黄泉路の犬 南方署強行犯係 (トクマ・ノベルズ)

  • 徳間書店 (2005年9月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198506766

みんなの感想まとめ

動物愛護と人間の関係を深く掘り下げた物語が展開されます。警察の強行犯係に配属された新米刑事が、強盗事件を発端に、動物を抱え込む「アニマル・ホーダー」の問題に直面します。物語は、事件の解決を追いながら、...

感想・レビュー・書評

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  • 近藤史恵さんが、
    繰り返し取り上げておられるテーマ。
    同じテーマでも、
    違う物語に仕上げてこられるのは筆力の賜物なのか、ありふれた事象であるからなのか。

    以前よりは改善されてきているそうだけど、
    辛い思いをしている動物は後を絶たない。
    心を痛めないわけではもちろんないが、
    手を差し出し続ける根性がない事は自覚しているから、見ないふり、線引きをし続ける自分が語る資格はないと思ってる。
    動物以前に人間を救って欲しいとも思う。
    ごめんなさい。

  • 東中島で強盗傷害事件が発生した。帰宅した姉妹の妹を切りつけ犯人は逃走。被害は現金2万円と、姉妹が可愛がっていたチワワ1匹。ありふれたこの事件は山積みの未解決事件といっしょに後回しにされた。そして、2ヶ月後、思わぬところから顔を出したのだった。



    クールで変わり者の女刑事と動物好きの若手刑事。盗まれたチワワらしき犬の情報をもとに一軒の家を訪ねてみると、首つり死体の女性とおびただしい犬猫の屍骸。生きているものもひどい有様で・・まさに地獄絵図のよう。

    処分される動物の話はよく聞きますよね。それと同時に犬屋敷と呼ばれるような数の動物を飼って近所とトラブルになるろうなケースの話も。この本を読んで『アニマル・ホーダー』という名を知りました。アニマル・コレクターともいわれ、動物を収集し抱え込もうとする人で、心の病のひとつだそうです。もちろん色々なケースがあるでしょうが、目の前の命を助けたくて手を差し伸べているうちに限界を超えてしまってもなお、見捨てることができなくなる人も。当然金銭的にも時間や精神的にもそうとうの負担がかかることなので、結局世話がいきとどかず却って動物たちを苦しめる結果になることも・・・でも、個人だけの問題ではなく、安易に飼って捨てる人、わざとそんな人のところに捨てていく人さえ。
    後書で著者が書いていますが、「なによりも胸が痛むのは、そんな風に動物たちが殺されるのは、動物が嫌いな人たちのせいではなく、動物が好きと考えている人たちのせい」だと。元々嫌いな人は飼いませんものね。大多数の方はきちんと愛情を持って飼われてるとは思うんですが。ペットが『産業』や『ブーム』などと呼ばれることも問題でしょうね。商業ベースの繁殖や、品種改良されもはや人に飼われなくては生きていけない種となってしまっています。元が人のエゴならば、せめて最後までそのエゴの責任を果たすべきです、自分も含め。

  • 近藤史恵に「南方署強行犯係シリーズ」というものがあるらしい。本書を読んで初めて知った。もっとも現時点では本書と『狼の寓話』の二作だけなので、シリーズと呼ぶには少し大げさな気もする。

    さて、警察の強行犯係といえば、扱うのは殺人、強盗、誘拐、放火といった凶悪事件である。となれば、殺伐としたハードボイルド調の物語を思い浮かべるのが普通だろう。しかし読み始めてすぐ、その予想は裏切られる。

    まず主人公である新米刑事の名前が會川圭司。どこまで本気なのかと思わせるような、どこか肩の力が抜けた人物である。とはいえ、れっきとした警察ミステリーだ。事件は起こり、死人も出る。当初は自殺として処理されそうになった死が、実は殺人ではないかという疑いを帯びてくる。

    その謎を解き明かしていくのが、圭司の先輩で教育係の黒沼である。美人で頭が切れ、しかも冷徹。新米刑事にとってはこれ以上ない頼もしい指導役だろう。

    物語はやがて動物愛護の問題へと広がっていく。そこで登場するのが「アニマルホーダー」と呼ばれる人々である。自分の飼育能力をはるかに超える数の動物を抱え込み、手放すことができない人たちのことだ。

