日本的中国的 (徳間文庫)

  • 徳間書店 (1983年3月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784195674369

みんなの感想まとめ

日本と中国の文化や歴史の違いを深く掘り下げた内容が魅力的です。三部構成で、第一部では両国の比較が行われ、日本の「血の中華思想」と中国の「文化の中華思想」という視点から、それぞれの特性が浮き彫りにされま...

感想・レビュー・書評

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  • 同著者の日本人と中国人の続編的エッセーとのことなので連続して読破。
    基本的に言いたい事は同じで、日本人と中国人は似て非なる存在、違いを認めるべし、中国の歴史に名を残した人々から見る中国人と日本の歴史に名を残した日本人、及び著作当時の現代日本人の性質を比較している。

    まあでも中国という大きな大陸に住んでいる中国人を一般化できるわけもなく、いわんや歴史上の人物がこういった、ああだったから一般中国人を読み解くというのも乱暴な気がする。少なくとも今の中国を少ししる自分には、違和感のある中国人感が多い。とはいえ、著者の知識量には圧倒されるし、たくさんの興味深い示唆もある。

    解説にかかれている実録アヘン戦争がお勧めというのも気になる。読んでみたいと思う。

    P.14
    中国で人を罵るときに、
    忘八!
    というのが最もひどい言葉である。
    これはときに「王八」とも書くが、八つのモラルを忘れたやつ、つまり「恥知らず」ということなのだ。
    八つのモラルというのは、
    孝、悌、忠、信、礼、儀、廉、恥、
    である。この言葉にタマゴを意味する「蛋」をつけて、
    ー忘八蛋!
    とすれば、もう罵言としては最上級である。

    P.22
    歴史は事実をそのまま記すから、貴重な作業であるが、小説はつくりごとをするので、すこぶる軽んじられ、魯迅が登場するまで、ついに文学の主流にはなれなかった。
    むかしの中国の小説は、二流以下の文人の仕事とされ、その人たちも後ろめたい気持ちで書いたようだ。読む方も、こっそり机の下にかくしたりして、まるでいまの人がポルノを見るような恰好だったらしい。

    P.70
    中国人の心理構造が問題となるとき、かならず取り上げられるのが、あの悪名高い「中華思想」である。しかし、この中華思想というのは、程度の差はあれ、たいていの国の人が持っているのではあるまいか。
    フランス人の中華思想ということをよく耳にする。宇宙はフランス、それもパリを中心にまわっている。フランス語は最高の言葉で、フランス料理よりうまいものはない。またドイツ人にしても、戦前の国家の歌詞にも、
    すべてに超えたわがドイツ、
    とあるように、ちゃんと中華思想をみせている。

    P.72
    『日本人とユダヤ人』をかいたイザヤ・ペンダサンという人は、しきりに「日本教」ということばを使った。日本人はぜんぶ日本教信者だというのだ。今から四五年も前に、孫文の秘書をしていた戴季陶という中国人が『日本論』をかいたが、そのなかで、日本人はみんな「日本きちがい」だ、とのべている。どちらも日本人の中華思想のことを指している。

    P.118
    人称の多様性と、敬語の豊富なこと。ーーこれは相手によって使い分けるためである。とすれば、日本人の関心事は、相手を差別すること、言い換えると、ランクをつけることにあるのではないか?

    P.141(中国人がカタログづくりの天才)
    私は中国人に宗教心がーーすくなくともキリスト教的な宗教心がなかったからだと考えています。非宗教的ですから、すべてを神にゆだねる、という気持ちになれません。人間は人間の力しか頼れない、という考え方です。しぜん、人間の力に尊敬を払い、その業績をのこそうと心掛けます。それがあまり多ければ、せめてカタログでも、ということになるのです。

    P.152
    終戦直後に、『大公報』の記者として来日した王芸生という人の報告紀を読んだことがあります。それによりますと、彼が日本で最も感動したのは、子供の血色がよく、頬っぺたもふっくらして赤みがさしている、という事実だったそうです。終戦直後の食糧難の時代ですから、大人たちはみんな痩せて蒼白い顔をしています。それなのに、子供だけはそろって血色がよろしい。これは日本の親というものは、自分の食べる分量を減らしてでも、子供にはできるだけ食べさせようとするからであります。自分たちはすこしは辛抱してもよい、次の世代に望みを託すのだ、そういう深慮遠謀に、王記者はショックを受けたと書いているのです。
    これが中国でしたら、子供は親にすこしでも多く食べてもらうために、自分の量を減らすケースのほうが多いでしょう。

    P.156
    隠者は、ペシミスティックなムードに包まれている。仙人がなんとなく楽天的な雰囲気をもっているのと、まさに対照的である。遁世の楽天的な行き方が、仙人になろうとすることで、悲観的な方法が隠者になることだともいえよう。仙人はロマンチストな遁世希望者むきのコースであり、隠者はどうしても現実から目を離せない、リアリストの遁世希望者にふさわしいコースなのかもしれない。

    P.176
    日本人は遣唐使の昔から、中国の文物を取り入れてきたのに、そのほうが実用的だとわかると、さっと西欧の文物に切り替えた。ーーそんなことで、中国人の対日本人観のなかには、
    ーー忘恩の徒
    という思いが拭いされない。

  • 三部構成。1部が日本と中国の比較。2部が漢字等の文学のエッセイ。3部が人物についてえのエッセイ。やはり1部の比較論が興味深い。日本は「血の中華思想」。中国は「文化の中華思想」。日本は変わり身が早いが、中国は簡単には変わらない。以上、気になったセンテンス。

  • 日本と中国の違いを身近なとこや歴史なんかも含めてお話ししてくれる。個人的にも中国のことをもっと知る機会を増やした方がよいように思っていたとこなのでよかった。なにせ隣国。2千年も隣同士。

  •  清の乾隆帝が編纂していた『四庫全書』というのが大変なもので、世の中のありとあらゆる良書を集めて清書したという全部で31万2千冊という途方も無いものである。それにつぐ「やや良書」に採録されたのが9万3千6百巻ある。台湾の故宮の宝物として現存するらしい。

     中国人はキリスト的な宗教心がない、神にたよることができない分、人間の力に尊敬を払い、その業績をのこそうと心がけているのだ。

  • 日本と中国の比較論、
    刺身の話等非常に面白くよめた。
    それにしても陳さんってご存命なんですね、御年90歳。
    長生きしてほしいものです。

  • シリーズ2作目、1983年刊ながら、今読んでも違和感を感じない。

    歴史的な背景に照らした比較論。神戸で育った台湾系華僑である
    著者ならではの作。

  • 改めて日中を比較

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著者プロフィール

1924年-2015年。神戸市生まれ。大阪外国語大学印度語部を卒業し、終戦まで同校西南亜細亜語研究所助手を務める。61年、『枯草の根』によって江戸川乱歩賞を受賞し、作家活動に入る。その後、93年、朝日賞、95年には日本芸術院賞を受賞する。主な著書に『青玉獅子香炉』(直木賞)、『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』(日本推理作家協会賞)、『実録アヘン戦争』(毎日出版文化賞)、『敦煌の旅』(大佛次郎賞)、『茶事遍路』(読売文学賞)、『諸葛孔明』(吉川英治文学賞)、『中国の歴史』(全15巻)などがある。

「2018年 『方壺園 ミステリ短篇傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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