おろしや国酔夢譚 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784195993583

作品紹介・あらすじ

1782年、船頭大黒屋光太夫ら17人の男と、廻米・木綿等を積んだ神昌丸は、伊勢から江戸へ向かった。狂騰する波涛に弄ばれ、8カ月後、彼らが流れ着いたのは、北の果て、アムチトカ島だった。望郷の思いに、ひたすら故国への途を求め、彼らは極寒のロシアを転々とし、終にはペテルブルグへ。出帆から、10年近い歳月が流れていた-。鎖国の世、異国へ渡った男たちのロマン溢れる冒険譚。大映映画化。

感想・レビュー・書評

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  • 鎖国の時代に船で伊勢から江戸に向かう途中で漂流してたどり着いたのは、ロシアの島であった。漂流民を保護するとは当時では画期的な政策があったのだと思う。それから帰国が実現したが、光太夫たちの扱いは酷いものでした。
    しかし、この漂流した経験の記録が残っているのは気になるところです。

  • 江戸末期の日本の船乗り
    大黒屋光太夫(だいこくやこうだゆう)と
    船乗り達のロシヤ漂流記。

    時代背景、ニッポンは鎖国まっただ中的な。
    ロシヤは対トルコと戦争したり。
    エカテリーナ2世治世的な頃。ロマノフ皇朝。

    (エリザベータ女帝・エカテリーナ女帝・アナスタシア皇女が有名なので、
    そのへんしか知りません…ロマノフ家はいろんな物語が出ているので色々読んでみたい…)

    学校の歴史の教科は不得手だったのですが
    今になっていろんな小説を読むと
    ばらけていた知識(わずかな)が繋がって行く感じで
    頭に入りやすいものなんだなーと思う。

    光太夫一行の波乱と苦難に満ちた暮らし。
    文化も言葉も違う人々との交流と友情の芽生え。
    当時のロシアの法律で、漂流民を保護する政策は
    現代以上に画期的で未来的と思う。優しい。

    光太夫がロシアの友人達に「コーダイユ」と
    呼ばれていたのも、なんだか暖かみが有る。
    映画も借りて見たけど文章の方がやはり良い。

    悲しいのは、帰国後の彼らの扱い…
    日本人はほぼ単一民族国家の時代が長かったけど
    古きに甘えず、国籍や民族の偏見を乗り越え
    新しい世界観を持つるべきでは?
    もう鎖国は無いし、井の中の蛙にならぬ様…
    現代の我々は古い物語を読み、戒めるべきかも。

  • やはり、側にいる人は、明るくて前向きな人がいい…のだなと思った。

  • この物語を読むと、自分に降りかかる問題など取るに足らないことだと思い知らされる。頑張る気力が湧いてくる。

  • 酔夢譚、酔って見るような夢物語。
    船が難破してロシアに漂流し、苦労して帰国するのに、なぜ酔夢譚?
    と思ったが、時代背景を考えつつ、最後にやっと納得出来た…
    おろしや国での酔夢譚は、非常に興味深く読めたが、帰国後の現実はあんまりだった…

  • 江戸時代に漂流してロシアに渡った大国屋光太夫とその仲間。
    過酷な島での生活、シベリアの厳寒な環境での旅、女帝との謁見など、壮大なドラマ。当時の日本とロシアの違いを身をもって体験したが、その経験は帰国を切望した日本であまり生かされることはなかった。鎖国という状況下では仕方ないことではあるが。

  • 00.2.20

  • 江戸末期にロシアのカムチャッカ沖に漂流し,帰国に向けた交渉のため,9年間ロシアで過ごし,
    帰ってきた大国屋光太夫の話。
    ほぼ,紀行風に記され,当時のロシアの気候,風景等の描写が主となる。
    9年間帰国を望んだ光太夫だったが,帰国がかなうと,なぜか物悲しく,また,拍子抜けのようになったようである。
    それのそのはず,ロシアでの体験や,ロシアでの遇されようは,日本人が少ない中である種ちやほやされたであろうし,特別視されたはずで,帰国すると,幕府から見ればただの漁師であり,逆に,鎖国の中,他国を廻ってきた危険分子とみなされたようで,光太夫の落ち込みようも理解できる。
    結局,帰国後は伊勢の国を再び踏むことも赦されず,軟禁状態で生を全うしたようである。

  • 事実は小説より奇なリ。光太夫の強さには頭が下がります。しかし、日本へ帰って来てからが・・・

  • あんなに日本への帰国を渇望していたというのに、帰ってきたら日本に違和感を感じたというところが印象的だった。「日本で生活していくならば決して見てはいけないものを見てきてしまった」という光太夫の述懐が生きて返ってきた漂流民の複雑な心境をよく表していた。

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著者プロフィール

井上 靖(いのうえ やすし)
1907年5月6日 - 1991年1月29日
北海道旭川で生まれ、天城湯ヶ島、三島・沼津で18歳まで過ごす。その時代までのことは『しろばんば』をはじめとした「自伝的小説三部作」に詳しい。金沢の第四高等学校(現・金沢大学)で詩作を始め、京都帝国大学を卒業後大阪毎日新聞社に入社。
小説『闘牛』で第22回芥川賞受賞、文壇へは1950年デビュー。現代小説、歴史小説、エッセイ、自伝的小説、シルクロード西域関連の作品、詩集など創作範囲は多岐に及ぶ。主な代表作に、『風林火山』『氷壁』『天平の甍』『おろしや国酔夢譚』などがある。
1964年日本芸術院会員に。同年『風濤』で第15回読売文学賞、1980年菊池寛賞、1985年朝日賞などをそれぞれ受賞。1976年には文化勲章も受章しており、多数の受賞歴がある。

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