- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784196695103
感想・レビュー・書評
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宮崎駿さんがチベット民話をもとに描いた絵物語。
ご本人があとがきで地味と表現されるように明るく楽しいとは言いがたいですが、最後はハッピーエンドで良かった。
神人の土地の風景がこの後に発表される「天空の城ラピュタ」に似ていて、この作品から影響されたのかなぁ、と思いました^_^詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コミック類はこの本棚には入れないことにしているが、前述した「犬になった王子」が元になった話ということで特別扱いにする。
カテゴリーはとりあえず児童書で。読まれた方はどうぞご容赦を。
宮崎駿さんによる後書きを読むと『十数年前、はじめて読んで以来、この民話のアニメーション化がひとつの夢だったのですが、現在の日本の状況では、こんな地味な企画は通るはずもありません・・』
とあって、軽い衝撃を受けた。
私自身は、なんとドラマティックなお話だろうと感動しつつ読んだからだ。
それとも、もしかしたら私たちは、殺戮の場面や暴力的なシーンがないともう物足りないまでに鈍化しているのだろうか。
素朴で、土のにおいのする力強い話にはもう魅力を感じないのだろうか。
この「シュナの旅」の後半は、元になったと言うチベット民話とは大きく異なる。
「神人」という存在が登場し、人買いから集めた人間たちを麦に変えてしまうのだ。
かなりぞっとする設定で、旅の途中で人買いから救った少女・テアとの関わりがわずかな希望である。
それも、互いにギリギリの命の選択であり、チベット民話に描かれたような、純愛を貫くというものでもない。
読みすすめていると、身体が痛くなってくるような感覚がある。
何もここまで登場人物を痛めつけなくてもとさえ思う。
「シュナの旅」を先に読んだ場合は、こんな感想ではなかったかもしれない。
絵は相変わらず美しく、ナレーションのように文字が入り、文を絵が補い、絵を文章が補うという、とても良い配分。
吾郎監督の「ゲド戦記」の原案になったと言うのも頷ける。
色々な場面が「ナウシカ」のようでもあり、「ラピュタ」のようでもあり、「もののけ姫」の「シシ神様」を彷彿とさせるような「ヤックル」という家畜も登場する。
もっとも、こちらはもっとずっと身近にいて、人間を助けてくれる存在だが。
背景色とのミスマッチで、ところどころ文字が見にくいのが惜しい。
宮崎アニメファンの方は、ぜひ元になったと言うチベット民話もおすすめです。 -
行き倒れの旅人から
「人々の飢えを除く黄金の穀物が実る
豊饒の地が西の果てにある。」
と、耳寄りな話を聞いた
貧しい国の王子『シュナ』は
相棒『ヤックル』と共に
旅へ出る決意をする。
生きる為の糧を求め
住み慣れた地を去る…
と、言うのが
もしかすると
本来の正しい旅の目的なのかもしれない。
過酷な『シュナ』の旅には
観光も娯楽もなかったが(当然…)
干からびた地にしがみつき
死を待つだけの日々を無為に過ごす事を快しとしなかった若者に
天は一体何を与えたか。
「この民話のアニメーション化が僕の夢だった。」
と、語るアニメーション作家宮崎駿。
元になっているチベットの民話は優しい童話だが、
彼は、物語の根っこに絡んでいた「大人にこそ向き合って欲しい金ピカの種子」をみつけていたんだな、と感じた。 -
80年代から90年代のジブリの欠片が落ちている物語!
漫画かなぁと思って買ってみたらオールカラーの絵物語!
チベットの民話が基になっているようで、宮崎駿さん本人が言うように地味な物語かもしれませんが、私の心を揺さぶる何かがありました。
ジブリが好きな疲れたサラリーマンの方々に読んで欲しいと思います。
→30分くらいで読み終わります!
古い谷の小さな王国は大地に恵まれず、わずかな実りしかありませんでしたが、人々はささやかな収穫に感謝しながら暮らしていました。
主人公のシュナは、ある日国の近くで異国の者が倒れているのを発見します
旅人は見た事のない穀物をシュナに託し息絶えるのでした。
シュナの、国を豊かにする穀物の種を探す旅が今始まる!!!