    問題は単なる多頭飼育ではない。適切な餌や衛生管理、医療を施せない状態に陥っていても、本人はそれを虐待だと自覚できない点にある。動物を愛しているつもりが、結果として苦しめてしまうという矛盾だ。

    ミステリーとしての事件の行方もさることながら、本書の読みどころはこの社会問題の描き方にある。人と動物の関係の歪みが、静かにしかし確かに物語の底に流れているのである。

  • チワワの連れ去り事件、アニマル・ホーダーの殺人事件の解決までを南方強行犯係會川圭司の目線で書いてあります。

    多頭飼育崩壊の現状など目を覆いたくなる部分もありますが、これが現状なんだろうなとは思います。

    本文では、単に犬猫が登場する小説のようにもおもわれますが、あとがきでは作者の動物愛がしっかり書かれています。

    この本はシリーズ第2作のようですが、前作に犬が登場するなら読んでみたいと思います。

  • 一点だけ設定が途中で矛盾していたのがちょっと混乱した。

    (当初、行方不明のチワワらしき犬を拾った人がいて、そこから亡くなった人に繋がった筈なのに、途中から亡くなった人が直接チワワを拾ったような描写になってる)、文庫版もあるみたいだから訂正されてるかな?同じ作家さんの『最後の毛布』にも通じる、日本のペット事情をテーマにしたミステリ。
    犬猫好きにはかなり辛い描写もあるけれど、丁寧に描かれていてページをめくる手が止まらない。
    結末にはまんまと驚いてしまった。

  • 題材は興味あるが、キャラクターに感情移入できない。動物を飼う難しさがよく分かる。

  • 「黄泉路の犬」の題名に込められた想いが、難しく分からない。

  • ペットの現実。悲しすぎる。何とかならないだろうか。。

  • 南方署強行犯シリーズ2弾。圭司がここに配属されてから既に三ヶ月、珍しいことに南方署は暇だった。同僚の黒岩から、文庫本を使ったオイチョ博戯で負けと言われ四人分のジュースを買いに行かされ、ヘタレからパシリにされてしまう。そんなときに事件は起こった。東中島で強盗が入り可愛がっていたチワワも取られたという。捜査を開始するが事件は二ケ月後、思わぬところから顔を出す…。今回のテーマは動物が愛玩動物として販売された後の捨てられた動物を保護する動物愛護から行きつく「アニマルホーダー」という過剰多頭飼育の実態。

    「チワワ」の捜索から、行きついた人物は捨てられた犬猫を引き取り世話をしていたが、自殺として発見されるが、そこには、ペットショップ・ブリーダー(蓄犬業者)から安易に動物好き・可愛いというユーザーが飼い始めたペットが、自分と同じ生命を持っていると考えず、身勝手な都合で遺棄処分、保護されても保健所等の税金でほとんどが抹殺処理されているという、闇の部分があった。アニマルホーダー(動物の過剰多頭飼育者)という言葉をこの作品から知りました。

    動物と生活を共にしている読者には、読み進めるのに辛い情景が有る作品でしたが、圭司が拾ってきた猫・黒岩の姉の子とのふれあいがほんのりとした温かみの有る作品として描かれ読後感の良いミステリ作品でした。続巻が出ていないのが残念です。

  • 警察小説、というよりは犬の話のウエイトが多い。

  • 「狼の寓話」の続編で、南方署強行犯係シリーズ。黒岩&圭司コンビ再登場です。

    マンションで強盗事件が発生。犯人は姉妹を脅して数万円と、そして飼い犬のチワワを奪って逃走した。しかし犯人は捕まらず、チワワも見つからない。その2ヵ月後、黒岩のアドヴァイスを受けネットに迷い犬の書き込みをしたところある女性から連絡がきた、と被害者の妹の方が南方署を訪れた。黒岩たちは捜査担当ではなかったが女性の話を聞いてみると、保護した後に飼い主と名乗り出た人物に渡してしまったと言う。黒岩たちはその人物=轟木有美に辿り着き、自宅を訪問してみたのだが家からは相当数の犬のひどい吠え声が聞こえ応答は無い。踏み込んだ黒岩と圭司の目の前には、糞尿にまみれた狭い部屋の中に十数の怯え、衰弱した動物たち、食い散らかされた死骸。…そこには地獄が広がっていた。そしてその窓際に、轟木有美の死体がぶらさがっていた。
    自殺という推測の中に潜む違和感。そして見つからないチワワの痕跡、行方。本当に轟木有美は自殺したのか…?
    近藤史恵の警察小説、第2弾です。

