き込まれてゆく、という展開になるのだろうけど、三巻読んだのは20年近く昔なために記憶は薄れているなぁ。
    この物語は、完結したのだろうか。「チャイナ・ドリーム」自体が三巻以降発行されていない様子なので、連載としては未完だったのだと思うけども。軽く調べたところだと別タイトルで李世民と玄奘の物語を書いているので、そちらに昇華したのかもしれない。探すか。

    狩野あざみ「春風の辞」
    二作目の狩野あざみ。こちらは少年期の衛青を描いた短編。予想以上に闊達な印象。朴訥さが衛青のイメージにはあるのだけど、年齢のせいなのかな。好青年であるのは間違いない。少年と青年の端境と想定して読んだので、脳内イメージに引っ張られているかもしれない。文中に表記あったと思うけども。
    衛青と漢の武帝の、若い英雄たちの出会い。お忍び天下人と、それに気づかない後の英雄というのは、あとあとの歴史を踏まえてみたときに、微笑ましくなります。


    田中芳樹「猫鬼」
    隋末の武将・沈光が遭遇した怪異譚。
    軽妙洒脱な沈光の侠気が好きです。ホラーでどろどろの雰囲気なのですが、涼やかな読後であるのは、沈光自身の持つ性質なんでしょう。後日談のエピソードでも、悲しみだけでなく軽やかさがあるのが、人望というものでしょうか。

  • 1993年第一刷、徳間書店の単行本。6編。田中芳樹『猫鬼』唐代宋代の伝奇の翻案なのだろうか。田中の創作でない方がうれしいと思ってしまうのだが。少なくとも伝奇物っぽい風景はでていると思う。狩野あざみ『春風の辞』漢武帝代の話だが、話がすっと入ってこないというか、人物がなんか、なんともいえない感じである。

    掲載作:『黄帝の末裔〈すえ〉』狩野あざみ、『王聡児紅蓮』井上祐美子、『烏鷺庵筆記』真樹操、『金狼姫迷情』赤坂好美、『春風の辞』狩野あざみ、『猫鬼』田中芳樹、

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