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宮崎駿による、チベット民話「犬になった王子」のアレンジ。
谷あいの小さな王国。
土地はやせ、作物は多くは育たない。
家畜のヤックルは飢え、子もあまり産まない。
人々はささやかな収穫に感謝して生き、擦り切れるまで働いて死んでいく。
この地の王子、シュナは、厳しい暮らしを送らざるを得ない人々の姿に心を痛めていた。
ある日、シュナは、旅の途上で死にかけている老人から、遠い地に、人々を飢えから救う穀物があると聞く。老人が持っていた実はずっしりと大きく重かった。だがそれは芽を出す能力のない種。かの地には金色に輝く種があり、豊饒な実りが大地を覆っているという。老人は長いことその地を探していたが、ついに見つけることができなかった。
シュナは人々を救うため、その地を目指して旅に出ることにする。
チベット民話に着想を得たものだが、世界観は宮崎の「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」を彷彿とさせる(若干「天空の城ラピュタ」も)。宮崎の作品ではないが、「進撃の巨人」の設定なども少々思い出させる。
過去の世界であるようでもあるが、武器の類はそれなりに発達している。あるいは文明が一度滅んだ世界であるのかもしれない。
かつては人間も金色の種を持っていたが、今では神人(しんじん)しかそれを持たない。人は人間を神人に売り、その代わり、神人から死んだ実を分けてもらうのだという。
だが金色の種自体を手に入れたものはいなかった。神人は人がその地に入るのを嫌い、訪れた人間は戻っては来なかったのだ。
シュナは旅の途上で美しく誇り高い少女、テアに会う。テアは小さい妹と奴隷にされていた。2人を救い出したシュナは、神人の地へと向かう。
果たしてシュナは金色の種を手に入れることができるのだろうか。
原話とは異なり、シュナは犬にされることはない。
また、原話通りであれば、シュナは故郷に帰りつくはずなのだが、本作では旅の途上で物語は幕を閉じる。
おそらくこの先に、「金色の野」が広がる未来があるはずなのだが、物語の終わりは大団円ではなく、どこか不安と希望が混じる着地である。生きていくということはそういうことなのかもしれないが。
1983年、初版時の宮崎のあとがきが添えられる。物語の背景とともに、当時のアニメーション業界の空気などもうかがわせてなかなか興味深い。
*フルカラーで絵も美しいのですが、何分、文庫サイズで版が小さいのが残念。語りの文が黒・白・青などで絵の上に配されているのですが、分量がそれなりにあるので細かい(^^;)。特に青や白の字だと老眼にはキツいですw -
『シュナの旅』(『シュナの旅』は、スタジオジブリのアニメ映画「ゲド戦記」の原案になった事でも有名です。)は15歳の時に読んで以来、私の最も大切な作品になっています。今までに私の作品制作にも大きな影響を与えて来ました。宮崎 駿氏のスケールの大きな空想力が遺憾なく発揮されています。
『シュナの旅』の原話は、「犬になった王子」(君島久子 文、岩波書店 民話集「白いりゅう黒いりゅう」所収)ですが、2013年11月15日に絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)が出版されました。文は君島久子先生で、絵は私が日本画で丹念に描きました。『シュナの旅』と『犬になった王子 チベットの民話』を見比べると、その共通点と相違点が面白いでしょう。
日本画家・絵本画家 後藤 仁
●それぞれの関係を図解するとこうなります。
「犬になった王子」(民話集『白いりゅう 黒いりゅう』〔訳:君島久子〕所収 岩波書店 1964年) →(影響)→ 「シュナの旅」(作:宮崎 駿 徳間書店 1983年) →(影響)→ 「アニメ映画 ゲド戦記」(スタジオジブリ 2006年)
「犬になった王子」(民話集『白いりゅう 黒いりゅう』〔訳:君島久子〕所収 岩波書店 1964年) →(絵本化)→ 絵本『犬になった王子 チベットの民話』(文:君島久子、絵:後藤 仁 岩波書店 2013年11月15日) -
一度読んだだけでは
意味がわかりません。
でも 何度も読み返していくうちに
あぁ そうなんだって色んな事に気付かされます
今の現代社会にも通じる事あるんじゃないか?って
思います。
漫画だけど やっぱりジブリは素晴らしい -
ナウシカの原作を読んだら
こっちも気になって読んでみた。
宮崎駿の絵はやはり見ていて
迫力があるのに落ち着く。
セリフはあまりなくて
文章自体も少なめ。
ストーリーも主人公のシュナが
1人のシーンが多いから
アニメには向かなかったのかも。
でもマンガと絵本の中間のような
手法をとっているから
物語に入り込むことができた。
ヤックルも出てくるし
どこか『もののけ姫』を
思い起こさせる要素が多かった。
これも間違いなく名作。 -
宮崎駿の原点
だと、個人的には思います。
何年かおきに読んでいますが
その度に、深い感銘を覚えます。 -
宮崎駿の漫画。チベットの民話がベースになっている。雑誌アニメージュにナウシカの原作漫画を連載していたのと同時期の作品だが、ナウシカがこの民話に着想を得て作られたものだということがよくわかるし、もののけ姫やラピュタに通じる描写もある。
著者プロフィール
宮崎駿の作品