    アニマル・ホーダーという心的病が今回のキーワード。この言葉自体は知らなくても、なんとなく理解できる人は多いんじゃないでしょうか。詳しくは内容に関わるので書けませんが、「人間のエゴ」と言い切るにはあまりにもツライ、けれど「優しいから」などと軽々しく擁護することも出来ない。悲しい心の病ですね…。何より動物のことを考えると…。
    犬猫その他動物が好きな人には、そして飼ってる(た)人には結構つらく重々しい内容ですが、でも知っていて欲しいことでもあります。愛情には責任も伴うということを。
    黒岩の家族についての話が、事件とはまったく関係してないながらも本筋を深く深く心に刻み込んでいくような気がします。そして少し救われる気持ちになりますね。…正直、人間であることへの絶望感に苛まされたんですが、ラストで「捨てたモンじゃない」と思えます。いつもクールな黒岩女史が雄哉クンのことで悩み戸惑い、そして愛おしいと感じる姿はとても素敵なのです。

  • [2012.02.21]

  • さらっとしていて読みやすかった。
    ペットが簡単に飼える現在の問題を問うている。
    興味深く読んだ。
    面白さを言えば、星4、私の好みとしては、3かな?

  • 電車の中で読んでいたのに、遺体発見の場面で泣きそうになってしまった。
    何より心に響いたのは、あとがき。動物を飼うということは結局人のエゴでしかなくて、人が人のためにつくったいきものであるのならば、それがまっとうな一生を遂げられるように尽力することが、ひいては何かのために生きるということでもあるのだ、きっと。

    愛情というものの怖さを、その幸福の意味を、きちんと伝えようとするからこのひとの物語が好き。
    人がどうしようもなくエゴイスティックな存在であるとしても、それを内包して前を見据える力強さをも示してくれるから。

  • 動物が好きな私には、ちょっとつらい話でした。
    こういう、依存症(病気)があるのも初めて知った。

    「しゃべれないから、都合よく解釈する」
    そうかもしれない。
    そうならないように、肝に銘じていこうと思う。

  • 南方署強行犯係シリーズ2作目。
    読みやすさと、細やかに心情が描かれている特長は相変わらず。捨てられる犬猫の現状がテーマ。

  • 久し振りに近藤 史恵さんの本を読みました。サラサラ読めて相変わらず好きですが、表紙だけはなんとかならないものでしょうか。カフェで昼食をとりながら読んだのですが、恥ずかしくて表紙を一生懸命かくしてしまいました。

  • 先に読んだ「狼の寓話」の続編。
    主人公は新米刑事。着任早々ヘマをやらかして、ちょっと変わり者の女性刑事と相棒を組まされた會川圭司刑事くんの3ヶ月後から始まる事件。

    被害額も負傷の度合いも軽かった強盗事件から始まるミステリー。盗まれた犬の行方を追っているうちに、人間に捨てられた犬や猫たちの姿や、動物シェルターや犬のブリーダーたちの内情や人間関係に踏み込んでいくことになる。

    犬猫などの動物を扱った物語だったこと、読みやすかったことでサクサク読めました。謎解き部分も意外な展開で面白かった。

  • 再読。
    近藤史恵はいま一番好きな女性ミステリ作家です。
    早く次の出ないかな〜

  • 大阪の南方署強行犯係で働いている圭司は、現金と一緒にチワワを盗んでいった強盗犯罪に遭遇する。
    チワワの窃盗はたいした事件ではないと考えていたが、やがて犬の持ち去りが思わぬ事件に結び付いていく。
    強行犯刑事モノのわりにはどこかのんびりほんわかした話だ。そして少し切ない。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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