イル&クラムジー物語 (徳間文庫 お 16-3)

著者 :
  • 徳間書店
3.30
  • (1)
  • (1)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 25
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784195876312

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 舞台は銀河の辺境。とあるゲーム会社が所有するとある惑星、となっている。
    イル&クラムジーものの長編である本作は、ここで運ぶべき乗客をピックアップしなければならないふたりが、否応もなくゲームに参加する事になり……という仕掛け。
    賭け事やゲーム、駆け引きが大好きなクラムジーは「階級」というそのゲームで、最下級の「草」から開始する事になるが、たちまちシステムを把握してしまい、あれよあれよというまに階級をスキップしていく。
    けれども悩み多きイルはなかなかそうはいかない。
    実はこのゲームは、「いかに他人のために思いやりをみせられるか」が昇級のポイントとなっている。このシステムに、イルは愛情を試されてしまうのだが、ストレートな恋愛などできっこないイルは紆余曲折の迷路にはまってしまう。
    つまり、これはSFという体裁をとりながら、実のところ本格的な恋愛小説なのだ。

  • 前作の『銀河郵便~』は短編集だったので、小気味よくどの話でもイルとクラムジーの活躍が読めるが、これは一冊丸ごとリーサックと言う惑星で行われる「階級(クラス)」と言うゲームに強制参加することになった二人の話で、序盤早々にクラムジーとイルはゲーム参加の仕方が分かれてしまい、イルの視点で書かれるので(一応、主人公はイルだ・笑)クラムジーとはいつ合流できるんだ!!と言う焦らされ感がある。あるが、その間、イルがひたすら「クラムジー、どこだぁ!!」と右往左往している様が見れて楽しい(笑)。
    読み終えて見ると、全編が一個のRPGのようで、プレイヤーであるイルやクラムジーがいて、どう言う結末でゲームを終了できるかを自分がプレイヤーになって参加している気分になる。中に登場する「シグナル」と言うカードゲームなども、やってみたくなるほどに面白い。
    クラムジーは再生可能な肉体を持つが故に自分の体を無造作にバラバラにして行くのだが、それを後追いするイルは、クラムジーと言うアンドロイドの一体どこにこんなに惹かれているのか、と自問自答、七転八倒する。どんな人間よりも美しい人工体を持つから惹かれているのか、機械であるはずのクラムジーの心(コンピューターのデータ?)に惹かれているのか、一と言う姿に似せたものに幻想を見ているのか、など、自分の気持ちの根底を疑い、のたうちまわる。その様は、人間として生まれて恐らく環境に寄って植え付けられた固定観念と闘っているようで、やはりBLの「何故同性を愛してしまうのか」に強く結び付いている。
    「だいじょうぶ?」クラムジーが静かにおれの右手首を握りしめる。すると男(ヴィーナス)がものすごい目でそれを睨みつけたので、クラムジーはしかたなく男(ヴィーナス)の左手首も握った。ほんとに、どこまでも愛想をふりまくヤツだ。…昨夜クラムジーらしさに興奮した一下り(笑)

  • 借本。
    物語もいいけど、キャラに惹かれる。
    キャラ萌えで読んだような一冊。
    出来ればデュアル文庫の方を借りたかった〜

全3件中 1 - 3件を表示

大原まり子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×