荊冠の耀き (徳間文庫)

  • 徳間書店 (1991年2月15日発売)
3.20
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784195992586

みんなの感想まとめ

独特の構成と雰囲気が魅力の短編集で、思わせぶりな事件が次々と展開される中、予想外の結末が待ち受けています。特に表題作では、一般的な短編の枠を超えた形で、破局が唐突に訪れる様子が印象的です。無理にオチを...

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに赤江瀑を読んだ。無駄のない文章、目の前に景色が浮かぶ様は流石。

  • 思わせぶりな事件が続くものの、それらとは全く無関係な破局が唐突に訪れる表題作に代表されるように、伏線を張って結末で落とすような、一般的な短編小説の結構を無視したような作が多く、その壊れ方が小気味よい。無理矢理にオチを付けたような作が並ぶのだが、それが荒になっていないのが不思議。

  • 『四月に眠れ』のための再読。
    桜の森の満開の下の底知れぬ恐ろしさ。そこには此岸と彼岸の境がある。孤独が埋まっている。もし、さりさりとはりはりと薄い紙片を破いているような空音を耳にしても振り返ってはいけない。背後ではうつつが剥がれ花弁とともに舞っているから。

     四月
     ここが入口
     ここが出口
     消えるなよ
     おれが通りぬけるまで

    ここには誰もいない。ただ花が咲くばかり。ただ花が咲くばかり。
    その静寂。その幽黙。
    妖美の呪縛。刹那の魔性。
    やわらかな意識の画布は裂かれて二枚。明日の顔を見ることもなくひとりあなたは春に旅立つ。

  •  凄絶に甘く切なく悲しく、胸の痛む作品揃いの赤江作品でも、この文庫巻末所収の「四月に眠れ」は毒薬レベルの過激さだ。語り口は静かだが、読むうちに同調して自分の死に場所を今日中に決めよう...と通勤電車の中で思いはじめてつらかった。全文章が一塊なので抜き書きもできない。

     「その老いぼれた全身は、百本近い花におおわれ、頭はさながらカーネーションだのアネモネだのヒヤシンスだのチューリップだの春の生花を撒き散らした花弁の群れに飾られて、燦爛たる冠のように多彩な色にあふれていた。」(鏡の中空 P197)

     ※死因それか系。

    「金木犀は、実に多様に、多彩に、複雑に、彼の痴戯にとり込まれ、活用され、篤典の裸体のいたるところで、その花の姿を変え、押しつぶされ、花汁を流し、撒き散らされ、挿し込まれ、活け花のように思いもかけないところで咲いて、芳香を放っていた。…」(午睡の庭 P78)

     ※そんなことに使うなんて赤江作品に出てくる美青年しかしない系。

    ※表題作のBGMは個人の好みでココナッツボーイズのアルバム「Boy’s Life」です。もうそれしか考えられない!青年たちが若さに任せて海辺で戯れて...話。

    2015/10/07

  • 所収の短編「四月に眠れ」

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著者プロフィール

1933年下関生。日本大学芸術学部中退。70年「ニジンスキーの手」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。74年『オイディプスの刃』で角川小説賞、84年『海峡』『八雲が殺した』で泉鏡花文学賞。2012年没。

「2019年 『オイディプスの刃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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