極楽迄ハ何哩 (徳間文庫)

  • 徳間書店 (1987年4月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784195982686

感想・レビュー・書評

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  • 若い頃の橋本治

  • 1970年代末頃に書かれた著者のエッセイをまとめた本です。

    中森明夫が「解説」の筆を取っているというのも時代を感じさせますが、そこで中森は、「80年安保」についての意見が橋本と一致したというエピソードを紹介しています。中森は、「80年初頭、物質的豊穣さと精神的寂漠さの間で現実の理性の抑圧をすり抜け感性のプレイグラウンドで遊ぶ一群の少年少女たち」が築いた、「不可視の感性のバリケード」ということばによって、そのことを表現しています。

    たとえば著者は、なぜ『現代詩手帖』や『現代思想』、『ユリイカ』といった雑誌で「特集・杉良太郎」という企画がおこなわれないのか、という問いを立てて見せます。そこには「日本のインテリにはエンターテインメントというのが分らない」という批判が含まれています。そしてこうした観点は、知人の部屋の本棚にかならず高橋和巳の『わが解体』と吉本隆明の『共同幻想論』があった、と語る中森の述懐とかさなってきます。

    ただその一方でわたくし自身は、自意識への沈潜を通して問題に到達しようとするインテリへの対抗言説として「大衆の原像」という考えかたがあった時代と、現代とのへだたりをも感じてしまいました。もはやそうした「インテリ」が役割をうしない、「大衆」の矜持が溶解してしまったいま、橋本治という人物に、輝かしくも「時代から浮いている」という印象をいだいてしまう読者は、すくなくないはずです。「極楽までは何マイル?」とため息混じりに聞きたいのは、われわれ読者のほうではないかという気がします。

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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