- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784198505592
感想・レビュー・書評
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読む手が止まらない。
毎度引き込まれて一気読みしてしまう!
とことん推理小説に拘る著者が、今回はどんなミステリーを描くのかが楽しみでたまらない。
ゴシック・ホラーか本格ミステリーか…。
どちらとも判断がつかないまぜこぜ感がほんと好き♡
既読の「誰のための綾織」にも出てきた人物が出てくる。
出版はこちらの方が先だ。
美術館開館日の前日、画家の館に泊まり込みのパーティに招待される。
次の朝、廊下には何かを引き摺ったような跡が。
その跡は、血だった。
たどって行くと、美術館の展示室。
ドアを開けると、死体の山が展示されていた……。
どの人物も怪しく、動機もあり、キャラも濃い…。
胸糞男と胸糞女の応酬。
そこがまたいい。
必ず、どこか影のある少女がひとりは出てくる。
拘りかな。
聖書の引用で、イエスが捕まった時のエピソードを初めて知った。
「ユダヤの習慣では(過越の祭)の際、囚人を1人許す。この時は、イエスの他にバラバという男が捕まっていた。バラバは反逆と殺人を犯した極悪人。ローマ総督ピラトは群集に問う。「どちらを許すか。バラバかキリストか」すると、民衆は口々に答えた。「バラバを赦せ。バラバの方を」と……。そしてイエスは十字架に磔にされた」(本文より)
飛鳥部作品の特徴に、序盤に犯人は誰かの匂わせエピソードがある。
そこを注意して読み進め、ここぞという箇所に付箋を貼る。
そして、的中する。
最初こそ見落としがちだが、重要な伏線。
だが、そこを読んでいる時の情報では証拠が少なく、到底犯人だとは証明できない。
聖書の引用と美術作品と歴史と…。
精神が壊れてゆく様子を描く描写もたまらない。
それでいてミステリーであるという所がとても良い。
突然くるウケ狙いなのか本気なのか…映画のような格闘シーンも笑った。
クセになる読みごごち。
次は「N・Aの扉」を読む!
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読了。
とち狂ってるね。 -
ミステリ。芸術。ホラー。
お馴染みの絵画ミステリ。
登場人物ほぼ全員が狂ってますね。その狂いっぷりが魅力でもある。
一章の破天荒な展開、二章の佐井さんのキャラクターなど、個人的には見所が多く、非常に楽しめた。
定期的に読みたくなる、飛鳥部さんの不思議な魅力が詰まった作品でした。 -
登場人物が皆ぶっ壊れているのは相変わらず。
好きな人には堪りませんね。
なにやら含みのある人々が屋敷に招かれ、夜のうちに殺されていくといった展開は本格ミステリではありがちなものですが、序盤で殆どの人物が腹に抱える「殺意」が書かれたり、「犯人」の視点で進む箇所があったりと、なにやら不穏な空気が終始漂っているのが作者らしいところです。
終盤で展開される推理は、細かい手がかりを糧にして良くできていると思いますがインパクトはありません。
しかし、読み終わってみると序盤での構成がよく考えられたものだったとわかり、評価が上がりました。 -
見事な狂いっぷりが素晴らしい
構成の上手さと異様な見立て殺人とが相まって雰囲気がとてもよかった
ただ、図像を持ち出すには面白いのだけれど、ちょっと弱いかな..
それでも読み応えがあり
なんならもっと狂わせてもいいのよと..
満足 -
ドッカンドッカン人が死んでいくお話。読んでいる途中で正直ミステリ的な興味は失せてしまったけれど、散々引っ張っていた結末が気になってひと息で読了。……あんな事になるなんて思ってもみなかった。まさに予測不可能の展開です。
飛鳥部勝則の作品





